2016年08月17日

スニーカーは履き潰すしかないのだろうか…。 延命篇

コンバースなどのスニーカーにて行われているバルカナイズド製法。
通常は接着や底縫いでソールを固定しますが、
バルカナイズド製法の場合は、本体とソールを釜に入れて高温と圧力で
ラバーソールを硬化させて本体と固定しております。

そして横方向への加重に耐えられるようにラバーテープを
靴の周囲に巻いてます。
コンバースではフォクシングテープと呼称が付いているようです。
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水色/ラバーテープ
黄色/本体キャンバス生地
赤色/ラバーソール
緑/インソール

画像は簡略断面図になります。
通常はソールと本体の間にはしっかりとした中底がありますが
この製法の場合は(異なる場合もあります)例えばソールが摩耗していくと
インソール(中敷き)に到達してしまいます。

しばしばインソールまで到達した状態でご相談頂きます。
バルカナイズド製法の場合は、ラバーテープで分かり難いですが
断面図のように、実際はフラットな4.0mm程度のラバーソールが
嵌め込まれている状態となります。

ですので、一般的なビジネスシューズですとラバーリフトは6.0mm
ありますが、それより薄くなっており、尚かつ交換もできません。

ある程度斜めに減っている状態でも補修は出来なくは無いのですが
いかんせん中底がないので、ソールが薄くなってぺこぺこな状態ですと
接着する土台となる部分がありませんので、強度不足になる可能性があります。
0815-22
ではどうするかですが、画像の様にカカト部分に6.0mmほどのリフトを
始めに取付けておきます。

大きさは、アウトラインより2.0mm程度内側に設定し目立ち難くしております。
履き心地も、スニーカーですとカカトのヒールの高さがフラットに近い
設定になっている場合があるので、その状態より6.0mm程度
追加した方が歩き易くなる場合があります。

なお、取付ける場合は店頭ですと実際にカカトに6.0mmのリフト板を
宛てがい踏付け、その状態に違和感がないか確認してからとなります。
郵送の場合は、ご自宅で同様のものを踏付けて確認して頂ければと思います。
0815
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目線でみると目立つかもしれませんが、実際は足元になりますし
少し内側にリフトを取付けているので、あまり目立たないかと思います。
追加したリフトは摩耗しましたら、交換も可能です。

それでは前側の部分の補強はどうなのか?ですが、
バルカナイズド製法で作られているソールは、通常のラバー素材ではなく
接着材が効きにくい素材となっております。

専用の溶剤で表面処理を行えば問題なく付くかとは思いますが
カカト部分のように形状が固定されている訳ではなく
常に可動する屈曲部分ですと、剥がれる可能性もありますので
基本的にはカカト部分の補強対策となっております。

ampersandand at 11:00│ 靴修理