2013年09月29日

最初で最後の修理 グランパブーツ篇*その壱

話は一年半前に戻りますが、
「こんな修理はできないですよね?」

できない? むむっ
できない?とは聞き捨てなりませんが… しかし…
before
0928-10
グランパブーツ、ボタンブーツともいいますが、
古着屋さん?で購入されたということ。
100年ぐらい前のものらしい靴。
しかし、甲周りがきついので、上の部分を作り替えつつ、
サイズを大きく出来ないかというご相談… むむっ。
ちなみに100年ぐらい前は…
0929-20929
こんなちびっこも、そのお姉ちゃんも、そのまたお兄ちゃんも
お母さんの足下は鞄で見えませんが、みんなボタンブーツを履いています。
お父さんはカメラマンでしょうか。
昔はごく普通の仕様のボタンブーツですが、今では珍しいです。
この写真集は、好きでときどき見ていますが、なんともいい雰囲気の時代です。

話は現代に戻りますが、
できるできないというよりは、そもそもこんなことはやったことが
ありませんが、ボタンブーツは作った事がありますので、
なんとかなるのではないかと… 
しかしお預かり期間は、無期限ということでないと…。
0928-6
この靴は100年?を経てきているので修理は何回も行われているようで
底周りは不思議な感じになっています。
もともとは、ハンドソーンウェルテッド製法なのでしょうが、
部分的にウェルトがあったり無かったり…ですし…
途中でマッケイ製法に変更?でもないし…
なんでしょうか… レザーハーフソールは施されていますが…
0928-3
踏まず部分は、すでに剥がれてきています、底縫いは切れていないのになぁ…。
まずは、上の部分のサイズ合わせからなので、
底周りはとりあえず置いといて… アッパーの縫製を解いて分解してゆきます。
0928-140929-5
裏地もボロボロです、作り替える際は丈夫な革にしましょう。
上部パーツの分離ができました。
中底のカカト部分は、幾度の補修の際に釘がやたらめったら
打ち込まれていますね。
同じ位置に、こんなに釘を打ったらダメでしょうが…。
0928-2
外したアッパーから、パターンを製作しますが、
パーツはレロレロでシワシワですので、右脳をフル活用して
元型を修正して採っていきます。
そうしましたら、足のサイズを採寸していますので、
それに合わせ数値を補正して、サイズを大きくしてゆきます。
0928-11
この際に分け分からなくなるのが、寸法を変更しつつ本体との合わさる
周囲寸は変えられないということと、センターの縫い割りは、
靴の中心にこなければならないということ、
それに、ボタンの位置とボタンホールの位置関係…
それぞれを辻褄合わせて…

… 
ん〜ぷちパニック!!

最初で最後の修理 グランパブーツ篇 2
最初で最後の修理 グランパブーツ篇 3
最初で最後の修理 グランパブーツ篇 4



ampersandand at 22:46│ オールソール