2016年08月08日

鞄の角が擦れて穴が開くんですけど案件(再)

このタイトルですでに何回か記事を書いた事があるのですが
それだけメジャーな修理箇所となります。

因に当店の鞄の修理ビック3は、

1.持ち手交換
2.裂け補修(持ち手付根、ショルダーストラップ付根など)
3.擦れ補修(底角、フチ周辺など)

となっております。
ではこちら、吉田カバンの大きなトートバック。
BEFORE
0524-63
底部分などは生地にラバー塗料を塗布して補強?されておりますが
やはりそれでは弱さがあります。
これだけ大きいカバンですと何かと角をぶつけたり、
地面に置くでしょうから徐々に擦れてしまい易いです。

0524-710524
今回は角の補修と、最近多い依頼ですが、底鋲を追加されたいと。
底鋲を付ける事で地面から底面が浮くので擦れ難くなる?
確かにそうなのですが、底鋲だけではそううまくはいきません。

底鋲を付けても、その部分だけは浮きますが、
それ以外の部分は凹みますので擦れてしまいます。
ですので、同時に底板を追加する必要があります。
底板を追加する事で加重を全体で受け止め、それを底鋲で支えると云う感じです。
0524-70
角はレザーパーツを作り、角部分に宛てがい縫製します。
形状や大きさは鞄のデザインに合わせます。
0524-65
そして底板。
鞄の寸法に合わせて製作、硬い芯材を生地や革で覆い縫製します。
AFTER
0524-620524-61
底鋲の素材は金属や樹脂製のモノがあります。
金属ですとシルバーやゴールド、アンティークなど。
大きさも鞄に合わせて選択。

今回は鞄が大きく、ご希望もブラックカラーだったので
樹脂製の少し大きめの底鋲を用いております。
0524-60
電車などで鞄を膝に抱えている方をみると
ときどき底鋲が四隅だけについている鞄を見かけますが
それですと、中央部分が下がってしまいますので、5箇所は必要かと思います。

続いてはこちら。
ドイツのBREEの鞄。
0715-7
新品ですが、底擦れが心配なので底鋲追加。
こちらもやはり底板がないので同時に作成。
AFTER
0715-50715-2
他の部分に使われている金具がシルバーでしたので
金属のシルバー鋲を使用。
07150715-3
底板は取り外し可能な仕様で製作しております。
ただ、ベストは本体底板とともに鋲で貫通して固定したほうが
底部分のたるみがでずらいのでベストです。
ただし底鋲を取付けたからといって、鞄の形状や仕様により
完全に擦れが解消される訳でありませんのであしからず。

続いてGUCCIのトート。
BEFORE
0802-21
ジャガード織り?のトート。
擦切れると解れるのは早い気がします。
AFTER
0802-90802-2
使われているダークブラウンカラーと同じ色のレザーを用いて補修。
デザインは変わりますが気に入って頂けたようです。

鞄の角はこんな感じで擦れ易いので、基本的に底鋲の無い鞄は、
ザラザラした地面には置かないほうが宜しいかと思います。
もちろん自転車の駕篭に無理矢理押し込めるなんてことは
御法度ですので。

どうしても駕篭に入れたい場合は、鞄が入る横長の駕篭も
市販されておりますので活用されてみてください。

ampersandand at 22:06│ 鞄と小物修理