2016年12月15日

オールソールの不安。 クレープソールからの…BUTTERO篇

例えば家電の修理であれば、同じ部品を使って同じように治すので
デザインが変わるということはないでしょうし、
仮に、ipadを修理に出して、手元に届みたら
そのデザインが変わっていたらちょっと面白いですし、
即SNSで拡散される事でしょう。

なのでメーカーでも、街の修理店でも修理に出して治すということについて、
その仕上り具合には然程、不安は抱きません。
しかも街の電気店で治すにしても、例えば東芝の冷蔵庫を治す場合、
東芝から修理部品の供給を承け、純正部品で修理を行う訳なので、
おかしな修理になる事もありませんし。

しかし、靴や鞄などではオリジナルの部材の供給もありませんし
そもそも製品の仕様自体に問題があったりしますので
仮に同じ材料を使用し、同じ設定で治せたとしても…
また同様に壊れる…

ではどうしましょうかと…。

BEFORE
1210-75
イタリアブランドのブッテロ。
見ての通り、そもそもソール交換をするつもりもない?
デザインとなっております。
修理を考えないでデザインするというのは楽しいだろうなと
修理を始めてからというもの、つくづく思う次第であります。
1210-701210-711210-911210-79
ソールの仕様はクレープソール。
ベタベタ劣化現象が発生しております。
このような感じのソール仕様は、ラバーソールのコンバースと同じなのですが、
ソールの見た目の感じからしますと、分厚いソールなように見えますが…
1210-741210-73
周囲に巻かれているクレープソールを剥がしますと…
こんな感じで実際のソール厚は半分程度。
15.0mm程度本体が埋まっておりました。
クレープソールのクレープ巻きと云った感じでしょうか。

周囲を3.5mm程度のクレープソールで本体と一緒に巻いております。
このクレープソール巻き仕様には、色々と問題があるので、
靴のソール設計としてはどうなのだろうかと思う次第です。

ときどき、この巻いた薄いクレープソールを側面で縫製している
仕様がありますが、屈曲部分では、徐々に縫い目にソールが耐えられず、
また劣化により、のちのち縫い目で裂けて(貫通)しまったり致します。

今回のオールソールのご希望は、タンクソールのようなイメージでと
いうことで、強いて云えばvibram社の#1147がご希望でしたが
ご依頼品の靴ではヒールの高さが合わず、使用出来ないということに。

ご依頼品は、画像でも分かるようにソールは前後で厚みの変化もなく
フラット、カカト部分に申し訳ない程度に3.5mm厚のクレープソールは
付けられております。

ですので、ソール交換の場合も前後の高さの差は
3.5mm設定ということになります。
先ほどの#1147では前後の高さの差が、16.0mmありますので
付ける事は出来ますが、1.0cm以上ヒールが高くなってしまいおかしな事に。

ですので、前後別パーツで取付けられるタンク仕様で行う事に。
1210-78
クレープソールを全て取り除くとこんな感じ。

今回は、オリジナルからソールの仕様も変更になりますし、
またソールに埋まっている特殊なモデルとなりますので、
当店ではお馴染みの、革巻補修も別途追加で行う事になります。

ですので、靴のデザインもかなり変わってしまいますので
お客様のご了解を得てはおりますが、果たしてその出来映えに
満足して頂けるかどうか…という不安が。
(私は経験上、もちろん仕上りのイメージは出来ているのですが
 お客様にちゃんと伝える事が出来ているのかどうか…)

ほかのアイテムの修理全般に云える事ですが、
デザインや仕様が変更になる場合はお客さんも不安でしょうし、
補修している私も不安だったり致します。

「思っていたのと違う…」なんてことになるとお互い悲しいですし。

ではでは出来上がりは…

AFTER
1210-671210-66
レザーソール/ダイナイトロジャーハーフソール/リフト仕様
1210-68
周囲には、飾りステッチウェルト仕様
1210-641210-62
レザーソールと本体を底縫いを行い、ハーフソールを取付けておりますので
ハーフソールが摩耗しましたら部分交換可能です。
ワークブーツではよく一緒に底縫いされておりますが、
それですとハーフソールが減った段階で、オールソールするしか
方法がなくなってしまいます。

また、一体型のユニットソールではないので、リフト部分も
一段取り外せますので、もちろん部分交換可能です。

ヒールが高くなっているように見えますが、前側にハーフソール7.0mmが
取付けられておりますので、その分カカトも7.0mm上昇します。
ですので、カカト部分は3.5+7.0=10.5(11.0)mmヒール設定
ということになります。

出来映えは、カジュアルなモードな仕様から、
男気あふれるラキッドな雰囲気に仕上りました。
ご依頼主さんからも、「時間とコストを上回る出来映え」と
いうことでご満足して頂けたご様子でした。

ちなみに気になる修繕費用ですが、ご依頼品はソールに埋まっている
特殊モデルとなりますので、当店独自の革巻き補修仕様では
大変手間が掛かりますので、23.000円と大変高額となっております。

なお、一般的な紳士革底のソール交換費用目安は、
レザーソール/チャネル仕様/積上げ/vibramラバーリフト/14.000円
となっております(オリジナルの靴の仕様により異なります)

特殊モデルの修繕は、当店の修繕方法ですと
一足に時間が掛かり過ぎてしまい、他の修理品の進捗にも影響が…。
(なにぶん、一人で全ての業務を遂行しておりますもので…)

ですので以前、一時的に特殊モデルの取り扱いを辞めておりましたが、
お問合せも多く、断られてしまったら、
あきらめる(捨てます)しかないと云われると…

ということで、お預かりの時間と費用をご納得された方には
ご依頼頂いている次第であります。

特殊モデルの詳しい修繕過程はこちらの記事を参照下さい。
カンペール特殊モデル奮闘記
其の壱
其の弐
其の参

ampersandand at 13:36│ クレープソールからの