2017年10月13日

バーバリーのブリーフ 持ち手革交換 ネジが回らないと篇

ネジが回らないと始まらない…。
この持ち手は、鞄に固定されている金具にネジを通す事で固定されています。
ですので、ネジが回らないと持ち手が外せないのです。
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持ち手の革は、すでに劣化し擦り切れております。
使い込まれた年月が偲ばれますね…。
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日頃使用している精密ドライバーでは、回せないほど
マイナスネジが固着してしまっております…。
こういう時は、556を塗布しまして再チャレンジ。

しかし回る気配がない…。
そもそも精密ドライバーは、フルパワーで回して
使う道具ではないので、持ち手が細く力が入りづらいのです。
下手に回して螺子山がなめてしまうと一番まずいので
556を再度塗布し、一晩放置しておく事に。

それでも今日の手応えのなさ加減、
力の込め易いグリップが大きな精密ドライバーの購入が
必要な感じなので、仕事帰りにホームセンターへ。
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ある事はあったのですが(手前の)、精密ドライバーですので
それでも細めです(通常の精密な使用には全く問題ないのですが)。

本日一回目の挑戦では回らなかったのですが、
再度556を塗布し再々チャレンジにてようやく外れてくれました。
これ、はずれないと修理不可になってしまいますので。
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そうしましたら、とりあえず巻いてある革を外してゆきます。
劣化しすぎて芯金に固着してしまっておりなかなか外れません。
熱風機で温め、接着剤を溶かし気味で漸くぺりぺりと。
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芯金が錆びているように見えるのは、これは革が固着し
付いているのでそのように見えています。
これも温めて取り除き、表面を溶剤にて清掃します。
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昔のものや、伝統的な作り方のこのタイプの持ち手は、
芯材も革で作られております。
革を数枚積層し、この形に削りだす方法です。

しかし、今はこのようにプレスにて綺麗に左右対称に
成形された軽量な芯金があります。
持ち手部分の革は、今回のように長年使用していれば
かならず交換時期がやって参ります。

その際に、革の芯材で製作している場合ですと、巻き付けた革が
綺麗に剥がれない、また恐らく形状も変形してしまっているかと思われます。
ですので、金属の芯金を用いた方が、修繕の観点からは良いのかもしれません。
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ただ、金属の芯金に再度巻き付ける場合にも問題があります。
この芯金は革を巻いてから二つ折りにして縫製しているのですが、
再度巻き付ける際には、完全フラットな状態に開いてしまうと
折り曲げている中心部分の金属が、金属疲労で痛んでしまう可能性があります。

また、広げるにしても完全に均等な力で左右を開いていきませんと
ねじれが生じて再び二つ折りにした際にズレてしまいます。
ですので、今回もご覧の通り35度くらいで少しだけ開いて
作業を行っております。

それでは次に巻き付ける革の型紙づくりです。
かかと修理のように、古いのを剥がして新しいのを取付けて
削って仕上げるという訳にはいきません。

かならず型紙が必要になります。
それも、一品毎に形状や使用する革の厚みも異なりますので
毎回ごとに型紙、試作、本番という手順を踏む事になります。
ですので、型紙が必要になるような修繕というのは、
おのずと補修作業に時間が掛かりますので、費用もそれなりに掛かります。
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革がきれいに剥がれてくれれば、それを元に型紙が採れるので
一度で型紙が仕上る場合もありますが、今回はすでに擦り切れておりましたし
剥がす際に熱風を当てていますので一部硬化したり、
引き伸びたりしていて宛てになりませんが、とりあえず試作して
被せてみます。

ちなみに、革も試作用の革になります。
この革も悪い革ではないのですが。
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やはり誤差が生じております。
なお、オリジナルの仕様では間に挟む芯材にフェルト芯が
使用されておりましたが、あまり効果的でない芯材ですので
硬質の芯材に変更しています。

試作二回目。
これでいい感じの収まりになったかと思います。
鞄本体の金具にも収まるか確認しておきます。
いざセットしてみると嵌らない!なんて事だと最悪ですので。
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では本番です。
革はこちらの革を使用します。
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鞄本体の革は網目状の型押しレザーでしたが、
型押しの革の場合、通常のシボ革のような型押しあれば
近いものがある場合もありますが、
オリジナルの型押しになりますとご用意ができません。

ただ、鞄の雰囲気的にスムースレザーでも
相性は良さそうでしたので、革の選択はお任せということで
進めさせて頂きました。
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ここで失敗…。
なにが失敗かお分かりでしょうか。
そうなのです、二つ分用意していますね。
いつもの癖で両手分です、この持ち手は一つでいいのですー。
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すでに二回試作していますので、久しぶりのこのタイプでも
手慣れた模様です。

この形状はミシンでは縫えないので手縫いとなります。
オリジナルはミシンで縫製しています。

家庭用のミシンでも、例えばボタンホール用の抑えだったり、
ファスナー縫い用の抑えだったりと、いくつか標準で
搭載しているかと思います。

工業ミシンの抑えというのは、ものすごい種類があります。
「えーこれもミシンで縫えるんかぃ〜」みたいな抑えや。
また、オーダーで注文もできたりします。

しかし、私が修理で使用する抑えは、ベーシックな一種類のみとなっています。
量産品の場合は、大量に製作するので効率的に仕事を進める為に
抑えをその製品に合わせてその都度用意しています。

修理の場合は、ご依頼一品ごとにそれ用の抑えを用意はできませんので、
特別な抑えがなくても縫製できるように、型紙や手順を工夫して製作しています。
それでも縫製できない場合は、今回のように手縫いで行う事になります。
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四本撚りの麻糸に蠟引きを行い必要な長さを用意します。
そして、ひと穴ずつ菱目で穴を貫通させながら、
麻糸を八の字(サドルステッチ)に通し、ひと目、ひと目と
均等な力で糸を引き締めてゆきます。
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手縫いというのは時間が掛かりますが、嫌いじゃない作業です。
糸を均等に引き締める事だけ考え、黙々と、ただ黙々と…。

黙々と縫い終わりましたら、しばしの間、縫目を鑑賞して悦に入ります。
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その後、余分な革をカットしてコバを削り整えましたら
ロウを刷り込んで完成となります。

AFTER
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ときどき手縫いのほうが、ミシン縫製より優れている
というようなことを見聞き致します。
日々、手縫い製品やミシン製品を修理しておりますと
「まっ、そんな違いはないかな…」とも思います。

細かい事を云えば、縫い穴の中での糸の掛かり具合が違うのですが
実用範囲でいえば、どちらも糸が切れれば同じかなとも思います。
また、中途半端な手縫いですと、かえってまずい製品もあったり致します。

わたしが思うに手縫いですと、その縫い目の雰囲気が、
ミシン縫製より、「趣き」があるかなと思います。
これは私が縫った場合ですので、達人が縫えば、
ミシンでも手縫いでも、見た目の違いはなく、
仕上げられるのかとも思いますが。

これも人それぞれで異なるという、手縫いの良さなのかもしれませんが。
巧い下手と云う事ではなく、その糸の引き具合や、針の通し方、
穴の開け方で、縫い目の雰囲気が変わるという。

私の場合は、きもち、糸を引きめで、縫い目の部分に
微妙に革の「より」がでる感じが好みです。
その起伏に光があたることで、その縫い目に表情ができるので。
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ampersandand at 21:59│ 鞄と小物修理