2016年11月07日
ミネトンカ女子に告ぐ! 修理は可能ですが…篇。
Minnetonka REPAIR
ミネトンカ女子の皆さんは、大概ひどく痛んでから持ち込まれる
パターンが多いような気が致します。
BOFORE
昨日今日でこんな事になっているわけではないでしょうから
擦れちゃった…と認識されてからも
引き続き擦れ放題で履かれていたのでしょう…
穴、あいとるがなっ!
ここまで履かなくても… 修理はできますがお高くなりますよ。
すべてがミネトンカ女子が悪いとは限らないでもないのですが。
このモデルは、カカト部分に通常入っている芯材(カウンター)が
入っていないので、履いていくうちにどんどん本体が
下へ下へとずり落ち(弛んでしまう)ていってしまいます。
KOOSなどもそうですが、このようなほっこり系の靴は
芯材などが使われておらず、またヒールも低かったり無かったりしているので
ソールが減った際には即、本体の革が擦れ始めてしまいます。
ですので、対処法としてはこまめに修理、または履き始める前に
リフトを一段取付けてしまうという対処法もあります。
修理ですが、破れている部分の修理とソール(リフト)の修理の
二段階となりますので、おのずと費用はお高くなります。
こちらの画像はあまり破れていない側ですが
内側に芯材を宛てがい、本体と一緒に縫製致します。
実際の芯材は靴底まで入り込むのですが、この状態からでは
弛み易い部分に芯材を宛てがい硬くしておくことで対処可能かと思います。
この補強を行わずに、外観だけ取り繕っても、その時はいいのですが
結局は本体が弛んできてしまい、元と同様の状態になりかねませんので
結果の部分だけでなく、痛みの原因となった部位、仕様を
改善することも大切かと思います。
そしてその表面に同様の革を宛てがい補強を兼ねて
穴空き部分を隠します。
そしてようやくリフトの修理。
すでに完全に無くなってる部分もありますので難しくもありますが。
まずは減っている部分を切削致します。
減っているのになんで削るの?ですが、減っている部分というのは
山なりに斜面がなっています。
この状態では、補修材料が山なりに無理に添わして接着する事になりますので
素材がもとのフラットの状態に戻ろうとする力が働きますので
剥がれ易くなります。
ですので、素材が嵌る段差を作りつつ、傾斜もぴしっと削ります。
そして楔状の補修材料をそこへ宛てがうことで元のフラットの
底面を形成致します。
AFTER
もちろんちょうど同じ形をしたピースがある訳ではないので
適当な大きさの材料を嵌め込んでから、周りをちょうどに切削してゆきます。
底面もフラットになるように、補修材料の傾斜と本体の凹みを
ちょうどに合わせる必要があります。
ちなみに、リフトの外形のラインは完全に無くなっている部分もありましたので
左右対象にはなっておりません。
続いて限定モデルのピンクのミネトンカ。
こちらはあるあるのミネトンカ補修になります。
ミネトンカは、ソールに使われている素材が接着しにくいので
メーカーも殆ど接着は仮固定みなたいな感じになっております。
ですので、本体と固定している底縫いが擦切れてしまうと
簡単にソールが剥がれてしまいます。
現状は、一部の底縫いの糸が切れ始めています。
先ほどのように減っている部分を補修する方法ですと
ほかの部分の残っている糸も擦り切ってしまうので
違う方法で補修致します。
まずはカカトとなる部分の凸部分を削り落とします。
周囲の糸は切らないように気を付けます。
そして糸が切れている部分を縫い直します。
そこへ、もとの厚みより少しだけ厚めのラバーリフトを
嵌め込んで完成となります。
この場合の補修方法は、元の状態によりけりです。
補修範囲や縫製など。
ちなみにこのモデルはカカト部分に先ほどの補修のように
芯材が挟み込んでありますので、カカト部分の本体が弛みにくくは
なっております。
(通常の起毛素材のモデルは、芯材が入っていなかったような気が致します)
以上、「ミネトンカ女子に告ぐ」でした。
修理は、「気付いた時が補修どき」でございます。
ampersandand at 00:51│
│靴修理