カンペール
2017年12月31日
インスタ映えするカンペール…ある意味。 2017師走篇
お客さんにときどきインスタやらないんですか?、と。
BEFORE/AFTER画像で投稿するのもいいかな、とも思ったのですが、
どうやら画像だけかと思いきや、コメントのやりとりをする必要があるようで。
そうなると、現状でもお問い合わせのメール回答に
四苦八苦している状態なので、インスタにコメントを頂いても
なかなか返せず、結果「感じ悪し」となってしまう事が予想されます。
(ブログのコメント欄も、ずいぶん前に停止してしまいましたし)
ですので、インスタに限らず、ツイッターやLINEやFacebookなどの
SNSには手を出しておりません。
このBLOGと、HPで手一杯という感じであります。
なのでBLOGにて、なんちゃってインスタ映えを。
でも当事者にすればブラック映えなのかもしれませんが…。


#カンペール劣化

#カンペール劣化
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#カンペール劣化

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#カンペール劣化

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#カンペール劣化

#カンペール劣化


劣化映え致しますね…カンペール…。
今年もたくさんソール交換致しました。
来年仕上り分も、20足分くらい進行中ではありますが。
ウレタン系のソールの劣化をなるべく進行させない為には、
どんどん履いて頂く事かと思います。
靴箱にしまったり、靴棚に放置されておりますと
滞った湿気などの影響により、余計に劣化が進行し易くなってしまいますので。




尚、当店では基本的に
カンペールのソールの部分補修は行なっておりません。
画像を見てお分かり頂けるように、劣化が進行しておりますと
次々にぼろっと、パクっと崩壊してしまいます。
カカトを部分補修しても、他がパクッと割れてしまったり、
部分補修のせいで、付け足した部分で割れてしまうことが起こりがちです。
そうなれば、その部分補修費用が無駄になってしまいます。
また、例えば階段を降りている時に、ヒールがポキッと…
となるとかなり危険でありますので、
潔く諦めソール交換をされたほうが安心かとも思います。
ですので、当店では基本的に
カンペールのソール補修については、オールソールでの対応となります。
オールソールに使用する素材は、劣化が起こり難い素材を選んで使用しており、
ソール交換後の部分補修は可能な仕様となっております。
#お知らせ
年末のメールでのお問い合わせ対応については、
24日/19時まで となります。
それ以降でのHPフォームからのお問い合わせや
ご返信につきましては、年明け8日から順次返信させて頂きます。
2018年1月の店頭営業日につきましては、現在調整中となっております。
それでは皆様良いお年をお迎えください。
来年もどうぞご愛顧の程、よろしくお願い致します。
店主

BEFORE/AFTER画像で投稿するのもいいかな、とも思ったのですが、
どうやら画像だけかと思いきや、コメントのやりとりをする必要があるようで。
そうなると、現状でもお問い合わせのメール回答に
四苦八苦している状態なので、インスタにコメントを頂いても
なかなか返せず、結果「感じ悪し」となってしまう事が予想されます。
(ブログのコメント欄も、ずいぶん前に停止してしまいましたし)
ですので、インスタに限らず、ツイッターやLINEやFacebookなどの
SNSには手を出しておりません。
このBLOGと、HPで手一杯という感じであります。
なのでBLOGにて、なんちゃってインスタ映えを。
でも当事者にすればブラック映えなのかもしれませんが…。


#カンペール劣化

#カンペール劣化

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#カンペール劣化

#カンペール劣化

#カンペール劣化


劣化映え致しますね…カンペール…。
今年もたくさんソール交換致しました。
来年仕上り分も、20足分くらい進行中ではありますが。
ウレタン系のソールの劣化をなるべく進行させない為には、
どんどん履いて頂く事かと思います。
靴箱にしまったり、靴棚に放置されておりますと
滞った湿気などの影響により、余計に劣化が進行し易くなってしまいますので。




尚、当店では基本的に
カンペールのソールの部分補修は行なっておりません。
画像を見てお分かり頂けるように、劣化が進行しておりますと
次々にぼろっと、パクっと崩壊してしまいます。
カカトを部分補修しても、他がパクッと割れてしまったり、
部分補修のせいで、付け足した部分で割れてしまうことが起こりがちです。
そうなれば、その部分補修費用が無駄になってしまいます。
また、例えば階段を降りている時に、ヒールがポキッと…
となるとかなり危険でありますので、
潔く諦めソール交換をされたほうが安心かとも思います。
ですので、当店では基本的に
カンペールのソール補修については、オールソールでの対応となります。
オールソールに使用する素材は、劣化が起こり難い素材を選んで使用しており、
ソール交換後の部分補修は可能な仕様となっております。
#お知らせ
年末のメールでのお問い合わせ対応については、
24日/19時まで となります。
それ以降でのHPフォームからのお問い合わせや
ご返信につきましては、年明け8日から順次返信させて頂きます。
2018年1月の店頭営業日につきましては、現在調整中となっております。
それでは皆様良いお年をお迎えください。
来年もどうぞご愛顧の程、よろしくお願い致します。
店主

ampersandand at 19:05|Permalink│
2017年08月13日
バルセロナ、北海道経由のカンペール 大陸移動オールソール篇
ときどき海外からのオールソールのご依頼がありますが、
一応修理品といえども、靴ですので関税が掛かる場合があるようです。
靴の場合は、確か30%かまたは何々みたいな条件だったかと思います。
只、今まで届いた靴で関税を請求された事はありませんが。
今回はそんな不安もない、持ち込み品となります。
バルセロナ在住のお客さまからのご依頼品。
カンペールはスペインの靴メーカーですので、
本店にお問い合わせされたそうですが、
修理できない、新しいのを買ってくれと云われたとの事…。
ですので、バルセロナから北海道の恋人に会いにいくという
知り合いに頼んで手持ちで国内に持ち込み、
その後、北海道から関東在住の妹さんに宅急便で配送、
そして妹さんが店頭持ち込みというマンパワーでのご依頼品となります。
before


スペインのカンペール本店で断られたとの事ですが、
そうでしょう、そうでしょう…。
このソールは在庫でストックできないのですから。
ストックしている期間にも、素材が徐々に劣化していきますので
無理なのだと思います。

こんな感じでみんな割れてしまいます。
この底面の装飾もかわいいのですが、割れの原因にもなっております。
通常のラバー素材であれば問題はないのですが、
この素材は劣化し易いようなので、劣化し始めた際に、
このような凹凸で厚みの差がありますと、キットカットのように、
凹み部分できっとカットです。

ヒール部分もソール一体形状ですので素材は同じ。
ですので、こちらも割れてしまいます。
リフト部分は一度スペイン?で修理されています。
当店では、カンペールの場合は基本的に部分補修は行っておりません。
*一部可能な場合や、デメリットをご了承の上で行っているものもあります。
画像でお分かりのように、リフトを固定した部分からひび割れが生じております。
修理したリフトはまだ摩耗しておらず、擦り減っていませんが
その取り付け部分からひびが…。
結局この素材ですと、修理する際の圧着や素材違いの堅さのものが
修理で取り付けられますので、劣化が始まっていた場合の
土台部分ですと、その後にこのように割れが生じ易くなってしまいます。
または作業中に割れてしまう事もあります。
ですので、当店では安全面も含め部分補修はお勧めしておりません。
ちなみに、カンペールではベロの部分に同素材でロゴマークの
パーツが取り付けられてりますが、これも同様に劣化して
割れてきます、革にてロゴマークを代替修理も可能です。


それでは修理となりますが、このソール仕様モデルは
当店ではおなじみのモデルとなり通常修理となっております。
なんどもご紹介しておりますので、途中行程は今回は割愛させていただきます。
after

ベースとなる部分はレザーソールで行い、本体とは底縫いで固定してあります。
革底は基本的に劣化により割れるということはあまり
考えられませんので(30年とか経過すれば別ですが)安心して
履いて頂けると思います。
その底縫いした革底に、ハーフラバーソールを取り付け
滑止め、靴底補強と底縫いの糸切れを予防します。
ハーフソールが摩耗しましたら、その部分のみ張り替えできますので
本体の革底が摩耗する事はありません。
ヒール部分は、一般的なハイヒールの規格で、
プラスチックヒールに革を巻いてある仕様になります。


ですので、仮にものすごく土台のヒール部分を減らしてしまっても
本体とは別体になっているので、ヒール部分ごと交換もできますし、
もちろん、通常とおりに一段目のゴムの交換も可能です。
いずれの補修も、スペインの修理店でも問題なく行えると思います。


受け取りは、お姉さんが一時帰国に合わせてピックアップでご来店に。
トリフのオーリブオイルや、イベリコ豚味のプリングス?など色々と
スペインのお土産を頂いてなんだか恐縮でした。
お治しした靴が異国の地で活躍し、地元の修理店で部分補修される際に
スペインの職人さんに「うまくソール交換しているな…」
と、思われたい今日この頃。
一応修理品といえども、靴ですので関税が掛かる場合があるようです。
靴の場合は、確か30%かまたは何々みたいな条件だったかと思います。
只、今まで届いた靴で関税を請求された事はありませんが。
今回はそんな不安もない、持ち込み品となります。
バルセロナ在住のお客さまからのご依頼品。
カンペールはスペインの靴メーカーですので、
本店にお問い合わせされたそうですが、
修理できない、新しいのを買ってくれと云われたとの事…。
ですので、バルセロナから北海道の恋人に会いにいくという
知り合いに頼んで手持ちで国内に持ち込み、
その後、北海道から関東在住の妹さんに宅急便で配送、
そして妹さんが店頭持ち込みというマンパワーでのご依頼品となります。
before


スペインのカンペール本店で断られたとの事ですが、
そうでしょう、そうでしょう…。
このソールは在庫でストックできないのですから。
ストックしている期間にも、素材が徐々に劣化していきますので
無理なのだと思います。

こんな感じでみんな割れてしまいます。
この底面の装飾もかわいいのですが、割れの原因にもなっております。
通常のラバー素材であれば問題はないのですが、
この素材は劣化し易いようなので、劣化し始めた際に、
このような凹凸で厚みの差がありますと、キットカットのように、
凹み部分できっとカットです。

ヒール部分もソール一体形状ですので素材は同じ。
ですので、こちらも割れてしまいます。
リフト部分は一度スペイン?で修理されています。
当店では、カンペールの場合は基本的に部分補修は行っておりません。
*一部可能な場合や、デメリットをご了承の上で行っているものもあります。
画像でお分かりのように、リフトを固定した部分からひび割れが生じております。
修理したリフトはまだ摩耗しておらず、擦り減っていませんが
その取り付け部分からひびが…。
結局この素材ですと、修理する際の圧着や素材違いの堅さのものが
修理で取り付けられますので、劣化が始まっていた場合の
土台部分ですと、その後にこのように割れが生じ易くなってしまいます。
または作業中に割れてしまう事もあります。
ですので、当店では安全面も含め部分補修はお勧めしておりません。
ちなみに、カンペールではベロの部分に同素材でロゴマークの
パーツが取り付けられてりますが、これも同様に劣化して
割れてきます、革にてロゴマークを代替修理も可能です。


それでは修理となりますが、このソール仕様モデルは
当店ではおなじみのモデルとなり通常修理となっております。
なんどもご紹介しておりますので、途中行程は今回は割愛させていただきます。
after

ベースとなる部分はレザーソールで行い、本体とは底縫いで固定してあります。
革底は基本的に劣化により割れるということはあまり
考えられませんので(30年とか経過すれば別ですが)安心して
履いて頂けると思います。
その底縫いした革底に、ハーフラバーソールを取り付け
滑止め、靴底補強と底縫いの糸切れを予防します。
ハーフソールが摩耗しましたら、その部分のみ張り替えできますので
本体の革底が摩耗する事はありません。
ヒール部分は、一般的なハイヒールの規格で、
プラスチックヒールに革を巻いてある仕様になります。


ですので、仮にものすごく土台のヒール部分を減らしてしまっても
本体とは別体になっているので、ヒール部分ごと交換もできますし、
もちろん、通常とおりに一段目のゴムの交換も可能です。
いずれの補修も、スペインの修理店でも問題なく行えると思います。


受け取りは、お姉さんが一時帰国に合わせてピックアップでご来店に。
トリフのオーリブオイルや、イベリコ豚味のプリングス?など色々と
スペインのお土産を頂いてなんだか恐縮でした。
お治しした靴が異国の地で活躍し、地元の修理店で部分補修される際に
スペインの職人さんに「うまくソール交換しているな…」
と、思われたい今日この頃。
ampersandand at 15:07|Permalink│
2017年08月09日
カンペール PEUはPEUでも。 三者三様オールソール篇
毎月全国から届くカンペールのオールソール…。
そんな当店の「カンペールのオールソールビック3」は、
ペロータス/PELOTAS
ブラザーズ/BROTHERS
ペウ/PEU
となっております。
ペロータスとブラザーズのソールは、本体のデザインが異なっていても
ソールの仕様は同じなので、補修のご案内も行い易いのですが、
PEUに限っては、見た目は同じようでもソールは三者三様。
それぞれ底付けの製法自体が異なっております。
その中でも舟底タイプは特殊形状になっておりますので、
ソール交換費用も他に比べて倍近くと費用が跳ね上がります。
こちらが噂の「チームPEU」。

一見、同じように見えますが…
まずはこちら、
靴の周囲に縫い目があるタイプ。


表の縫い目が底面の矢印の縫い目となります。
こちらはステッチダウン製法となり、本体のブラウンの革を
L字に折り曲げ、その部分とソールまたはミッドソールを縫い付ける製法です。
ちなみに、こちらのPEUは履き過ぎの状態です。
本体の部分まで摩耗しておりますので、もう少し早めのご依頼を。


底縫いを削って剥がしますと、ミッドソールは見えてきます。
このモデルは、この部分は交換ができません。
このミッドソールと中敷でスポンジシートを封入している
仕様になっておりますので、このミッドソールを剥がしますと
封入されているスポンジが、恐らくぼろぼろと
凹凸に剥がれてきてしまったり…
その結果、靴の容積が変わってしまう
可能性があります(サイズが変わってしまう)。
ですので、このミッドソール以下でのソール交換となります。
続いてこちら。


靴の周囲には縫い目がありません。
底面をみてみますと縫い目があります。

こちらはマッケイ製法になります。
靴の中側、中底面で底面と本体を貫通して縫製されております。

ちなみにソール割れです。
カンペールのソールは比較的劣化により割れ易い?
素材が使われているようです。
続いてこちらが問題の舟底モデル。
製法はサイドマッケイ製法とでも云いましょうか。
ソールが側面までせり上がり、側面で本体と貫通して縫製されております。



こちらもソールが割れていますね…。
劣化し易い素材をサイドのソールが薄い部分で縫製しているので、
縫い目にソールが負けて割れてしまう…トホホ…ですね。
ちなみに、キャメル系のソールであればクレープソールで
同じようにくるむ感じで覆い、サイドマッケイで縫製できるのですが、
この場合もクレープソールが薄いので、
のちのち縫い目に負けて…トホホ…となりますので、
当店ではその仕様では行っておりません。
当店では、ソール交換(または補修)で使用する素材は、
それぞれ劣化が起こり難い素材を選んで、
ご提案させて頂いておりますのでご安心して頂ければと思います。

ソールを剥がすには、サイド部分の縫い目を削ります。


外観からですとソールが厚そうに見えますが、
剥がしているソールの断面をみて頂くと、薄いのが分かるかと思います。
ソールの厚みは実質3.5mm程度です。
そして、ソールを取り除きますとこんな感じ、埋まっています。

この埋まっていた部分の処置で費用が跳ね上がります。
ときどきメールでのお問い合わせで、費用が高いので
「埋まっていた部分はそのままでいい」と云われる事がありますが
ご覧のようにガサガサですし、革の表面もやや痛んでおり、
また、ソールとの境目部分がしばしば裂け始めていたりしますので
「そのままで」というのは耐久性に問題がありますのでお断りしております。

ちなみに、埋まってた部分はこんな感じで革をつり込んで縫製しております。
巻革の色は、元のソールの色合いに合わせてみたり、
本体の色に合わせてみたりとカスタム可能です。
補修詳細はこちらの記事を参照ください。
カンペール革巻き補修その壱
カンペール革巻き補修その弐
カンペール革巻き補修その参
それではそれぞれのAFTER篇になります。
まずはステッチダウン製法のPEUモデルから。




もともとの朱色のソールカラーに近い色でソール交換を行っています。
ミッドソールを追加し底縫いを行い、軽量でクッション性の高い
スポンジソールを取り付けております。
vibram#8365(伊)/ミッドソールRED/かかとつま先ラバー補強仕様
かかととつま先ラバー補強というのは、

こんな感じで一度完成させてから、あえてつま先とかかと部分を
一段凹ませ、耐久性の高いラバーを埋め込んでおります。
スポンジソールは軽量でいいのですが、やはりラバーソールに比べると
摩耗し易いので、減り易い部分には始めからラバーで補強を行っております。
(もちろん無しでも可能です)
色違いでこちら。



先程と同じモデルですが、ソールの色がブラックになっております。
ミッドソールを赤色にしてゴムの色に合わせてアクセントに。
ソールの色を変えると雰囲気もがらっと。
TOPYラバーシート(仏)/ミッドソールRED仕様
続いて先程のマッケイ製法の、と思ったのですが
AFTER画像が見つからないので、こちらの同じマッケイ製法のPEU


ミッドソールを追加し、底縫いを行いラバーソールを取り付けてあります。
TOPYラバーシート(仏)/ミッドソール仕様
最後に舟底モデルのPEU。
革巻きは本体の色に合わせてダークブラウンで。
ソールの色は、元のオレンジ色に合わせる仕様で。


レザーミッドソールを取り付けマッケイ製法で底付け。
その土台に、スポンジソールを取り付けています。
ですので、摩耗しましたら底縫いを切らずに部分補修が可能です。
レザー部分は染色できるので、オレンジに染め付け。


革巻きのメリットは手間は掛かるのですが、ソールが不定形に
本体と組合わさっていても、そのソールラインに合わせて
革を巻き付ける事が可能と云う事です。

以上、三者三様PEUオールソール篇となります。
一概に「PEU」と云ってもこんな感じで方法が色々とありますので
オールソールをご検討の全国の「ペウラー」の皆さんの
ご参考になれば思います。

そんな当店の「カンペールのオールソールビック3」は、
ペロータス/PELOTAS
ブラザーズ/BROTHERS
ペウ/PEU
となっております。
ペロータスとブラザーズのソールは、本体のデザインが異なっていても
ソールの仕様は同じなので、補修のご案内も行い易いのですが、
PEUに限っては、見た目は同じようでもソールは三者三様。
それぞれ底付けの製法自体が異なっております。
その中でも舟底タイプは特殊形状になっておりますので、
ソール交換費用も他に比べて倍近くと費用が跳ね上がります。
こちらが噂の「チームPEU」。

一見、同じように見えますが…
まずはこちら、
靴の周囲に縫い目があるタイプ。


表の縫い目が底面の矢印の縫い目となります。
こちらはステッチダウン製法となり、本体のブラウンの革を
L字に折り曲げ、その部分とソールまたはミッドソールを縫い付ける製法です。
ちなみに、こちらのPEUは履き過ぎの状態です。
本体の部分まで摩耗しておりますので、もう少し早めのご依頼を。


底縫いを削って剥がしますと、ミッドソールは見えてきます。
このモデルは、この部分は交換ができません。
このミッドソールと中敷でスポンジシートを封入している
仕様になっておりますので、このミッドソールを剥がしますと
封入されているスポンジが、恐らくぼろぼろと
凹凸に剥がれてきてしまったり…
その結果、靴の容積が変わってしまう
可能性があります(サイズが変わってしまう)。
ですので、このミッドソール以下でのソール交換となります。
続いてこちら。


靴の周囲には縫い目がありません。
底面をみてみますと縫い目があります。

こちらはマッケイ製法になります。
靴の中側、中底面で底面と本体を貫通して縫製されております。

ちなみにソール割れです。
カンペールのソールは比較的劣化により割れ易い?
素材が使われているようです。
続いてこちらが問題の舟底モデル。
製法はサイドマッケイ製法とでも云いましょうか。
ソールが側面までせり上がり、側面で本体と貫通して縫製されております。



こちらもソールが割れていますね…。
劣化し易い素材をサイドのソールが薄い部分で縫製しているので、
縫い目にソールが負けて割れてしまう…トホホ…ですね。
ちなみに、キャメル系のソールであればクレープソールで
同じようにくるむ感じで覆い、サイドマッケイで縫製できるのですが、
この場合もクレープソールが薄いので、
のちのち縫い目に負けて…トホホ…となりますので、
当店ではその仕様では行っておりません。
当店では、ソール交換(または補修)で使用する素材は、
それぞれ劣化が起こり難い素材を選んで、
ご提案させて頂いておりますのでご安心して頂ければと思います。

ソールを剥がすには、サイド部分の縫い目を削ります。


外観からですとソールが厚そうに見えますが、
剥がしているソールの断面をみて頂くと、薄いのが分かるかと思います。
ソールの厚みは実質3.5mm程度です。
そして、ソールを取り除きますとこんな感じ、埋まっています。

この埋まっていた部分の処置で費用が跳ね上がります。
ときどきメールでのお問い合わせで、費用が高いので
「埋まっていた部分はそのままでいい」と云われる事がありますが
ご覧のようにガサガサですし、革の表面もやや痛んでおり、
また、ソールとの境目部分がしばしば裂け始めていたりしますので
「そのままで」というのは耐久性に問題がありますのでお断りしております。

ちなみに、埋まってた部分はこんな感じで革をつり込んで縫製しております。
巻革の色は、元のソールの色合いに合わせてみたり、
本体の色に合わせてみたりとカスタム可能です。
補修詳細はこちらの記事を参照ください。
カンペール革巻き補修その壱
カンペール革巻き補修その弐
カンペール革巻き補修その参
それではそれぞれのAFTER篇になります。
まずはステッチダウン製法のPEUモデルから。




もともとの朱色のソールカラーに近い色でソール交換を行っています。
ミッドソールを追加し底縫いを行い、軽量でクッション性の高い
スポンジソールを取り付けております。
vibram#8365(伊)/ミッドソールRED/かかとつま先ラバー補強仕様
かかととつま先ラバー補強というのは、

こんな感じで一度完成させてから、あえてつま先とかかと部分を
一段凹ませ、耐久性の高いラバーを埋め込んでおります。
スポンジソールは軽量でいいのですが、やはりラバーソールに比べると
摩耗し易いので、減り易い部分には始めからラバーで補強を行っております。
(もちろん無しでも可能です)
色違いでこちら。



先程と同じモデルですが、ソールの色がブラックになっております。
ミッドソールを赤色にしてゴムの色に合わせてアクセントに。
ソールの色を変えると雰囲気もがらっと。
TOPYラバーシート(仏)/ミッドソールRED仕様
続いて先程のマッケイ製法の、と思ったのですが
AFTER画像が見つからないので、こちらの同じマッケイ製法のPEU


ミッドソールを追加し、底縫いを行いラバーソールを取り付けてあります。
TOPYラバーシート(仏)/ミッドソール仕様
最後に舟底モデルのPEU。
革巻きは本体の色に合わせてダークブラウンで。
ソールの色は、元のオレンジ色に合わせる仕様で。


レザーミッドソールを取り付けマッケイ製法で底付け。
その土台に、スポンジソールを取り付けています。
ですので、摩耗しましたら底縫いを切らずに部分補修が可能です。
レザー部分は染色できるので、オレンジに染め付け。


革巻きのメリットは手間は掛かるのですが、ソールが不定形に
本体と組合わさっていても、そのソールラインに合わせて
革を巻き付ける事が可能と云う事です。

以上、三者三様PEUオールソール篇となります。
一概に「PEU」と云ってもこんな感じで方法が色々とありますので
オールソールをご検討の全国の「ペウラー」の皆さんの
ご参考になれば思います。

ampersandand at 23:33|Permalink│
2016年11月29日
カ、カ、カンペールのオールソールは、 現在大変混み合っております…。

カンペールのソール交換は、現在大変混み合っております。
受付させて頂いた順番にて作業を進めておりますので
仕上りまでしばしお待ち願います。
店主
ampersandand at 07:30|Permalink│
2016年08月19日
2016年03月04日
カンペール海外部隊 ニュージーランドからの刺客篇
こちらはカンペールpeuモデルになります。
このモデルもソールに埋まっている特殊モデルになります。
*peuモデルでも、ソールに埋まっていないステッチダウン製法や
マッケイ製法のモデルもあります。
before


ニュージーランドから遥々やって参りました。
といっても、海外発送はやっておりませんので
一時帰国の際に受付をして、ご返却はご実家経由で行うという
ときどきある海外カンペール部隊のオールソールになります。
今回は修繕のフルコースといった感じであります。
修繕を進めるにつれ補修箇所が次から次へと発覚!


ソールを剥がしてみたら、パルプの中底は崩壊しておりますし…。
カンペールのタグは劣化し折れかかっております。


中底は同様の素材で全替え。
タグは革で代替えを。

次に、ソールとの境目が裂けておりましたのでその部分の補修を行います。
お客様で破れた部分を内側からボンドでくっつけてしまっております…。
よく破れた部分をこのようにボンドで固定しようとDIYされることが
しばしばありますが、その後修理を依頼されるのであれば
そのようなことは決して行わないことをお勧め致します。


革を宛て裂け目を縫製。

そもそも裂けるぐらいの負荷が掛かっておりますので
接着では耐えられません。
またボンド等で接着しますと、その部分は硬化してしまいます。
補修の際は、硬化した部分はすべて取り除く必要があります。
ですので補修費用は嵩みますし、見栄えも悪くなってしまう
可能性がありますので、百害あって一利無しと云う感じです。


カカト内側も生地が裂けており、芯材が剥き出しになってきております。
この部分も革にて補修を行いました。
革は、水色が無いので、革巻部分に使用する革で揃えました。
AFTER






このソールの仕様であれば、カカトが擦り減った場合、
ニュージーランドの修理店でも部分補修は
可能だと思いますので、海外リペア対応の仕様になります。
このモデルもソールに埋まっている特殊モデルになります。
*peuモデルでも、ソールに埋まっていないステッチダウン製法や
マッケイ製法のモデルもあります。
before


ニュージーランドから遥々やって参りました。
といっても、海外発送はやっておりませんので
一時帰国の際に受付をして、ご返却はご実家経由で行うという
ときどきある海外カンペール部隊のオールソールになります。
今回は修繕のフルコースといった感じであります。
修繕を進めるにつれ補修箇所が次から次へと発覚!


ソールを剥がしてみたら、パルプの中底は崩壊しておりますし…。
カンペールのタグは劣化し折れかかっております。


中底は同様の素材で全替え。
タグは革で代替えを。

次に、ソールとの境目が裂けておりましたのでその部分の補修を行います。
お客様で破れた部分を内側からボンドでくっつけてしまっております…。
よく破れた部分をこのようにボンドで固定しようとDIYされることが
しばしばありますが、その後修理を依頼されるのであれば
そのようなことは決して行わないことをお勧め致します。


革を宛て裂け目を縫製。

そもそも裂けるぐらいの負荷が掛かっておりますので
接着では耐えられません。
またボンド等で接着しますと、その部分は硬化してしまいます。
補修の際は、硬化した部分はすべて取り除く必要があります。
ですので補修費用は嵩みますし、見栄えも悪くなってしまう
可能性がありますので、百害あって一利無しと云う感じです。


カカト内側も生地が裂けており、芯材が剥き出しになってきております。
この部分も革にて補修を行いました。
革は、水色が無いので、革巻部分に使用する革で揃えました。
AFTER






このソールの仕様であれば、カカトが擦り減った場合、
ニュージーランドの修理店でも部分補修は
可能だと思いますので、海外リペア対応の仕様になります。
ampersandand at 00:32|Permalink│
2016年03月02日
カンペール特殊部隊 怒りの脱出篇
引き続きカンペール特殊モデルのオールソールになります。
前回の記事はこちら
カンペールでもともと使用されている接着剤は
達が悪く、なかなか綺麗に取り除く事ができず、接着不良の原因にも
なりかねません。
また劣化してべとついたソールも、これもなかな綺麗に
削り採る事が難しい場合があり、表面に沈着してしまう場合もあります。
ですので、表面を溶剤にて処理を行い綺麗にしてから、
新たに取付けるソールなどの接着を行います。


画像にて底縫いが確認出来るかと思います。
基本的に当店のカンペールのオールソールは、
まずミッドソールの取付を行い、加えて本体と底縫いを行います。
これは、修理を行いつつ履き続けるワークブーツで
よく用いられる製法になります。
こうする事で、接着に適した土台がしっかりとできます。
そして、この面にアウトソールを接着致しますので
底縫いの糸が擦切れることがなく、土台からぱかっとソールが
剥がれ落ちる事もありません。
(ソールの厚みやオリジナルの設定により、直接底縫いを行う場合もあります)


ソール交換後は、適時に摩耗したつま先やカカトなどの
部分補修を行って頂ければ今回のような大掛かりなオールソールの
必要はないかと思います。
仮にもし次回オールソールになった場合には、手間が掛かる
埋まっていた部分の革巻補修はありませんし、
すでに土台になる部分は出来ておりますので、
一層目のソールのみの交換であれば、その際のオールソール費用は、
今回の1/3から1/4程度に抑えられます。
そんなこんなでようやく完成となります。
AFTER


VIBRAM#1030(Italy)


TOPY(France)


TOPY(France)

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TOPY(France)
ソール交換に使用する素材は(通常の素材も)、すべて劣化が
起り難い素材を選択して使用しております。
ですので、安心して履き続けて頂ければと思います。
なお、カカトなどが擦り減った場合、その度
遠方から当店に郵送での修理では送料が大変ですので、
お近くの修理店でも部分補修が可能な治し易い仕様で
ソール交換を行っておりますので、その点も
この仕様はメリットかと思います。
一応、当店のスタンスとしては、ただ治すというのではなく
基本、永く履き続けるにはどうすればよいか?また、
リペアランニングコストや重量、ソールの耐久性などを考慮しつつ
その人に適した修繕方法を日々検討しております。
前回の記事はこちら
カンペールでもともと使用されている接着剤は
達が悪く、なかなか綺麗に取り除く事ができず、接着不良の原因にも
なりかねません。
また劣化してべとついたソールも、これもなかな綺麗に
削り採る事が難しい場合があり、表面に沈着してしまう場合もあります。
ですので、表面を溶剤にて処理を行い綺麗にしてから、
新たに取付けるソールなどの接着を行います。


画像にて底縫いが確認出来るかと思います。
基本的に当店のカンペールのオールソールは、
まずミッドソールの取付を行い、加えて本体と底縫いを行います。
これは、修理を行いつつ履き続けるワークブーツで
よく用いられる製法になります。
こうする事で、接着に適した土台がしっかりとできます。
そして、この面にアウトソールを接着致しますので
底縫いの糸が擦切れることがなく、土台からぱかっとソールが
剥がれ落ちる事もありません。
(ソールの厚みやオリジナルの設定により、直接底縫いを行う場合もあります)


ソール交換後は、適時に摩耗したつま先やカカトなどの
部分補修を行って頂ければ今回のような大掛かりなオールソールの
必要はないかと思います。
仮にもし次回オールソールになった場合には、手間が掛かる
埋まっていた部分の革巻補修はありませんし、
すでに土台になる部分は出来ておりますので、
一層目のソールのみの交換であれば、その際のオールソール費用は、
今回の1/3から1/4程度に抑えられます。
そんなこんなでようやく完成となります。
AFTER


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ソール交換に使用する素材は(通常の素材も)、すべて劣化が
起り難い素材を選択して使用しております。
ですので、安心して履き続けて頂ければと思います。
なお、カカトなどが擦り減った場合、その度
遠方から当店に郵送での修理では送料が大変ですので、
お近くの修理店でも部分補修が可能な治し易い仕様で
ソール交換を行っておりますので、その点も
この仕様はメリットかと思います。
一応、当店のスタンスとしては、ただ治すというのではなく
基本、永く履き続けるにはどうすればよいか?また、
リペアランニングコストや重量、ソールの耐久性などを考慮しつつ
その人に適した修繕方法を日々検討しております。
ampersandand at 11:00|Permalink│
2016年03月01日
カンペール特殊部隊 潜入捜査篇
カンペールのオールソールは、断るお店が多いようですが
この特殊モデルですとその割合ももっと多くなるようです。

こちらがカンペールでも選りすぐりの特殊部隊になります。
なかなか勇ましいですね。
特殊部隊が日に日に増員されますと、私ひとりで手に負えるか
心配になる次第です。
ときどき、ジョン•ランボーを助っ人に呼びたくなります。

このモデルはなぜかいつも同時期に別々の方からご依頼が入ります。
カンペールあるあるです。

これがなんで特殊部隊と云われるか…(私が勝手に云っているだけですが)
本体部分の10mm程度下側が、ガサガサしているのが確認
出来るかと思います。



そのガサガサしている部分までこの特殊モデルはソールに
埋まっている仕様になっております。
ですので、この埋まっていた部分をどうするかが問題になります。


スニーカーもこのような埋まっている仕様が多いので
その補修用に、10mm幅のスポンジ素材またはラバー素材のような
薄い帯状の材料があるにはあるのですが、当店では使用を見送っております。
また、その材料でも完全に埋まっている部分を隠す事ができず、
カカト部分は表出してしまったり、モデルによっては合わないなどがあります。
ただそれを使わない一番の理由としては、
その素材が割れてしまう可能性があるということになります。
薄い帯状の素材ですので、それを周囲に巻き付けますと、
屈曲部分などは伸縮を繰り返すうちに割れてきてしまったりが考えられます。
そのような仕様の市販の靴が割れている症状を見ておりますので
高い費用を掛けて治しても結果、痛んでしまう可能性があり、
かつ、部分的に補修も出来ない部位ですので導入を避けている次第であります。


それではどうのように治すかですが、当店では革を巻き付け縫製し
埋まっている部分を補修してからソール交換を行っております。
本体の色や元のイメージに合わせ革を選び、それぞれの深さにより
革幅を決めて裁断を行います。
1足で1メートル以上の長さの革が必要になります。
革はそのままでは厚いので、丁度良い厚さに全体を漉きます。

そして今度はフチ部分を折り込んでゆき、取付けた際に
後付け感がでないように処理を行ってゆきます。


次にできたレザーパーツを本体の埋まっている部分に巻き付け
縫製してゆきます。
部分的に違う深さや、波打っているラインに合わせて
巻き付けていきますので、ガサガサは全て隠す事ができます。

この方法に辿り着くまでは、当初、この縫製段階で針を1ダース近く
1足で折ったことがありました。
靴にはつま先やカカトなどには硬い芯材が入っておりますので
ぐるりと縫製するには厄介だったり致します。
またこのように縫うには、かなり無茶をして縫製しておりますので
縫製可能な設定を探り出すまでには… 苦労致しました。
なお、埋まっていたガサガサ部分や、ソールとの境目は
革が痛んでいる場合がありますので、その部分もこの方法ですと
しっかりと革と縫製で補強ができるのが利点でもあります。

これでようやく下準備が終了となります。
通常のオールソールではこの部分の行程がありません。
ですので、手間と材料が掛かるこの特殊モデルの
オールソール交換費用はかなり割高になってしまいます。
また当店のこの補修方法ですと手間が掛かり過ぎ、
ほかの修理に影響が出てしまうので、
一時期この特殊モデルのオールソールはお断りしておりました。
しかしその後もお問合せが続き、しかも出来なくて
お断りしている訳ではありませんでしたので、
「そちらで修理を断られたらあきらめて捨てます」
と、云われてしまうと…
ということで現在は再開している次第であります。

ただ、費用もお時間もかなり掛かりますので、
ご検討の方はその覚悟の上、お問合せ頂ければと思います。
次回「カンペール特殊部隊 怒りの脱出篇」をお送り致します。
そのほか、CAMPER 修繕事例はこちらです。
この特殊モデルですとその割合ももっと多くなるようです。

こちらがカンペールでも選りすぐりの特殊部隊になります。
なかなか勇ましいですね。
特殊部隊が日に日に増員されますと、私ひとりで手に負えるか
心配になる次第です。
ときどき、ジョン•ランボーを助っ人に呼びたくなります。

このモデルはなぜかいつも同時期に別々の方からご依頼が入ります。
カンペールあるあるです。

これがなんで特殊部隊と云われるか…(私が勝手に云っているだけですが)
本体部分の10mm程度下側が、ガサガサしているのが確認
出来るかと思います。



そのガサガサしている部分までこの特殊モデルはソールに
埋まっている仕様になっております。
ですので、この埋まっていた部分をどうするかが問題になります。


スニーカーもこのような埋まっている仕様が多いので
その補修用に、10mm幅のスポンジ素材またはラバー素材のような
薄い帯状の材料があるにはあるのですが、当店では使用を見送っております。
また、その材料でも完全に埋まっている部分を隠す事ができず、
カカト部分は表出してしまったり、モデルによっては合わないなどがあります。
ただそれを使わない一番の理由としては、
その素材が割れてしまう可能性があるということになります。
薄い帯状の素材ですので、それを周囲に巻き付けますと、
屈曲部分などは伸縮を繰り返すうちに割れてきてしまったりが考えられます。
そのような仕様の市販の靴が割れている症状を見ておりますので
高い費用を掛けて治しても結果、痛んでしまう可能性があり、
かつ、部分的に補修も出来ない部位ですので導入を避けている次第であります。


それではどうのように治すかですが、当店では革を巻き付け縫製し
埋まっている部分を補修してからソール交換を行っております。
本体の色や元のイメージに合わせ革を選び、それぞれの深さにより
革幅を決めて裁断を行います。
1足で1メートル以上の長さの革が必要になります。
革はそのままでは厚いので、丁度良い厚さに全体を漉きます。

そして今度はフチ部分を折り込んでゆき、取付けた際に
後付け感がでないように処理を行ってゆきます。


次にできたレザーパーツを本体の埋まっている部分に巻き付け
縫製してゆきます。
部分的に違う深さや、波打っているラインに合わせて
巻き付けていきますので、ガサガサは全て隠す事ができます。

この方法に辿り着くまでは、当初、この縫製段階で針を1ダース近く
1足で折ったことがありました。
靴にはつま先やカカトなどには硬い芯材が入っておりますので
ぐるりと縫製するには厄介だったり致します。
またこのように縫うには、かなり無茶をして縫製しておりますので
縫製可能な設定を探り出すまでには… 苦労致しました。
なお、埋まっていたガサガサ部分や、ソールとの境目は
革が痛んでいる場合がありますので、その部分もこの方法ですと
しっかりと革と縫製で補強ができるのが利点でもあります。

これでようやく下準備が終了となります。
通常のオールソールではこの部分の行程がありません。
ですので、手間と材料が掛かるこの特殊モデルの
オールソール交換費用はかなり割高になってしまいます。
また当店のこの補修方法ですと手間が掛かり過ぎ、
ほかの修理に影響が出てしまうので、
一時期この特殊モデルのオールソールはお断りしておりました。
しかしその後もお問合せが続き、しかも出来なくて
お断りしている訳ではありませんでしたので、
「そちらで修理を断られたらあきらめて捨てます」
と、云われてしまうと…
ということで現在は再開している次第であります。

ただ、費用もお時間もかなり掛かりますので、
ご検討の方はその覚悟の上、お問合せ頂ければと思います。
次回「カンペール特殊部隊 怒りの脱出篇」をお送り致します。
そのほか、CAMPER 修繕事例はこちらです。
ampersandand at 12:25|Permalink│
2015年12月25日
サプライズ カンペール 秘密のオールソール篇
奥さまからのお問合せで、
地元の修理店で修理を断られていたカンペールを
治せないかとお問合せを頂く。
旦那さんが、修理を断られても捨てずに大切に靴箱に
仕舞われているご様子から
「やっぱり履きたいんだろうな…」
と、そんな気持ちを察し、誕生日のサプライズとして
今回ご依頼して頂いたとのこと。
BEFORE



モデルはカンペールのビックフッドになります。
このロゴマーク「N似」のロゴが、発売当時、ニューバランスから
ロゴが似ているとのエンブレム問題的なクレームが付いたと云う
お話を、以前カンペール好きのお客様から伺った事があります。
ちなみにその後は恐らく、このロゴに変更になったんでは
ないかと思います。

ビックフッドやブラザーズのモデルは、ステッチダウン製法に
なりますので、ミッドソールに底縫いを行っております。
通常であれば、底縫いが行われている一段目のミッドソールも
交換出来るのですが、これらのモデルは構造上、一段目を交換してしまうと
サイズ感が変わってしまう恐れや、その他問題が生じてくる可能性が
ありますので二段目、三段目を同時に交換となります。
二段目が摩耗していなければ交換しなくてもいいのでは?
とも思われるかと思いますが、その理由は長くなりますので
機会がありましたらご案内となります。


このようなソールがある訳ではないので、一段一段積上げ、
カカトの高さを確認しながら、一足ずつ削りだしてゆきます。
AFTER




今回はソール交換/カカト内側擦切れ補修となります。
郵送でのご依頼でしたので、間違って旦那さんが
誕生日前に受け取ってしまってもまずいので、着日時間指定はもちろん、
最悪、受け取られてしまっても開けてしまわれないように、
品名も「化粧品」で、という擬装工作の打ち合わせも。
また、このブログ掲載も、11月末がバースデーということでしたので
それ以後の掲載でということに。
旦那さんがこのブログを見つけてしまう確率はほぼないと思いますが、
念の為ということで本日掲載となっております。
大切な友人達にプレゼントされたスニーカー、
旦那さんに始めてプレゼントされたモカシン、
父親から就職祝いで送られた革靴…
祖父が履いていた思い出の靴…
などなど、これまでに色々とプライスレスな靴を治してきましたが、
日々、「モノより思い出」ということを
実感する今日この頃でございます。
地元の修理店で修理を断られていたカンペールを
治せないかとお問合せを頂く。
旦那さんが、修理を断られても捨てずに大切に靴箱に
仕舞われているご様子から
「やっぱり履きたいんだろうな…」
と、そんな気持ちを察し、誕生日のサプライズとして
今回ご依頼して頂いたとのこと。
BEFORE



モデルはカンペールのビックフッドになります。
このロゴマーク「N似」のロゴが、発売当時、ニューバランスから
ロゴが似ているとのエンブレム問題的なクレームが付いたと云う
お話を、以前カンペール好きのお客様から伺った事があります。
ちなみにその後は恐らく、このロゴに変更になったんでは
ないかと思います。

ビックフッドやブラザーズのモデルは、ステッチダウン製法に
なりますので、ミッドソールに底縫いを行っております。
通常であれば、底縫いが行われている一段目のミッドソールも
交換出来るのですが、これらのモデルは構造上、一段目を交換してしまうと
サイズ感が変わってしまう恐れや、その他問題が生じてくる可能性が
ありますので二段目、三段目を同時に交換となります。
二段目が摩耗していなければ交換しなくてもいいのでは?
とも思われるかと思いますが、その理由は長くなりますので
機会がありましたらご案内となります。


このようなソールがある訳ではないので、一段一段積上げ、
カカトの高さを確認しながら、一足ずつ削りだしてゆきます。
AFTER




今回はソール交換/カカト内側擦切れ補修となります。
郵送でのご依頼でしたので、間違って旦那さんが
誕生日前に受け取ってしまってもまずいので、着日時間指定はもちろん、
最悪、受け取られてしまっても開けてしまわれないように、
品名も「化粧品」で、という擬装工作の打ち合わせも。
また、このブログ掲載も、11月末がバースデーということでしたので
それ以後の掲載でということに。
旦那さんがこのブログを見つけてしまう確率はほぼないと思いますが、
念の為ということで本日掲載となっております。
大切な友人達にプレゼントされたスニーカー、
旦那さんに始めてプレゼントされたモカシン、
父親から就職祝いで送られた革靴…
祖父が履いていた思い出の靴…
などなど、これまでに色々とプライスレスな靴を治してきましたが、
日々、「モノより思い出」ということを
実感する今日この頃でございます。
ampersandand at 15:02|Permalink│
2015年12月23日
ヤフオクのカンペール NCNRにつき残念…。 オールソール篇


一度しか履いていないのにソールが割れてしまって…。
残念ながらカンペールではよくあることです。
カンペールで使用されているソールの素材は、日本の気候には
どうやら適していないようで、劣化の進行が
比較的早く進んでしまうようです。
今までヨーロッパで住まわれ、日本に帰国した途端に
次から次へとカンペールのソールが割れていってしまった…という
お客様がしばしばいらっしゃいます。
そんなお話がお一人だけですとタイミングかな…とも思いますが、
そんなお話を何度かお聞きしますので、やはり湿気の多い気候のせいでは
ないかと思う次第であります。


と云っても、国内在住で10年保ちましたという方も
いらっしゃいますので使用環境、保管環境によりけりだとも思います。
ただ、勘違いされていることが多いのですが、
使用の有無に関わらず、素材が作られてから劣化は
始まっているということです。
ですので、ヤフオクなどに未使用品として出品されている
型落ちのカンペールも同様です。
型落ちですので、製作されてから何年か経っている訳ですし
その間、箱に入れられておりますので、
湿気にやられている可能性は高いかもしれません。
ということは、正規のセール品でも同様かなとも思われます。
今回のカンペールもヤフオクにて落札→履いたら即割れた→当店行き。
タグも付いたままですので恐らく、
家の中で足入れ→割れ…ということでしょうか。
ヤフオクのこのような商品は、基本NCNR、
ノークレームノーリターンになっています。

ちょっと一息…。
なので、一度で割れたからといって返品はできません。
悪質な出品者であれば、そうなる事を分かっていて
出品している可能性もあります。
劣化が進行しているソールは、触っただけで分かりますが、
ヤフオクの画像では、大きな亀裂がなければそんなことは分かりませんし、
小さな亀裂も、ソールを曲げて見ないと出てきませんし。

ただ、靴の製法自体にも問題があるようにも思います。
劣化し易いウレタン系のソールに底縫いを行いますと
底縫いの糸の方が強度がありますので、結果的に劣化が進行した際には、
その糸でソールを破壊してしまいます…。
画像でも分かる様に、糸の周りの素材が砕けているのが確認できます。
AFTER

底縫いの糸は外観には見えませんが、
中で本体とミッドソールを底縫いしてあります。
当店ではカンペールは基本的に底縫いを行ってからの
ソール取付けとなっております。
今回も、ミッドソールと本体で底縫いを行い、そのしっかりした土台に
ソールを接着しております、耐久性が求められるワークブーツなどと
同様の仕様になります。


今回使用したソールは、オーロラシューズでも純正で使用されている
vibram#8383ソールで行いました。
ボリュームがあるソールでしたので、軽量なスポンジ系のソールを
用いて交換致しました。
軽量なウレタンソールのボリュームを再現しようとしますと、
ラバーで製作してしまうと重くなってしまいます。
摩耗にはラバー素材を使用したほうが強いのですが
重くて履けなくなっては意味がありません。
もちろん劣化し易いウレタン系のソールは使えません。
修理材料として恐らくウレタン素材はそもそも無いのかも知れません。
在庫でストックしているだけで劣化してしまいますので。
今回は特に女性オーナーさんでしたので、
そのあたりもソールを選択するポイントになるかと思います。
身長が180cmの方と、150cm方ではソールの重さの
感じ方も違うでしょうし。
また、カカト部分が擦り減った際に、部分補修で
ラバーリフトを一段埋め込んでしまえば、摩耗には強くなり
軽量のままという、追々の補修を見越してという考え方も出来ますので。

もう一息…。
この記事を書くにあたり、「カンペール 未使用」で
ヤフオクにて検索してみますと、いくつか出品されていました。
たくさん入札されている靴もあり、
あ〜 それやばいやつぅー というのもあり、
来週あたり当店にやってこなければよいが…
と思う、師走な今日この頃…。
そのほか、CAMPER 修繕事例はこちらです。

出荷、出荷…。
ampersandand at 22:22|Permalink│