2018年11月25日

壊れすぎていないオールデンを治してみる。 ハーフソールかオールソール、どちらにするか問題。

前回のオールデンの修理と比較するとだいぶ軽症ですが
軽症なのでオールソールするか、部分補修(ハーフラバーソール)とするべきか
判断に悩む状態の今回のオールデン。
181105blog80

前回のオールデンはこちら
「壊れすぎたオールデンを治してみる。 分解篇」
「壊れすぎたオールデンを治してみる。 裂け補修篇」

181105blog77
悩みどころは革底が剥がれてこないかどうか。
特にウェルテッド製法の場合は特にそうなのですが
底縫いの糸が切れていると革底が剥がれてき易い場合があります。

ウェルテッド製法の場合は、中央にはコルクが充填されており
この部分は接着強度は求められません。
ですので革底との接着されている部分は実質
ウェルト部分の幅、1.0cm幅程度の面積となっているのが
剥がれ易いその理由となります。
181105blog75

つま先はすでに他店でラバー補修されていましが、
ダブルソールのオールデンですので、履き始めは特に靴底が返らず
つま先が極端に摩耗したので早々修理されていたのでしょう。
貼られていたラバーを取り除くと…
181105blog84
181105blog85
糸も完全に擦り切れていますので、ぱっくりと。

当店で底縫いの糸が擦り切れた状態でラバーや革素材で
つま先の補修をする場合は、補修部材を取り付ける前や、または
補修部材と一緒にビスでベース部分に固定するようにしています。
糸が完全に切れた状態の土台に補修部材を貼付けても
ベースになる部分がウェルトから剥がれてしまえば意味がありませんので。
181105blog69181105blog70
つま先部分の糸切れについては、ビスで固定できるので切れていても
部分補修という手段はとれるのですが、それ以外の部分、
特に屈曲部分の糸切れについては判断に悩みます。
上画像では周囲に縫われている糸目が擦り切れて見えなくなっています。

下画像はちょうど接地する部分の境目に糸が
擦り切れてなくなっているのが分かるかと思います。
181105blog73181105blog74
この状態からハーフラバーソールを取り付けるとなると
糸が切れている状態ですので、徐々にだったり何かのタイミングで
貼付けた土台となる革底が、先程のつま先部分のように
本体(ウェルト)から浮いてきてしまう場合があります。

ハーフラバーソールを貼付けたから剥がれたというよりは、
すでにある程度履き込まれている状態(糸が切れている)ですので、
貼っても貼らなくてもその時期だったという感じでしょうか。

また後ほど触れますが、オールデンの場合は新品の状態でも
本底、ミッドソール、ウェルトとの間が浮いてきている(ずれている)
場合が多く、底縫いでそれぞれを固定し、接着は底縫いを行なう際の
仮固定という位置づけの仕上げのようです。

では底縫いの糸が切れているからすぐに剥がれてくるかというと、
剥がれてくるものもあればこないものもあったりなかったり…。
また底縫いが擦り切れて、糸の断面がまだあるような状態ですと
その状態でハーフソールを貼付けると、糸の断面がハーフソールの
接着面に固定されますので、案外そのまま固定できるという場合もあります。

いずれにしても、このような場合によくお客様に尋ねられるのは
「どうですかね、剥がれてしまいますかね?」と。

店主の答えとしては、
「糸のみぞ知る…」
とはぼけられませんが、「どうでしょうかね〜」としか
お答えができません。

で、今回は…
まだまだ履き続けたいので「確実なオールソールで。」
ということになりました。
その場合は革底で行なうと、今回のように悩ましい経過を辿ってしまうので
ハーフソールビンテージスチール併用仕様(現役最強仕様)で
始めから万全の体制を敷くことになった次第であります。

それでは分解。
前回の瀕死のオールデンと違い、イレギュラーな事故も起こらず
いつもの手順とおりに。
181105blog81
トップリフト(ダヴリフト)を外して
181105blog82
積上げと下ハチマキを外して革底がでてきましたが、
ほぼ接着剤は塗布されていない状態です。
その代わりに、それぞれの段階で数種類の釘が使用され固定されています。
181105blog83
老舗のメーカーの靴に多いのですが、ウェルテッド製法という作りは
そもそもオールソールし易いように考案された作り方ですので、
なのでオールソールの際にばらし易いように仮固定程度の
接着で済ませるという考えもあるかと思います。

また、昔は接着剤の効果が低くそれだけではそもそも固定できないので
革底は底縫いで固定し、かかとの部分は釘(木釘)で一段一段
固定するという考えがメーカーのよっては現代でも脈々と受け継がれて
いっているのかもしれません。

1884年にオールデンが誕生した頃のような路上が土ではなく
アスファルトで舗装された現代の路面では、底縫いの糸も
擦り切れ易いので、そろそろそんなメーカーは接着剤の使い方については
再考の余地はあるのではないでしょうか。

本底を剥がすとダブルソールですのでミッドソールがあります。
本底とミッドソールもほとんど接着されていない状態です。
181105blog88
ミッドソールを剥がすと充填されたコルクが見えてきます。
181105blog89
前回の瀕死のオールデンと異なり雨水の侵入も見られず
シャンクも錆びておらず鈍色の綺麗なままです。
181105blog90181105blog92
この後は、底縫いの糸を一目一目抜き、コルクを入れ直し、
ミッドソール、革底を取付けて出し縫いし、かかとを積上げていきましたら…

三分クッキング的な感じですが、完成となります。
AFTER
181105blog49181105blog50181105blog51
ハーフソールビンテージスチール併用仕様で
リフトもVIBRAMラバーリフトですので
耐久性とランニングコストを踏まえた現代最強仕様となっております。
この仕様であれば、底縫い糸が擦り切れると云う事は無いので
革底が剥がれてくる事もありません。

摩耗した段階でそれぞれ、ハーフソール、スチール、ラバーリフトを
部分交換していって頂きますと、オールソールの必要は今後ないかと思います。

オールソールの段階だけではなく、新品の段階で
ハーフソールスチール併用仕様を行なえば同様の仕様になります。

今回はアッパーの状態もよく、履き皺の割れや小指部分の裂けなどは
見受けられませんでした。
(かかと内側の擦り切れはありましたが、補修対応で改善)
例えば、履き皺のひび割れ、革の硬化などアッパーの痛みが見られた場合は
オールソールはあまりお勧め致しません。
(なので前回のオールデンはお勧めしなかった訳のですが…)

底周りをオールソールで新品状態に戻しても、後に
アッパーが裂けたりしてしまうと、補修できても縫目が目立つところに
出来たりと見栄えが悪くなりますし、修理できない場合もあります。

ですのでそのようなアッパーの状態が悪い場合には、
オールソールではなく、部分補修で応急処置し、
「履けるところまで履く」というアドバイスになると思います。

ということは末永く愛用するには、日々のアッパー(本体の革)の
お手入れが重要と云う事なのですが(履き始めの時から)。
面倒であれば、屈曲部分(指回り)だけでもいいので、定期的に
保湿を行なってみて頂ければと思います(雨で濡れて乾いた後には特に)
*保湿といってもミンクオイルは使用しないでください。

面倒くさがりやさんにはレザーローションがおすすめです。
無色なので色を気にせず使用できます。

当店でも乾燥気味の修理靴には、乳化性クリーム(色付き)で磨く前に
こちらで保湿を行なってから磨いています。
この製品のみの使用でも、乾拭きすると程よく艶がでますのでいい商品です。

汚れ落としと保湿が同時にできるので面倒くさがりやさんには
もってこいです。
*使用には説明書をよくお読みになってお使いください。

[サフィール] SAPHIR ユニバーサルレザーローション 150ml 汚れ落とし 保湿 ツヤ 靴磨き バッグ 無色 レザー クリーム 9550904002 (Free)


HPアイコンロゴアウトライン


ampersandand at 23:26│ オールソール