2019年04月19日
ロンシャン プリアージュの持ち手を交換するしかない件
前回の記事では持ち手を交換せず、短く加工するという
ご案内でしたが、今回は交換するしか方法がない案件となります。
はずれを引いてしまったようです。


ロンシャン・プリアージュのネオになります。
付根部分で革が裂けてきています。
常々ロンシャンをみていますと、よくこの部分が裂けないものだなと
思っていましたが、角の補修で日々と届くプリアージュを
みていますが、案外どれも裂けていないのです。
裂けてはいませんが革がかなり伸びているものは多数ありますが。
しかし今回ははずれを引いてしまったようです。
革は天然素材ですので、個体差がありなかには繊維の密度が荒く
引っ張られると裂けてしまい易いものも。
今回のプリアージュも繊維が荒くもろい状態でした。
型押しの柄に合わせて簡単に千切れてきてしまいます。



通常はこの部分は裏革を宛てて二重にして強度を出しておいた方が
無難なのですが、その分手間は掛かってしまいます。
使用されている革の厚みは2.0mm弱ありますので、一枚革の仕様としては
ぎりぎりな設定の範囲かと思います。
プリアージュの革は表面に型押しされていて硬さがあるので
スムースの革よりは伸び難い感じではあります。
ただ、今回の品のようにはずれを引いてしまうと、やはりその部分の
強度不足は否めません。
プリアージュはナイロン生地に裏面をコーティングし生地に
張りを出しているので実質薄手のナイロン一枚です。
ナイロン生地に直接革の持ち手を縫い付けています。
ですので荷物をたくさん入れて使われていたりすると
付根部分の縫製がナイロン生地に食い込み裂け始めている事例もあります。
ホックボタンの内側は樹脂のリングで食い込まないように
ちゃんと補強されているんですがね。

新たに持ち手を製作し取り付ける場合は、元の縫い目の位置に
マチ針で角々を合わせて縫製致しますが、それでも1.0mm2.0mmは
元の縫い穴には入らないところがあります。
その場合、逆に元の縫い穴の近くを縫製する事がかえって強度を
弱まらせてしまう場合があります。
古い縫い穴が近いと、負荷が掛かった際に生地がぐっと引っ張られ
その穴と縫い穴が繋がってしまう恐れがあります。

画像でもお分かりのように、縫い目というか切り取り線というか
言い方次第だと思います。点々と半券の切り取り線のように穴が開いています。
革であれば厚みもありますし、強度もあるのでそこまで
気にする事もないのですが。
心配し過ぎなのかもしれませんが、ただ、
「持ち手を交換してからナイロン生地が裂けてきました…」
なんていうお便りが届くのが怖いのです。
かといって持ち手を製作して、尚かつ付根四箇所を補強するとなると
費用も余計に高くなってしまうのですが…。
そして今回は色がグリーン、グリーンなんてあたっけでしたが
唯一在庫していたグリーンがなんともぴったり。


付根の裏は二重に革で補強しておきます。→これがあとで問題に…。
付根の形状、幅などはオリジナル通りに型採りして裁断。
元の縫い穴の角々をマチ針で穴同士を合わせて位置決めし縫製していきますが、
ここで問題が。
付根部分を二重に補強した為に、二つ折りのハンドルから付根部分の
フラットな部分に移行する膨らみの反発が強く、ぴたっと本体に
接地してくれない…。
ちなみにオリジナルの付根部分も一見同じように見えますが個体差が合って
付根部分の横幅が微妙に違っています。
おそらく縫製するロンシャンの職人さんの押さえつけ具合なんだと思います。
もしくはコンピューター制御で自動で縫製しているのならば誤差が凄いですが。
鞄のサイズによってはXL?だったかは持ち手の幅は、
強度的にもともと太く設定してあるようですが。
本体に縫い穴が開いているのでそれより幅が狭く取り付けてしまうと
縫い穴が見えてしまうので、なんとしても元の位置にセットせねばなりません。
指で押さえつけながら一箇所一箇所なんとか縫製することができました。
AFTER

ただ、やはり革の反発(膨らもうとする力)が強いので付根部分の真横に
縫製する縫い目が多少湾曲してしまっています。
色はオリジナルとかなり近いのですが、表面の型押しの柄はありません。
今回のオリジナルの型押しは角シボという柄になっていますが、
他にもプリアージュの場合は数種類の型押しがモデルにより
使い分けられているようです。
ロンシャンのオリジナルの型押し革の場合ですと同じ柄の革はありません。
ですので交換、補強の場合は一般的なシュリンク柄のシボ柄になります、
または今回のようにスムース革。


持ち手付根の内側も革で四箇所とも補強してあります。
やはり補強しないとナイロン生地が心配ですので。

持ち手製作2本、付根4箇所2重補強、付根内側4箇所補強と
オリジナルは単純に二つ折りして本体に縫製しているだけですが
再制作の場合は以上のような作業が追加されてしまいますので
必然的に持ち手交換の費用はお高くなってしまいます。
前回のロングをショートにする場合でも作り替えると同様の内容ですので
手間(費用)の掛かる付根部分をいじらずに、カットして縮める方法を
ご提案させて頂きました(革も変わらないので見栄えも同じになりますし)
ただ、強度を心配し過ぎなのかもしれませんので、オリジナル通りに
二つ折りでそのまま本体に縫製しても大丈夫なのかもしれませんが。
古いプリアージュを購入して、持ち手を補強無しで交換し、
5kgの鉄アレイを入れっぱなしで吊るしておいて強度が大丈夫かどうか
実験でもしてみようかなと思う、プリアージュな今日この頃…。
補修費用などについてはHPをご覧下さい。

ご案内でしたが、今回は交換するしか方法がない案件となります。
はずれを引いてしまったようです。


ロンシャン・プリアージュのネオになります。
付根部分で革が裂けてきています。
常々ロンシャンをみていますと、よくこの部分が裂けないものだなと
思っていましたが、角の補修で日々と届くプリアージュを
みていますが、案外どれも裂けていないのです。
裂けてはいませんが革がかなり伸びているものは多数ありますが。
しかし今回ははずれを引いてしまったようです。
革は天然素材ですので、個体差がありなかには繊維の密度が荒く
引っ張られると裂けてしまい易いものも。
今回のプリアージュも繊維が荒くもろい状態でした。
型押しの柄に合わせて簡単に千切れてきてしまいます。



通常はこの部分は裏革を宛てて二重にして強度を出しておいた方が
無難なのですが、その分手間は掛かってしまいます。
使用されている革の厚みは2.0mm弱ありますので、一枚革の仕様としては
ぎりぎりな設定の範囲かと思います。
プリアージュの革は表面に型押しされていて硬さがあるので
スムースの革よりは伸び難い感じではあります。
ただ、今回の品のようにはずれを引いてしまうと、やはりその部分の
強度不足は否めません。
プリアージュはナイロン生地に裏面をコーティングし生地に
張りを出しているので実質薄手のナイロン一枚です。
ナイロン生地に直接革の持ち手を縫い付けています。
ですので荷物をたくさん入れて使われていたりすると
付根部分の縫製がナイロン生地に食い込み裂け始めている事例もあります。
ホックボタンの内側は樹脂のリングで食い込まないように
ちゃんと補強されているんですがね。

新たに持ち手を製作し取り付ける場合は、元の縫い目の位置に
マチ針で角々を合わせて縫製致しますが、それでも1.0mm2.0mmは
元の縫い穴には入らないところがあります。
その場合、逆に元の縫い穴の近くを縫製する事がかえって強度を
弱まらせてしまう場合があります。
古い縫い穴が近いと、負荷が掛かった際に生地がぐっと引っ張られ
その穴と縫い穴が繋がってしまう恐れがあります。

画像でもお分かりのように、縫い目というか切り取り線というか
言い方次第だと思います。点々と半券の切り取り線のように穴が開いています。
革であれば厚みもありますし、強度もあるのでそこまで
気にする事もないのですが。
心配し過ぎなのかもしれませんが、ただ、
「持ち手を交換してからナイロン生地が裂けてきました…」
なんていうお便りが届くのが怖いのです。
かといって持ち手を製作して、尚かつ付根四箇所を補強するとなると
費用も余計に高くなってしまうのですが…。
そして今回は色がグリーン、グリーンなんてあたっけでしたが
唯一在庫していたグリーンがなんともぴったり。


付根の裏は二重に革で補強しておきます。→これがあとで問題に…。
付根の形状、幅などはオリジナル通りに型採りして裁断。
元の縫い穴の角々をマチ針で穴同士を合わせて位置決めし縫製していきますが、
ここで問題が。
付根部分を二重に補強した為に、二つ折りのハンドルから付根部分の
フラットな部分に移行する膨らみの反発が強く、ぴたっと本体に
接地してくれない…。
ちなみにオリジナルの付根部分も一見同じように見えますが個体差が合って
付根部分の横幅が微妙に違っています。
おそらく縫製するロンシャンの職人さんの押さえつけ具合なんだと思います。
もしくはコンピューター制御で自動で縫製しているのならば誤差が凄いですが。
鞄のサイズによってはXL?だったかは持ち手の幅は、
強度的にもともと太く設定してあるようですが。
本体に縫い穴が開いているのでそれより幅が狭く取り付けてしまうと
縫い穴が見えてしまうので、なんとしても元の位置にセットせねばなりません。
指で押さえつけながら一箇所一箇所なんとか縫製することができました。
AFTER

ただ、やはり革の反発(膨らもうとする力)が強いので付根部分の真横に
縫製する縫い目が多少湾曲してしまっています。
色はオリジナルとかなり近いのですが、表面の型押しの柄はありません。
今回のオリジナルの型押しは角シボという柄になっていますが、
他にもプリアージュの場合は数種類の型押しがモデルにより
使い分けられているようです。
ロンシャンのオリジナルの型押し革の場合ですと同じ柄の革はありません。
ですので交換、補強の場合は一般的なシュリンク柄のシボ柄になります、
または今回のようにスムース革。


持ち手付根の内側も革で四箇所とも補強してあります。
やはり補強しないとナイロン生地が心配ですので。

持ち手製作2本、付根4箇所2重補強、付根内側4箇所補強と
オリジナルは単純に二つ折りして本体に縫製しているだけですが
再制作の場合は以上のような作業が追加されてしまいますので
必然的に持ち手交換の費用はお高くなってしまいます。
前回のロングをショートにする場合でも作り替えると同様の内容ですので
手間(費用)の掛かる付根部分をいじらずに、カットして縮める方法を
ご提案させて頂きました(革も変わらないので見栄えも同じになりますし)
ただ、強度を心配し過ぎなのかもしれませんので、オリジナル通りに
二つ折りでそのまま本体に縫製しても大丈夫なのかもしれませんが。
古いプリアージュを購入して、持ち手を補強無しで交換し、
5kgの鉄アレイを入れっぱなしで吊るしておいて強度が大丈夫かどうか
実験でもしてみようかなと思う、プリアージュな今日この頃…。
補修費用などについてはHPをご覧下さい。

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