2019年10月26日

ミルフィーユな持ち手。 グッチの持ち手交換篇

貼り合わせのみで作られた持ち手というのはいずれバラバラに
剥離してきてしまうのでご購入の際はお気をつけ下さい。
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持ち手は手に触れて汗ばみますし、手の部分は屈曲します。
その部分が縫い合わされずに貼り合わされているだけであれば
必ず剥離してきてしまいます。

今回の持ち手は厚みが5.0mmぐらいありますが、実際の革の厚みというのは
表と裏に使われている1.0mmずつとなり、間に挟まれている部分は
紙を圧縮したボール紙のような合成素材になります。
GOYARDの持ち手も同じ作りですのがこちらは縫製してありますので
剥離してはきませんが、付根部分が使用により捻られてしまい
芯材のボール紙が割れて付根で千切れがちです。

この圧縮素材はしばしば鞄に使われていますがとても厄介…。
経年劣化してくると、ミルフィーユのように表層が剥離し始めてきます。
ですので剥がれた部分を接着しても、その下層の層が引っ張られて
また剥離してきますので補修が不可となります。

ですのでこのような仕様の持ち手は作り直しになってしまいます。
ちなみに腰に巻くベルトも同様に接着のみで作られている製品がありますが
その場合もやはり同じ症状が起ります。

表と裏で貼り合わせ、それを曲げて使用する製品は構造に無理があるので
そもそも剥がれてしまいます。
貼り合わせたものを曲げると内側に皺が寄りますが
皺がよるという事は裏面のほうが長さが余っている状態です。
使い込んでいくと表側の革は伸ばされ内側の革は弛んでいきますので
最終的に元々は同じ長さであった表と裏の革の長さが異なってしまい
接着では固定できずに剥離してきてしまうという事です。
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新たに作成する場合はもちろん縫製した仕様でお作りします。
そして合成素材は使わずすべて革で構成します。
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1.6mmのオイルヌメ革を両面に使用し、間の芯材には2.5mmのヌメ革の
床革を挟み込みます。
合計6.0mm弱の厚みに重ね合わせてから革包丁で仕上げの幅に裁断します。
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断面はグラインダーで滑らかに削り、角ばったエッジも落とし
手触りを良くしておきます。
断面は毛羽立ちますのでコバ(断面)に目留め液を塗布し落ち着かせます。
最後はコバ用の塗料でブラックにコーティングします。
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ミシンで縫製し本体にセッティングして完成。
セッティングはオリジナルと同じ仕様で手縫いにてステッチを掛けます。
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縫わない持ち手の剥離というのは、そもそもブランドは承知していて
そのような仕様にしているので、たちが悪いのか、長く使うモノではない、
という考えという事なのか…。

なかなか値段と質が合わない世の中だな、と思う今日この頃…。

ampersandand at 19:30│ 鞄と小物修理