2022年02月05日
ようやくですが、新しいHP兼BLOGを公開しました。
一年がかりにはなりますが、HP兼ブログをリニューアルというか
新しく別サイトを公開いたしました。
詳細は新しいHPにてご確認ください。
新しいサイトはこちら
・
・
今後の運用予定は、
新しいHP
メインサイトです。修繕日誌(ブログ)も併設しています。
今後はこちらのサイトをメインに修繕日誌を更新していきます。
旧ブログの記事は引き継がれていないので過去記事は旧ブログを参照ください。
旧ブログ(このサイトです)
検索順位維持の為、ときどき更新しようと思います。
10年以上分の修繕記録があるのでしばしば参照リンクをするかもしれません。
旧HP
こちらも存続していきます。
新しいサイトに不具合があった時用にバックアップサイト的な。
ただまだ新しいサイトには出来ていないページや、作りたいページもあるので
物足りない感じではありますが、徐々に充実させていきたいと思います。
新しいHPに表示エラーやリンクエラーなど不具合があるようでしたら
お問い合わせよりお伝えいただけると助かります。
それでは今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
店主
新しく別サイトを公開いたしました。
詳細は新しいHPにてご確認ください。
新しいサイトはこちら
・
・
今後の運用予定は、
新しいHP
メインサイトです。修繕日誌(ブログ)も併設しています。
今後はこちらのサイトをメインに修繕日誌を更新していきます。
旧ブログの記事は引き継がれていないので過去記事は旧ブログを参照ください。
旧ブログ(このサイトです)
検索順位維持の為、ときどき更新しようと思います。
10年以上分の修繕記録があるのでしばしば参照リンクをするかもしれません。
旧HP
こちらも存続していきます。
新しいサイトに不具合があった時用にバックアップサイト的な。
ただまだ新しいサイトには出来ていないページや、作りたいページもあるので
物足りない感じではありますが、徐々に充実させていきたいと思います。
新しいHPに表示エラーやリンクエラーなど不具合があるようでしたら
お問い合わせよりお伝えいただけると助かります。
それでは今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
店主
2022年01月26日
gmailでのお問い合わせと、リニューアルサイトについて
リニューアルサイトですが公開前に不具合が見つかりまして
修正中につきもう少し公開まで時間がかかってしまいます・・・。
それとHPよりお問い合わせいただく際にgmaiアドレスの方で
ときどきこちらからの返信メールが届かない事があります。
<届かない状態として>
・エラー送信になり届かない。(相手先の受信設定により)
→電話番号の記載があればご連絡できます。
→電話番号がない場合はこちらからどうすることもできません。
・エラー送信にならないが相手先には何も実際は届いていない。
→こちらは送信できたと思っているのでこれは困る・・・。
・エラー送信にならないが相手先の迷惑フォルダーに仕分けされている
→気づいてもらうのを待つしかない。
なおこれは例えば今週返信して問題なく届いていたのに
翌週送信すると届いていない(または迷惑フォルダーに仕分けされている)
ということもあります。
こちらのgmailアドレス宛ての送信が全てエラーになるのであれば
こちらの設定やサーバーの問題だと思うのですが、それぞれのお客様や
そのタイミング(受信拒否などの設定の変更はされていなくても)で
受信されない現象もあるようなので困ってしまいます。
改善できそうな方法としてはこちらの返信メールをアドレスに
登録していただくとか、受信設定などを見直していただくか、
初めのお問い合わせの際に電話の連絡先も記入していただくか、
こまめに迷惑メールフォルダーを確認して頂くという感じでしょうか。
ちなみに最近あった困った事例。
メール送信でエラーになったが電話番号の記載があったので
電話にて連絡しましたがお出にならず。
その後メールで連絡がきて
「喉の調子が悪いのでメールで連絡してください」と。
結果は分かっていましたがやはり送信しエラー。
また電話で連絡するのも、
「メールでって言いましたよね!」と言われそうで連絡取れず・・。
こちらからメールではなく電話があった場合はそういうことですので
ご面倒だとは思いますがよろしくお願いいたします。
docomoアドレスもエラー送信になる場合がしばしばありますが
これはエラーコードを見てみると受信設定によるものがほとんどですので
docomoアドレスの方は受信設定をご確認いただければと思います。
yahooアドレスは今までエラーになった事がないのでお使いの方は
そちらでお試し頂いてもよろしいかと思います。
追伸
カンペールのオールソール8足でお問い合わせされているTさま、
その都度返信していますが届かないようです・・・。
修正中につきもう少し公開まで時間がかかってしまいます・・・。
それとHPよりお問い合わせいただく際にgmaiアドレスの方で
ときどきこちらからの返信メールが届かない事があります。
<届かない状態として>
・エラー送信になり届かない。(相手先の受信設定により)
→電話番号の記載があればご連絡できます。
→電話番号がない場合はこちらからどうすることもできません。
・エラー送信にならないが相手先には何も実際は届いていない。
→こちらは送信できたと思っているのでこれは困る・・・。
・エラー送信にならないが相手先の迷惑フォルダーに仕分けされている
→気づいてもらうのを待つしかない。
なおこれは例えば今週返信して問題なく届いていたのに
翌週送信すると届いていない(または迷惑フォルダーに仕分けされている)
ということもあります。
こちらのgmailアドレス宛ての送信が全てエラーになるのであれば
こちらの設定やサーバーの問題だと思うのですが、それぞれのお客様や
そのタイミング(受信拒否などの設定の変更はされていなくても)で
受信されない現象もあるようなので困ってしまいます。
改善できそうな方法としてはこちらの返信メールをアドレスに
登録していただくとか、受信設定などを見直していただくか、
初めのお問い合わせの際に電話の連絡先も記入していただくか、
こまめに迷惑メールフォルダーを確認して頂くという感じでしょうか。
ちなみに最近あった困った事例。
メール送信でエラーになったが電話番号の記載があったので
電話にて連絡しましたがお出にならず。
その後メールで連絡がきて
「喉の調子が悪いのでメールで連絡してください」と。
結果は分かっていましたがやはり送信しエラー。
また電話で連絡するのも、
「メールでって言いましたよね!」と言われそうで連絡取れず・・。
こちらからメールではなく電話があった場合はそういうことですので
ご面倒だとは思いますがよろしくお願いいたします。
docomoアドレスもエラー送信になる場合がしばしばありますが
これはエラーコードを見てみると受信設定によるものがほとんどですので
docomoアドレスの方は受信設定をご確認いただければと思います。
yahooアドレスは今までエラーになった事がないのでお使いの方は
そちらでお試し頂いてもよろしいかと思います。
追伸
カンペールのオールソール8足でお問い合わせされているTさま、
その都度返信していますが届かないようです・・・。
2021年12月24日
年末年始のメールでのお問い合わせについて。
年末年始のHPからのお問い合わせですが、
12月26日・19時までの送信されたメールについては
年内にご返信させていただきます。
それ以降に送信されたメールについては
2022年1月6日以降に順次ご返信させていただきます。
1年間ほど修繕記事の更新を滞っておりましたが
年明け頃には現在制作中のリニューアルしたHP兼BLOGを
アップできると思います。
ただまだまだ作りたいページがあるのですが、それをやっていると
いつまでもアップできないのでキリがいいところでアップしたいと思います。
師走に向けてアップアップな
店主でした。
12月26日・19時までの送信されたメールについては
年内にご返信させていただきます。
それ以降に送信されたメールについては
2022年1月6日以降に順次ご返信させていただきます。
1年間ほど修繕記事の更新を滞っておりましたが
年明け頃には現在制作中のリニューアルしたHP兼BLOGを
アップできると思います。
ただまだまだ作りたいページがあるのですが、それをやっていると
いつまでもアップできないのでキリがいいところでアップしたいと思います。
師走に向けてアップアップな
店主でした。
ampersandand at 23:22|Permalink│
2021年07月31日
2021年04月09日
現在ブログお引っ越し中につきまして更新が滞っております。
先日もブログお引っ越し中の記事を書いたのですが
その記事を掲載後から海外から?なのか英文の迷惑メールなのか
「あなたのブログをよりよく改善できます」的なビジネスメールが
頻繁に届くようになりました。
そんなメールは直でゴミ箱なのですが、そもそも本当にビジネスならば
日本語で送ろうよ、って思いますね。
保険の勧誘でいきなり英語で話しかけてくるようなものですから。
本文中の文言を検出して自動でメールを送りつけているのか分かりませんが
面倒なのでその記事は落としました。
新しいブログは現在仮の記事を掲載してどのようなシステムなのか
確認しながら構築中です。(公開されていません)
思いのほか現在使用しているHP作成ソフトより細かく設定できるので
記事を書く以前の段階でやることが多いです。
なのでどのソフトにするか検討している時に、同じように設定地獄で
導入を断念し、はてなブログに出戻りした方の記事を読みましたが同感です。
このライブドアブログのように提供されているブログサイトならば
それらの設定は勝手に行われ、最新に更新もされているので
記事を書くことだけに専念できるのですが、新しいソフトはセキュリティーから
何から何まで、しかも英文の取説しかないアプリもあるのでエラーメッセージ
なんて出ると恐怖でしかありませんね。
公開は3月末の予定でしたが、そんなこんなで4月中には公開できると思います。
もっとしっかりと作り込みたいのですが、そうこうしていると蝉が鳴き始め
そうなのでとりあえず記事が読めるような状態になりましたら公開のお知らせ
を致します。
なお店頭営業の告知はしばらく行なっておりませんが、
日々忙しく業務は遂行していますので、郵送でも店頭対応(要予約)でも
ご対応可能です。
なおブログをお引っ越ししても、このブログは引き続き運営していきます。
過去記事も盛りだくさんですのでお好みの記事を探し出して
お読みいただければと思います。
公開後のサイト運営は
・アンパサンド HP
・アンパサンド 旧ブログ(このブログ)
・アンパサンド 新ブログ(現在構築中)
となります。
店主
その記事を掲載後から海外から?なのか英文の迷惑メールなのか
「あなたのブログをよりよく改善できます」的なビジネスメールが
頻繁に届くようになりました。
そんなメールは直でゴミ箱なのですが、そもそも本当にビジネスならば
日本語で送ろうよ、って思いますね。
保険の勧誘でいきなり英語で話しかけてくるようなものですから。
本文中の文言を検出して自動でメールを送りつけているのか分かりませんが
面倒なのでその記事は落としました。
新しいブログは現在仮の記事を掲載してどのようなシステムなのか
確認しながら構築中です。(公開されていません)
思いのほか現在使用しているHP作成ソフトより細かく設定できるので
記事を書く以前の段階でやることが多いです。
なのでどのソフトにするか検討している時に、同じように設定地獄で
導入を断念し、はてなブログに出戻りした方の記事を読みましたが同感です。
このライブドアブログのように提供されているブログサイトならば
それらの設定は勝手に行われ、最新に更新もされているので
記事を書くことだけに専念できるのですが、新しいソフトはセキュリティーから
何から何まで、しかも英文の取説しかないアプリもあるのでエラーメッセージ
なんて出ると恐怖でしかありませんね。
公開は3月末の予定でしたが、そんなこんなで4月中には公開できると思います。
もっとしっかりと作り込みたいのですが、そうこうしていると蝉が鳴き始め
そうなのでとりあえず記事が読めるような状態になりましたら公開のお知らせ
を致します。
なお店頭営業の告知はしばらく行なっておりませんが、
日々忙しく業務は遂行していますので、郵送でも店頭対応(要予約)でも
ご対応可能です。
なおブログをお引っ越ししても、このブログは引き続き運営していきます。
過去記事も盛りだくさんですのでお好みの記事を探し出して
お読みいただければと思います。
公開後のサイト運営は
・アンパサンド HP
・アンパサンド 旧ブログ(このブログ)
・アンパサンド 新ブログ(現在構築中)
となります。
店主
2020年12月31日
MAGNANNIは始めから併用仕様がいいかも篇
初めのお問い合わせではビンテージスチールのみだったので
その時点では一度お断りしたのですが、その後ハーフソールのみでも
付けられないか、というご相談になり、ならばビンテージスチールも
付けられますよ、ということで最終的にハーフソールスチール併用仕様で
仕上がっています。
では何故スチールのみだと付けられないか?ですが、このモデルは
ボロネーゼ製法でできているので前側に中底がありません。
中底が革でできている場合は既製品だとに3.5mmから4.0mm厚くらいの
革が使われています。
ボロネーゼ製法というのは端折って説明すると、前側の本体の
アッパーが靴下(袋状)のようになっていてその中底がありません。
柔らかいアッパーの革1.5mmぐらいに革底が直接取り付けられ
底縫いされている感じです。
なのでボロネーゼ製法で作られた靴というのは前側には中底がないので
その分、ソールの屈曲が良くしばしば雑誌などで紹介されるときは靴を
手でぐにゃっと曲げられて紹介されていたりします。
でですが、今回スチールだけだと何故付けられないかですが、
付けられるんですが、革底に直接スチールを取り付ける場合は、革底にそのまま
スチールを載せるのではなく革底にスチールが収まるようにその厚み分、
革底を凹ませて削る必要があります。
なのでそうなると底縫いが縫われている深さにもよりますが、
底縫いの糸が切れてしまう場合があります。
ウェルテッド製法の靴ではスチールを固定するビスが革底やウェルトや
中底面に到達して固定できるので底縫いの糸が切れても問題ないのですが、
(当店ではビスは通常のものではなく、確実に固定できるように一般的な
スチールのビスではなく長めの腐蝕しないステンレスのビスを使用しています)
ボロネーゼ製法の場合は、周囲のウェルトは飾りなので(違う場合もあります)
ウェルテッド製法のように本体には縫われて固定されていません。
そして中底も無いのでビスが固定される硬い層は凹ませて残った革底の厚みのみ
となりますので、それでは少しビスが固定されるには心もとないので
心配性の私としては一旦お断りさせていただきました。
ビスを打つ部分にもラバーが埋め込まれている範囲がかかるので
その箇所のビスの固定が甘くなるのでは?と中底が無いのである程度
履き込んでいった際に路面や荷重の圧で革底の変形が起こりやすいので、
その時にスチールの固定が若干不安というのもありました。
ちなみにラバーソールではそもそもビスが固定できないので取り付けは不可です。
では次にハーフソールを併用する場合はなぜOKなのか?ですが、
ハーフソールを取り付けた場合はスチールの厚み分凹ませる段差が
ハーフソールの厚み分で相殺されますので革底部分を加工せず(凹ませず)
に済みます。スチールを固定するビスはそのまま厚みが残っている革底に
がっつり食い込んで固定されます(底縫いも切れずにそのまま残りますし)。
別の靴ですがこんな感じです。
ハーフソールの厚みでスチールの厚みを吸収できます。
そもそも初めの段階でハーフソール併用であればスチールも取り付けられますよ、
とご案内すべきだったのですが、スチール単体でお問い合わせされる方の場合は
そもそもハーフソールを取り付けたくない、という方が多く、
こちらから営業トークのようにハーフソールも一緒にどうですか?
ポテトとセットでどうですか?ばりに、押し売りする感じになるのも嫌だなぁ
という私の営業下手なところが影響しているわけでもありますが。
そもそも今回ご依頼の靴は、見ての通り踏まず部分がオパンカ(オパンケ)
仕様ですので革底のまま履かれていずれオールソールとなった際に
だいぶ困るだろうということが予想されるので、ハーフソール併用仕様で
オールソール回避仕様にはじめからご案内すれば良かった訳ではあるのですが。
以前この仕様の靴のオールソールのご依頼があったのですが、
その靴は革底のまま履かれていて、雨の日も構わず履かれていたようで
路面の雨水を革底が吸い上げてオパンカ部分の革も硬化し、
アッパー側の革もやはり同様に硬化し縫い目で裂け始めていました。
この側面の縫い目は硬い革底を無理やり捲り上げてアッパーで縫い留めてるので
常にそこそこテンションが掛かっています。なので革が硬化してしまうと
そのテンションに堪えきれずオパンカ部分の縫い目でアッパーの革が
裂け始めてしまいます。
革底側は裂けていても交換するので問題はないですがアッパー側が
裂けてしまうと元の見栄えでの修理は難しいです、というか
見栄えを変えて修理しても強度を保たせて修理は無理かもしれません。
踏まず部分のオパンカですが、これは底面の型取りを行い革底を切り出し、
踏まず部分の捲り上げる革を薄く漉いておき、その革底のみで一旦靴型に
取り付けて踏まず部分に捲り上げる癖付けをし(メーカーだとしていないかも
しれませんが)そしてアッパーを釣り込んでからその癖付けした革底をセットし、
アッパーと革底をすくい縫いしていきます。
オールソールとなった時にはオリジナルの靴型はもちろん無い訳ですので
革底に同様の癖付けができません、でもこの程度であれば手で癖付けしても、
または他の靴型でも代替えできそうですが、革底とアッパーのすくい縫いの時に
靴型が近いものを使用しても踏まずの膨らみ(フィット感)が変わって
しまいそうです。
それよりも前側の中底が無いので、古い革底を取り外した時に本体が
フニャフニャで形状を保てないと元通りの形状とサイズ感で新たな革底を
取り付けることができないのだろうと思いますので、極力オールソールを
回避する方向で補強補修しておいた方が宜しいかと思います。
もちろん近い靴型を入れてそれなりにソール交換することもできるとは思いますが
形状の差異やサイズ感の違いが生じてしまいそうです。
ボロネーゼ製法ではないですが、同じようにソールを外すと抜け殻のようになる
ステッチダウン製法のクラークスを、とある修理店だったかメーカーに
ソール交換に出され、違う靴型を入れて修理された結果、靴のつま先形状が
変わって仕上がってきた〜というお客さんがいらっしゃいました。
当店にその靴を元の形状に戻せないかというご依頼だったのですが・・・。
過去記事で画像とともに掲載がありますのでご興味ある方は
探してみてください。
前置きがだいぶ長くなりましたが、
ではではハーフソールスチール併用仕様の補修を。
メーカーも恐らくオールソールしたくないのか(本国に送ってもオールソール
してくれるかも怪しいですが)摩耗に耐えるようにわざわざ革底にウレタン系の
ラバーを埋め込んでいて中央部分が2.0mm程度凸形状で盛り上がっています。
(一番摩耗し易いつま先が無防備なので残念な補強ではあるのですが)
もちろん出っ張っていてはハーフソールが取り付けられないのでこの段差は
削り落とします。次に問題なのが踏まずからの境目がない底面形状。
これではどこでハーフソールに切り替えればいいのか・・・。
通常の底面の場合は革底の角があるので以下の様にハーフソールの境目は
直線で繋げられますがオパンケの場合はどうしましょうか。
こんな感じで円弧で繋げてみました。
ハーフソール取り付け位置というのはその境目が地面に接地しないように
接地位置から1.0cm程度下がった位置設定になりますが、今回はウレタンが
埋め込まれてるのでそれを覆う為に少し深めの設定になっています。
これもしばしば尋ねられるのですが、革底を削るのですか?と。
削るという表現が適切ではないのですが、画像で見ると削ったように
見えてはしまいますが。
特に今回は出ているウレタン部分は確かに削っていますがこれは異例です。
出っ張ったままだと取り付けできませんので。
革底部分も白くなっていますが、これは仕上げ材の塗装やワックスを
取り除き、接着剤が食いつきやすい様に表面を「ザラザラに荒らしている」という表現が適切だと思います。
表面を紙やすりでザラザラにした程度、といえば分かりやすいでしょうか。
といっても中には不思議なお店もある様で、とあるお客様が言うにはそのお店では
ハーフソールの厚みが2.0mmあるので取り付ける際は革底も2.0mm均等に全体を
削ります!と言われたのですが・・と。
まぁそんなこと聞いたらちょっと恐怖ですよね修理に出すにも。
そして底縫いの糸が切れない様に表面を荒らすのが基本ですが、あまり考えず
ザクザク削ってしまい底縫いの糸が擦れ切れてしまった状態でハーフソールを
取り付けられている修理店も時々あります。
なんぜそれが分かるかと言うと、その靴が次回修理の時に当店に持ち込まれ
古いハーフソールを剥がしてみると底縫いの糸がすでに切れている靴が
しばしばあるからなんですが・・・。
その様な靴は場合によっては古いハーフソールを剥がすときに底縫いの糸が
切れているので、ウェルトと革底が剥がれて(浮いてきて)きてしまう
場合があります。
お客さんにしてみれば、その状態で私が「剥がれてきました」といっても
当店でその様にされた、と思われてしまうでしょうから人知れず追加補修を行い
ハーフソールを取り付けている靴もあったりします。
なので、できれば初めから当店で補修して欲しいという希望はあります。
寄り道が長くなりましたが完成です。
先ほど表面を荒らした境目のラインと全く同じ形状にハーフソールを
加工し、境目はハーフソールを漉いて段差が生じないように取り付けています。
表面を荒らしていないところを覆っても剥がれてきてしまうのでその点が
この補修では難しいところです。
オパンカの捲り上がっている部分に影響がない様に側面からはほとんど見えない
ライン設定になっています、というかこの目線で他の人の靴を見ることは
ないでしょうからあまりこだわってもしょうがなかった訳ではありますが。
逆半カラス状態という感じでしょうか。
半カラス仕上げといえば踏まず部分を黒く染めるのですが、今回は逆に
前側をラバーで黒く覆っています。
今回のハーフソールの境目が円弧のライン設定は別料金となります。
通常は以下の様に直線のライン設定になります。
この記事は12月のはじめ頃に書き始めたのですが、バタバタしていて
放置していたら2020年度最後の記事になりそうです。
今年はコロナに始まりコロナで終わらずに来年も引き続きの様相ですが
ダイアモンドプリンセス号騒ぎが昨日の事のようです。
早かった〜今年は特に1年が。
多忙だったり修理内容の複雑化により数年前からあまりお店を開けて
店頭営業していなかったのですが、コロナ騒動でより余計に今年は
「本日営業日です!」と云ってお店をちゃんとオープンした日は帳簿を
見てみましたら4日間だけでした。
4.5.6月頃は商店街自体が自粛ムードでしたので飲食ではない当店も
わざわざ開店しない方がいいのか?ということもありましたが。
もちろんその間休んでいたわけではなく、ひたすら郵送修理だったり予約で
ご来店された方の依頼品を修繕していたわけでありますが。
飲食でデリバリーが増えたように修理も郵送でのご依頼が
より増加した年でした。
そこそこ近場の方でも4.5.6月頃は外出されるのが怖いので郵送します、
というお客さんもいらっしゃいましたし。
来年はどうなるのでしょうか・・・。
みなさま変わらずにお体ご自愛くださいませ。
みかんを食べて免疫力向上を試みる店主より。
その時点では一度お断りしたのですが、その後ハーフソールのみでも
付けられないか、というご相談になり、ならばビンテージスチールも
付けられますよ、ということで最終的にハーフソールスチール併用仕様で
仕上がっています。
では何故スチールのみだと付けられないか?ですが、このモデルは
ボロネーゼ製法でできているので前側に中底がありません。
中底が革でできている場合は既製品だとに3.5mmから4.0mm厚くらいの
革が使われています。
ボロネーゼ製法というのは端折って説明すると、前側の本体の
アッパーが靴下(袋状)のようになっていてその中底がありません。
柔らかいアッパーの革1.5mmぐらいに革底が直接取り付けられ
底縫いされている感じです。
なのでボロネーゼ製法で作られた靴というのは前側には中底がないので
その分、ソールの屈曲が良くしばしば雑誌などで紹介されるときは靴を
手でぐにゃっと曲げられて紹介されていたりします。
でですが、今回スチールだけだと何故付けられないかですが、
付けられるんですが、革底に直接スチールを取り付ける場合は、革底にそのまま
スチールを載せるのではなく革底にスチールが収まるようにその厚み分、
革底を凹ませて削る必要があります。
なのでそうなると底縫いが縫われている深さにもよりますが、
底縫いの糸が切れてしまう場合があります。
ウェルテッド製法の靴ではスチールを固定するビスが革底やウェルトや
中底面に到達して固定できるので底縫いの糸が切れても問題ないのですが、
(当店ではビスは通常のものではなく、確実に固定できるように一般的な
スチールのビスではなく長めの腐蝕しないステンレスのビスを使用しています)
ボロネーゼ製法の場合は、周囲のウェルトは飾りなので(違う場合もあります)
ウェルテッド製法のように本体には縫われて固定されていません。
そして中底も無いのでビスが固定される硬い層は凹ませて残った革底の厚みのみ
となりますので、それでは少しビスが固定されるには心もとないので
心配性の私としては一旦お断りさせていただきました。
ビスを打つ部分にもラバーが埋め込まれている範囲がかかるので
その箇所のビスの固定が甘くなるのでは?と中底が無いのである程度
履き込んでいった際に路面や荷重の圧で革底の変形が起こりやすいので、
その時にスチールの固定が若干不安というのもありました。
ちなみにラバーソールではそもそもビスが固定できないので取り付けは不可です。
では次にハーフソールを併用する場合はなぜOKなのか?ですが、
ハーフソールを取り付けた場合はスチールの厚み分凹ませる段差が
ハーフソールの厚み分で相殺されますので革底部分を加工せず(凹ませず)
に済みます。スチールを固定するビスはそのまま厚みが残っている革底に
がっつり食い込んで固定されます(底縫いも切れずにそのまま残りますし)。
別の靴ですがこんな感じです。
ハーフソールの厚みでスチールの厚みを吸収できます。
そもそも初めの段階でハーフソール併用であればスチールも取り付けられますよ、
とご案内すべきだったのですが、スチール単体でお問い合わせされる方の場合は
そもそもハーフソールを取り付けたくない、という方が多く、
こちらから営業トークのようにハーフソールも一緒にどうですか?
ポテトとセットでどうですか?ばりに、押し売りする感じになるのも嫌だなぁ
という私の営業下手なところが影響しているわけでもありますが。
そもそも今回ご依頼の靴は、見ての通り踏まず部分がオパンカ(オパンケ)
仕様ですので革底のまま履かれていずれオールソールとなった際に
だいぶ困るだろうということが予想されるので、ハーフソール併用仕様で
オールソール回避仕様にはじめからご案内すれば良かった訳ではあるのですが。
以前この仕様の靴のオールソールのご依頼があったのですが、
その靴は革底のまま履かれていて、雨の日も構わず履かれていたようで
路面の雨水を革底が吸い上げてオパンカ部分の革も硬化し、
アッパー側の革もやはり同様に硬化し縫い目で裂け始めていました。
この側面の縫い目は硬い革底を無理やり捲り上げてアッパーで縫い留めてるので
常にそこそこテンションが掛かっています。なので革が硬化してしまうと
そのテンションに堪えきれずオパンカ部分の縫い目でアッパーの革が
裂け始めてしまいます。
革底側は裂けていても交換するので問題はないですがアッパー側が
裂けてしまうと元の見栄えでの修理は難しいです、というか
見栄えを変えて修理しても強度を保たせて修理は無理かもしれません。
踏まず部分のオパンカですが、これは底面の型取りを行い革底を切り出し、
踏まず部分の捲り上げる革を薄く漉いておき、その革底のみで一旦靴型に
取り付けて踏まず部分に捲り上げる癖付けをし(メーカーだとしていないかも
しれませんが)そしてアッパーを釣り込んでからその癖付けした革底をセットし、
アッパーと革底をすくい縫いしていきます。
オールソールとなった時にはオリジナルの靴型はもちろん無い訳ですので
革底に同様の癖付けができません、でもこの程度であれば手で癖付けしても、
または他の靴型でも代替えできそうですが、革底とアッパーのすくい縫いの時に
靴型が近いものを使用しても踏まずの膨らみ(フィット感)が変わって
しまいそうです。
それよりも前側の中底が無いので、古い革底を取り外した時に本体が
フニャフニャで形状を保てないと元通りの形状とサイズ感で新たな革底を
取り付けることができないのだろうと思いますので、極力オールソールを
回避する方向で補強補修しておいた方が宜しいかと思います。
もちろん近い靴型を入れてそれなりにソール交換することもできるとは思いますが
形状の差異やサイズ感の違いが生じてしまいそうです。
ボロネーゼ製法ではないですが、同じようにソールを外すと抜け殻のようになる
ステッチダウン製法のクラークスを、とある修理店だったかメーカーに
ソール交換に出され、違う靴型を入れて修理された結果、靴のつま先形状が
変わって仕上がってきた〜というお客さんがいらっしゃいました。
当店にその靴を元の形状に戻せないかというご依頼だったのですが・・・。
過去記事で画像とともに掲載がありますのでご興味ある方は
探してみてください。
前置きがだいぶ長くなりましたが、
ではではハーフソールスチール併用仕様の補修を。
メーカーも恐らくオールソールしたくないのか(本国に送ってもオールソール
してくれるかも怪しいですが)摩耗に耐えるようにわざわざ革底にウレタン系の
ラバーを埋め込んでいて中央部分が2.0mm程度凸形状で盛り上がっています。
(一番摩耗し易いつま先が無防備なので残念な補強ではあるのですが)
もちろん出っ張っていてはハーフソールが取り付けられないのでこの段差は
削り落とします。次に問題なのが踏まずからの境目がない底面形状。
これではどこでハーフソールに切り替えればいいのか・・・。
通常の底面の場合は革底の角があるので以下の様にハーフソールの境目は
直線で繋げられますがオパンケの場合はどうしましょうか。
こんな感じで円弧で繋げてみました。
ハーフソール取り付け位置というのはその境目が地面に接地しないように
接地位置から1.0cm程度下がった位置設定になりますが、今回はウレタンが
埋め込まれてるのでそれを覆う為に少し深めの設定になっています。
これもしばしば尋ねられるのですが、革底を削るのですか?と。
削るという表現が適切ではないのですが、画像で見ると削ったように
見えてはしまいますが。
特に今回は出ているウレタン部分は確かに削っていますがこれは異例です。
出っ張ったままだと取り付けできませんので。
革底部分も白くなっていますが、これは仕上げ材の塗装やワックスを
取り除き、接着剤が食いつきやすい様に表面を「ザラザラに荒らしている」という表現が適切だと思います。
表面を紙やすりでザラザラにした程度、といえば分かりやすいでしょうか。
といっても中には不思議なお店もある様で、とあるお客様が言うにはそのお店では
ハーフソールの厚みが2.0mmあるので取り付ける際は革底も2.0mm均等に全体を
削ります!と言われたのですが・・と。
まぁそんなこと聞いたらちょっと恐怖ですよね修理に出すにも。
そして底縫いの糸が切れない様に表面を荒らすのが基本ですが、あまり考えず
ザクザク削ってしまい底縫いの糸が擦れ切れてしまった状態でハーフソールを
取り付けられている修理店も時々あります。
なんぜそれが分かるかと言うと、その靴が次回修理の時に当店に持ち込まれ
古いハーフソールを剥がしてみると底縫いの糸がすでに切れている靴が
しばしばあるからなんですが・・・。
その様な靴は場合によっては古いハーフソールを剥がすときに底縫いの糸が
切れているので、ウェルトと革底が剥がれて(浮いてきて)きてしまう
場合があります。
お客さんにしてみれば、その状態で私が「剥がれてきました」といっても
当店でその様にされた、と思われてしまうでしょうから人知れず追加補修を行い
ハーフソールを取り付けている靴もあったりします。
なので、できれば初めから当店で補修して欲しいという希望はあります。
寄り道が長くなりましたが完成です。
先ほど表面を荒らした境目のラインと全く同じ形状にハーフソールを
加工し、境目はハーフソールを漉いて段差が生じないように取り付けています。
表面を荒らしていないところを覆っても剥がれてきてしまうのでその点が
この補修では難しいところです。
オパンカの捲り上がっている部分に影響がない様に側面からはほとんど見えない
ライン設定になっています、というかこの目線で他の人の靴を見ることは
ないでしょうからあまりこだわってもしょうがなかった訳ではありますが。
逆半カラス状態という感じでしょうか。
半カラス仕上げといえば踏まず部分を黒く染めるのですが、今回は逆に
前側をラバーで黒く覆っています。
今回のハーフソールの境目が円弧のライン設定は別料金となります。
通常は以下の様に直線のライン設定になります。
この記事は12月のはじめ頃に書き始めたのですが、バタバタしていて
放置していたら2020年度最後の記事になりそうです。
今年はコロナに始まりコロナで終わらずに来年も引き続きの様相ですが
ダイアモンドプリンセス号騒ぎが昨日の事のようです。
早かった〜今年は特に1年が。
多忙だったり修理内容の複雑化により数年前からあまりお店を開けて
店頭営業していなかったのですが、コロナ騒動でより余計に今年は
「本日営業日です!」と云ってお店をちゃんとオープンした日は帳簿を
見てみましたら4日間だけでした。
4.5.6月頃は商店街自体が自粛ムードでしたので飲食ではない当店も
わざわざ開店しない方がいいのか?ということもありましたが。
もちろんその間休んでいたわけではなく、ひたすら郵送修理だったり予約で
ご来店された方の依頼品を修繕していたわけでありますが。
飲食でデリバリーが増えたように修理も郵送でのご依頼が
より増加した年でした。
そこそこ近場の方でも4.5.6月頃は外出されるのが怖いので郵送します、
というお客さんもいらっしゃいましたし。
来年はどうなるのでしょうか・・・。
みなさま変わらずにお体ご自愛くださいませ。
みかんを食べて免疫力向上を試みる店主より。
2020年11月19日
TUMIの3wayリュックの持ち手が傘をさしても雨に濡れる案件。
今回のご依頼はいつも通り現行品のTUMIの持ち手が痛んでいるので
旧モデルの丈夫な仕様に変更のご依頼でしたが、実は傘をさしても
持ち手が庇からはみ出て雨に濡れるのでどうにかなりませんか?
というお題も追加された案件となります。
そもそも飛び出ている持ち手については常々私も思っていた次第でした。
雨に濡れる、ではなく何かに引っ掛けて転倒しないのだろうか?と
安全面での心配でしたが。
それにデザイン的にもどうなんでしょう、自分では見えないのでそこまで
気にならないのかもしれませんが。
それに持ち手が飛び出て雨に濡れてしまいやすい状態であれば
革は濡れて乾いてを繰り返し、乾燥、硬化、擦り切れという
悪循環にまっしぐら、それに芯材のスポンジも劣化してしまいますので
悪く考えれば、持ち手の寿命を縮めて買い替えてもらおうキャンペーン
設定なのかもしれませんね。
この考えは、TUMIが旧モデルの丈夫な持ち手から現行品の柔な持ち手へと
仕様変更した時点で私はそうなんだろうなと思っていましたが。
本体のバリスティックナイロンは軍事用に開発されたナイロンなので
摩擦や引裂にとても強いのでなかなか痛まない、ということは
なかなか新しいカバンに買い替えてくれないということです。
旧モデルのナイロンベルトに革が巻いてある仕様であれば傷んだ革だけ
巻き変えれば使えてしまうので、じゃあ持ち手ごとしか交換できないように
すれば、という感じだったのでしょうか。
といっても当店みたいなお店が交換していってしまうのですが。
ちなみに、TUMIのリュックで使用されているナイロンはそれを踏まえて
裂けやすい設定になっているかもしれません。
ナイロン生地が裂けた、というお問い合わせがしばしばありますので。
とりあえず今の持ち手の状態で収まるのか試してみました。
正面の持ち手は内側に倒すとすんなり収納できました。
で、ここには隠しマグネットが仕込まれているのでこれが抑えになって
飛び出してこない感じです。
親指先端あたりにマグネットがあります。
では背面の持ち手はどうなんでしょうか。
付け根の連結金具がポケットの外側についているので縁が邪魔をして
内側に折りたためない状態です。
それにこれはもう交換する持ち手なので無理やり折り曲げていますが
新しい状態でこのようにするのは気が引けますね、付け根が折れるので。
なのでオリジナルの持ち手では収納することができない、ということになります。
3wayリュックを企画した時にTUMI社のデザイン会議でこの点は問題に
ならなかったのでしょうかね?
リュックのストラップは収納できるようになっているのだから
持ち手は?と誰も気づかなかったのでしょうか。
ではまずはいつも通り旧モデルのナイロン革巻き仕様の持ち手を製作し
取り付けから。
現行品の持ち手は芯材にスポンジを使っていて、スポンジを革で包んでいる
だけですので使っていくうちに手のグリップで雑巾を絞るようにどんどん
捻れていきます。
最終的には革も擦り切れてスポンジも破断して終了・・・。
丈夫な旧モデルの持ち手仕様の場合は、ナイロンベルトに革を縫製し
巻き込んでいるので、持ち手が伸びることもなくまた握り部分は
二つ折りにしているのでナイロンと革が4重に重なり適度な硬さもあり
ヘタリにくく変形もし難い仕様になります。
TUMIの重い鞄にはこのくらいでないと釣り合わないと思います。
本体の連結金具に固定して持ち手完成です。
持ち手の長さはそれぞれの鞄で設定が異なるのでオリジナルの
設定に倣って製作しています。
この鞄は一番長い設定になっていました。私が統計を採ったところ
TUMIの持ち手の長さはだいたい3パターンあるようです。
ただどうみても伸びたにしては中途半端な長さの持ち手もあったりするので
設定として6パターン用意しています。
当店でTUMIの持ち手巻き革交換(旧モデル)、または現行品から旧モデルへの
仕様変更で使用する革はタンニン鞣しの革で適度にオイルを含ませた革を
使用しているので乾燥しにくくなっています。
(それでも定期的にはレザーローションで保湿して頂くと寿命が伸びます)
そして握りにくくならない程度にオリジナルより革の厚みも増して
耐久性を高めています。革の質はオリジナルより上等ではないかと思います。
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では追加のお題の持ち手の収納の件ですがこんな感じです。
これが・・
こうなって
背面ももちろんスッキリ。
ナイロンベルトは負荷が掛かる連結金具部分は耐久性を増すために二重に
重ねて通しているので固いのですが、ちょうどポケットの淵の部分では
折り曲がるのですんなり内側に倒すことができます。
これはわざわざ今回の為の仕様ではなく通常の設定でこうなりますので
以前当店で同様の交換をされたお客様の鞄は同じように収納できるように
なっています。
正面は隠しマグネットでポケットを抑えていましたが背面のポケットには
それがありません。背負うと背中と鞄で抑えられ収納した持ち手は
出てこなそうですが確約はできません。
ですのでポケットを抑える留パーツが必要でしたが、もともとの持ち手に
ついていた両手の持ち手を纏めるループが巧いこと再利用できましたので
追加の製作費用を抑えることができました。
もともとついていたオリジナルのパーツだけあって
馴染んでいるな〜と思う今日この頃・・・。
2020年11月11日
ブーツのサイズ調整。 あるあるじゃないよ篇
この手のブーツは履きこなせるまでに数年かかるようですが、
なので皆さん履き始めの段階でギブアップされる方も多いようです。
履きこなせるというのはファッション的な話ではなく、
快適に足に馴染んで歩行ができるか、ということになります。
今回のブーツもアッパーの革が3.5mmとのことですが、
実際にはもっとあるように見えます。(一般的な靴は1.0から1.5mmくらい)
ソールも鬼厚ですのでほとんど曲がらないんじゃないかと思えます。
この手の靴に私はもうチャレンジする気力と体力はない感じです・・。
厚みのある良質な革が手に入らなくなったということで、この靴の
製造メーカーではすでに廃盤にされているモデルとのことでした。
牛が育つには餌となる飼料が必要で、飼料が育つには天候が
良くなくてはいけないのですが、近年の異常気象により穀物の成育不良や
不作により餌の値段が高騰し、その結果、牛に与える餌の質や量が制限され、
そうなると栄養が少なければ牛が健康に育たないので革の質も悪くなる、
ということで以前に比べ革の質は悪くなってきている、と革屋さんに
聞いたことがあります。
(といっても革はあくまでも食用で屠殺される際の副産物ではありますが)
今回はこの手の靴のあるある、硬くて痛くて履けないのでなんとかならないか?
案件ではなく、すでにこの手の靴を履きこなされてきた
ブーツマスターなお客さん。
しかしワンサイズ大きいのを購入してしまったのでサイズ調整をとのこと。
確か廃盤になるので大きいけど買ってしまった・・とかだったと思います。
これはあるあるになりますが、この手のごついブーツに
「ミンクオイルを塗れば少しは柔らかくなりますかね?」
としばしば尋ねられますが、この手の靴以外でもそうですが、
私としては靴全般にミンクオイルはオススメしておりません。
ミンクオイルの油分は他のオイルに比べ浸透しやすい為、革の繊維深くまで
行き渡りその結果、適量を間違えると(だいたい多量に塗布してしまう)
革に含有するオイルが飽和状態になり、常にふやけた状態となってしまい
最悪、繊維がほぐれて革の表面が割れてきてしまう事もあります。
紙を水で濡らしているとほぐれていく感じと例えると分かりやすいでしょうか。
そして常に油分で湿っているので日本の高温多湿の環境では
カビの繁殖にはもってこいの状態となります。
それと湿っているので磨いても艶が出ないんです。
そしてこうなってしまうともう元の状態には戻せません・・・。
昔、ブーツが日本に紹介された際に一緒にミンクオイルも合わせて紹介された
ようで、そのイメージが強く今でもブーツといえばミンクオイルとなっている
ようですが、アメリカ大陸の乾燥した地域であれば適しているようですが、
日本のような高温多湿ではレザーローションや乳化性の靴クリームでの
メンテナンスで十分だと思います。
ブーツマスターにも伺ったところ、やはり昔ミンクオイルを使われていた頃に
カビだらけになって終了した靴があったとのことでした。
初回ご来店の際に通常のサイズ調整用のインソールで確認したのですが、
それだと甲の部分が余っているとのことで、
(通常は踏みつけあたりの屈曲部を嵩上げするので前側だけになっています)
新たに踏まずあたりから持ち上げるようにインソールを用意し
確認していただくと、
いい感じということでインソールでの調整はOK。
全敷と調整用の革二枚合計で、つま先側はだいたい6.0mmぐらいの厚みに。
足囲にしたら計算上はEEEからEに2サイズダウンな感じです。
通常こんなに底上げしたら指先が上部に当てってしまうのですが
ごついブーツなのでもともとゆとりがあるのか指あたりは大丈夫との
ことでした。(もともと敷かれていた市販のスニーカータイプ系の
インソールが同じくらいの厚みでしたのでそれを目安にしました)
それと今回のブーツはヒールが高いので前側のインソールを6.0mmと
厚く入れても許容できる範囲ですが(もちろん初めの設定から変更しない
のがベストですし、許容できるかどうかご本人次第ではあります)
ヒールが低い靴の場合はつま先側をインソールで底上げすぎてしまうと
その分前後の高低差がなくなっていきバランスが悪くなってしまうので
靴によってそれぞれ限度はあります。
指周りの具合はOKなのですが、できれば踵部分をもう少し
左右からフィットさせたいとのこと(踵の横幅を窮屈にするイメージ)
通常の短靴の場合にも右足だけかかと内側に革を一枚追加して
補修されたことがあり、それでいつも丁度いいとのことでした。
こんな感じでかかとのパーツの形状に合わせて革を内側に追加する
イメージです。(黄色線)
それではということでお預かりして型採りをして腰革を準備していたのですが
実際にこの革を手で持って筒に突っ込んでジャストな位置に皺なく綺麗に
貼り込められるのだろうか?という疑念が・・・。
しかも業務用の接着剤は貼る面と貼られる面の両側に接着剤を塗布して
貼ることで接着強度が高く仕上がるのですが、ブーツの内側の窪んだ部分に
適正な範囲で接着剤が塗布できるのか?
しかも接着が強いので貼り直しはできずワンチャンス、まあ無理だろうな
ということでかかと中央部分で左右にパーツを分割し接着することに。
しかしこの分割は結果的にはよかったんですが。
今回右足だけ緩いので右足だけかかと内側を狭めるのですが、
かかと部分にぐるっと革を回してしまうと、僅かですが右足だけ革の厚み分
かかとが前に押し出されます。
なので当初の予定では踵中央部分周辺の革を漉いて(斜線部)厚みを薄くする
予定でしたので、中央部分を薄く漉くというのは作業的にどの程度薄くなって
いるのか判断し難かったので、左右に分割したことで端を薄く漉くので
厚みの確認がし易く適正な厚みに加工できました。
こんなイメージです。
パーツ周囲を漉いているのは革の厚みがそのままだと足入れの際に
その段差で引っかかりめくれていきやすいので漉いています。
そしてこれを内側に仮固定して履いていただくと、
踝下あたりをできればもう少し窮屈に・・ということですが
塩梅が難しいですがやってみましょうということに
(画像のこの面が靴本体との接着面になります)
取り付けるとこんな感じになっています。
斜線部分に革を追加して踝下がフィットするようなイメージです。
イメージとしては斜線部分を出っ張らせることで歩行の際に踵が上に
抜けないようなイメージです。
ファスナーがついていないブーツということは足がそのまま入るように
形状としてはくびれのない寸胴形状で、甲から足首周辺もゆったりできています。
ですので歩行の際には甲の部分が抑えられずに踵が靴から抜けがちです。
ソールも重く分厚く曲がらないので余計にそうなりがちです。
ただブーツに限らずですが、がっちりと作られた靴というのは馴染むまで
難儀ですが、追々、自分の足に馴染んできてしまうとその頑丈さが今度は
足をしっかりとホールドしてくれるということになります。
逆に初めからやわやわな靴というのは靴下のようにどこもアタリがなく
楽チンではあるのですが、その分へたりやすかったり足を支えてくれる
強度がないので足なりに靴も変形しやすかったりもします。
数年前のヤフーニュースで確かアメリカの論文で発表されたかで
「ビーチサンダルは足に悪い」というニュースがありました。
それはビーチサンダルはソールが柔らかいので、体重が重い人が履いていると
ソールが片側に潰れた状態で歩行することになるので、その結果、
骨格や筋肉に影響が生じる・・みたいな論文だったかと思います。
それと細いストラップで固定しているだけなので脱げないように
無意識に指先を掴むように曲げていたりする為に足底筋膜炎などに
なりやすいとのことでした。
これはビーチサンダルに限らずサイズが合っていない靴や
あまり足を支えない構造の靴は同じなんだと思います。
ただ柔らかい靴がダメかというとそうでもなくて、要は時と場合による
ということでもあると思います。
海水浴にブーツは履きたくないわけですし。
ちなみにサイズが合っていない場合ですが(そもそも試着して
店内をちょっと歩く程度で合う合わないがわかる訳もないのですが)
目安としては指周りが若干きついのであれば履いていくことである程度は
革の伸びと(革の種類と靴のデザインによってはあまり期待できない場合もある)
中底の沈下で後々アジャストしてくる可能性はありますし、緩いのであれば
今回のようにインソールで調整もある程度は可能です。
根本的にダメなのは靴の縦方向が長い場合、
「足が前に滑ってかかとに1.0cm隙間があるんですけど・・・」みたいな
お問い合わせがしばしばありますが、これは残念ながら当店では基本的に
ご対応不可となります。ローファーでよくありがちなのでご注意ください。
それと前に滑るからといってつま先にティッシュを詰めない方がいいです。
パンプスを修理していると時々指先に詰められたティッシュの塊が
落ちてくることがあります。おそらく足が前にずれてかかとがパカパカ
するので詰めているのだと思いますが、それだと指先がぶつかってしまい
靴内部で指が浮いている、折り曲がった状態で歩行することになるので
ハンマートゥなどの疾患になる場合もありますのでお気をつけください。
最後にもともとある踵周辺の縫い目を利用して縫製できる部分は
縫製して内側に貼り付けた革を縫い留めて完成となります。
(縫い目に重ねて縫製しているの見栄えは変わりません)
履いていただくとブーツマスターから「いい感じです」いただけました。
今回のごつい靴に限らずですが、新しい靴は履き慣らし期間が必要だと思います。
しっかりと作られた靴は尚更ですが、すぐにギブアップせず靴に自分の足の形を
覚えさせる猶予を与えていただければと思います。
(もちろん炎症や激痛がある場合は違いますが)
2020年11月04日
パイピングを巻き替える。 ETTINGERのMARSTON篇
今回のご依頼品はETTINGERのMARSTON
とても伝統的な飾り気のない質実剛健なザ・ブリーフケースといった佇まいです。
剛健ではありますが、やはり物理的な擦れには日々晒されていきますので
パイピングやその他に痛みが生じてきてはしまいます。
今回補修する範囲は、パイピング外周の両面交換/ハンドル交換/
ポケットのパイピング両面交換となります。
水色の範囲が今回交換する部分になります。
すでにポケットの付け根部分は一度他店にて補強補修がされているのですが
ポケット側のパイピングは補修していないのでそちら側が裂けてきて
しまっています。当初はポケットの付け根付近の四カ所の補強でしたが、
パイピング全体が割れてきていましたので全体交換に切り替えました。
外周はお約束の擦り切れです。
この部分は地面に置いたりしますので靴のかかと同様に擦れる宿命なのです。
ただこのパイピング仕様の場合は擦れてはしまいますがメリットがあります。
他の内縫い、外縫い構造の鞄と違ってパイピングが施されていることで
今回のようにパイピングを交換すれば本体を加工せず、元通りに
戻すことができます。
靴の革底の摩耗を予防するのにハーフソールを取り付けますが、
同様に鞄のパイピングとは地面から鞄本体を守るバンパー的な役割
なんだろうと思います。
もしこの鞄にこのパイピングが付いていなければ、今頃は本体自体が削れてしまい
穴が空いているか、角が潰れているかになっていて元通りの補修は難しく
外観は変わっていただろうと思います。
このような鞄の場合、一般的には本体は本体でまとめて縫製されています。
で、そこへパイピングを巻き付けて縫製しているので、パイピングを取り除いても
鞄自体は分解せず自立しています。
ナイロン製の鞄の場合は全てまとめて縫製されていることもあるので
交換不可の場合もあります。
ポケット付け根の外周側のパイピングはしばしば裂けてしまいがちです。
ポケットに荷物を入れれば重さで付け根は自ずと引っ張られます。
その荷重をパイピングの縫製一箇所だけで受け止めているので、
どうしてもその部分に負荷がかかり過ぎてしまいます。
ですので今回は縫い目に掛かる負荷を分散させるために外観からは
見えないようにステッチを脇の部分に追加して縫製してあります。
この手の伝統的なブリーフケースはほとんど同じ縫製の仕方で
どれも作られているので、いつも壊れる部分は同じ場所です。
少しだけ縫製箇所を増やすとか、隅をカシメで固定するとかで
強度は変わってくると思うのですが。
以前修理した鞄で、底部分の四隅のパイピングが始めから二重に
巻かれているメーカーのものがありました。
これはこれで工夫なんだと思います。
擦れる部分だから始めから補強しておく、という。
これは私も考えたことがありますが、あとは見栄えの好みかと思います。
パイピングはメーカーであればミシンに専用のアタッチメントを付けて
縫製していけば縫い進めると同時に縁取りされていくのですが、
修理の際はコツコツと二つ折りして巻き付けていき、ひと目ひと目を
八方ミシンの車輪を廻しながら縫っていきます。
なので片手で鞄を支えて膝も使いつつ回転させながら、
片手は車輪を廻してと雑技団的縫製になりがちです。
パイピング完成
革は通常の革より乾燥しにくいオイルレザーを使用していますので
擦れにも強くなっていますが、定期的にレザーローションでお手入れして頂くと
それだけ寿命が伸びますので必ず行なってください。
革が痛んでから熱心にお手入れする方が多いいですが、痛んでからでは
歯磨きと同じで革が元に戻ることはありません。
50代、60代のアンケートで若いうちからもっとしっかり
行なっておけば良かったことは?みたいなアンケートで
歯磨き、口腔ケアが一番だったという報道を聞いたことがありますが、
革のメンテナンスもそれに追加していただければと思います。
10年前からのメンテナンスが10年後には活きてきますので。
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じゃあ痛んでいたらお手入れしても意味がない?
かといえばそんなこともありませんが、挽回は難しいです。
しかしそれでも現状維持はできます。
なので痛んでも痛んでいなくても、使い始めから定期的に保湿を行なって
頂くことが重要です。(ミンクオイルはオススメしません)
続いてハンドル。
付け根部分が乾燥により裂けてきてしまっているので新しく作り直しです。
丸いハンドルの芯材には硬めだと樹脂のチューブかロープが使われています。
市販品で樹脂のチューブが使われているハンドルですと経年劣化により
しばしば割れていることがあるので当店では用いておりません。
Felisiも確かロープ芯を使ったハンドルだったと思います。
樹脂とロープでは仕上がった時の硬さが若干違うのと
今回、オリジナルは太さが少し太めなので、硬さと太さを
近づける為に試作を行いました。
ロープの太さは市販品で色々あるのですが、私がお気に入りの編み方と素材の
ロープだと種類が少なく、6.0径と9.0径しかしありません。
ご依頼品ですと9.0径を使用しても少し太さが物足りない感じなので
革を二重巻きにすることで太さの問題は解消。あとは硬さなんですが
硬くするには革を巻いていく際に接着剤でロープと革を全面貼り合わせながら
巻くことで硬質になることが何本目かの試作で発見。
通常は革の端の部分のみ接着剤を塗布し、ロープを巻き込みながら
最後に端を接着し、隙間が出ないようにヘラで合わさり目を追い込んで
いくのですが、今回は前面に接着剤を塗布しているので巻いている途中で
どこかに隙間が空いてしまうと、その部分がプカプカしたまま仕上がって
しまうので、ワンチャンスで密着させて隙間なく巻く、というのは
難しいところでした。
オリジナルは本体の金具を通す部分は革一枚でしたがそれでは徐々に伸びて
痛んでしまいがちですので、革を貼り合わせ二重にし、間には伸び留めに
ナイロンシートを挟み込んで縫製してあります。
ハンドルの痛むところは手に触れる部分か、この本体との連結部分なので
痛むとわかっているところは強度を高めて製作しています。
AFTER
パイピング全部とハンドルも交換すると費用はかなり高額になります。
保湿メンテナンス用のレザーローションは1.500円(当店税込店頭価格)なので、
それ1本でもし擦れや乾燥の進行度合いが変わるのであれば使わない手はないと
思います。
革のお手入れは一日にして成らず、といったところでしょうか。
とても伝統的な飾り気のない質実剛健なザ・ブリーフケースといった佇まいです。
剛健ではありますが、やはり物理的な擦れには日々晒されていきますので
パイピングやその他に痛みが生じてきてはしまいます。
今回補修する範囲は、パイピング外周の両面交換/ハンドル交換/
ポケットのパイピング両面交換となります。
水色の範囲が今回交換する部分になります。
すでにポケットの付け根部分は一度他店にて補強補修がされているのですが
ポケット側のパイピングは補修していないのでそちら側が裂けてきて
しまっています。当初はポケットの付け根付近の四カ所の補強でしたが、
パイピング全体が割れてきていましたので全体交換に切り替えました。
外周はお約束の擦り切れです。
この部分は地面に置いたりしますので靴のかかと同様に擦れる宿命なのです。
ただこのパイピング仕様の場合は擦れてはしまいますがメリットがあります。
他の内縫い、外縫い構造の鞄と違ってパイピングが施されていることで
今回のようにパイピングを交換すれば本体を加工せず、元通りに
戻すことができます。
靴の革底の摩耗を予防するのにハーフソールを取り付けますが、
同様に鞄のパイピングとは地面から鞄本体を守るバンパー的な役割
なんだろうと思います。
もしこの鞄にこのパイピングが付いていなければ、今頃は本体自体が削れてしまい
穴が空いているか、角が潰れているかになっていて元通りの補修は難しく
外観は変わっていただろうと思います。
このような鞄の場合、一般的には本体は本体でまとめて縫製されています。
で、そこへパイピングを巻き付けて縫製しているので、パイピングを取り除いても
鞄自体は分解せず自立しています。
ナイロン製の鞄の場合は全てまとめて縫製されていることもあるので
交換不可の場合もあります。
ポケット付け根の外周側のパイピングはしばしば裂けてしまいがちです。
ポケットに荷物を入れれば重さで付け根は自ずと引っ張られます。
その荷重をパイピングの縫製一箇所だけで受け止めているので、
どうしてもその部分に負荷がかかり過ぎてしまいます。
ですので今回は縫い目に掛かる負荷を分散させるために外観からは
見えないようにステッチを脇の部分に追加して縫製してあります。
この手の伝統的なブリーフケースはほとんど同じ縫製の仕方で
どれも作られているので、いつも壊れる部分は同じ場所です。
少しだけ縫製箇所を増やすとか、隅をカシメで固定するとかで
強度は変わってくると思うのですが。
以前修理した鞄で、底部分の四隅のパイピングが始めから二重に
巻かれているメーカーのものがありました。
これはこれで工夫なんだと思います。
擦れる部分だから始めから補強しておく、という。
これは私も考えたことがありますが、あとは見栄えの好みかと思います。
パイピングはメーカーであればミシンに専用のアタッチメントを付けて
縫製していけば縫い進めると同時に縁取りされていくのですが、
修理の際はコツコツと二つ折りして巻き付けていき、ひと目ひと目を
八方ミシンの車輪を廻しながら縫っていきます。
なので片手で鞄を支えて膝も使いつつ回転させながら、
片手は車輪を廻してと雑技団的縫製になりがちです。
パイピング完成
革は通常の革より乾燥しにくいオイルレザーを使用していますので
擦れにも強くなっていますが、定期的にレザーローションでお手入れして頂くと
それだけ寿命が伸びますので必ず行なってください。
革が痛んでから熱心にお手入れする方が多いいですが、痛んでからでは
歯磨きと同じで革が元に戻ることはありません。
50代、60代のアンケートで若いうちからもっとしっかり
行なっておけば良かったことは?みたいなアンケートで
歯磨き、口腔ケアが一番だったという報道を聞いたことがありますが、
革のメンテナンスもそれに追加していただければと思います。
10年前からのメンテナンスが10年後には活きてきますので。
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じゃあ痛んでいたらお手入れしても意味がない?
かといえばそんなこともありませんが、挽回は難しいです。
しかしそれでも現状維持はできます。
なので痛んでも痛んでいなくても、使い始めから定期的に保湿を行なって
頂くことが重要です。(ミンクオイルはオススメしません)
続いてハンドル。
付け根部分が乾燥により裂けてきてしまっているので新しく作り直しです。
丸いハンドルの芯材には硬めだと樹脂のチューブかロープが使われています。
市販品で樹脂のチューブが使われているハンドルですと経年劣化により
しばしば割れていることがあるので当店では用いておりません。
Felisiも確かロープ芯を使ったハンドルだったと思います。
樹脂とロープでは仕上がった時の硬さが若干違うのと
今回、オリジナルは太さが少し太めなので、硬さと太さを
近づける為に試作を行いました。
ロープの太さは市販品で色々あるのですが、私がお気に入りの編み方と素材の
ロープだと種類が少なく、6.0径と9.0径しかしありません。
ご依頼品ですと9.0径を使用しても少し太さが物足りない感じなので
革を二重巻きにすることで太さの問題は解消。あとは硬さなんですが
硬くするには革を巻いていく際に接着剤でロープと革を全面貼り合わせながら
巻くことで硬質になることが何本目かの試作で発見。
通常は革の端の部分のみ接着剤を塗布し、ロープを巻き込みながら
最後に端を接着し、隙間が出ないようにヘラで合わさり目を追い込んで
いくのですが、今回は前面に接着剤を塗布しているので巻いている途中で
どこかに隙間が空いてしまうと、その部分がプカプカしたまま仕上がって
しまうので、ワンチャンスで密着させて隙間なく巻く、というのは
難しいところでした。
オリジナルは本体の金具を通す部分は革一枚でしたがそれでは徐々に伸びて
痛んでしまいがちですので、革を貼り合わせ二重にし、間には伸び留めに
ナイロンシートを挟み込んで縫製してあります。
ハンドルの痛むところは手に触れる部分か、この本体との連結部分なので
痛むとわかっているところは強度を高めて製作しています。
AFTER
パイピング全部とハンドルも交換すると費用はかなり高額になります。
保湿メンテナンス用のレザーローションは1.500円(当店税込店頭価格)なので、
それ1本でもし擦れや乾燥の進行度合いが変わるのであれば使わない手はないと
思います。
革のお手入れは一日にして成らず、といったところでしょうか。
2020年10月29日
ストラップを10cm長くしたい人と、15cm短くしたい人。GUCCI篇
海外製品ですとショルダーストラップの長さが中途半端な長さだったり
(トートバックのハンドルの長さも同様に)異常に長かったりとムラがあります。
設定が外国人の体格で設定されている場合にそんなことがしばしば起こります。
短くするならば案外簡単だったりします。
まずは15cm短くされたい方のGUCCI篇。
長さが調節できる美錠仕様のストラップの場合は美錠がついている
短いベルト側の調節で見栄えを変えずに調節できます。
こちら側。
金具に通された折り返し部分の縫製を分解します。
そして折り返す分を加味してカット。
断面を同じブラウンに染めて同様に縫製すればストラップの長さ詰めは完了です。
AFTER
ちなみにですが数万円するブランドものでもストラップは途中で継いで
作られている場合もしばしばあります。
こんな感じ。
長い方のベルトで100cmはないのですが継いで作っています。
継いでいても継ぐ位置を間違えなければ強度的には問題はありません。
続いて10cm長くしたい方の場合。
この場合は基本的に作り直しになります。
今回の革の色はココアミルクのような色なので、微妙な色ですが
そんな色でもあったりします。
数年前の一時期にやたらと革を買い漁った時期がありまして、その時に
その色使う?というような色も買っていたのが時を経て活用できています。
今は革棚が一杯なので整理するまで買い控えていますが。
今回10cm長くし、調節できる範囲が110から120cmで使用できるように
設定するのですが、その際、最短の110cmで使用した時にエンド部分の
余ったベルトがぶらぶらしないようにとのこと。
最短の110cmで使用した時には穴4個分の10cmプラスαの長さは必ず余ります。
ですのでそのままでは現状のように固定するものがない為
ぶらぶらしてしまいますので追い輪っかが必要ですね。
基本的に当店ではストラップは継いで製作することはありません。
先ほどのGUCCIでは継いでいましたが、継ぐのは継ぐで手間がかかるので
100cmぐらいであれば革が足りれば無駄が出ますがそのまま通しで裁断します。
革は天然なので牛が生きていた頃の小傷や血管の跡、虫食いの跡などや
皮から革への製造工程でできた傷などなど小傷がそれなりにあります。
その傷を避けつつ100cm直線で裁断するとなると・・・。
量産品ですとそんなことをやっていてはコストが掛かり売値が高くなります。
かといってストラップが継いでいないことに気づく人はいないでしょうから
そこにコストをかけるのは無駄なんだと思います。
補修で製作する場合は1本だけ作ればいいのでそんな贅沢もできてしまいます。
AFTER
追い輪っかとは美錠部分以外にもう一つ輪っかを追加して二点留めすれば
余ったベルトがぶらぶらせずにすみます。
この輪っかは勝手にずれていかないようにきつめの設定にしてあります。
ストラップの穴は一般的に25mm間隔で5穴あります。
ですので長さ調節できる範囲は10cmとなります(変更は可能です)
10cm長さが違うと最短最長で鞄の位置はどうなるかですが、
鞄の位置が5.0cm下がります。
腰の位置にあった鞄がお尻の位置にまで下がる感じでしょうか。
短めで90cm、通常で100から110cm、長めで120cmぐらいの感じでしょうか。
といっても鞄の大きさによってポジションは全く違ってくるので
なんともいえませんが、ご依頼の際は他にお持ちのストラップの鞄を
ご参考にご希望の長さをお伝えいただければと思います。
以上、ストラップの長さ調整編でした。
(トートバックのハンドルの長さも同様に)異常に長かったりとムラがあります。
設定が外国人の体格で設定されている場合にそんなことがしばしば起こります。
短くするならば案外簡単だったりします。
まずは15cm短くされたい方のGUCCI篇。
長さが調節できる美錠仕様のストラップの場合は美錠がついている
短いベルト側の調節で見栄えを変えずに調節できます。
こちら側。
金具に通された折り返し部分の縫製を分解します。
そして折り返す分を加味してカット。
断面を同じブラウンに染めて同様に縫製すればストラップの長さ詰めは完了です。
AFTER
ちなみにですが数万円するブランドものでもストラップは途中で継いで
作られている場合もしばしばあります。
こんな感じ。
長い方のベルトで100cmはないのですが継いで作っています。
継いでいても継ぐ位置を間違えなければ強度的には問題はありません。
続いて10cm長くしたい方の場合。
この場合は基本的に作り直しになります。
今回の革の色はココアミルクのような色なので、微妙な色ですが
そんな色でもあったりします。
数年前の一時期にやたらと革を買い漁った時期がありまして、その時に
その色使う?というような色も買っていたのが時を経て活用できています。
今は革棚が一杯なので整理するまで買い控えていますが。
今回10cm長くし、調節できる範囲が110から120cmで使用できるように
設定するのですが、その際、最短の110cmで使用した時にエンド部分の
余ったベルトがぶらぶらしないようにとのこと。
最短の110cmで使用した時には穴4個分の10cmプラスαの長さは必ず余ります。
ですのでそのままでは現状のように固定するものがない為
ぶらぶらしてしまいますので追い輪っかが必要ですね。
基本的に当店ではストラップは継いで製作することはありません。
先ほどのGUCCIでは継いでいましたが、継ぐのは継ぐで手間がかかるので
100cmぐらいであれば革が足りれば無駄が出ますがそのまま通しで裁断します。
革は天然なので牛が生きていた頃の小傷や血管の跡、虫食いの跡などや
皮から革への製造工程でできた傷などなど小傷がそれなりにあります。
その傷を避けつつ100cm直線で裁断するとなると・・・。
量産品ですとそんなことをやっていてはコストが掛かり売値が高くなります。
かといってストラップが継いでいないことに気づく人はいないでしょうから
そこにコストをかけるのは無駄なんだと思います。
補修で製作する場合は1本だけ作ればいいのでそんな贅沢もできてしまいます。
AFTER
追い輪っかとは美錠部分以外にもう一つ輪っかを追加して二点留めすれば
余ったベルトがぶらぶらせずにすみます。
この輪っかは勝手にずれていかないようにきつめの設定にしてあります。
ストラップの穴は一般的に25mm間隔で5穴あります。
ですので長さ調節できる範囲は10cmとなります(変更は可能です)
10cm長さが違うと最短最長で鞄の位置はどうなるかですが、
鞄の位置が5.0cm下がります。
腰の位置にあった鞄がお尻の位置にまで下がる感じでしょうか。
短めで90cm、通常で100から110cm、長めで120cmぐらいの感じでしょうか。
といっても鞄の大きさによってポジションは全く違ってくるので
なんともいえませんが、ご依頼の際は他にお持ちのストラップの鞄を
ご参考にご希望の長さをお伝えいただければと思います。
以上、ストラップの長さ調整編でした。
2020年10月28日
TUMIの声。
夜寝る時はラジオを聴きながら入眠しているのですが、
時々は何を聴いて寝ようか決まらず、radicoのタイムフリーで
だらだらと検索していると眼が疲れて眠れる時もあります。
昨晩はradicoから「お勧めがあります」と。
知らないところで何かの追尾型の個人情報と連携しているんだろうな、
と思うくらいタイムリーなお知らせ。
テレビCMを一度見て面白そう、と「罪の声」の文庫をメルカリでポチ。
メルカリ便利ですね。
展開が少しモタモタしていますが今の所、面白く読んでいます。
そこへradicoから星野源のオールナイトニッポンに小栗旬登場のお報せが。
メルカリとradicoの情報は連携しているのだろうか・・。
なぜか生田斗真さんも同席。
生田さんの小栗旬いじりが面白いな、と思いつつ、
いつの間にか夢ウツツ・・・。
会話の内容で覚えているのが、白いピチピチのズボンと
もちろんこのタイミングなので映画「罪の声」の話。
その時にどうしても私にはそう聞こえてしまう
星野 「トゥミの声」の撮影の時に〜
小栗 「トゥミの声」で〜
と、なんども私には聞こえてしまいつつ、
いつの間にか寝てしまうのでした。
ときどき確かに修理品からTUMIの声が聞こえないこともないのですが・・・。
今宵は何を聴いて寝ようか・・。
時々は何を聴いて寝ようか決まらず、radicoのタイムフリーで
だらだらと検索していると眼が疲れて眠れる時もあります。
昨晩はradicoから「お勧めがあります」と。
知らないところで何かの追尾型の個人情報と連携しているんだろうな、
と思うくらいタイムリーなお知らせ。
テレビCMを一度見て面白そう、と「罪の声」の文庫をメルカリでポチ。
メルカリ便利ですね。
展開が少しモタモタしていますが今の所、面白く読んでいます。
そこへradicoから星野源のオールナイトニッポンに小栗旬登場のお報せが。
メルカリとradicoの情報は連携しているのだろうか・・。
なぜか生田斗真さんも同席。
生田さんの小栗旬いじりが面白いな、と思いつつ、
いつの間にか夢ウツツ・・・。
会話の内容で覚えているのが、白いピチピチのズボンと
もちろんこのタイミングなので映画「罪の声」の話。
その時にどうしても私にはそう聞こえてしまう
星野 「トゥミの声」の撮影の時に〜
小栗 「トゥミの声」で〜
と、なんども私には聞こえてしまいつつ、
いつの間にか寝てしまうのでした。
ときどき確かに修理品からTUMIの声が聞こえないこともないのですが・・・。
今宵は何を聴いて寝ようか・・。
2020年10月12日
ローファーのかかとは傷みやすいのかもしれない。予防と対策篇
今回のご依頼品は頂き物だというGUCCIのビットローファー。
前の持ち主さんによってかかと内側が擦り切れ放題にされており
ローファーによくある仕様の履き口にイタリアンテープ(巻革)と
言われる仕様になっていますがその部分も同様に擦り切れています。
この場合、内側の擦り切れ補修の他に履き口のイタリアンテープ(黒い巻革)も
補修しなければならないので、それなりに補修費用がかかってしまいます。
補修方法としてがっつり直すのであればイタリアンテープを全て外して
新しく巻き直す必要がありますが、その場合はこの部分の縫製も全て解いて
甲部分の革パーツも取り外す必要があります。
黄色矢印部分の縫い目も分解。
そうなると必然的に費用が嵩んでしまいます。
なのであまり見栄えが変わらず費用も抑えられる補修方法をご提案。
イタリアンテープは分解せず、かかとの痛んでいる部分のみ
新たに革を巻いて補修します。
画像はすでに革を巻いてテープを縫製した状態です。
反対側から踵を回ってぐるっと青矢印部分まで革を継いでいますが
あまりわからないと思います。
履き口のイタリアンテープを補修しそれと同じ範囲の内側に
革を宛てがい補修していきます。
一般的な方法では内側に革を宛ててそのまま縫製するのですが、
擦り切れさせてしまうような履き方の場合、縫い目の糸も擦り切れさせて
しまいますので一手間かけて縫い目を内側に隠す方法で補修を行なっています
(靴の状態や仕様にもよりますが)
画像の青矢印部分に縫い目がありますが、これは本体にもともとある縫い目に
一針ずつ針を落として縫製しているので新たな縫い目が外観にはできていません。
縫い目から下部分は革を薄く漉いています。
これはあとで縫い付けた革を内側に折り返した時に重なるので
その時に段差が出ないように加工しています。
縫い付けた革を内側に倒して接着。
これで先ほどの縫い目が革の内側に隠れるようになるので、
踵で擦れて縫い目を擦り切ってしまうことが予防できます。
縫い糸が擦り切れて革がずれグチャグチャになっている方もいますので。
ローファーの場合は紐靴と違い甲の部分で足の動きをしっかりと固定できない為、
歩行の際に踵がパカパカと浮き易い構造の靴かと思います。
その結果、今回のように踵周辺の革が擦れてしまいやすいと思います。
ですので革の表面が白く擦れてきたようであれば、
サフィールレザーローションで定期的に保湿することをお勧めします。
(こちらは店頭でも1.500円で販売しています)
また、毎回ひどく擦れてしまうようであれば市販の革パッドを
はじめに貼り付けてしまうの一考かと思います。
靴底をハーフソールで事前に保護するように踵内側も擦れるのが
分かっているならば、サフィール・ヒールグリップで保護するのもありでしょう。
[サフィール] スムースレザーにしっとり潤いを与える ユニバーサルレザーローション 保湿 ツヤ 汚れ落とし 靴磨き バッグ 無色 レザークリーム メンズ free 150ml
[サフィール] ヒールグリップ 9552220049 メンズ マルチカラー M
2020年10月05日
HPお問い合わせフォームの不具合について
2020年10月4日現在、HPのお問い合わせフォームが不具合になっておりました。
最近お問い合わせが少ないな、と思っていましたら送信できない状態に
なっていたようです。
インスタグラム経由でお問い合わせいただいたお客様の
ご指摘で気付いた次第であります。
数年に一度このようなことがありますが如何せん不具合の多い
HP 作成ソフトを使用しているので、お問い合わせフォームも
すでにサポート終了になっているのをだましだまし使っていた次第であります。
新しいソフトを購入したのでそれのお問い合わせフォームに
作り変えればよかったのですが、色々とシステムを変えるとエラーが起こる場合が
あるので延ばし延ばしにしていたツケが回ってきたようです。
で、新しいソフトでHPを修正しようと思ったのですが・・・・
こちらはこちらで違う箇所のエラーになってしまいサポートからの
改善方法の連絡待ち状態です。
一度連絡をもらったのですがとりあえずソフトを入れ直してくれだそうです。
これってサポートなんでしょうか?と言いたいところをグッとこらえて
アンインストールと再インストールを繰り返したが・・・。
ですのでお問い合わせフォームの改善まで時間がかかりそうですので
取り急ぎの対処法となりますが、お問い合わせフォームに
アドレスを記載しましたので、そちらから必要事項を添えて頂き
メールをいただければと思います。
この方法ですと履歴管理が難しくなってしまい見落としが出てしまうことも
ありますので、くれぐれも掲載の必要事項に則って頂きメールをお願い致します。
お手数お掛け致しますがよろしくお願いいたします。
店主
最近お問い合わせが少ないな、と思っていましたら送信できない状態に
なっていたようです。
インスタグラム経由でお問い合わせいただいたお客様の
ご指摘で気付いた次第であります。
数年に一度このようなことがありますが如何せん不具合の多い
HP 作成ソフトを使用しているので、お問い合わせフォームも
すでにサポート終了になっているのをだましだまし使っていた次第であります。
新しいソフトを購入したのでそれのお問い合わせフォームに
作り変えればよかったのですが、色々とシステムを変えるとエラーが起こる場合が
あるので延ばし延ばしにしていたツケが回ってきたようです。
で、新しいソフトでHPを修正しようと思ったのですが・・・・
こちらはこちらで違う箇所のエラーになってしまいサポートからの
改善方法の連絡待ち状態です。
一度連絡をもらったのですがとりあえずソフトを入れ直してくれだそうです。
これってサポートなんでしょうか?と言いたいところをグッとこらえて
アンインストールと再インストールを繰り返したが・・・。
ですのでお問い合わせフォームの改善まで時間がかかりそうですので
取り急ぎの対処法となりますが、お問い合わせフォームに
アドレスを記載しましたので、そちらから必要事項を添えて頂き
メールをいただければと思います。
この方法ですと履歴管理が難しくなってしまい見落としが出てしまうことも
ありますので、くれぐれも掲載の必要事項に則って頂きメールをお願い致します。
お手数お掛け致しますがよろしくお願いいたします。
店主
2020年09月10日
TUMIのリュックは壊れやすいのか? らしく篇
気づけば2ヶ月ぶりの補修記事になりますが、サボっていた訳でも
ネタがない訳でもなく、コロナの影響か郵送でのご依頼が増加し
その場合、メールでのお見積もりやご相談になるので、その回答に
時間を取られてしまいなかなかブログ更新できないというのが
今の現状であります。
ただ店頭もなかなかお店も開けず、ブログも更新していないと
コロナ禍ということもあり閉店したんじゃないかと思われてしまうので
生存証明としてブログは更新していかないとと、この度
筆をとった次第であります。
で、書きやすいTUMIの話からで筆慣らしをしていこうかと。
TUMIのリュックはナイロン生地部分が裂けるというお問い合わせが多いですね。
定番のブリーフ鞄の場合はナイロン生地が裂けるという補修は
今までにあったかどうかという感じです。
ブリーフの場合は持ち手の革が痛んだりショルダーストラップの引っ掛ける
金具を固定している革が裂けたり、底部分の角が擦れたりと経年劣化によるもので
致し方ない痛み方なのですが、リュックに関してはそもそもの設定や仕様や縫製が
それで本当にいいのでしょうか?という場合が多いいです。
今回はストラップ付け根のナイロン生地の裂けになります。
一般的なリュックでもこのストラップの付け根というのは
一番痛いやすい部分になります。(次にファスナーです)
痛みやすい原因としては片側のストラップだけで背負ったり、
荷物を取り出すときに片側で背負ったり手に持ったりすることが
しばしばあると思います。
そうすると付け根の縫製部分に鞄の荷物の負荷が全てかかってしまうので
縫製部分やナイロン生地が裂けてしまうという訳です。
今回のナイロン生地のほつれ具合を見てみるとストラップ側のナイロン生地は
ほつれておらず、付け根本体側の生地がほつれてきています。
恐らくストラップで本体の生地が引っ張られ、しかし縫い目の方が
強いのでナイロンが引き裂かれてしまったのだろうと思います。
縫い目の方が強いというのは洋服などを縫製する糸は綿の糸ですが
一般的な革製品やナイロン製品などを縫製する糸はポリエステル素材の
糸でできています。
なので細い糸でも両手で引っ張っても切れないくらい強いので
糸がほつれる前に縫製されている素材の方が縫い目で引き裂かれてしまう
ということがしばしばあります。
ナイロン生地が裂けてしまうと、ほつれは取り留めもなく
するすると広がってしまいます。
革のように裂け部分を貼り合わせて縫製してなどということはできません。
ではどのように治すかですが・・・。
部位によっては強度不足の不安だったり縫製が不可だったりで
治せない場合もあるのですが今回は大丈夫です。
まずストラップの付け根部分で負荷がかかる部位を手縫いにて確実に
本体のベース部分に縫い付けます。
次にボサボサとほつれているナイロン生地を処理していきます。
デニムの膝が擦り切れたりした場合に、当て布をしてステッチを細かく
掛けているのを見たことがあると思いますが、そんな感じでボサボサ部分を
抑えるようにミシンでジグザグと縫製しつつ、またこれで縫製部分が
硬くなるので強度も増します。
ジグザグといっても家庭用のコンピューターミシンのように自動で縫ってくれる
わけでもないので一目一目抑えの方向を変えつつ縫っていきます。
話が前後しますがこのリュック背中部分に小さなポケットがあります。
両側のストラップの半分から半分までの範囲が本体から浮きます。
今回補修の際にこの部分のポケットが縫い付けられてしまうので
使えなくなりますが?とお尋ねしたところ、
使っていないので大丈夫ですということになっています。
で、ジグザグに縫製する際に本体共々縫製するには1.0cmぐらいの厚みが
あるのでジグザグに縫うには恐らく糸調子が狂ってしまうだろうし、
内装側の見た目も綺麗じゃないのでこのポケット部分を浮かせて縫製しています。
お店によってはナイロンのほつれ補修でこのジグザグの縫製で
修理完了したことになるようですが、ちょっとそれでは見栄えも強度も心配です。
ではどうするかですが、ちょうど背中の部分でナイロンパーツが
分かれているのでこの部分に革を当ててらしくしていきます。
この「らしく」というのが当店のこだわりかもしれません。
今回のように元のオリジナル通りには修理できないのであれば
それらしく仕上がるように努めます。
知らない人が見ればもともとそうなんでしょ?という感じになるように。
このパーツは先ほどの背中のポケットを浮かせて縫製できないので
本体共々貫通して縫製していきますが、厚みが1.0cmありスポンジも背中面に
入っているのでなかなか縫製するのも一苦労です。
AFTER
黒い革部分が補強兼、ジグザグ縫いの目隠しパーツになります。
ほつれてボサボサになっていた部分のジグザグ縫いも隠れて
どうでしょうか、「らしく」ないでしょうか?
内装側には貫通した縫い目が出てきます。
リュックの背中面やストラップの内側に使われてるメッシュ生地、
これもどう見ても耐久性があるように見えませんが、やはり擦り切れて
補修依頼が時々ありますが、まず補修が無理な場合がほとんどです。
見栄えや内装側への縫い目などを気にしなければ
どうにかなるかもしれませんが。
リュックを背負うときにはあまりストラップを片側で扱うようなことが
ないようにお気をつけください。
ネタがない訳でもなく、コロナの影響か郵送でのご依頼が増加し
その場合、メールでのお見積もりやご相談になるので、その回答に
時間を取られてしまいなかなかブログ更新できないというのが
今の現状であります。
ただ店頭もなかなかお店も開けず、ブログも更新していないと
コロナ禍ということもあり閉店したんじゃないかと思われてしまうので
生存証明としてブログは更新していかないとと、この度
筆をとった次第であります。
で、書きやすいTUMIの話からで筆慣らしをしていこうかと。
TUMIのリュックはナイロン生地部分が裂けるというお問い合わせが多いですね。
定番のブリーフ鞄の場合はナイロン生地が裂けるという補修は
今までにあったかどうかという感じです。
ブリーフの場合は持ち手の革が痛んだりショルダーストラップの引っ掛ける
金具を固定している革が裂けたり、底部分の角が擦れたりと経年劣化によるもので
致し方ない痛み方なのですが、リュックに関してはそもそもの設定や仕様や縫製が
それで本当にいいのでしょうか?という場合が多いいです。
今回はストラップ付け根のナイロン生地の裂けになります。
一般的なリュックでもこのストラップの付け根というのは
一番痛いやすい部分になります。(次にファスナーです)
痛みやすい原因としては片側のストラップだけで背負ったり、
荷物を取り出すときに片側で背負ったり手に持ったりすることが
しばしばあると思います。
そうすると付け根の縫製部分に鞄の荷物の負荷が全てかかってしまうので
縫製部分やナイロン生地が裂けてしまうという訳です。
今回のナイロン生地のほつれ具合を見てみるとストラップ側のナイロン生地は
ほつれておらず、付け根本体側の生地がほつれてきています。
恐らくストラップで本体の生地が引っ張られ、しかし縫い目の方が
強いのでナイロンが引き裂かれてしまったのだろうと思います。
縫い目の方が強いというのは洋服などを縫製する糸は綿の糸ですが
一般的な革製品やナイロン製品などを縫製する糸はポリエステル素材の
糸でできています。
なので細い糸でも両手で引っ張っても切れないくらい強いので
糸がほつれる前に縫製されている素材の方が縫い目で引き裂かれてしまう
ということがしばしばあります。
ナイロン生地が裂けてしまうと、ほつれは取り留めもなく
するすると広がってしまいます。
革のように裂け部分を貼り合わせて縫製してなどということはできません。
ではどのように治すかですが・・・。
部位によっては強度不足の不安だったり縫製が不可だったりで
治せない場合もあるのですが今回は大丈夫です。
まずストラップの付け根部分で負荷がかかる部位を手縫いにて確実に
本体のベース部分に縫い付けます。
次にボサボサとほつれているナイロン生地を処理していきます。
デニムの膝が擦り切れたりした場合に、当て布をしてステッチを細かく
掛けているのを見たことがあると思いますが、そんな感じでボサボサ部分を
抑えるようにミシンでジグザグと縫製しつつ、またこれで縫製部分が
硬くなるので強度も増します。
ジグザグといっても家庭用のコンピューターミシンのように自動で縫ってくれる
わけでもないので一目一目抑えの方向を変えつつ縫っていきます。
話が前後しますがこのリュック背中部分に小さなポケットがあります。
両側のストラップの半分から半分までの範囲が本体から浮きます。
今回補修の際にこの部分のポケットが縫い付けられてしまうので
使えなくなりますが?とお尋ねしたところ、
使っていないので大丈夫ですということになっています。
で、ジグザグに縫製する際に本体共々縫製するには1.0cmぐらいの厚みが
あるのでジグザグに縫うには恐らく糸調子が狂ってしまうだろうし、
内装側の見た目も綺麗じゃないのでこのポケット部分を浮かせて縫製しています。
お店によってはナイロンのほつれ補修でこのジグザグの縫製で
修理完了したことになるようですが、ちょっとそれでは見栄えも強度も心配です。
ではどうするかですが、ちょうど背中の部分でナイロンパーツが
分かれているのでこの部分に革を当ててらしくしていきます。
この「らしく」というのが当店のこだわりかもしれません。
今回のように元のオリジナル通りには修理できないのであれば
それらしく仕上がるように努めます。
知らない人が見ればもともとそうなんでしょ?という感じになるように。
このパーツは先ほどの背中のポケットを浮かせて縫製できないので
本体共々貫通して縫製していきますが、厚みが1.0cmありスポンジも背中面に
入っているのでなかなか縫製するのも一苦労です。
AFTER
黒い革部分が補強兼、ジグザグ縫いの目隠しパーツになります。
ほつれてボサボサになっていた部分のジグザグ縫いも隠れて
どうでしょうか、「らしく」ないでしょうか?
内装側には貫通した縫い目が出てきます。
リュックの背中面やストラップの内側に使われてるメッシュ生地、
これもどう見ても耐久性があるように見えませんが、やはり擦り切れて
補修依頼が時々ありますが、まず補修が無理な場合がほとんどです。
見栄えや内装側への縫い目などを気にしなければ
どうにかなるかもしれませんが。
リュックを背負うときにはあまりストラップを片側で扱うようなことが
ないようにお気をつけください。
2020年09月05日
9月の店頭営業日は現在検討中です。
9月の店頭営業日は現在検討中になっております。
決まり次第、店頭・BLOG・HPにてご案内させて頂きます。
別途、ご返却日をすでにお伝えしております場合は、
その日程でお渡しが可能ですのでご来店ください。
郵送依頼についてはお問い合わせフォームから
ご連絡いただければと思います。
お受け取りのご都合が合わない場合は、
HPのお問合せからご連絡頂けましたら
お渡し日の調整をさせて頂きます。
*営業日以外の電話応対は、申し訳ございませんが
作業の都合上行っておりません。
HPよりメール(またはFAX)にてお問い合わせ願います。
スタッフが店主の私のみですので、お手数をお掛け致しますが
何卒、ご理解を頂けますと有り難いです。
営業日が限られておりまして、ご迷惑をお掛けしておりますが
どうぞ宜しくお願い致します。
店主
決まり次第、店頭・BLOG・HPにてご案内させて頂きます。
別途、ご返却日をすでにお伝えしております場合は、
その日程でお渡しが可能ですのでご来店ください。
郵送依頼についてはお問い合わせフォームから
ご連絡いただければと思います。
お受け取りのご都合が合わない場合は、
HPのお問合せからご連絡頂けましたら
お渡し日の調整をさせて頂きます。
*営業日以外の電話応対は、申し訳ございませんが
作業の都合上行っておりません。
HPよりメール(またはFAX)にてお問い合わせ願います。
スタッフが店主の私のみですので、お手数をお掛け致しますが
何卒、ご理解を頂けますと有り難いです。
営業日が限られておりまして、ご迷惑をお掛けしておりますが
どうぞ宜しくお願い致します。
店主
2020年06月29日
牛1頭から鞄を1つ作るの巻。 コピー編
今回は合皮の鞄を革で作り治すというお題になります。
作り治す、とはですが外装が合皮で劣化している鞄のその外装を全く同じ
デザインで革で作り治す、というかコピーするといったほうが適している
かもしれません。
使い勝手が良く似たような鞄を探したが見つからないので革で作れないかと。
本体の胴部分が合皮で劣化しているのでその部分だけ革で作り直して
持ち手とか他の革のパーツと生地でできた内装は流用で構いませんと。
BEFORE
本体の部分に合皮素材が使われています。
劣化して表面の塗膜が剥離してきていますし、角部分などは擦れて
下地の生地が露出してきています。
合皮というのは使っても使わなくても必ず劣化していきます。
製造から2〜3年で劣化すると言われています。
製造というのは鞄を製造というのではなく、その素材が作られてからなので
鞄になるまで1年経過していれば消費期限は残り〜2年ということになります。
合皮の構造としてはガーゼや不織布のような生地の表面に革の色をした
サランラップが乗っていると考えていただくと分かりやすいかと思います。
劣化してくるとそのサランラップが剥がれてくるという感じです。
また水分を含むとシールが剥がれるようにサランラップがふやかされて
剥離や水ぶくれのように浮いてもきます。
底面も接地部分が擦れて剥離してきています。中央部分に底鋲がないので
荷物が入れば垂れ下がりこれでは構造的にも擦れてしまいますね。
持ち手や根革やエンドパーツはレザーが使われているので流用します。
今回製作する部分は合皮素材が使われているピンク色の部分になります。
金具を連結する根革部分は革でしたが華奢でしたので再製作します。
ファスナーエンドパーツを側面に固定するこのパーツは、
一度でぐるっと縫製できるのですが、わざわざ二回に分けて縫製しています。
鍵穴が空いている手前の部分と奥の部分では翻るところで縫い繋げています。
ミシンの縫い目というのは裏表がありまして、表の縫い目が綺麗なのですが
このパーツを一度でぐるっと縫製してしまうと、奥の部分に見える縫い目は
裏面が見えるようになります。ですので縫い目が隠れる翻る部分で一度縫い留め、
そこからひっくり返して縫製しています。
私もこういうのが気になるタチなので設計者の気持ちが分かります。
ただ消費者の方にはほとんど気づかれない部分になるのですが。
このような見え方になってしまう場合も気にせず縫製してしまうメーカーも
かなりありますし、というかこういったところを気にするのになぜ胴体部分に
合皮を使いますかね?という気もしますが・・・。
ファスナー両側のダブルステッチのパイピング部分も革が使用されていますが
作業の段取り的に交換したほうが綺麗に仕上がるのでこの部分も再製作です。
今回使用する革がこちら。
キップでスムースとシュリンク両方の表情があるタンニン鞣しの黒革になります。
キップとは生後1年以内の子牛の革、なのであまり大きくありません。
ステアなど生後2年を経過した成牛の革だと畳2畳ぐらいの大きさなので
通常は半裁といって背中で半分にされていますが、キップの場合は
丸革(一頭)になります。
背中にコブがあるので広げるとその部分が丸く穴が空きます。
載っている定規は1メートル定規なので大きさがなんとなく伝わるかと思います。
全面が使用できるわけではなくて赤線の枠内が概ね使用できる範囲です。
周囲の部分は脇腹や足の方なので繊維が荒く表面も荒れているので
使用する場面が限られます。
奥側の矢印部分のピヨっと出ている部分が足の部分というのが分かります。
奥が首側で手前がお尻側です。
で赤い枠内でも無傷というわけではありません。
人間も生きていれば転んだり引っ掻いたり蚊に吸われて掻いた跡が
皮膚表面に残っていると思いますが、牛も虫刺されや柵に当たったり
隣の牛にぶつけられたりした傷がありますが、これは生きていた証である
「ナチュラルマーク」とも呼ばれたりもする様です。
生きていた証しではあるのですが、鞄にマークだらけでは困るのでその部分を
マーキングしておいて裁断するときに拾わないようにします。
そういう部分が点々とあるので鞄などの大きいパーツを
型入れするときは難しいです。
今回の鞄は、底面まで繋がっていますがパーツはセンターで縫い割られているので
胴体部分は同じサイズで4パーツ採る必要があります。
載っている型紙が1パーツサイズ。これを4個採ります。
面積に余裕があるので簡単に取れそうですが、実はギリギリなのです。
4パーツカットした跡がこちら。
とても無駄な採り方をしているように見えますがこれ以外には
配置できないという状態なのです。
というのは、先ほどの「ナチュラルマーク」が所々にあるのでその部分を避けつつ
配置するとこのような状況になってしまいます。
右下部分の斜めの配置なんか絶妙なんです。
角度をずらすと傷跡があるのでそれを回避しつつという感じです。
残った中央部分などはファスナー両側のパイピングに使用したり、
内装に大きめのポケットを追加ということなのでそれに利用したりします。
靴を作るときは一つ一つのパーツが小さいのでこのような型入れ作業に
時間はあまり費やしませんが、今回は時間がかかりましたね、失敗すると
もう一頭牛を連れて来なければなりませんから。
話は前後しますが分解し内装を外したところ。
分解するとこの鞄はどの程度しっかり作られているのか分かります。
見えない部分ですので手を抜いても消費者には分かりませんので。
この鞄は先ほどのパーツの縫製具合を見ればしっかり作っているだろうと
思いましたが、やはりちゃんと負荷がかかりそうな部分は補強していますし
荷物が入った時には鞄全体で重さを分散できるような工夫もされています。
ここでもやはりなぜ合皮?という感じなのですが。
長く使えるように作られているのに長く使えない合皮素材を使うって・・・。
内装には忘れないうちにご希望の大きめのポケットを取り付けておきます。
生地がグレーっぽい黒色のなのでポケットだけ違う色の生地もおかしいので
余っている革でポケットを誂えます。
本体を組み立てていきます。
胴体側の付け根のパーツは流用になります。
ファスナー取り付け部分のダブルステッチは、一列は縁取りの縫製になります。
二列目でファスナーと内装を縫製することになります。
外装にある外ポケットは内装を取り付ける前に構築しておかないと
縫製できなくなりますので忘れずに。
ここの縫い目は他の縫い目と違って黒色です、危うくベージュでいきそうに。
持ち手も平たい状態で取り付けます。
いつもの修理ではすでに鞄になっている状態で取り付けているので
やり易いですね。金具を連結する革が鞄の大きさに比べると貧弱でしたので
革の厚みを増して芯材を巻き込んだもので取り付けてみたらミシンでうまく
縫製できない事になってしまったので手縫いで四箇所
縫い留める事になりました。
広げると90cmぐらいの幅になるので重いし縫製するのも大変です。
この鞄だと恐らく平ミシンで全て縫製できると思いますが所有している
工業用のミシンは全て腕ミシンなので、縫製するものが大きくなると
支える台がないので鞄を左手で持ち上げながら縫製するので大変です。
膝も使いつつ縫い進めるという感じです。
工業用の平ミシンを導入しようとこれまでに何度か思いましたが、
すでにミシンが二階の作業場に大小7台設置しているので手狭で
置き場所がありません。
まぁ無い物ねだりでもあるので、無いなら無いで工夫すればいいだけです。
中表にして左右と底のマチを縫い割ります。
これで胴体が袋状になります。
これを丸まった靴下をひっくり返すように内側を表になるように
くるりんぱっします。
ファスナーは痛んではいなかったのですがあとあと壊れて交換となると
二度手間なので新しいファスナーに交換しておきます。
スライダーを入れてみて問題なく開閉できることを確認し
二列目のステッチを行います。
ファスナーエンド部分のパーツに本体を畳んで挟み込むので
革が二枚に生地も二枚、計4枚が重なるので厚みがかなりあります。
ミシンで縫製すると表面の縫い穴は元の穴を拾って針を落とせるのですが
厚みがあると針が貫通して出てくる裏面の縫い穴は元の穴から
ずれてしまいがちです。
今回も位置を確認したところかなりずれてしまうので、
手縫いにて表と裏の穴を探りながら縫製する事になりました。
でようやく完成となります。
AFTER
完成!といってもデザインは全く同じなので映えはしないのですが。
底鋲は新しい鋲に交換し中央にも追加。四隅の鋲も1.5cm
外側に鋲をずらしました。
底鋲が内側気味に付いている鞄が多いのですが、それですと角が
垂れ下がりがちですので、角に位置どりさせた方が良いのではないかと考えます。
底板も、もともと一枚入っていましたが小さかったので、底面ぴったりの底板を
作成し入れてあります。そうする事で四隅の革の垂れ下がりを軽減し、
中央部分も追加した底鋲で支えて垂れ下がらないので、底面の革が地面と擦れず
痛みにくいようにしてあります。
革で製作すると一つの鞄を作るのに牛一頭を使うとなると
その鞄の値段はそれなりに高くなってしまいます。
合皮であればロールの壁紙のように端から端まで均一の素材ですので
無駄なくパーツを裁断することができますが革ではそうはいきません。
今回一頭から胴体のパーツは4パーツしか採れませんでしたが、
例えばその牛がナチュラルマークも一切無く、端まで均一の質であれば
面積的には6〜7パーツは採れたと思います。
革製品というのは実際に製品で使われないそういった面積の製造コストも
価格に含まれてしまうので必然的に販売価格は高くなってしまいます。
今回の製作では残った革は他の小物の修理でも無駄なく使いますので、
それを加味しての製作費用にはなっておりますが、
それでもそれなりにはしてしまいます。
それでは皆さん、合皮製品(または一部使われている製品)を購入する際には
くれぐれも消費期限は3年、ということをお忘れなきよう・・・。
作り治す、とはですが外装が合皮で劣化している鞄のその外装を全く同じ
デザインで革で作り治す、というかコピーするといったほうが適している
かもしれません。
使い勝手が良く似たような鞄を探したが見つからないので革で作れないかと。
本体の胴部分が合皮で劣化しているのでその部分だけ革で作り直して
持ち手とか他の革のパーツと生地でできた内装は流用で構いませんと。
BEFORE
本体の部分に合皮素材が使われています。
劣化して表面の塗膜が剥離してきていますし、角部分などは擦れて
下地の生地が露出してきています。
合皮というのは使っても使わなくても必ず劣化していきます。
製造から2〜3年で劣化すると言われています。
製造というのは鞄を製造というのではなく、その素材が作られてからなので
鞄になるまで1年経過していれば消費期限は残り〜2年ということになります。
合皮の構造としてはガーゼや不織布のような生地の表面に革の色をした
サランラップが乗っていると考えていただくと分かりやすいかと思います。
劣化してくるとそのサランラップが剥がれてくるという感じです。
また水分を含むとシールが剥がれるようにサランラップがふやかされて
剥離や水ぶくれのように浮いてもきます。
底面も接地部分が擦れて剥離してきています。中央部分に底鋲がないので
荷物が入れば垂れ下がりこれでは構造的にも擦れてしまいますね。
持ち手や根革やエンドパーツはレザーが使われているので流用します。
今回製作する部分は合皮素材が使われているピンク色の部分になります。
金具を連結する根革部分は革でしたが華奢でしたので再製作します。
ファスナーエンドパーツを側面に固定するこのパーツは、
一度でぐるっと縫製できるのですが、わざわざ二回に分けて縫製しています。
鍵穴が空いている手前の部分と奥の部分では翻るところで縫い繋げています。
ミシンの縫い目というのは裏表がありまして、表の縫い目が綺麗なのですが
このパーツを一度でぐるっと縫製してしまうと、奥の部分に見える縫い目は
裏面が見えるようになります。ですので縫い目が隠れる翻る部分で一度縫い留め、
そこからひっくり返して縫製しています。
私もこういうのが気になるタチなので設計者の気持ちが分かります。
ただ消費者の方にはほとんど気づかれない部分になるのですが。
このような見え方になってしまう場合も気にせず縫製してしまうメーカーも
かなりありますし、というかこういったところを気にするのになぜ胴体部分に
合皮を使いますかね?という気もしますが・・・。
ファスナー両側のダブルステッチのパイピング部分も革が使用されていますが
作業の段取り的に交換したほうが綺麗に仕上がるのでこの部分も再製作です。
今回使用する革がこちら。
キップでスムースとシュリンク両方の表情があるタンニン鞣しの黒革になります。
キップとは生後1年以内の子牛の革、なのであまり大きくありません。
ステアなど生後2年を経過した成牛の革だと畳2畳ぐらいの大きさなので
通常は半裁といって背中で半分にされていますが、キップの場合は
丸革(一頭)になります。
背中にコブがあるので広げるとその部分が丸く穴が空きます。
載っている定規は1メートル定規なので大きさがなんとなく伝わるかと思います。
全面が使用できるわけではなくて赤線の枠内が概ね使用できる範囲です。
周囲の部分は脇腹や足の方なので繊維が荒く表面も荒れているので
使用する場面が限られます。
奥側の矢印部分のピヨっと出ている部分が足の部分というのが分かります。
奥が首側で手前がお尻側です。
で赤い枠内でも無傷というわけではありません。
人間も生きていれば転んだり引っ掻いたり蚊に吸われて掻いた跡が
皮膚表面に残っていると思いますが、牛も虫刺されや柵に当たったり
隣の牛にぶつけられたりした傷がありますが、これは生きていた証である
「ナチュラルマーク」とも呼ばれたりもする様です。
生きていた証しではあるのですが、鞄にマークだらけでは困るのでその部分を
マーキングしておいて裁断するときに拾わないようにします。
そういう部分が点々とあるので鞄などの大きいパーツを
型入れするときは難しいです。
今回の鞄は、底面まで繋がっていますがパーツはセンターで縫い割られているので
胴体部分は同じサイズで4パーツ採る必要があります。
載っている型紙が1パーツサイズ。これを4個採ります。
面積に余裕があるので簡単に取れそうですが、実はギリギリなのです。
4パーツカットした跡がこちら。
とても無駄な採り方をしているように見えますがこれ以外には
配置できないという状態なのです。
というのは、先ほどの「ナチュラルマーク」が所々にあるのでその部分を避けつつ
配置するとこのような状況になってしまいます。
右下部分の斜めの配置なんか絶妙なんです。
角度をずらすと傷跡があるのでそれを回避しつつという感じです。
残った中央部分などはファスナー両側のパイピングに使用したり、
内装に大きめのポケットを追加ということなのでそれに利用したりします。
靴を作るときは一つ一つのパーツが小さいのでこのような型入れ作業に
時間はあまり費やしませんが、今回は時間がかかりましたね、失敗すると
もう一頭牛を連れて来なければなりませんから。
話は前後しますが分解し内装を外したところ。
分解するとこの鞄はどの程度しっかり作られているのか分かります。
見えない部分ですので手を抜いても消費者には分かりませんので。
この鞄は先ほどのパーツの縫製具合を見ればしっかり作っているだろうと
思いましたが、やはりちゃんと負荷がかかりそうな部分は補強していますし
荷物が入った時には鞄全体で重さを分散できるような工夫もされています。
ここでもやはりなぜ合皮?という感じなのですが。
長く使えるように作られているのに長く使えない合皮素材を使うって・・・。
内装には忘れないうちにご希望の大きめのポケットを取り付けておきます。
生地がグレーっぽい黒色のなのでポケットだけ違う色の生地もおかしいので
余っている革でポケットを誂えます。
本体を組み立てていきます。
胴体側の付け根のパーツは流用になります。
ファスナー取り付け部分のダブルステッチは、一列は縁取りの縫製になります。
二列目でファスナーと内装を縫製することになります。
外装にある外ポケットは内装を取り付ける前に構築しておかないと
縫製できなくなりますので忘れずに。
ここの縫い目は他の縫い目と違って黒色です、危うくベージュでいきそうに。
持ち手も平たい状態で取り付けます。
いつもの修理ではすでに鞄になっている状態で取り付けているので
やり易いですね。金具を連結する革が鞄の大きさに比べると貧弱でしたので
革の厚みを増して芯材を巻き込んだもので取り付けてみたらミシンでうまく
縫製できない事になってしまったので手縫いで四箇所
縫い留める事になりました。
広げると90cmぐらいの幅になるので重いし縫製するのも大変です。
この鞄だと恐らく平ミシンで全て縫製できると思いますが所有している
工業用のミシンは全て腕ミシンなので、縫製するものが大きくなると
支える台がないので鞄を左手で持ち上げながら縫製するので大変です。
膝も使いつつ縫い進めるという感じです。
工業用の平ミシンを導入しようとこれまでに何度か思いましたが、
すでにミシンが二階の作業場に大小7台設置しているので手狭で
置き場所がありません。
まぁ無い物ねだりでもあるので、無いなら無いで工夫すればいいだけです。
中表にして左右と底のマチを縫い割ります。
これで胴体が袋状になります。
これを丸まった靴下をひっくり返すように内側を表になるように
くるりんぱっします。
ファスナーは痛んではいなかったのですがあとあと壊れて交換となると
二度手間なので新しいファスナーに交換しておきます。
スライダーを入れてみて問題なく開閉できることを確認し
二列目のステッチを行います。
ファスナーエンド部分のパーツに本体を畳んで挟み込むので
革が二枚に生地も二枚、計4枚が重なるので厚みがかなりあります。
ミシンで縫製すると表面の縫い穴は元の穴を拾って針を落とせるのですが
厚みがあると針が貫通して出てくる裏面の縫い穴は元の穴から
ずれてしまいがちです。
今回も位置を確認したところかなりずれてしまうので、
手縫いにて表と裏の穴を探りながら縫製する事になりました。
でようやく完成となります。
AFTER
完成!といってもデザインは全く同じなので映えはしないのですが。
底鋲は新しい鋲に交換し中央にも追加。四隅の鋲も1.5cm
外側に鋲をずらしました。
底鋲が内側気味に付いている鞄が多いのですが、それですと角が
垂れ下がりがちですので、角に位置どりさせた方が良いのではないかと考えます。
底板も、もともと一枚入っていましたが小さかったので、底面ぴったりの底板を
作成し入れてあります。そうする事で四隅の革の垂れ下がりを軽減し、
中央部分も追加した底鋲で支えて垂れ下がらないので、底面の革が地面と擦れず
痛みにくいようにしてあります。
革で製作すると一つの鞄を作るのに牛一頭を使うとなると
その鞄の値段はそれなりに高くなってしまいます。
合皮であればロールの壁紙のように端から端まで均一の素材ですので
無駄なくパーツを裁断することができますが革ではそうはいきません。
今回一頭から胴体のパーツは4パーツしか採れませんでしたが、
例えばその牛がナチュラルマークも一切無く、端まで均一の質であれば
面積的には6〜7パーツは採れたと思います。
革製品というのは実際に製品で使われないそういった面積の製造コストも
価格に含まれてしまうので必然的に販売価格は高くなってしまいます。
今回の製作では残った革は他の小物の修理でも無駄なく使いますので、
それを加味しての製作費用にはなっておりますが、
それでもそれなりにはしてしまいます。
それでは皆さん、合皮製品(または一部使われている製品)を購入する際には
くれぐれも消費期限は3年、ということをお忘れなきよう・・・。
2020年06月18日
ボッテガヴェネタの内装交換。 なぜ合皮を使うのですか?
BOTTEGA VENETAの内装交換
ボッテガヴェネタ、何かの呪文のような響きですが日本語に訳すと
ヴェネトの工房という意味らしいですね。
なので例えば、BOTTEGA YAMADA であれば 山田工房という感じでしょうか。
編んだように見えるイントレチャートで有名なイタリアのブランドです。
編んだように見えるとは、革に切れ込みを入れて革紐を上下に通しているので
実際には編み物のように格子状に編み込まれてはいない、ということです確か。
20年ぐらいに前に購入されたお母様の鞄ということですが、御多分に洩れず
内装の合皮が劣化して使えないので交換というのが今回のお題です。
なぜ鞄メーカーは合皮を内装に使うのでしょうか?
外装が合皮で内装も合皮ならば分かりますが、外装は革なのに内装に
合皮を使えば内装が劣化し今回の事例のように外装は問題ないのに内装が・・。
ブラックなんでしょうねきっと、そうなるのが分かって使っているのですから。
外装はほぼ新品なので内装を交換すれば問題なく使用できます。
同じ感じのBOTTEGA VENETAの鞄を今購入すると、
当時より2倍くらいの価格になっているとのことでした。
ならば治すに越したことはないですね。
合皮がベトベトです。
ベトベトになるパターンと粉粉になるパターンがありますね。
内装は三層に分かれているのでその分費用は掛かってしまいます。
しかも今回は三層とも微妙にパターンが違っているのでむむっ。
分解
三層とも内装のパターンは同じかなと思ったのですが微妙に異なっているので
一層ごとに裏表の型紙が必要になりました。なので袋の部分で6型必要です。
内装の生地は何色か見ていただきましたが、即決で落ち着いた感じの
気持ち臙脂の赤色に、華やかな感じになりそうです。
三層あるので組み立てる順番と組み合わさる裏表を間違えないように注意です。
ファスナーの引き手に使われているブランドパーツやロゴなどオリジナルパーツで
傷んでいないものは移植していきます。
内装が完成したのであとは本体に組み合わせて口元を縫製すれば完成です。
口元の縫製は元の縫い穴にひと針ひと針と針を落としていき縫製します。
完成です。
内装に使用する素材は革だと重くなりますし、カビの危険もありますし、
値段も高くなりますので、しっかりめの生地やナイロン素材が内装には
適しているのではないかと思います。
くれぐれも合皮の内装にはお気をつけください。
ボッテガヴェネタ、何かの呪文のような響きですが日本語に訳すと
ヴェネトの工房という意味らしいですね。
なので例えば、BOTTEGA YAMADA であれば 山田工房という感じでしょうか。
編んだように見えるイントレチャートで有名なイタリアのブランドです。
編んだように見えるとは、革に切れ込みを入れて革紐を上下に通しているので
実際には編み物のように格子状に編み込まれてはいない、ということです確か。
20年ぐらいに前に購入されたお母様の鞄ということですが、御多分に洩れず
内装の合皮が劣化して使えないので交換というのが今回のお題です。
なぜ鞄メーカーは合皮を内装に使うのでしょうか?
外装が合皮で内装も合皮ならば分かりますが、外装は革なのに内装に
合皮を使えば内装が劣化し今回の事例のように外装は問題ないのに内装が・・。
ブラックなんでしょうねきっと、そうなるのが分かって使っているのですから。
外装はほぼ新品なので内装を交換すれば問題なく使用できます。
同じ感じのBOTTEGA VENETAの鞄を今購入すると、
当時より2倍くらいの価格になっているとのことでした。
ならば治すに越したことはないですね。
合皮がベトベトです。
ベトベトになるパターンと粉粉になるパターンがありますね。
内装は三層に分かれているのでその分費用は掛かってしまいます。
しかも今回は三層とも微妙にパターンが違っているのでむむっ。
分解
三層とも内装のパターンは同じかなと思ったのですが微妙に異なっているので
一層ごとに裏表の型紙が必要になりました。なので袋の部分で6型必要です。
内装の生地は何色か見ていただきましたが、即決で落ち着いた感じの
気持ち臙脂の赤色に、華やかな感じになりそうです。
三層あるので組み立てる順番と組み合わさる裏表を間違えないように注意です。
ファスナーの引き手に使われているブランドパーツやロゴなどオリジナルパーツで
傷んでいないものは移植していきます。
内装が完成したのであとは本体に組み合わせて口元を縫製すれば完成です。
口元の縫製は元の縫い穴にひと針ひと針と針を落としていき縫製します。
完成です。
内装に使用する素材は革だと重くなりますし、カビの危険もありますし、
値段も高くなりますので、しっかりめの生地やナイロン素材が内装には
適しているのではないかと思います。
くれぐれも合皮の内装にはお気をつけください。
2020年06月17日
20年後の贈り物。 時計のベルト製作編。
時計のベルトも何年かに一度ご依頼があります。
その都度思うのですが、結構大変だなと。
毎回同じ設定であればそんなことは思わないのですが、ご依頼されるほとんどは
市販のベルトでは間に合わないようなものなのでその都度試作が必須です。
お問い合わせでは確か黒いベルトの時計は別にあるので、違う趣の色、
例えば赤茶系が候補ということでしたが、ご依頼品を画像で見ると
シルバーカラーのケースにはグレージュが合いそうだなと、ご来店の際に
お見せするサンプルレザーに紛れ込ませてご提案させていただきました。
で、私のプッシュも影響してか分かりませんが左端のグレージュに決定。
シルバーにグレージュですと秋冬でも春夏でもどちらでも合いそうですし
ケースとベルトの明暗のコントラストが抑えめで上品な感じにまとまるかなと。
まずは分解。
時計のベルトはケースに通っている柱の部分がバネ式になっていて外せるものが
ありますが今回のものはネジ式になっていました。
太さが0.8mmぐらいのマイナスネジでしたので、おそらくオリジナルで製作された
替えがきかないパーツなので無くしたら終わりです。
ちなみに今回の時計はCOACH。
今回のベルトでは14箇所ほど計測してその通りになるように製作していきます。
ただ革の厚みや硬さが異なるのでそれに合わせて寸法を
調整する必要もありますし、オリジナルは抜き型で裁断しているので細かな部分も
関係ないのですが、こちらは全て手裁断、細かな部分は難しいのです。
オリジナルは金具が固定されてるループ部分などが貧弱でしたので
そこから壊れてしまっています。ですので再製作にあたっては
その部分の強度を高めて製作したいと思います。
結局6回ぐらい試作してようやく本番です。
幅が狭いので抑えの車輪が落ちないようにカタカタカタ・・・。
完成。
どこにそんなに手こずったかと言うと、本体とベルトの連結部分が
凸状に嵌まり込んでいるのでこの部分がスカスカですとイマイチですし
キツキツですと動きにくいですしでコンマ幾つの調整で試作するのですが
手で裁断しているので細かな部分はどうしてもブレが生じてしまいますので
その鬩ぎ合いで試作の数が増えていく感じです。
結局は凸部分の動きはやや硬めの設定に。
使っていくうちに革が癖づいて潰れていくでしょうからその時に
ちょうど良くなればいいかなと。
ご返却後にメールにて
時計は20年以上前、結婚前に奥さんにプレザントされた
時計だったということでした。ベルトが新しくなった時計を渡したところ、
「妻は大変喜んでいました」と旦那さん。
20数年前にプレゼントされた、した時のことをお互い思い出されて
いたのでしょうか。
今日は少しいい仕事をしたなと、宵に梅酒をちびちびする今日この頃・・・。
その都度思うのですが、結構大変だなと。
毎回同じ設定であればそんなことは思わないのですが、ご依頼されるほとんどは
市販のベルトでは間に合わないようなものなのでその都度試作が必須です。
お問い合わせでは確か黒いベルトの時計は別にあるので、違う趣の色、
例えば赤茶系が候補ということでしたが、ご依頼品を画像で見ると
シルバーカラーのケースにはグレージュが合いそうだなと、ご来店の際に
お見せするサンプルレザーに紛れ込ませてご提案させていただきました。
で、私のプッシュも影響してか分かりませんが左端のグレージュに決定。
シルバーにグレージュですと秋冬でも春夏でもどちらでも合いそうですし
ケースとベルトの明暗のコントラストが抑えめで上品な感じにまとまるかなと。
まずは分解。
時計のベルトはケースに通っている柱の部分がバネ式になっていて外せるものが
ありますが今回のものはネジ式になっていました。
太さが0.8mmぐらいのマイナスネジでしたので、おそらくオリジナルで製作された
替えがきかないパーツなので無くしたら終わりです。
ちなみに今回の時計はCOACH。
今回のベルトでは14箇所ほど計測してその通りになるように製作していきます。
ただ革の厚みや硬さが異なるのでそれに合わせて寸法を
調整する必要もありますし、オリジナルは抜き型で裁断しているので細かな部分も
関係ないのですが、こちらは全て手裁断、細かな部分は難しいのです。
オリジナルは金具が固定されてるループ部分などが貧弱でしたので
そこから壊れてしまっています。ですので再製作にあたっては
その部分の強度を高めて製作したいと思います。
結局6回ぐらい試作してようやく本番です。
幅が狭いので抑えの車輪が落ちないようにカタカタカタ・・・。
完成。
どこにそんなに手こずったかと言うと、本体とベルトの連結部分が
凸状に嵌まり込んでいるのでこの部分がスカスカですとイマイチですし
キツキツですと動きにくいですしでコンマ幾つの調整で試作するのですが
手で裁断しているので細かな部分はどうしてもブレが生じてしまいますので
その鬩ぎ合いで試作の数が増えていく感じです。
結局は凸部分の動きはやや硬めの設定に。
使っていくうちに革が癖づいて潰れていくでしょうからその時に
ちょうど良くなればいいかなと。
ご返却後にメールにて
時計は20年以上前、結婚前に奥さんにプレザントされた
時計だったということでした。ベルトが新しくなった時計を渡したところ、
「妻は大変喜んでいました」と旦那さん。
20数年前にプレゼントされた、した時のことをお互い思い出されて
いたのでしょうか。
今日は少しいい仕事をしたなと、宵に梅酒をちびちびする今日この頃・・・。
ampersandand at 11:30|Permalink│
2020年06月16日
6月の店頭営業日のお知らせ。
*お休みではなく営業日ですのでお間違いなく。
27日 土曜日
28日 日曜日 となります。
*ご来店の際は時節柄、感染予防の為、マスクの着用をお願いしております。
別途、ご返却日をすでにお伝えしております場合は、
その日程でお渡しが可能ですのでご来店ください。
お受け取りのご都合が合わない場合は、
HPのお問合せからご連絡頂けましたら
お渡し日の調整をさせて頂きます。
*営業日以外の電話応対は、申し訳ございませんが
作業の都合上行っておりません。
HPよりメール(またはFAX)にてお問い合わせ願います。
スタッフが店主の私のみですので、お手数をお掛け致しますが
何卒、ご理解を頂けますと有り難いです。
営業日が限られておりまして、ご迷惑をお掛けしておりますが
どうぞ宜しくお願い致します。
店主
コロナの影響で椅子を貼り直してみる。
「コロナの影響で・・・」という言葉が前置詞のように使われている
今日この頃ですが、私もコロナ影響で椅子の座面の張替えを行ってみました。
店頭営業自粛をしていたので、時間に余裕ができましたので
気になっていた座面のクッション化計画を実行することに。
二階のミシン用に使っている椅子ですが、座面がフラットで長時間座っていると
少し痛いのと、もう少し座面の高さが欲しいのでウレタンスポンジで嵩増しして
張り替えてみようと思います。
まずは座面を取り外しウレタンスポンジをサイズにカッティング。
革は中途半端に余っているタンニン鞣しの黒革にしようと思います。
黒革を適当にカットして中央あたりに座面一式を載せます。
ご依頼品と違い失敗しても上手くいかなくても問題ないので気軽で楽しいですね。
行き当たりばったりというのは工作気分でいいものです。
と言っても革で包む方法はなんとなく決めていました。
靴を作るときに靴型に革を釣り込んでいくのですが、
その要領で座面に革を釣り込んでいきます。
こちらを引いたらあちらを引いてと皺がでないようにちょっとづつ。
使う道具もワニという靴製作の道具。
ちなみに靴の釣り込みはこんな感じ。
革が余る角の部分の処理をどうするか?
一応イメージはしていましたが上手くいくでしょうか。
菱ギリで目見当で穴を開けて縫製。
で、余った部分は革包丁でカッティング、
カットした断面を磨いて仕上げてみるとなんだからしくなってきました。
裏面の釣りシロ、あまりの部分の革もカッティングして切り揃えて。
一般的な椅子の場合はタッカーというホチキスみたいな針を打ち込んで
固定しているようですが、私の場合はダヴリフトの飾り釘に使用する
真鍮の釘で最終固定しています。
で元の椅子に固定し直せば革張り座面の完成となります。
以上、コロナの影響で座面を張り替えるの巻きでした。
今日この頃ですが、私もコロナ影響で椅子の座面の張替えを行ってみました。
店頭営業自粛をしていたので、時間に余裕ができましたので
気になっていた座面のクッション化計画を実行することに。
二階のミシン用に使っている椅子ですが、座面がフラットで長時間座っていると
少し痛いのと、もう少し座面の高さが欲しいのでウレタンスポンジで嵩増しして
張り替えてみようと思います。
まずは座面を取り外しウレタンスポンジをサイズにカッティング。
革は中途半端に余っているタンニン鞣しの黒革にしようと思います。
黒革を適当にカットして中央あたりに座面一式を載せます。
ご依頼品と違い失敗しても上手くいかなくても問題ないので気軽で楽しいですね。
行き当たりばったりというのは工作気分でいいものです。
と言っても革で包む方法はなんとなく決めていました。
靴を作るときに靴型に革を釣り込んでいくのですが、
その要領で座面に革を釣り込んでいきます。
こちらを引いたらあちらを引いてと皺がでないようにちょっとづつ。
使う道具もワニという靴製作の道具。
ちなみに靴の釣り込みはこんな感じ。
革が余る角の部分の処理をどうするか?
一応イメージはしていましたが上手くいくでしょうか。
菱ギリで目見当で穴を開けて縫製。
で、余った部分は革包丁でカッティング、
カットした断面を磨いて仕上げてみるとなんだからしくなってきました。
裏面の釣りシロ、あまりの部分の革もカッティングして切り揃えて。
一般的な椅子の場合はタッカーというホチキスみたいな針を打ち込んで
固定しているようですが、私の場合はダヴリフトの飾り釘に使用する
真鍮の釘で最終固定しています。
で元の椅子に固定し直せば革張り座面の完成となります。
以上、コロナの影響で座面を張り替えるの巻きでした。