2020年05月25日
ズボンのシルエットを綺麗に見せるには。ブーツのシャフト詰篇
この修理はそんなに頻繁にご依頼があるわけではないのですが
年に何回かご依頼いただくブーツのシャフト詰め。
シャフトというのは筒の部分になるのですが、靴のサイズは選べても
シャフトのサイズ(太さ)までは選べませんので必要になる場合が
あるようです。
しかも今回のようにサイズというよりは履きこなし方によって
補正が必要になる場合も多く、というかこの丈の場合はそれが主な理由ですが。
細身のズボンで履く場合にシャフトが太いとズボンのシルエットが綺麗に
出なくなってしまうということ。
BEFORE
膝下がすっといきたいところが、シャフトが太いとブーツの履き口でズボンが
弛んでしまし、だぶついてすっと落ちてくれなくなります。
なので今回はシャフトを詰めて細くし、ズボンのシルエットを崩さないように
する補修になります。
ただシャフトを詰めるといっても単純に細くしてしまうと、そのシャフトに
繋がっている本体との距離の整合性が取れなくなってしまいます。
例えば、本体との合わさりめの周囲寸法が200mmなのに、シャフトを詰めて
周囲を180mmにして本体と接合すると、20mm本体側の距離が
余ってしまいます。
それでも出来なくはないのですが、シルエットが崩れたり新たなサイズ調整が
必要になる可能性があるなどリスクが高くなります(費用も高くなる)。
ですので今回は履き口が引っかからないようにすれば良いというお題でしたので
履き口に向かって細くなるように補正していきます。
ぱかっと。
詰める場合にどの程度詰めるか一番確実なのはブツ合わせなので
今回詰めるセンター部分をとりあえず裁断し、実際にこの状態で
履いていただいてどの程度寄せれば良いか確認。
だいたいトップで25mm詰めれば良い感じになりそうで、また寸法を変えない
本体接合部分におかしな皺も入らないようなのでGOですと。
今回はセンターで詰めましたが、ご依頼品はバックファスナーということもあり
バックでは詰められない、サイドで詰めるとなると両側で詰めないとセンターが
ずれてしまうの綺麗ではない、で今回はセンターでの補正となっています。
靴のデザインや補正具合によって詰める部分は靴それぞれで
違ってくるかと思います。
シャフトを分離。
今回は当初、シャフトを分離せず加工する予定でしたが、裏革は
シャフト部分に無く、またかかとに入っているカウンター(芯材)の影響も
受けていないようでしたのでシャフトを分離して加工することになりました。
分離できない場合は、詰める部分の縫製方法は今回とは異なってきます。
この靴は履き口が斜めになっていますので、センターを詰めると
合わさりめの高さにずれが生じてしまいます。
で、高さも詰めて良いという事でしたので、オーソドックスな水平ラインに
修正します。ですので今回はシャフト詰めと丈詰めという内容です。
水平といっても直線でカットしてしまうと筒にした際には水平になりません。
青いラインのように緩やかな円弧を描くことで水平になります。
丈を詰める前にファスナーの処理を行います。
分解してエレメントを一つづつ摘んでカットし、テープの長さを修正し
またエンド処理を行います。
今回のようにすでに履きこまれた靴の丈詰めというのは難しいです。
履きジワが入っているので置いた状態でもすでに左右で高さが異なります。
伸ばしたところで伸ばし具合でも違ってしまいますし。
また今回は履き口のラインを水平に補正するのでより厄介です。
そもそもブーツの場合は新品でも左右で高さが異なっていることが多く
既製品で誤差は当たり前なのですが履きこまれると基準となる
ラインがどれも不確かな・・・。
こういう場合は左右でそれぞれ近似値を取るより、片側をカットしたパーツで
反対側も合わせるのがベターかと思います。
なのでカットした丈を反対側に載せてラインどりをしてカットします。
ようやくシャフト詰めです。
トップで25.0mm詰まるように傾斜をつけて約11.0mmずつカットします。
11.0mmだと左右合わせて22.0mmにしか詰まりませんが、
縫い割代で2.0mm(計4.0mm)ぐらい詰まるので片側11.0mmでカットになります。
カット面を縫い割。
縫い割部分はあとで革の帯で補強しておきます。
これでシャフトが詰め終わりましたのであとは本体と接合していきます。
元の縫い穴を一つずつ拾い、ひと針ひと針と縫製していきます。
で、完成となります。
オリジナルは履き口部分の表側に革帯を当てて補強(デザイン)していましたが
革がタンニン鞣しの染料仕上げでしたので経年のエイジングで徐々に
色が変わっていきます。
ですので現在の色に合わせた色の近い革で同様の加工を行っても
後々に色の違いが出てきてしまうと思われるので、内側に革を当てて
補強を行ってあります。
AFTER
年に何回かご依頼いただくブーツのシャフト詰め。
シャフトというのは筒の部分になるのですが、靴のサイズは選べても
シャフトのサイズ(太さ)までは選べませんので必要になる場合が
あるようです。
しかも今回のようにサイズというよりは履きこなし方によって
補正が必要になる場合も多く、というかこの丈の場合はそれが主な理由ですが。
細身のズボンで履く場合にシャフトが太いとズボンのシルエットが綺麗に
出なくなってしまうということ。
BEFORE
膝下がすっといきたいところが、シャフトが太いとブーツの履き口でズボンが
弛んでしまし、だぶついてすっと落ちてくれなくなります。
なので今回はシャフトを詰めて細くし、ズボンのシルエットを崩さないように
する補修になります。
ただシャフトを詰めるといっても単純に細くしてしまうと、そのシャフトに
繋がっている本体との距離の整合性が取れなくなってしまいます。
例えば、本体との合わさりめの周囲寸法が200mmなのに、シャフトを詰めて
周囲を180mmにして本体と接合すると、20mm本体側の距離が
余ってしまいます。
それでも出来なくはないのですが、シルエットが崩れたり新たなサイズ調整が
必要になる可能性があるなどリスクが高くなります(費用も高くなる)。
ですので今回は履き口が引っかからないようにすれば良いというお題でしたので
履き口に向かって細くなるように補正していきます。
ぱかっと。
詰める場合にどの程度詰めるか一番確実なのはブツ合わせなので
今回詰めるセンター部分をとりあえず裁断し、実際にこの状態で
履いていただいてどの程度寄せれば良いか確認。
だいたいトップで25mm詰めれば良い感じになりそうで、また寸法を変えない
本体接合部分におかしな皺も入らないようなのでGOですと。
今回はセンターで詰めましたが、ご依頼品はバックファスナーということもあり
バックでは詰められない、サイドで詰めるとなると両側で詰めないとセンターが
ずれてしまうの綺麗ではない、で今回はセンターでの補正となっています。
靴のデザインや補正具合によって詰める部分は靴それぞれで
違ってくるかと思います。
シャフトを分離。
今回は当初、シャフトを分離せず加工する予定でしたが、裏革は
シャフト部分に無く、またかかとに入っているカウンター(芯材)の影響も
受けていないようでしたのでシャフトを分離して加工することになりました。
分離できない場合は、詰める部分の縫製方法は今回とは異なってきます。
この靴は履き口が斜めになっていますので、センターを詰めると
合わさりめの高さにずれが生じてしまいます。
で、高さも詰めて良いという事でしたので、オーソドックスな水平ラインに
修正します。ですので今回はシャフト詰めと丈詰めという内容です。
水平といっても直線でカットしてしまうと筒にした際には水平になりません。
青いラインのように緩やかな円弧を描くことで水平になります。
丈を詰める前にファスナーの処理を行います。
分解してエレメントを一つづつ摘んでカットし、テープの長さを修正し
またエンド処理を行います。
今回のようにすでに履きこまれた靴の丈詰めというのは難しいです。
履きジワが入っているので置いた状態でもすでに左右で高さが異なります。
伸ばしたところで伸ばし具合でも違ってしまいますし。
また今回は履き口のラインを水平に補正するのでより厄介です。
そもそもブーツの場合は新品でも左右で高さが異なっていることが多く
既製品で誤差は当たり前なのですが履きこまれると基準となる
ラインがどれも不確かな・・・。
こういう場合は左右でそれぞれ近似値を取るより、片側をカットしたパーツで
反対側も合わせるのがベターかと思います。
なのでカットした丈を反対側に載せてラインどりをしてカットします。
ようやくシャフト詰めです。
トップで25.0mm詰まるように傾斜をつけて約11.0mmずつカットします。
11.0mmだと左右合わせて22.0mmにしか詰まりませんが、
縫い割代で2.0mm(計4.0mm)ぐらい詰まるので片側11.0mmでカットになります。
カット面を縫い割。
縫い割部分はあとで革の帯で補強しておきます。
これでシャフトが詰め終わりましたのであとは本体と接合していきます。
元の縫い穴を一つずつ拾い、ひと針ひと針と縫製していきます。
で、完成となります。
オリジナルは履き口部分の表側に革帯を当てて補強(デザイン)していましたが
革がタンニン鞣しの染料仕上げでしたので経年のエイジングで徐々に
色が変わっていきます。
ですので現在の色に合わせた色の近い革で同様の加工を行っても
後々に色の違いが出てきてしまうと思われるので、内側に革を当てて
補強を行ってあります。
AFTER
ampersandand at 18:18│
│靴修理