2020年04月03日

ボタンブーツが出来るまで… 自称 23.5cm・サイズ確認篇。

当初、短靴でということで承ったのはずなのですが、製作まで長らく
お待ち頂いている間にボタンブーツでということになってしまい…。
だいぶお待ち頂いていましたので今更ボタンブーツは作っておりませんよと
云うわけにもいかず…
ということで今回はボタンブーツを作ります。
*今回はデザインは自由でサイズはサイズオーダーにてご注文です。

まだ婦人靴では使っていない靴型を使用することになりましたので、
まずはサイズ確認用に幾つかサイズサンプルを製作。
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製甲している間に掛かってきた電話を取ったりしていたら…
すっかり裏鳩目を入れるのを忘れてしまいそのまま、トップラインを縫製して
しまったので仕方なく表鳩目にする事に…。

サイズを確認する用の靴なので表でも裏でもどちらでもいいのですが
一足だけ表というのもあれなのですべてのサイズを表鳩目にしてしまいます。
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製甲ができましたので次は釣り込み。
先芯や月型をセットしてアッパーを釣り込んで靴の形にしていきます。
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採寸しても結局はその値は数字でしかないので、こちらでこの数字だと
これが丁度いいですね、と云ったところで最終的には履いた人が
どう感じるか、ですので実際に幾つかサイズサンプルを履いて頂いて
これとこれでは?と既製品と同じ様に比較して確認して
頂いた方が分かり易いです。

加えて、狭い店内を歩いても分からないので、サンプルの靴を履いて
お店周辺を歩かれて具合を確認して頂くとより安心です。

靴というのは洋服などとは違い、静止している状態でいくら合っていても
歩いてみたら、季節が変わったら、靴下の厚みによっては…
革が延びたら…と状態によって如何様にも変わっていってしまいますので
寸法というよりはぶつ合わせ、したほうがその誤差は
少なくなるんだと思います。

今回も普段は23.5を履かれているということでしたが採寸してみると
22.0か22.5ぐらいでした。
まず23.5を履いて頂くとこれぐらいかな…とお客様。
しかし触診してみると指周りの革はダブついていますし踵に隙間も、
23.0を履いてみて頂き、22.5…22.0…
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結局はこの靴型ですと22.0が適正サイズでした。
この場合の適正サイズというのは、私がこれぐらいでいいですよ、
というのではなく、サイズ違いを履いて頂いてこれが一番気持ちがいい、
とご本人が思われたサイズになります。

サイズが合っているかどうかというのは難しいところで、
例えば洋服でもジャストサイズというよりは緩めの着心地が心地よいと
云う方もいらっしゃいます。
靴も寸法からこのサイズがジャストサイズ、と私が思ってもご本人が
窮屈または緩いと思われてしまうと、それは合っていないということになります。

ですので主観的な履き心地と、こちらの経験値的な部分を
擦り合わせてバランスがいいところが落としどころなのかと思います。

既製品の靴のサイズ調整でお持ちになられる方で、しばしば
おっしゃられるのが、私は少し大きいと感じたのだけど
お店の人にこれぐらいが丁度いいと云われたので…と。
それではダメです、もう少し自分の感覚を信じてみてください。

そう、あのブルースリーも云っています。
「 Don't Think. Feel!」
(靴を履く時は)考えるな、感じろ!と。
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こんなに小さくても履けるんだと、いつもと違うフィット感に
お客さまもちょっと驚いた感じでしたが、知らず知らずのうちに
「私は23.5cm」という思い込みでいつも23.5近辺の既製品を
購入されていたのだと思います。

そもそもこの靴のサイズ表記なんてあってないようなものなので
あまり信じないでいいかと思います、必ず前後の幾つかを試し履き
してみてください。

22.0で指周りの締め付けと踵のフィットも丁度いい感じでしたが
少し外反母趾気味な親指の付根が窮屈ということでしたので
この部分はのせ甲(靴型に革を盛って修正)で調節すれば
いい具合になりそうです。

ただ今の状態ですと、羽が完全に閉じているので甲の部分が緩いのですが
今回製作するのはブーツですので、それはシャフトの立ち上がりの
位置の調節でカバーする事にします。

次回はパターン確認篇になります。

ampersandand at 21:59│ 靴づくり