2014年07月11日

hartmannの持ち手補修 机上の空論篇

ショップで購入する際に、オイルやクリームなどのお手入れは
必要無いと伝えられたとのこと…。
そのアドバイスを忠実に守られてこられたとのこと…。

確かに、過剰にオイルなどを塗布してしまいますと、
革のコシが無くなってしまったり、質感が悪くなってしまったりと
あると思いますが、必要最低限は行いませんと乾燥してしまいますので。
before
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途中で千切れてしまっております。
これは、お手入れを怠ったからと云う訳ではなく
(少しはあるかもしれませんが)
構造的な問題もあるのでないかと思います。
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握る部分は丸芯になっておりまして、すぐ脇からは平ベルトになります。
修理方法ですが、ベルト部分を根本から分解して外すには、
鞄をかなり分解しないと出来ない構造です。
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内部も5層ぐらいに分かれておりますし、色々な仕切りやパーツが
幾重にも縫製されておりますので、分解するのは現実的ではありませんし、
尚かつ、本体に直に縫製するにも仕切りがあったりポケットがあったりで
内側の仕様が使えなくなってしまいます。
ですので、途中から継いで補修する事にします。
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こういう場合は自分で決めた事ながら、カットするには勇気が入ります。
さきほどお伝えしたように、握る部分は丸芯で、すぐ脇からベルト状です。
ベルト状部分には、鞄の底等に使われる硬い芯材が挟まれております。
なのでカチカチです。
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構造的な問題と云いましたのは、握る部分が丸く、
そしてすぐに平に硬くなっている構造です。
握る部分は、使用している状態でぐりぐり色々と動きます。
そうしますと、今回千切れた部分、丸と平の変わり目が
動く際の支点となりますので、負荷がすべて集中してしまいます。
0709-34
この構造にするのならば、その形の変わり目をもう少し
下側に設定してやれば、またはベルト部分をもう少し柔軟性のある
構造にすることで支点が一点にならず、
間延びして負荷が逃げるのではないかと思われます。
と、もっともらしいことを云っておりますが、
あくまでも机上の空論ですので分かりませんが…。
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見栄えより丈夫さをと云うことでしたが、かといって厚い革で
ゴツかったり、全く違っ色の革を使うのにも躊躇致しますので、
なるべく近い色の革を用います。

革の裏面にはそれぞれ、伸び留めと補強を兼ねて厚みもあり、尚かつ柔軟性も
ある素材を施しておきます。
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繋ぎ合わせる部分は、通常四角く縫製すれば事足りますが、
強度を踏まえて、ばってんにも縫製を行います。
確か、この縫製の仕方ごとにJIS規格だったか、耐えられる荷重のデータが
あったりするようです。

鞄の自重がかなり重いので、補強や縫製に神経を使います。
この鞄に荷物が入るとなると、かなりの重さになりますので。
AFTER
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握る部分は丸いほうが良いということでしたので、
机上の空論から推考しまして、
丸から平にと徐々に形状を切り替え、その切り替わる位置も下げます。
また、平部分の芯材も柔軟性のあるものを選択しました。
(ただし、伸び難いものを使用)
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できるだけ合理的に左脳を、想像力で右脳を働かせ
机上の空論を正論にするべく、頭と手をフル回転の今日この頃…。


ampersandand at 00:08│ 鞄と小物修理