靴づくり
2020年04月09日
ボタンブーツが出来るまで… 製甲からの完成篇。
前回で細かいところまで決まったのでようやく本番です。
それぞれ型紙に合わしてパーツを裁断し、組み立てる際に
革が重なる部分は漉き加工を行い製甲の下準備を。
製甲とは裁断したパーツを縫製して組み立てていく作業になります。
靴の製作はいくつか行程に分かれていまして、
デザイン、型紙、裁断、漉き、製甲、釣り込み、底付け、仕上げ
という感じでしょうか。
型紙は靴型にデザインを描いてそれを平面に落とし込む作業になります。
三次曲面の立体を平面に落とし込むので矛盾が生じますが、
足したり引いたりと色々と駆け引きをして平面にしていきます。
例えばサッカーボールを想像してもらえると分かり易いかも知れませんが
あれって球体にするのに革パーツをパズルの様に組み合せていますよね。
昔ながらの黒白のデザインだと五角形や六角形のパーツ
を組み合せて球体にしてます。
靴型の場合は三次曲面なのでピースは複雑です。
単一の球体と違い、膨らんでいるところもあれば凹んでいる形状もあるので
ややこしや、ややこしや〜。
その型紙が合っているかどうかは革で試作をし、靴型に釣り込んでみて
正解かどうか分かるのですが、釣り込んだ結果、変な皺がでてしまったり
靴型に添わずに浮いてしまったりして何度やってもうまくいかない…
と、今回のようなほとんど余りやらないボタンブーツの型紙の場合は
どつぼに嵌る場合も多々あります。
ただ使用する革や釣り込む時の革の伸びをイメージし、
どの部分に面積をプラスしてどの部分をマイナスにして…
と右脳で想像しながら型紙を起こし、釣り込んだ際にぴたっと
一発でうまくいく時はなぞなぞの答えが閃いた時のような
気持ち良さがありますね。
ちなみにですが今回はボタンブーツということもあり、
縫製するミシンの構造(腕ミシン)の都合で、その順番で組み立てると
後々にこの部分が縫製できなくなる…
と、製甲途中で気づく事も今回は何度かあり精神的ダメージが甚大でした…。
パイピングの縫製。
パイピングはあまりやらないので緊張します。
ライニングの縫製。
はみ出ている部分は縫製後に市切りという道具で浚います。
ボタンホール縫製。
今回はシンプルにぐるっと縫製。
つま革縫製。
筒の部分と胴体部分を縫製していきますが、ミシンの構造により
今回のボタンブーツではそのままぐるっと一周縫製するのは厳しいので
何かと工夫が必要でした。
製甲完成。
釣り込みをして底付け途中まで。
底はマッケイ製法で底縫いを行ないました。
あとは前側にハーフラバーソールを取付け、踵周りは積上げとリフトの
取付けをし、底面をオールブラックに染めて完成となります。
ちなみに前回の最終確認の際に念の為、底周りの確認をとったところ…。
当初の打ち合わせではメンズライクにコバを張り出させて
靴底もボリュームのある感じでということでしたが、
最終的にはコバを出さずにすっきりとした感じ、ということになりました。
なので前回の試し履き靴ではコバありになっていますが、
最終ではコバ無し(丸コバ)になっています。
コバ無しになり底周りが華奢な雰囲気になるので、それではヒールも
寸胴(垂直)ではなくピッチドヒールというのもありますよ、とご提案。
ピッチドヒールというのは地面に向かって少しずつすぼめていく仕様に
なりますが、その方が今回のようなコバ無しのシングルソールの華奢な
雰囲気には相性がよいです。
完成。
黒革は表面が平滑なスムースレザーを用い、白革は表面に皺柄のあるシボ革を。
シボ革を用いる事で表面に陰影の表情が生まれるので、スムース同士の
白黒の対比より白革と黒革のコントラストが少し和らいで雰囲気が
宜しいかと思います。
ちなみに黒色と白色で出来た靴を撮影するというのは難しいですね。
白飛びしてしまうか、影が潰れてしまうか…。
ホワイトバランスはどう調整したらいいのやら。
確かイギリスではインスタ映えしないので(巧く映せないので)
黒猫がたくさん捨てられてしまうというニュースがありましたが…
そんな奴は猫を飼うんじゃない!
と思う今日この頃…。
その他のボタンブーツの記事(カスタムリメイク篇)
それぞれ型紙に合わしてパーツを裁断し、組み立てる際に
革が重なる部分は漉き加工を行い製甲の下準備を。
製甲とは裁断したパーツを縫製して組み立てていく作業になります。
靴の製作はいくつか行程に分かれていまして、
デザイン、型紙、裁断、漉き、製甲、釣り込み、底付け、仕上げ
という感じでしょうか。
型紙は靴型にデザインを描いてそれを平面に落とし込む作業になります。
三次曲面の立体を平面に落とし込むので矛盾が生じますが、
足したり引いたりと色々と駆け引きをして平面にしていきます。
例えばサッカーボールを想像してもらえると分かり易いかも知れませんが
あれって球体にするのに革パーツをパズルの様に組み合せていますよね。
昔ながらの黒白のデザインだと五角形や六角形のパーツ
を組み合せて球体にしてます。
靴型の場合は三次曲面なのでピースは複雑です。
単一の球体と違い、膨らんでいるところもあれば凹んでいる形状もあるので
ややこしや、ややこしや〜。
その型紙が合っているかどうかは革で試作をし、靴型に釣り込んでみて
正解かどうか分かるのですが、釣り込んだ結果、変な皺がでてしまったり
靴型に添わずに浮いてしまったりして何度やってもうまくいかない…
と、今回のようなほとんど余りやらないボタンブーツの型紙の場合は
どつぼに嵌る場合も多々あります。
ただ使用する革や釣り込む時の革の伸びをイメージし、
どの部分に面積をプラスしてどの部分をマイナスにして…
と右脳で想像しながら型紙を起こし、釣り込んだ際にぴたっと
一発でうまくいく時はなぞなぞの答えが閃いた時のような
気持ち良さがありますね。
ちなみにですが今回はボタンブーツということもあり、
縫製するミシンの構造(腕ミシン)の都合で、その順番で組み立てると
後々にこの部分が縫製できなくなる…
と、製甲途中で気づく事も今回は何度かあり精神的ダメージが甚大でした…。
パイピングの縫製。
パイピングはあまりやらないので緊張します。
ライニングの縫製。
はみ出ている部分は縫製後に市切りという道具で浚います。
ボタンホール縫製。
今回はシンプルにぐるっと縫製。
つま革縫製。
筒の部分と胴体部分を縫製していきますが、ミシンの構造により
今回のボタンブーツではそのままぐるっと一周縫製するのは厳しいので
何かと工夫が必要でした。
製甲完成。
釣り込みをして底付け途中まで。
底はマッケイ製法で底縫いを行ないました。
あとは前側にハーフラバーソールを取付け、踵周りは積上げとリフトの
取付けをし、底面をオールブラックに染めて完成となります。
ちなみに前回の最終確認の際に念の為、底周りの確認をとったところ…。
当初の打ち合わせではメンズライクにコバを張り出させて
靴底もボリュームのある感じでということでしたが、
最終的にはコバを出さずにすっきりとした感じ、ということになりました。
なので前回の試し履き靴ではコバありになっていますが、
最終ではコバ無し(丸コバ)になっています。
コバ無しになり底周りが華奢な雰囲気になるので、それではヒールも
寸胴(垂直)ではなくピッチドヒールというのもありますよ、とご提案。
ピッチドヒールというのは地面に向かって少しずつすぼめていく仕様に
なりますが、その方が今回のようなコバ無しのシングルソールの華奢な
雰囲気には相性がよいです。
完成。
黒革は表面が平滑なスムースレザーを用い、白革は表面に皺柄のあるシボ革を。
シボ革を用いる事で表面に陰影の表情が生まれるので、スムース同士の
白黒の対比より白革と黒革のコントラストが少し和らいで雰囲気が
宜しいかと思います。
ちなみに黒色と白色で出来た靴を撮影するというのは難しいですね。
白飛びしてしまうか、影が潰れてしまうか…。
ホワイトバランスはどう調整したらいいのやら。
確かイギリスではインスタ映えしないので(巧く映せないので)
黒猫がたくさん捨てられてしまうというニュースがありましたが…
そんな奴は猫を飼うんじゃない!
と思う今日この頃…。
その他のボタンブーツの記事(カスタムリメイク篇)
ampersandand at 12:00|Permalink│
2020年04月08日
ボタンブーツが出来るまで… パターン確認篇。
前回のサイズ確認で甲の部分が緩いので筒の部分の立ち上がりで
調整するということでパターンを調整して試作して履いてみて頂くと…
立ち上がりの位置が誤ってしまったようで…
前側がユルユルじゃぁないですか…。
ボタンブーツのオーダーに際してご希望としてはアンティークの
ボタンブーツのように筒部分は脚にぴたっと足袋の様にフィットした感じで
内側にはファスナー仕様というお題になっています。
まず脚にぴたっとフィットした、というのはなかなか難題で
しかもボタンブーツ…。
通常のブーツであればぐるっと革が一周しているので採寸した
寸法で塩梅を調節すればいいと思うのですが、ボタンブーツですと
ボタンを留める部分でパーツが載り合うのでその距離の調整分と
ボタンで固定するのでその分のボタンの足の遊び寸法などなど…
解決しなければならない部分が多過ぎますね。
で二回目のパターン確認。
なぜだかどうしてぴったり…。
これは私の腕というよりはたまたまなんですね、完全に。
私としてはもう一回作って合うだろうなと思っていたので。
といってもこれを作る前には3回ほど作り直してシルエットを
調整してはいるのですが…。
逆にジャストサイズ過ぎて、内側のファスナーにテンションが
掛かり過ぎてしまいそうでちょっと不安でしたので少し緩めませんか?
とご相談してみると、このフィット感のままがいいということでしたので
どうしようかと思案…。
パターンがこれで仮決まりしましたのであとは微調整となります。
懸念部分のジャストサイズ過ぎてファスナーにテンションが
掛かり過ぎるのでは案件ですが、これはボタン部分の固定を糸ではなく
ゴムにすることで脚に合わせて距離が伸縮してよいのではないか?
ということで三回目試作ではその仕様で履いてみて頂くと、
すべてのボタンの固定をゴムにした事で、甲部分の押さえ付けが弱く
なってしまったということで、上から三個分のボタンのみを
ゴム固定にすれば脚(ふくらはぎ)に合わせてアジャストされ
ファスナーへの負担が軽減されるという解決法になりました。
それとボタンホールですが一般的にはボタンホールは穴は
糸で縁を縢るのですが、それだと今回は本番の白いシボ革では穴の部分が
主張し過ぎるということで、シンプルに縁にぐるっとステッチを施すのみ
ということになりました。
ようやくこれで本番の製作に入ります。
次回、製甲からの完成篇になります。
調整するということでパターンを調整して試作して履いてみて頂くと…
立ち上がりの位置が誤ってしまったようで…
前側がユルユルじゃぁないですか…。
ボタンブーツのオーダーに際してご希望としてはアンティークの
ボタンブーツのように筒部分は脚にぴたっと足袋の様にフィットした感じで
内側にはファスナー仕様というお題になっています。
まず脚にぴたっとフィットした、というのはなかなか難題で
しかもボタンブーツ…。
通常のブーツであればぐるっと革が一周しているので採寸した
寸法で塩梅を調節すればいいと思うのですが、ボタンブーツですと
ボタンを留める部分でパーツが載り合うのでその距離の調整分と
ボタンで固定するのでその分のボタンの足の遊び寸法などなど…
解決しなければならない部分が多過ぎますね。
で二回目のパターン確認。
なぜだかどうしてぴったり…。
これは私の腕というよりはたまたまなんですね、完全に。
私としてはもう一回作って合うだろうなと思っていたので。
といってもこれを作る前には3回ほど作り直してシルエットを
調整してはいるのですが…。
逆にジャストサイズ過ぎて、内側のファスナーにテンションが
掛かり過ぎてしまいそうでちょっと不安でしたので少し緩めませんか?
とご相談してみると、このフィット感のままがいいということでしたので
どうしようかと思案…。
パターンがこれで仮決まりしましたのであとは微調整となります。
懸念部分のジャストサイズ過ぎてファスナーにテンションが
掛かり過ぎるのでは案件ですが、これはボタン部分の固定を糸ではなく
ゴムにすることで脚に合わせて距離が伸縮してよいのではないか?
ということで三回目試作ではその仕様で履いてみて頂くと、
すべてのボタンの固定をゴムにした事で、甲部分の押さえ付けが弱く
なってしまったということで、上から三個分のボタンのみを
ゴム固定にすれば脚(ふくらはぎ)に合わせてアジャストされ
ファスナーへの負担が軽減されるという解決法になりました。
それとボタンホールですが一般的にはボタンホールは穴は
糸で縁を縢るのですが、それだと今回は本番の白いシボ革では穴の部分が
主張し過ぎるということで、シンプルに縁にぐるっとステッチを施すのみ
ということになりました。
ようやくこれで本番の製作に入ります。
次回、製甲からの完成篇になります。
ampersandand at 15:06|Permalink│
2020年04月03日
ボタンブーツが出来るまで… 自称 23.5cm・サイズ確認篇。
当初、短靴でということで承ったのはずなのですが、製作まで長らく
お待ち頂いている間にボタンブーツでということになってしまい…。
だいぶお待ち頂いていましたので今更ボタンブーツは作っておりませんよと
云うわけにもいかず…
ということで今回はボタンブーツを作ります。
*今回はデザインは自由でサイズはサイズオーダーにてご注文です。
まだ婦人靴では使っていない靴型を使用することになりましたので、
まずはサイズ確認用に幾つかサイズサンプルを製作。
製甲している間に掛かってきた電話を取ったりしていたら…
すっかり裏鳩目を入れるのを忘れてしまいそのまま、トップラインを縫製して
しまったので仕方なく表鳩目にする事に…。
サイズを確認する用の靴なので表でも裏でもどちらでもいいのですが
一足だけ表というのもあれなのですべてのサイズを表鳩目にしてしまいます。
製甲ができましたので次は釣り込み。
先芯や月型をセットしてアッパーを釣り込んで靴の形にしていきます。
採寸しても結局はその値は数字でしかないので、こちらでこの数字だと
これが丁度いいですね、と云ったところで最終的には履いた人が
どう感じるか、ですので実際に幾つかサイズサンプルを履いて頂いて
これとこれでは?と既製品と同じ様に比較して確認して
頂いた方が分かり易いです。
加えて、狭い店内を歩いても分からないので、サンプルの靴を履いて
お店周辺を歩かれて具合を確認して頂くとより安心です。
靴というのは洋服などとは違い、静止している状態でいくら合っていても
歩いてみたら、季節が変わったら、靴下の厚みによっては…
革が延びたら…と状態によって如何様にも変わっていってしまいますので
寸法というよりはぶつ合わせ、したほうがその誤差は
少なくなるんだと思います。
今回も普段は23.5を履かれているということでしたが採寸してみると
22.0か22.5ぐらいでした。
まず23.5を履いて頂くとこれぐらいかな…とお客様。
しかし触診してみると指周りの革はダブついていますし踵に隙間も、
23.0を履いてみて頂き、22.5…22.0…
結局はこの靴型ですと22.0が適正サイズでした。
この場合の適正サイズというのは、私がこれぐらいでいいですよ、
というのではなく、サイズ違いを履いて頂いてこれが一番気持ちがいい、
とご本人が思われたサイズになります。
サイズが合っているかどうかというのは難しいところで、
例えば洋服でもジャストサイズというよりは緩めの着心地が心地よいと
云う方もいらっしゃいます。
靴も寸法からこのサイズがジャストサイズ、と私が思ってもご本人が
窮屈または緩いと思われてしまうと、それは合っていないということになります。
ですので主観的な履き心地と、こちらの経験値的な部分を
擦り合わせてバランスがいいところが落としどころなのかと思います。
既製品の靴のサイズ調整でお持ちになられる方で、しばしば
おっしゃられるのが、私は少し大きいと感じたのだけど
お店の人にこれぐらいが丁度いいと云われたので…と。
それではダメです、もう少し自分の感覚を信じてみてください。
そう、あのブルースリーも云っています。
「 Don't Think. Feel!」
(靴を履く時は)考えるな、感じろ!と。
こんなに小さくても履けるんだと、いつもと違うフィット感に
お客さまもちょっと驚いた感じでしたが、知らず知らずのうちに
「私は23.5cm」という思い込みでいつも23.5近辺の既製品を
購入されていたのだと思います。
そもそもこの靴のサイズ表記なんてあってないようなものなので
あまり信じないでいいかと思います、必ず前後の幾つかを試し履き
してみてください。
22.0で指周りの締め付けと踵のフィットも丁度いい感じでしたが
少し外反母趾気味な親指の付根が窮屈ということでしたので
この部分はのせ甲(靴型に革を盛って修正)で調節すれば
いい具合になりそうです。
ただ今の状態ですと、羽が完全に閉じているので甲の部分が緩いのですが
今回製作するのはブーツですので、それはシャフトの立ち上がりの
位置の調節でカバーする事にします。
次回はパターン確認篇になります。
お待ち頂いている間にボタンブーツでということになってしまい…。
だいぶお待ち頂いていましたので今更ボタンブーツは作っておりませんよと
云うわけにもいかず…
ということで今回はボタンブーツを作ります。
*今回はデザインは自由でサイズはサイズオーダーにてご注文です。
まだ婦人靴では使っていない靴型を使用することになりましたので、
まずはサイズ確認用に幾つかサイズサンプルを製作。
製甲している間に掛かってきた電話を取ったりしていたら…
すっかり裏鳩目を入れるのを忘れてしまいそのまま、トップラインを縫製して
しまったので仕方なく表鳩目にする事に…。
サイズを確認する用の靴なので表でも裏でもどちらでもいいのですが
一足だけ表というのもあれなのですべてのサイズを表鳩目にしてしまいます。
製甲ができましたので次は釣り込み。
先芯や月型をセットしてアッパーを釣り込んで靴の形にしていきます。
採寸しても結局はその値は数字でしかないので、こちらでこの数字だと
これが丁度いいですね、と云ったところで最終的には履いた人が
どう感じるか、ですので実際に幾つかサイズサンプルを履いて頂いて
これとこれでは?と既製品と同じ様に比較して確認して
頂いた方が分かり易いです。
加えて、狭い店内を歩いても分からないので、サンプルの靴を履いて
お店周辺を歩かれて具合を確認して頂くとより安心です。
靴というのは洋服などとは違い、静止している状態でいくら合っていても
歩いてみたら、季節が変わったら、靴下の厚みによっては…
革が延びたら…と状態によって如何様にも変わっていってしまいますので
寸法というよりはぶつ合わせ、したほうがその誤差は
少なくなるんだと思います。
今回も普段は23.5を履かれているということでしたが採寸してみると
22.0か22.5ぐらいでした。
まず23.5を履いて頂くとこれぐらいかな…とお客様。
しかし触診してみると指周りの革はダブついていますし踵に隙間も、
23.0を履いてみて頂き、22.5…22.0…
結局はこの靴型ですと22.0が適正サイズでした。
この場合の適正サイズというのは、私がこれぐらいでいいですよ、
というのではなく、サイズ違いを履いて頂いてこれが一番気持ちがいい、
とご本人が思われたサイズになります。
サイズが合っているかどうかというのは難しいところで、
例えば洋服でもジャストサイズというよりは緩めの着心地が心地よいと
云う方もいらっしゃいます。
靴も寸法からこのサイズがジャストサイズ、と私が思ってもご本人が
窮屈または緩いと思われてしまうと、それは合っていないということになります。
ですので主観的な履き心地と、こちらの経験値的な部分を
擦り合わせてバランスがいいところが落としどころなのかと思います。
既製品の靴のサイズ調整でお持ちになられる方で、しばしば
おっしゃられるのが、私は少し大きいと感じたのだけど
お店の人にこれぐらいが丁度いいと云われたので…と。
それではダメです、もう少し自分の感覚を信じてみてください。
そう、あのブルースリーも云っています。
「 Don't Think. Feel!」
(靴を履く時は)考えるな、感じろ!と。
こんなに小さくても履けるんだと、いつもと違うフィット感に
お客さまもちょっと驚いた感じでしたが、知らず知らずのうちに
「私は23.5cm」という思い込みでいつも23.5近辺の既製品を
購入されていたのだと思います。
そもそもこの靴のサイズ表記なんてあってないようなものなので
あまり信じないでいいかと思います、必ず前後の幾つかを試し履き
してみてください。
22.0で指周りの締め付けと踵のフィットも丁度いい感じでしたが
少し外反母趾気味な親指の付根が窮屈ということでしたので
この部分はのせ甲(靴型に革を盛って修正)で調節すれば
いい具合になりそうです。
ただ今の状態ですと、羽が完全に閉じているので甲の部分が緩いのですが
今回製作するのはブーツですので、それはシャフトの立ち上がりの
位置の調節でカバーする事にします。
次回はパターン確認篇になります。
ampersandand at 21:59|Permalink│
2018年10月01日
修理製作のお店…というけれど。 注文靴篇
当店の屋号は、「靴と鞄の修理製作のお店 アンパサンド」
になりますが「修理」業務が忙しく、いっこうに
「製作」が行えていない現状であります。
また合間をみて製作してはいても、日々の業務でそのまま月日が
流れてしまい撮影した画像が行方不明で記事を書けず
そのままお蔵入り…ということも。
開業当初の目論みでは、修理依頼はそんなにこないだろうし、
ほそぼそと日用品などを製作して食い繋いでいこうかな
なんていう計画でしたが、
有り難いことに近隣や全国、はたまたときどき海外からも
郵送にてご依頼頂いている次第であります、感謝、感謝。
で、そんなこんなで製作も一応しているよアピールを兼ね、
忘れないうちに、最近の仕上った品を記事にしておこうと。
最近のといっても随分前にご依頼頂いた品になる訳ですが。
まずはデザイン。
デザインと云っても今回は店頭にあるサンプルをベースに
パターンオーダーにて製作となりました。
使用する革や飾り穴や鳩目の有無やソールなどなど
細々と選択して頂くという感じです。
サイズサンプルを幾つか履いて頂きサイズを確認。
店内でちょろちょろ歩いても感じは分からないので
そのままご近所を歩かれて確認して頂いてもらいます。
パターンオーダーでも、履き口が当たる場合など大掛かりな
修正でなければ足に合わせて調整可能です。
靴型にデザイン線を描きまして型紙を製作します。
靴型は三次曲面なので、これをパーツごとに平面に置き換える作業は
面白くもあり難しくもありという感じです。
立体を平面に起こし直したら、仮アッパーを製作し
つり込んでバランスを確認します。
羽の長さやキャップの大きさなどをミリ単位で調整を行います。
今回は二回ほど仮アッパーを製作して本番となります。
なかなか決まらない時は、型紙を直して仮アッパーというのを
何度も繰り返したりします。
で、だんだん目が慣れてしまいどれがいいのか分からなくなるので
一晩置いて翌日の朝に見てみると、初回に作った型紙が
よかったりなんていうこともしばしば。
こねくりまわすより、直感が大事という感じでしょうか。
ただ、他の人から見ればどれも同じ、と見えるかもしれませんが…。
表革、裏革を裁断しまして組み立ててゆきます。
例えば今回の定番の外羽のデザインでも、裏革のパターンていうのは
生産国やパタンナーによってそのライン取りは結構違っています。
修理品の靴の内側を観察してよく勉強させて頂いています。
スペインのコストパフォーマンスのいい靴などは
とても効率的なパターン採りをしていたりします。
効率的な、というのは美しさというよりは革一枚からどう無駄なく
たくさんパーツを採れるか、縫製作業で手間の掛かる行程を減らせるかなどを
考えられているかという感じです。
私の場合は量産する訳でも、一刻を争うこともないので、
状態の良い部分の革を使い、基本に忠実にそしてちょっとずつ
創意工夫を重ねていくという感じです。
アッパーを組み立てる前に、中底の準備もしておきます。
中底は既製品ですと、圧縮したパルプ(紙を圧縮成形したもの)が
多く用いられていますが、当店ではじっくりと時間をかけて作られた
5.0mほどあるタンニン鞣しのショルダー部分の革を用います。
平らな中底を水に浸けて柔らかくし靴型に固定します。
癖付けにタイヤチューブを用いて靴型にぐるぐる巻きです。
タンニン鞣しの革はその可塑性により、形を記憶しながら乾燥していきます。
「可塑性」とは
固体に外力を加えて変形させ、力を取り去ってももとに戻らない性質。
国語辞典より
平らだった中底がこんな感じで靴底の形状を覚えます。
そして履き込んでいくと、徐々に自分の足型を覚えていくという訳です。
よくコップ一杯の汗が一日で靴の中に蒸発すると聞きますが、
革はその吸排性によりこの湿気を吸い込み、夜脱いでいる時に
今度は排出していくという訳です。
わたしのイメージでは、吸い込んだ湿気が革を柔らかくし
日中の歩行の際の荷重がゴムチューブ代わりに中底を癖付けし
夜の間に中底が、自身の足型を記憶していくという感じなのかなと思っています。
それは本体の革も同じことなのですが。
ちなみに「革底から湿気が抜ける説」という都市伝説については
以前も書きましたが、東京都の皮革機関のレポートにも、
靴内部の湿気の60%は靴の履き口から蒸発、残り40%は
靴内部に残っているとあります。
内部に残った40%は、革中底や革のライニング(裏革)に
一時的に吸収され、脱いでいる夜のうちに排出されるという
イメージでしょうか。
ですので蒸れる蒸れないに重要なのは、
革底かどうかではなく中底が革であるか、そしてライニングが
革であるか(顔料べったり仕上げではない革)かどうかが重要
ではないかと思います。
靴は何足かローテーションした方がいいというのは、
靴内部に溜め込んだ湿気を排出しきる前に、また履いてしまうと
室内干しの生乾きタオルを、毎日繰り返し使い込むようなもの
という感じですので。
アッパーが完成しましたら続いて靴型につり込みという行程に
なる訳ですが、作業風景の写真を撮り忘れたか、
または行方不明で見つからないので、途中の行程は
割愛しましてここで完成となります。
今回使用した革は、イタリアの伝統的な製造方法のバケッタ製法で
作られたショルダー部分の革になります。
いい具合にナチュラルシボがでていて、履き込む前からすでに
数年履き込んだ風格が醸し出されています。
同様の製法で作られた栃木レザー社のダークブラウンの革と
かなり悩まれておりましたが、こちらの赤味を帯びたブラウンが
手持ちの靴の顔ぶれと被らないというこでお決めなられました。
ソールはリッジウェイソール(ブラウン)仕様となります。
オーダー品の記事を書いておきながらあれですが、
新規の靴の注文製作は現在は受付を行っておりません。
靴の注文製作自体なかなか修理業務と平行して1人で行うのは
難しいのではないかとここ数年感じております。
ですので、違う形態でどうにかできないかと
日々モヤモヤしている今日この頃…。
鞄も作りたいし、小物も作りたいし、できれば椅子も作りたい…。
今年もそんなモヤモヤさまぁ〜ずな夏でございました。
になりますが「修理」業務が忙しく、いっこうに
「製作」が行えていない現状であります。
また合間をみて製作してはいても、日々の業務でそのまま月日が
流れてしまい撮影した画像が行方不明で記事を書けず
そのままお蔵入り…ということも。
開業当初の目論みでは、修理依頼はそんなにこないだろうし、
ほそぼそと日用品などを製作して食い繋いでいこうかな
なんていう計画でしたが、
有り難いことに近隣や全国、はたまたときどき海外からも
郵送にてご依頼頂いている次第であります、感謝、感謝。
で、そんなこんなで製作も一応しているよアピールを兼ね、
忘れないうちに、最近の仕上った品を記事にしておこうと。
最近のといっても随分前にご依頼頂いた品になる訳ですが。
まずはデザイン。
デザインと云っても今回は店頭にあるサンプルをベースに
パターンオーダーにて製作となりました。
使用する革や飾り穴や鳩目の有無やソールなどなど
細々と選択して頂くという感じです。
サイズサンプルを幾つか履いて頂きサイズを確認。
店内でちょろちょろ歩いても感じは分からないので
そのままご近所を歩かれて確認して頂いてもらいます。
パターンオーダーでも、履き口が当たる場合など大掛かりな
修正でなければ足に合わせて調整可能です。
靴型にデザイン線を描きまして型紙を製作します。
靴型は三次曲面なので、これをパーツごとに平面に置き換える作業は
面白くもあり難しくもありという感じです。
立体を平面に起こし直したら、仮アッパーを製作し
つり込んでバランスを確認します。
羽の長さやキャップの大きさなどをミリ単位で調整を行います。
今回は二回ほど仮アッパーを製作して本番となります。
なかなか決まらない時は、型紙を直して仮アッパーというのを
何度も繰り返したりします。
で、だんだん目が慣れてしまいどれがいいのか分からなくなるので
一晩置いて翌日の朝に見てみると、初回に作った型紙が
よかったりなんていうこともしばしば。
こねくりまわすより、直感が大事という感じでしょうか。
ただ、他の人から見ればどれも同じ、と見えるかもしれませんが…。
表革、裏革を裁断しまして組み立ててゆきます。
例えば今回の定番の外羽のデザインでも、裏革のパターンていうのは
生産国やパタンナーによってそのライン取りは結構違っています。
修理品の靴の内側を観察してよく勉強させて頂いています。
スペインのコストパフォーマンスのいい靴などは
とても効率的なパターン採りをしていたりします。
効率的な、というのは美しさというよりは革一枚からどう無駄なく
たくさんパーツを採れるか、縫製作業で手間の掛かる行程を減らせるかなどを
考えられているかという感じです。
私の場合は量産する訳でも、一刻を争うこともないので、
状態の良い部分の革を使い、基本に忠実にそしてちょっとずつ
創意工夫を重ねていくという感じです。
アッパーを組み立てる前に、中底の準備もしておきます。
中底は既製品ですと、圧縮したパルプ(紙を圧縮成形したもの)が
多く用いられていますが、当店ではじっくりと時間をかけて作られた
5.0mほどあるタンニン鞣しのショルダー部分の革を用います。
平らな中底を水に浸けて柔らかくし靴型に固定します。
癖付けにタイヤチューブを用いて靴型にぐるぐる巻きです。
タンニン鞣しの革はその可塑性により、形を記憶しながら乾燥していきます。
「可塑性」とは
固体に外力を加えて変形させ、力を取り去ってももとに戻らない性質。
国語辞典より
平らだった中底がこんな感じで靴底の形状を覚えます。
そして履き込んでいくと、徐々に自分の足型を覚えていくという訳です。
よくコップ一杯の汗が一日で靴の中に蒸発すると聞きますが、
革はその吸排性によりこの湿気を吸い込み、夜脱いでいる時に
今度は排出していくという訳です。
わたしのイメージでは、吸い込んだ湿気が革を柔らかくし
日中の歩行の際の荷重がゴムチューブ代わりに中底を癖付けし
夜の間に中底が、自身の足型を記憶していくという感じなのかなと思っています。
それは本体の革も同じことなのですが。
ちなみに「革底から湿気が抜ける説」という都市伝説については
以前も書きましたが、東京都の皮革機関のレポートにも、
靴内部の湿気の60%は靴の履き口から蒸発、残り40%は
靴内部に残っているとあります。
内部に残った40%は、革中底や革のライニング(裏革)に
一時的に吸収され、脱いでいる夜のうちに排出されるという
イメージでしょうか。
ですので蒸れる蒸れないに重要なのは、
革底かどうかではなく中底が革であるか、そしてライニングが
革であるか(顔料べったり仕上げではない革)かどうかが重要
ではないかと思います。
靴は何足かローテーションした方がいいというのは、
靴内部に溜め込んだ湿気を排出しきる前に、また履いてしまうと
室内干しの生乾きタオルを、毎日繰り返し使い込むようなもの
という感じですので。
アッパーが完成しましたら続いて靴型につり込みという行程に
なる訳ですが、作業風景の写真を撮り忘れたか、
または行方不明で見つからないので、途中の行程は
割愛しましてここで完成となります。
今回使用した革は、イタリアの伝統的な製造方法のバケッタ製法で
作られたショルダー部分の革になります。
いい具合にナチュラルシボがでていて、履き込む前からすでに
数年履き込んだ風格が醸し出されています。
同様の製法で作られた栃木レザー社のダークブラウンの革と
かなり悩まれておりましたが、こちらの赤味を帯びたブラウンが
手持ちの靴の顔ぶれと被らないというこでお決めなられました。
ソールはリッジウェイソール(ブラウン)仕様となります。
オーダー品の記事を書いておきながらあれですが、
新規の靴の注文製作は現在は受付を行っておりません。
靴の注文製作自体なかなか修理業務と平行して1人で行うのは
難しいのではないかとここ数年感じております。
ですので、違う形態でどうにかできないかと
日々モヤモヤしている今日この頃…。
鞄も作りたいし、小物も作りたいし、できれば椅子も作りたい…。
今年もそんなモヤモヤさまぁ〜ずな夏でございました。
ampersandand at 18:00|Permalink│
2017年08月04日
まかないサンダル。
ご飯屋さんのお昼ご飯は、余った材料などで
ちゃちゃっと作ったりするようですが、
わたしもそれに見習って、ちゃちゃっと仕事用のサンダルを。
オープン当初から、仕事用に薄汚れた白いチャッカ靴を
(10年くらい前に作った靴ですが、白い靴なので3年ぐらいで
薄汚れてきたので、お仕事用に格下げられた靴となります)
履いていたのですが、日々のラバーの削り粉や、溶剤をこぼしてみたり
インクが飛び散ってみたりと、なかなかの薄汚れ具合に…。
修理を依頼する店の店主が、薄汚れた靴を履いている…
というのもまずいかな…と二年ぐらい前から思っていたのですが
汚れると分かっている仕事用の靴を作るモチベーションが湧かず、
汚れた白いチャッカを履き続けていた訳ですが、
しかし長年履いているので、かなり馴染んで履き易くなっているというのが
代替する気になれない点でもあるのですが。
ようやくここにきて妥協案としてサンダルで、夏の間はお茶を濁す事に…。
一応フットプリントを採ってみる。
ビルケンのサンダルのように中底面にアナログな方法で
凹凸を作成してみようと思いましたが、凹凸が合わなかった時に
作り治すはめになりそうなので却下。
ここはあくまでも「まかないサンダル」としてちゃちゃっと感を重視。
なので型紙もとてもアナログな方法で採取。
ちゃちゃっとと思ったのですが、一応何回か採取して試作してみたのですが、
自分で自分の足を採寸なので、無理な体勢で計測しているものですから、
毎回寸法が違っている訳で…。
なので、結局始めに計測したものでちゃちゃっとに。
試作。
指を出そうか出さないか…
出さないタイプで試作、なんか夏には重いかな…。
秋って感じです。スエードで秋用サンダル候補にしようか。
指を出したタイプ。
やはり夏には出した方が涼しげです。
ここで、指を三本晒すか、四本小指まで晒すか…
小指まで出てしまうと出口が広くなるので、前のめりになるかなと。
指を出しすぎると、万が一で金床やハンマーなんかを指先に
落としてしまった時のダメージが痛そうなので、三本でいこうかと。
まかないサンダルなので、革は端の質が悪い部分を使う。
まぐろで云うところの赤身か中落ちと云ったところでしょうか。
赤身や中落ちの質が悪い云っていうことではありませんが。
革の場合は、牛の脇腹などのたるんでいる部分の革は
繊維が緩かったりして、伸び易かったりと使い方が限定される部分であります。
中底も「ショルダーの切り落とし」を使う。
日々の修理品で使うミッドソール用の中底で、厚みが厚過ぎたり
部位により、左右で繊維の堅さが揃わなかったりという感じで
カットして避けていた部分を使う事に。
2パーツなので組み立ては簡単です。
次に縫製。
縫製は手縫いにて出し縫いを行おうと予定していたのですが、
オープン当時に、他の機材を購入するついでのノリで、
使う予定も決まっていないドイツのミシンも購入してしまっていましたので
この機会にこれでちゃちゃっと縫ってしまう事に。(結構高かった…な)
購入して6年間…ほぼ使っていない…。
糸の通し方も忘れてしまって焦りました…。
試し縫いを行いますが、糸調子が合わなくてだんだん面倒に…。
手縫いで行うかなとも思いましたが、ここで使わないと永遠に…
ということになりそうなので、いろいろいじくって使える様に整う。
そういえば、説明書も付いていなかったな…と。
しかし、このような昔のミシンて作りが単純ですので
動かしながら、それぞれの駆動パーツを眺めていると、
「ここをいじればピッチが変わるじゃん」とか分かるので
取説が無くてもなんとかなるものです。
ガシャコン!ガシャコン!ガシャコン…と大きな音を立てて
ひと針ひと針貫通してゆきます。
次にソール。
ヒールの高さは10mmに。
履きなれた20mmがいいかなと思いましたが、
このサンダルではボリュームがあり過ぎるので抑えめに。
ソールはビルケンシュトックのホワイトソール。
ビルケンのソールってなんでオリジナルが流通しているのか不思議です。
例えば、ヴィトンのモノグラムのあの生地が、
ユザワヤやオカダヤで販売されているようなものです。
完成
中底にロゴを素押し。
ロゴが入ると、らしくなります。
時計回りに、まかないサンダル/薄汚れた旧仕事靴/普段靴。
夏が終わる前に、仕事靴を作っておかないと、
と思う今日この頃…。
ちゃちゃっと作ったりするようですが、
わたしもそれに見習って、ちゃちゃっと仕事用のサンダルを。
オープン当初から、仕事用に薄汚れた白いチャッカ靴を
(10年くらい前に作った靴ですが、白い靴なので3年ぐらいで
薄汚れてきたので、お仕事用に格下げられた靴となります)
履いていたのですが、日々のラバーの削り粉や、溶剤をこぼしてみたり
インクが飛び散ってみたりと、なかなかの薄汚れ具合に…。
修理を依頼する店の店主が、薄汚れた靴を履いている…
というのもまずいかな…と二年ぐらい前から思っていたのですが
汚れると分かっている仕事用の靴を作るモチベーションが湧かず、
汚れた白いチャッカを履き続けていた訳ですが、
しかし長年履いているので、かなり馴染んで履き易くなっているというのが
代替する気になれない点でもあるのですが。
ようやくここにきて妥協案としてサンダルで、夏の間はお茶を濁す事に…。
一応フットプリントを採ってみる。
ビルケンのサンダルのように中底面にアナログな方法で
凹凸を作成してみようと思いましたが、凹凸が合わなかった時に
作り治すはめになりそうなので却下。
ここはあくまでも「まかないサンダル」としてちゃちゃっと感を重視。
なので型紙もとてもアナログな方法で採取。
ちゃちゃっとと思ったのですが、一応何回か採取して試作してみたのですが、
自分で自分の足を採寸なので、無理な体勢で計測しているものですから、
毎回寸法が違っている訳で…。
なので、結局始めに計測したものでちゃちゃっとに。
試作。
指を出そうか出さないか…
出さないタイプで試作、なんか夏には重いかな…。
秋って感じです。スエードで秋用サンダル候補にしようか。
指を出したタイプ。
やはり夏には出した方が涼しげです。
ここで、指を三本晒すか、四本小指まで晒すか…
小指まで出てしまうと出口が広くなるので、前のめりになるかなと。
指を出しすぎると、万が一で金床やハンマーなんかを指先に
落としてしまった時のダメージが痛そうなので、三本でいこうかと。
まかないサンダルなので、革は端の質が悪い部分を使う。
まぐろで云うところの赤身か中落ちと云ったところでしょうか。
赤身や中落ちの質が悪い云っていうことではありませんが。
革の場合は、牛の脇腹などのたるんでいる部分の革は
繊維が緩かったりして、伸び易かったりと使い方が限定される部分であります。
中底も「ショルダーの切り落とし」を使う。
日々の修理品で使うミッドソール用の中底で、厚みが厚過ぎたり
部位により、左右で繊維の堅さが揃わなかったりという感じで
カットして避けていた部分を使う事に。
2パーツなので組み立ては簡単です。
次に縫製。
縫製は手縫いにて出し縫いを行おうと予定していたのですが、
オープン当時に、他の機材を購入するついでのノリで、
使う予定も決まっていないドイツのミシンも購入してしまっていましたので
この機会にこれでちゃちゃっと縫ってしまう事に。(結構高かった…な)
購入して6年間…ほぼ使っていない…。
糸の通し方も忘れてしまって焦りました…。
試し縫いを行いますが、糸調子が合わなくてだんだん面倒に…。
手縫いで行うかなとも思いましたが、ここで使わないと永遠に…
ということになりそうなので、いろいろいじくって使える様に整う。
そういえば、説明書も付いていなかったな…と。
しかし、このような昔のミシンて作りが単純ですので
動かしながら、それぞれの駆動パーツを眺めていると、
「ここをいじればピッチが変わるじゃん」とか分かるので
取説が無くてもなんとかなるものです。
ガシャコン!ガシャコン!ガシャコン…と大きな音を立てて
ひと針ひと針貫通してゆきます。
次にソール。
ヒールの高さは10mmに。
履きなれた20mmがいいかなと思いましたが、
このサンダルではボリュームがあり過ぎるので抑えめに。
ソールはビルケンシュトックのホワイトソール。
ビルケンのソールってなんでオリジナルが流通しているのか不思議です。
例えば、ヴィトンのモノグラムのあの生地が、
ユザワヤやオカダヤで販売されているようなものです。
完成
中底にロゴを素押し。
ロゴが入ると、らしくなります。
時計回りに、まかないサンダル/薄汚れた旧仕事靴/普段靴。
夏が終わる前に、仕事靴を作っておかないと、
と思う今日この頃…。
ampersandand at 21:06|Permalink│
2016年03月05日
2015年05月09日
GWに取り急ぎ、靴を作ってみる。 セルフモニター篇
夏は白い靴を履きたくなるものです。
と、思うのですがなかなかタイミングがつかめず、
昨年、型紙だけを途中まで作って放置していたものを
GWを利用してちょっと作ってみることに。
といっても、オールソールで使用するVIBRAMソールの
耐久性と履き心地の確認を兼ねてということなのですが。
今回使用するソールは、「VIBRAM CRISTY MORFLEX #8377」
このソールの特徴はというと、
EVAと天然ゴムをベースに配合し発泡させ、ゴム素材の35%と超軽量で、
柔軟性・クッション性・耐滑性に優れており、
冬場の路面の低温でもゴムや革の様に硬化せず安定した機能を発揮する…
(問屋マテリアル紹介文からの抜粋)
左が#8377 右が#4014(表面のパターンは同じデザインになります)
白い靴に白いソールをと思ったのですが、VIBRAM#4014ですと
白というよりは象牙色という感じなので、
#8377のほうが白いということもあり、今回併せてみることに。
ただこの#8377は、ヒール設定が15.0mmなので、
10.0mm設定の靴には使用できません(その場合は#4014で対応可能です)
15.0mm以上の設定のヒールには使用できます。
今回の靴型も20.0mm設定でしたので、踏まずから踵にかけて
5.0mmを革で積上げて使用しております。
ちなみに、この#4014と同じデザインパターンで、
アジア生産のノーブランドの低価格商品もありますが、
やはり耐久性はVIBRAM製品と比較しますと劣ります。
同じデザインだからといって、低価格のものを使用しますと
結果的に費用対効果が見込めないと思いますので、オールソール際には
いずれのソールかをご確認をされたほうが宜しいと思います。
(中央のVIBRAMロゴの有無で確認できます)
*当店ではもちろんVIBRAM製品となります。
モニター用兼私物ですので、細かい部分は端折って製作しておりますので
進みが早いです。
アッパーの仕様も色々とお試しを行ってみています。
5.0mmほどある中底は、もとはフラットな板状ですが、
水に浸し柔らかくして靴型に癖付けすることで、
ピタッと底面形状に合ってくれます。
市販のマッケイやセメンテッド製法の靴は、ほとんどが
圧縮パルプ(紙)で作られております。
ですので、オールソールの頃にはひび割れているものもあります。
革中底を使用してくれれば、耐久性がもっと良くなるのにと
オールソールする度に思います(その分、値段が上がると思いますが…)
通常は、型紙を作って仮アッパーを作りましてバランスを治したり、
余計な皺はでないかなど試作を行いますが、今回はいきなり本番なので
一応確認で仮釣りをしてみます…大丈夫そうです。
本番の釣り込みでは、つま先とカカトに溶剤を付けた芯材を入れて
釣り込んでいきます。
今回の靴型には、カカトに鉄板が入っておりますので
カカト周りはタックスで固定してゆきます。
釣り込みを行う「ワニ」と云う道具ですが、8、9年ぐらい前の話になりますが
すでにその頃から靴の道具をつくる職人さんが居なくなり始めている
ということで、知人が予備のワニを道具店で購入しようとしましたら、
すでに無く、「次いつ入るか分からない」ということで
予約してきたという話を聞き、その足でわたしも予約しにいきますと、
「あるよ…」と。
その頃、その道具店には毎日のように顔をだしておりましたので
「顔なじみ」ということなのでしょうか、すんなりと出てきました。
もちろん知人には「よ、予約してきた」ということになっておりますが。
結局、いまだに予備ワニが登場することもなく、道具箱にしまってあります。
そもそも、そう壊れるものでもないのですが。
形が同じものならばいくらでもあったのですが、それらは往々にして
金属の質が悪く、すぐに傷がついてしまったりとその頃ありましたので。
ですので仮に壊れた時に、そういったワニしかないと困るな〜
と思いまして一応の予備をと。
底は、ミッドソールにブラックラピド製法風に
マッケイとアウトステッチを行います。
周囲にコバを張り出させ、ボリュームをもたせてみます。
足が小さいので、コバの迫り出しを少なくしてしまうと、
足元がこじんまりしてしまうということもあり。
また、このてのソールには、底面にボリュームをもたせたほうが
おさまりも良いということもあります。
本来は、出来上がっても靴型に1から2週間ぐらい
釣り込んで放置していた方が、革が靴の形を覚えてくれるのですが、
ここはモニター用兼私物ですので、2日置いて靴型を抜いてしまいます。
そして、履く、履く。
#8377の履いた感想はといいますと、
「まるで社長室の絨毯の上を歩いているよう…」といった感じでしょうか。
日頃、ダブルソールやVIBRAMの硬めのラバーソールばかりを
履いておりますので、余計にこの#8377の歩き心地のギャップは凄いですね。
ただ、わたしは柔らかいソールに慣れていないので、#8377ですと
わたしにはクッション性が強すぎるきらいがあり、
足元が若干ですが不安定な気も致します。
#4014ですと程よく弾力がありそんなことも感じないのですが。
追記
あの予備のワニを購入する際に、道具屋主人曰く、
靴の道具というのは、道具業界ではニッチ産業ということで、
ほかの分野の道具を作る片手間に、道具職人さんに時間があったら
作ってくれる程度ということ。
なので、あんた、靴を作らずに靴道具を作ったほうが儲かるんじゃないのと
云われたことを思い出しました、初夏?の今日この頃…。
と、思うのですがなかなかタイミングがつかめず、
昨年、型紙だけを途中まで作って放置していたものを
GWを利用してちょっと作ってみることに。
といっても、オールソールで使用するVIBRAMソールの
耐久性と履き心地の確認を兼ねてということなのですが。
今回使用するソールは、「VIBRAM CRISTY MORFLEX #8377」
このソールの特徴はというと、
EVAと天然ゴムをベースに配合し発泡させ、ゴム素材の35%と超軽量で、
柔軟性・クッション性・耐滑性に優れており、
冬場の路面の低温でもゴムや革の様に硬化せず安定した機能を発揮する…
(問屋マテリアル紹介文からの抜粋)
左が#8377 右が#4014(表面のパターンは同じデザインになります)
白い靴に白いソールをと思ったのですが、VIBRAM#4014ですと
白というよりは象牙色という感じなので、
#8377のほうが白いということもあり、今回併せてみることに。
ただこの#8377は、ヒール設定が15.0mmなので、
10.0mm設定の靴には使用できません(その場合は#4014で対応可能です)
15.0mm以上の設定のヒールには使用できます。
今回の靴型も20.0mm設定でしたので、踏まずから踵にかけて
5.0mmを革で積上げて使用しております。
ちなみに、この#4014と同じデザインパターンで、
アジア生産のノーブランドの低価格商品もありますが、
やはり耐久性はVIBRAM製品と比較しますと劣ります。
同じデザインだからといって、低価格のものを使用しますと
結果的に費用対効果が見込めないと思いますので、オールソール際には
いずれのソールかをご確認をされたほうが宜しいと思います。
(中央のVIBRAMロゴの有無で確認できます)
*当店ではもちろんVIBRAM製品となります。
モニター用兼私物ですので、細かい部分は端折って製作しておりますので
進みが早いです。
アッパーの仕様も色々とお試しを行ってみています。
5.0mmほどある中底は、もとはフラットな板状ですが、
水に浸し柔らかくして靴型に癖付けすることで、
ピタッと底面形状に合ってくれます。
市販のマッケイやセメンテッド製法の靴は、ほとんどが
圧縮パルプ(紙)で作られております。
ですので、オールソールの頃にはひび割れているものもあります。
革中底を使用してくれれば、耐久性がもっと良くなるのにと
オールソールする度に思います(その分、値段が上がると思いますが…)
通常は、型紙を作って仮アッパーを作りましてバランスを治したり、
余計な皺はでないかなど試作を行いますが、今回はいきなり本番なので
一応確認で仮釣りをしてみます…大丈夫そうです。
本番の釣り込みでは、つま先とカカトに溶剤を付けた芯材を入れて
釣り込んでいきます。
今回の靴型には、カカトに鉄板が入っておりますので
カカト周りはタックスで固定してゆきます。
釣り込みを行う「ワニ」と云う道具ですが、8、9年ぐらい前の話になりますが
すでにその頃から靴の道具をつくる職人さんが居なくなり始めている
ということで、知人が予備のワニを道具店で購入しようとしましたら、
すでに無く、「次いつ入るか分からない」ということで
予約してきたという話を聞き、その足でわたしも予約しにいきますと、
「あるよ…」と。
その頃、その道具店には毎日のように顔をだしておりましたので
「顔なじみ」ということなのでしょうか、すんなりと出てきました。
もちろん知人には「よ、予約してきた」ということになっておりますが。
結局、いまだに予備ワニが登場することもなく、道具箱にしまってあります。
そもそも、そう壊れるものでもないのですが。
形が同じものならばいくらでもあったのですが、それらは往々にして
金属の質が悪く、すぐに傷がついてしまったりとその頃ありましたので。
ですので仮に壊れた時に、そういったワニしかないと困るな〜
と思いまして一応の予備をと。
底は、ミッドソールにブラックラピド製法風に
マッケイとアウトステッチを行います。
周囲にコバを張り出させ、ボリュームをもたせてみます。
足が小さいので、コバの迫り出しを少なくしてしまうと、
足元がこじんまりしてしまうということもあり。
また、このてのソールには、底面にボリュームをもたせたほうが
おさまりも良いということもあります。
本来は、出来上がっても靴型に1から2週間ぐらい
釣り込んで放置していた方が、革が靴の形を覚えてくれるのですが、
ここはモニター用兼私物ですので、2日置いて靴型を抜いてしまいます。
そして、履く、履く。
#8377の履いた感想はといいますと、
「まるで社長室の絨毯の上を歩いているよう…」といった感じでしょうか。
日頃、ダブルソールやVIBRAMの硬めのラバーソールばかりを
履いておりますので、余計にこの#8377の歩き心地のギャップは凄いですね。
ただ、わたしは柔らかいソールに慣れていないので、#8377ですと
わたしにはクッション性が強すぎるきらいがあり、
足元が若干ですが不安定な気も致します。
#4014ですと程よく弾力がありそんなことも感じないのですが。
追記
あの予備のワニを購入する際に、道具屋主人曰く、
靴の道具というのは、道具業界ではニッチ産業ということで、
ほかの分野の道具を作る片手間に、道具職人さんに時間があったら
作ってくれる程度ということ。
なので、あんた、靴を作らずに靴道具を作ったほうが儲かるんじゃないのと
云われたことを思い出しました、初夏?の今日この頃…。
ampersandand at 00:30|Permalink│
2014年10月09日
様子見の靴づくり
サイズサンプルの靴の底が付いたところ、
以前から注文靴にご興味がおありのご近所の常連さんが
ちょうどお越しになられたので、中敷きもまだ貼っていない
サイズサンプルを履いてみて頂くことに。
オリーヴ色のサイズの靴がぴったりな感じです。
日頃、修理でお持ち頂く靴を拝見していた限り、
恐らく指周りが余るかなと思っておりましたが、
履いた感じでも、店舗の外を歩いて頂いた感じでも
外から触診した感じでも問題ないようです。
カーマイン色も履いてみて頂くとちょっと指周りがあまりますね。
と、こんなことを書いておりますと、
ようやく靴作りも始まるような感じですが…まだまだです。
先日の営業日(返却日ですが…)もご来店いただいた方々に
作っているんですが?と…
店主 「ま、まだ、作っていないんです…。」
ただ、紳士靴の靴型は出来上がっているので、とりあえず
サンプルを作って自分で試し履きしています。
作り立てのつるっとした、皺一つないピカピカの感じより
自分なりの履き皺が入ったり、擦ったりと自分色になってきている
感じがやはり靴は良いですね。
できれば、before/after、それぞれ履き込んだ状態の靴サンプルモデルを
陳列したいところではありますね(二足ずつ必要になってしまう…)
革の感じもタンニン鞣しの革などは、履き込んでからのほうが
いい感じでもありますし。
中底や本底に使用する革もこれまで使っていたものから新たに新調。
今までよりタンニン強めなので、二階の工房はなかなかの香りです。
ちなみに、中底にできる点々は、中底を固定する為に釘で固定した跡や、
革を釣り込んだ際の釘の跡になります。
釘の鉄分と、革のタンニン成分が反応して黒くなります。
(固定する釘は、途中の段階で取り除きますのでご安心を)
量産の機械でばばばっと作る場合は、この跡は無いようですね。
この釘跡は、昔ながらのといった感じでしょうか。
革中底を湿らせ、靴型に固定しましてチューブなどでぐるぐる…
革の可塑性を生かしてじっくりと形状を覚えさせます。
アッパーに使用する革も、色々と買い歩いております。
そして良さそうなもので試しに作ってみたりしている今日この頃…。
以前から注文靴にご興味がおありのご近所の常連さんが
ちょうどお越しになられたので、中敷きもまだ貼っていない
サイズサンプルを履いてみて頂くことに。
オリーヴ色のサイズの靴がぴったりな感じです。
日頃、修理でお持ち頂く靴を拝見していた限り、
恐らく指周りが余るかなと思っておりましたが、
履いた感じでも、店舗の外を歩いて頂いた感じでも
外から触診した感じでも問題ないようです。
カーマイン色も履いてみて頂くとちょっと指周りがあまりますね。
と、こんなことを書いておりますと、
ようやく靴作りも始まるような感じですが…まだまだです。
先日の営業日(返却日ですが…)もご来店いただいた方々に
作っているんですが?と…
店主 「ま、まだ、作っていないんです…。」
ただ、紳士靴の靴型は出来上がっているので、とりあえず
サンプルを作って自分で試し履きしています。
作り立てのつるっとした、皺一つないピカピカの感じより
自分なりの履き皺が入ったり、擦ったりと自分色になってきている
感じがやはり靴は良いですね。
できれば、before/after、それぞれ履き込んだ状態の靴サンプルモデルを
陳列したいところではありますね(二足ずつ必要になってしまう…)
革の感じもタンニン鞣しの革などは、履き込んでからのほうが
いい感じでもありますし。
中底や本底に使用する革もこれまで使っていたものから新たに新調。
今までよりタンニン強めなので、二階の工房はなかなかの香りです。
ちなみに、中底にできる点々は、中底を固定する為に釘で固定した跡や、
革を釣り込んだ際の釘の跡になります。
釘の鉄分と、革のタンニン成分が反応して黒くなります。
(固定する釘は、途中の段階で取り除きますのでご安心を)
量産の機械でばばばっと作る場合は、この跡は無いようですね。
この釘跡は、昔ながらのといった感じでしょうか。
革中底を湿らせ、靴型に固定しましてチューブなどでぐるぐる…
革の可塑性を生かしてじっくりと形状を覚えさせます。
アッパーに使用する革も、色々と買い歩いております。
そして良さそうなもので試しに作ってみたりしている今日この頃…。
ampersandand at 01:04|Permalink│
2014年07月01日
電話応対と靴作り。
営業日以外は、基本的に電話応対を行っておりません。
以前は行っておりましたが、ひとりで営業しておりますので、
作業の段取り等で手が離せないという理由もありますし、
また結果的に電話ではお伝えしきれないということがあります。
結局、「実物を見てみないと分かりません…」と最終的になってしまいます。
安易に治ります、いくらですとお伝えして、結果的にできなかったり
高くなってしまうと申し訳ないですし。
(それと、往々にして部位や痛み具合が、実際と異なっている事が多く)
ですので、メールでお問合せいただければ、
画像添付もできますし(返信メールに)、詳細をお伝えできますので
お手数ですが、メールにてお願いしております。
*メールでのお問合せも集中してしまいますと、
ご返信までに、〜3日ほど掛かる場合もあります。
画像添付方法が分からず、郵便にて写真を送っていただいた方も…
お手数お掛け致しました。
また、最近は靴作り(準備)も始めておりますので、
手が離せない作業が多くなります。
手が離せない…なんて、そんなことないだろうと思われそうですが、
手が離せないのです。
これはカカトに入れる芯材。
4.5mmぐらいある革から、部分的に厚みを調節して月形を作ります。
市販の定型サイズに漉きが掛かったものもあるのですが、
深めに入れてカカトを覆いたいので、そうしますと
厚みとサイズが足りず、手漉きでちまちま行っております。
枚数が多いと手首なのか指なのかが腱鞘炎になりそうです。
漉かれた分と、残った分を鑑みますと残っている分が少なそうで
とても要領の悪い作業です。
で、昔、漉き機を使ってやってみましたが、漉き機を壊しそうになりました…。
以前、靴工場に見学に云った際に、
漉き機で行っていたのを思い出し、できるかと思ったのですが…
こんな厚いので無理かと……。
で、ちまちまと手で漉いて漉いて…。
薄く見えますが、端は段差がでないように薄めに漉いて
中央付近はもとの厚みの4.0mmほどになってます。
内側を長めにして、踏まずが浮いている部分を支えるようにします。
で、ここからが電話に出られない理由の一つなのですが、
表革と裏革の間にこの月形芯を入れます。
で、その際にセメント(接着剤)を塗布して、靴に釣り込んでいきます。
なので、この接着剤が硬化するまでの間に、皺が出ないように
靴の形にしなければなりません。
ですので、電話にでてしまうと…ということなのです。
これからの時期は暑いので、余計に硬化も早くなりますね。
靴学生時代に、授業が始まる前に早めに朝来て、
教室で釣り込み始めたのですが、思いのほか進みが悪く釣り込みが終わらず、
先生が来てしまい、学科の授業が始まってしまいましたが、
途中で辞めることも出来ず、開始から5分程、
机の下でちまちま釣り込んでいましたね。
先生はもちろん気付いているのですが、
途中で止められないことを分かっているので、
終わるまで黙認と云った感じでした(汗だくだく)。
釣り込み終わりましたら、気が済むまでハンマーでトントンします。
そうすることで、靴型に馴染みますし、
さきほどの芯材の革がしまっていきまして丈夫になります。
つま先も同様です。
この釣り込み以外にも、例えば細かくミシンで、ダブルステッチを
行っていたりとか、革を裁断していたりとかなど、
なかなか一発勝負的な作業が、靴作りにはてんこ盛りなので、
「手が離せない」という訳なのです。
ご迷惑お掛け致しますが、宜しくお願い致します。
店主
以前は行っておりましたが、ひとりで営業しておりますので、
作業の段取り等で手が離せないという理由もありますし、
また結果的に電話ではお伝えしきれないということがあります。
結局、「実物を見てみないと分かりません…」と最終的になってしまいます。
安易に治ります、いくらですとお伝えして、結果的にできなかったり
高くなってしまうと申し訳ないですし。
(それと、往々にして部位や痛み具合が、実際と異なっている事が多く)
ですので、メールでお問合せいただければ、
画像添付もできますし(返信メールに)、詳細をお伝えできますので
お手数ですが、メールにてお願いしております。
*メールでのお問合せも集中してしまいますと、
ご返信までに、〜3日ほど掛かる場合もあります。
画像添付方法が分からず、郵便にて写真を送っていただいた方も…
お手数お掛け致しました。
また、最近は靴作り(準備)も始めておりますので、
手が離せない作業が多くなります。
手が離せない…なんて、そんなことないだろうと思われそうですが、
手が離せないのです。
これはカカトに入れる芯材。
4.5mmぐらいある革から、部分的に厚みを調節して月形を作ります。
市販の定型サイズに漉きが掛かったものもあるのですが、
深めに入れてカカトを覆いたいので、そうしますと
厚みとサイズが足りず、手漉きでちまちま行っております。
枚数が多いと手首なのか指なのかが腱鞘炎になりそうです。
漉かれた分と、残った分を鑑みますと残っている分が少なそうで
とても要領の悪い作業です。
で、昔、漉き機を使ってやってみましたが、漉き機を壊しそうになりました…。
以前、靴工場に見学に云った際に、
漉き機で行っていたのを思い出し、できるかと思ったのですが…
こんな厚いので無理かと……。
で、ちまちまと手で漉いて漉いて…。
薄く見えますが、端は段差がでないように薄めに漉いて
中央付近はもとの厚みの4.0mmほどになってます。
内側を長めにして、踏まずが浮いている部分を支えるようにします。
で、ここからが電話に出られない理由の一つなのですが、
表革と裏革の間にこの月形芯を入れます。
で、その際にセメント(接着剤)を塗布して、靴に釣り込んでいきます。
なので、この接着剤が硬化するまでの間に、皺が出ないように
靴の形にしなければなりません。
ですので、電話にでてしまうと…ということなのです。
これからの時期は暑いので、余計に硬化も早くなりますね。
靴学生時代に、授業が始まる前に早めに朝来て、
教室で釣り込み始めたのですが、思いのほか進みが悪く釣り込みが終わらず、
先生が来てしまい、学科の授業が始まってしまいましたが、
途中で辞めることも出来ず、開始から5分程、
机の下でちまちま釣り込んでいましたね。
先生はもちろん気付いているのですが、
途中で止められないことを分かっているので、
終わるまで黙認と云った感じでした(汗だくだく)。
釣り込み終わりましたら、気が済むまでハンマーでトントンします。
そうすることで、靴型に馴染みますし、
さきほどの芯材の革がしまっていきまして丈夫になります。
つま先も同様です。
この釣り込み以外にも、例えば細かくミシンで、ダブルステッチを
行っていたりとか、革を裁断していたりとかなど、
なかなか一発勝負的な作業が、靴作りにはてんこ盛りなので、
「手が離せない」という訳なのです。
ご迷惑お掛け致しますが、宜しくお願い致します。
店主
ampersandand at 08:00|Permalink│
2014年06月19日
視力検査と靴作り。
年明けに眼鏡を10年ぶりぐらいに新調致しました。
なんだか視力が落ちたかな…と思いまして、
眼科に出向きましたら、変わりありませんと。
逆に子供の頃から比べますとだいぶ良くなっておりますと。
子供の頃からというのは、もの心ついた頃から眼鏡を
掛けているのですが、ですので30年ぐらい掛けています。
で、そのあいだ同じ先生にずっと見て頂いているのですが、
今回、10年ぶりに伺ったところ、
ぺらぺらとカルテをめくりながらそんなことを云われ、
「ああ、この先生、30年前から何一つ容姿の変化が無い…」
ということに気付きまして、はっと致しました、恐るべし。
結局、視力は変わりなく年齢と共に回復時間が遅れるので
酷使した場合は、一時的に見え難くなるということでした。
しかし、気分は視力検査と共に、眼鏡を新調するテンションになって
なっておりましたので、結局は購入と云う運びに。
靴作りの場合は、0.5mm単位でミシンを掛けたりしますので
ミシンを踏んでいる間は、凝視していたりするので恐らく
そういいたことが原因なのではないかと。
なので、薬局で薬剤師さんに薦められるがまま、
1.200円の目薬を購入してしまいました。
ピント調節機能成分配合!なんですよと云っておりましたが、
差してみますと、値段だけあってなかなか聞いているようで
「きたぁー!」という感じです(メーカーは違いますが)
ときどきblogの更新が停滞する時がありますが、
お問合せメールの返信で、なかなか時間がとれないということもありますが、
PCもかなり目を酷使している感じがあります。
ですので、疲れ目の時は、時間があっても更新できなかったり致します。
眼鏡を作る際に、PC用の眼鏡の説明を受けましたが、
PC用はあえて度を下げて、若干ピンぼけにするとのこと。
はっきり見え過ぎてしまうと疲れ易くなるということでした。
で、UVカット99%みたいなレンズもあったのですが、
僅かにレンズをブラウンにすることでなるようです。
ブラウンといっても、ざますみたいなレンズの色ではなく、
分かるか、分からないかというレベルということでしたが、
革の色や、補色などをする際に影響しそうなので辞めておきました。
フレームも悩みますが、レンズもグレードやオプション効果が
ありまして、なかなかこだわりだすと危ない世界です。
そう云えば、テレ東で「俺のダンディズム」という番組がやっておりますが、
(靴の回以降は録画してまだ観ておりませんが)
男ってやつは…と云う感じです。
ちなみにこちらもテレ東の「リバースエッジ 大川端探偵社」はいい感じです。
音楽も良いですし、オダギリジョーがひさびさに役に合ってる感じがします。
長文になってきましたので、目が徐々に疲労して参りました。
あいにく、目薬はお店に忘れてきております、自宅用も要検討です。
そういえば、年老いてミシンの糸が針に通せなくなったら
アッパーは手縫いで行うか、もしくは隠居するかと云う感じでしたが
靴作りの世界も高齢化の波が押し寄せているようで、
ミシンの針穴が通し易いように広がったものが発売されておりました。
しかし、針に糸が通せたとしても、きわきわに縫製するようなことが
そもそもできるのかどうかが疑問の残るところですが。
十数年前から、泰八郎謹製の眼鏡をいくつか愛用しておりますが、
昔掛けていたモデルの色違いを購入しようと思いましたが
廃盤となっておりましてうろうろ。
こちらが十数年前に購入した廃盤モデル、現在は自宅用になっております。
泰八郎謹製はセルロイド素材を用いているので、
素材は硬く、変形し難いので歪んだりが起り難いようなので
気に入っている素材です。
ただ、歪んだ場合はアセテート素材と違い、自力で調節しにくく
また、一般的なチェーン店などでは、その素材故に調整を嫌がられたりします。
ちなみにセルロイドは、使っていくうちに艶がでてきたりと
まるで革のように経年変化が楽しめるということを
ときどき耳にしますが、それはちょっと眉唾ではないかと。
泰八郎謹製で、現在でているモデルですと、
イメージしていたものが無くまたうろうろ…。
で、辿り着いたのが最初の画像の眼鏡、
金子眼鏡店の眼鏡となりました。
こちらもやはりセルロイド素材のものをチョイス。
30年眼鏡を掛けておりますと、何周かして、
小学校低学年頃掛けていたデザインにまたもどってきた感じです。
この頃は、無条件に親が眼鏡を選んでいたのですが、
今思うと、小学生にべっ甲柄をチョイスする親って…
と思う今日この頃…。
そろそろ眼精疲労が蓄積して参りましたので、
今日はこの辺で失礼致します。
ampersandand at 18:50|Permalink│