TUMI

2017年11月03日

TUMIの持ち手修理と、痛み軽減についての考察。

毎月毎月コンスタントに、TUMIの持ち手革交換を行っておりますと、
その痛み具合の状態にはパターンがありまして、
持ち主さんが、右利きなのか左利きなのかが分かるような気がします。
(郵送依頼品なので実際はどうかは分かりませんが)。
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TUMIのかばんは、デザイン的に鞄の裏表があります。
正面は、ポケットがあったりロゴが付いていたりする面です。

通常はそのような鞄の場合は、人は正面を外側にして持つかと思われます。
次に、矢印部分の痛んでいる箇所ですが、これは二本ある持ち手の
片側だけにできています。

そして、巻き付けられた革を取り外して開いてみますと
それぞれの二つ折の裏表(右半分左半分)で痛み具合が異なっております。
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ひび割れて痛んでいる面は、日常的に手に触れている面と云う事が分かります。
手あかや手汗により、革が変質しひび割れが生じたかと。

開いた革を観察してみますと、それぞれ裏表の四面で
二面ずつで、痛んでいる面と痛んでいない面があります。
痛んでない面というのは、面同士が重なっていて、
手に触れていないと推測できます。

手に持った時はこんな感じかと。
恐らくこの痛み具合だと右利きかなと推測。
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矢印01部分が当たっていて、革が次第に擦り切れたのでは?と。
矢印02の重なり合う面同士は、手に触れないのであまり痛まなかった部分かと。

しかし、鞄の正面を外側に向けないで使う人もいるのでは?
という意見もあるかと思います。

しかしそれは、裏面にできたナイロンの擦れ具合で判断が出来ます。
裏面、つまりズボン側の持ち手付け根部分は、歩行の際にズボンに当たり
擦れることで、画像のような位置が、白く毛羽立っているのが確認できています。
この位置での、そして片側の擦れは外側では起こり難いかと思われます。
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と、持ち主さんの利き手を推測しつつ、巻き革の型紙を作ります。
これはいくら推測を立てても、毎回微妙に長さが異なっています。

私の計測ブレもあるでしょうし、ナイロンが微妙に伸びている?
のではないかとも思うのであります。

2.0mmとかなので、型紙を再利用してもいいかなとも思うのですが、
補修の際には、すでに鞄に縫製されて湾曲している持ち手に
革を巻き付けてゆくので、その微妙な誤差が仕上りに影響を及ぼしますので
毎回型紙を製作し、革を裁断しております。

しかし、それでも淡い期待を捨てきれず、時々使えそうな数値の型紙は
捨てずに取っておいたりもしています。
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ではではタイトルの「痛みの軽減について」ですが、
日頃のお手入れはもちろんなのですが、
痛んでいる箇所の比較パターンから推測されることは…。

予想1.
持ち手は定期的に上下を変えて使用する(重なり方を逆にする)。
そうする事で、手に触れる面(痛む面)が偏らず、
ひび割れの進行を遅らせられるか。

予想2.
左右の手で毎日交互に持ってみる。
同じ位置に手が触れる事を防ぐ事で、部分的な
擦り切れの進行を遅らせられるか。
(同じ側で鞄を持ち続けると、骨格も傾いて歪むらしいですし)

と云うような感じでしょうか。
AFTER
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しかし、こちらのTUMIの場合のように、先程の推測からは外れ、
手に持つ部分全体から痛んでいる方もいらっしゃいます。

靴もそうですが、同じものでも使用環境や使い方は
人それぞれですので、すべて同じように痛むということはやはりありません。
(これが修理の難しいいところです)
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擦れなどの痛みは、どうしても使用により生じてきてしまいますが、
定期的に皮革用のトリートメントにてお手入れして頂ければ
保湿や、表面の保護もでき、痛みの進行を和らげますので
行って頂ければと思います。

「乾燥からの擦れ」を繰り返す事で、革はささくれて
ひび割れてきてしまいます。

以下ミシン掛けは、八方ミシンで行っておりますが
左手の指先のみで鞄全体を支えているので、重いTUMIの鞄は、
時々指先が耐えきれず、ツル時があります…。
(右手は車輪を回して針を動かしています)

もっと大きな鞄をミシン掛けする時には、左ひざで鞄を支えたりと
かなりアクロバティックな姿勢になります。
ですので、その時は股関節のあたりがツルわけですが…。

以前テレビで、海上に流れ出した油の流出を防ぐ巨大な
ネットみたいなものを縫製している高齢の職人さんが、
やはり同じように膝を使って巨大なネットを押し出しながら
必死にミシン掛けしている様子を見まして、ミシン掛けの大変さよりも
いつツルか、ツってしまうのか、ドキドキしながら見ていたのを思い出します。
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ツッて作業に支障がでないように、
鉄分を多めに摂取しなければと思う今日この頃…。
明日はレバニラ、食べようかな。
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ampersandand at 11:23|Permalink

2017年06月08日

TUMIの残念なところ 「合皮、ダメ。ゼッタイ。」

本体のナイロンは、防弾チョッキにも使われているという素材。
なので、摩耗にはなかなかお強い。
常に修理依頼される部分といえば、持ち手の革部分の擦り切れと
肩パット合皮面の交換。
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これらの部分は、問題なく革にて交換できますのでいいのですが、
今回は…
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このモデルは一見よくご依頼されるモデルかと思いきや
ちょっと違う様子。
ちょこちょこと、合皮のパーツが埋め込まれています…。
またまた余計な事を…。
どうせなら革でおやりなさいな…。

この部分も補修希望でしたが、なにせ埋め込まれているものですから…。
ナイロン素材の鞄の場合は特にそうなのですが、
補修の為に一部を分解してみますと、その内部では
幾重にも他のパーツと縫い重ねられていたりしてしまい
迷宮に入り込んでしまいがちです。

また、ナイロンは縫製されている部分を解きますと
繊維がぱらぱらと端からほどけてきやすいので注意が必要です。

今回の部分はそのような理由と、そもそも分解して掘り出して
再度その部分を元のように縫製するには一度外装をすべて分解しないと
内装まで一緒に縫製されてしまうので、何れにせよ修理できない箇所となります。

なぜ、TUMIはそんな場所に箇所に合皮を使うのでしょうか…。
早く買い替えさせる為?

AFTER
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銃弾を防ぐ素材なのに、合皮の劣化には勝てないとは…。
メーカーはそんな矛盾にはじめから気づいていると思うのですが。

ampersandand at 23:09|Permalink

2016年11月06日

TUMI修理専門店ではないのだけれど…。 まとめ篇

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TUMIの修理の時は、なぜだかパタパタパタと連続して全国の方から
ご依頼が舞い込みます。
なにか法則があるのでしょうか…。

まずは持ち手。
TUMIは鞄自体が重く、またそれに荷物を入れますのでなかなかの重量。
それを日々持ち歩きますので、おのずと持ち手の革が痛みます。

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持つ部分の外側が痛む方。
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付根部分が擦切れる方。
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ほぼ同じ形の鞄を持っているのに、痛み方は人それぞれ。
鞄のデザインに裏表がある場合は、
表面の持ち手革部分が痛み易かったり致します。(形状によります)

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この持ち手の補修はご依頼頻度が高いので、持ち手革の型を
作っておこうと以前思ったのですが、モデルによって微妙に
長さが異なっており断念、幅やデザインは同じなのに…。

同モデルでも伸びているのか、長さが数ミリ違う場合もあるので
その都度、一つ一つ型採りをしてから合わせて革を切り出しています。
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これは断面を黒く染めて乾燥中の様子。
載せている台、気付いた方はいらっしゃいますでしょうか。
これは猫よけのイガイガ。

100均で見つけました、これに乾燥中の断面を黒く染めたパーツを載せると
点で支えてくれるので、染めた部分が台に付いて汚れないので
使ってみています。
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本体にセッティング。
製品は持ち手が別パーツの状態で、しかも平らな状態で革を
セットして縫製しているのですが、修理のときはすでに本体の鞄は
くっ付いていますし、持ち手が湾曲している状態で
革を元々の位置にセットしなければなりません。

その場合、湾曲していますので内側外側の距離の違いが生じます。
しかしそれは型紙では生じていません。
ですので、ナイロンベルトに革パーツを合わせる際に
革の外側を微妙に引きつつ合わせてゆくなどのさじ加減が必要になります。
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そして縫製。
この時も修理の際には重たい本体の鞄がくっ付いていますのでしんどいです。
この場合の縫製は、八方ミシンで一目一目縫製してゆきます。
動力は右手で車輪を回して針を進めていますので、
鞄を持つのは左手の指先のみ、ん〜ぷるぷる。

本体が付いていますので、縫い進める方向は限られます。
バックで縫い進めたり、カニ歩きのように横にずらしながらなんてことも。
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受付の後ろにありますのが八方ミシン。
古めかしいのでオブジェだと思われ写真を撮ってゆかれる方も。
確かに数十年前のミシンにはなりますが現役で稼働中です。
ちなみにこのモデルは現在生産停止になっているようです。

HPの修繕事例目次のアイコンのミシンもSINGER社の八方ミシンです。
1919年頃に製作されたもののようです。
(現在は動作不安定につき自宅押し入れに待機中)

このミシンを模倣して国産したものが、先ほどの
SEIKO社の八方ミシンになります。
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八方ミシンはその名の通り、四方八方に縫い進められます。
抑え部分を右斜めに向ければ右斜め、左にむければ左に。
なので、無茶な箇所を縫製する修理には無くてはならないミシンになります。
もちろんTUMIの修理にも不可欠です。

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そうしまして完成。

続いてこちら、肩パッドの合皮面の劣化部分を革に交換。
劣化して黒い塗装のカスがポロポロとワイシャツに…。
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皆さんそのカスカス地獄にしばらく耐えられてからご依頼頂いているようで
カスがきれいに落ち切っている場合が多いです。

革へ交換の際には合皮面を取り外し、新たな革パーツを宛てがいまして
表面のオリジナルの革パーツの元の縫い目に、ひと針、ひと針と
針を落として縫製してゆきます。
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完成。
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ぱつんぱつん。
肩パッドも色々な形状のものがありますので、
それぞれだいたい対応しております。

続きましてはこちら、根革の裂け補修。
ショルダーストラップを引っ掛ける金具を固定している革部分。
経年劣化により加重を支え切れず裂けてしまいます。
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しかし、モデルにもよるのかもしれませんが、見た目は厚みがある感じですが
分解してみますと、芯材に圧縮した紙の芯材を挟み込んでいます。
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このブログでも度々登場しますが、この紙の芯材は使い初めは
良いのかもしれませんが、徐々に劣化して千切れてしまいがちです。
ただ、今回はこの芯材の影響ではなく本体に差し込んでいる部分の
仕様が問題でした。

差し込まれる部分は、薄くなだらかに漉いて挟み込むのですが
今回のものは、本体と縫製される部分に薄く漉いた部分がきてしまっていたので
耐え切れずに縫製部分が切り取り線のようになり千切れてしまっていました。
もう少し差し込んで、厚みが充分にあるところを縫製していれば
問題は無かったのですが。
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作り替えの際は厚みのある革を二重に合わせ伸び留めのナイロンを挟み込みます。
そして充分に厚みのある所を縫製して固定してあります。
完成
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引き続きこんな補修も。
持ち手のまとめパーツ。
BEFORE
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裏地が生地でできており、包んだ際にその生地がたるみますので、
そのダブつきの凹凸の影響で表面の革も擦切れているようです。

製作の際は、裏も革で製作します。
形を包んだ状態で裏革をセット裁断していますので、
内側のたるみの発生は最小限になっております。

革は、持ち手などに使う革で製作してしまうと、持ち手をまとめた際に
張りがあり過ぎるのでくるっと纏まりづらく、
持ち難くなりそうなので、もう少しソフトな黒革にて製作。
AFTER
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裏革にテンションをかけて製作していますので、
ボタンを開けても開き切らずに閉じ易い形状に維持出来ています。
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ampersandand at 16:35|Permalink

2015年08月16日

TUMI 修理専門店ではないのだけれど… リペアトラウマ篇

TUMIの修理も定期的にやって参ります。
なんとかの法則ではないのですが、一件ご依頼がありますと
立て続けに2件3件と、TUMI祭りが定期的にございます。

持ち手の革巻交換とショルダーベルトの肩当て部分の合皮交換。
肩当て裏面はなぜか合皮なんですよね…。

本体は防弾チョッキに使用されているというバリスティックナイロン、
持ち手部分は手馴染みの良いレザー、そして肩当て裏地はなぜか合皮…
なぜなんだTUMI… なぜなんだぁーー。
BEFORE
こちらは二つ折りのシンプルな革巻タイプ。
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こちらはレザー部分が変質してしまっております。
硬化してしまい剥がれている部分もあります。

剥がれてきてしまったので、瞬間接着剤で固めている部分も…。
たびたびお伝えしておりますが、瞬間接着剤でのDIYリペアされる場合は
その後のリペアは出来ない可能性(または費用が増加)することを
念頭にしていただいて行ってみてください。
(後に修理に出されるのであれば、やらない方が賢明です)

市販の瞬間接着剤は、接着ではなく物質を硬化させて固定していますので
その部分は柔軟性を失ってしまい、その後に割れてくる可能性があります。
今回も若干、ナイロン部分まで侵されておりましたが、ぎりぎり大丈夫でした。
下段の持ち手は経年により擦切れてしまっている症状です。
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持ち手周辺部分を革で覆う仕様のモデル。
こちらの仕様のほうが手間が掛かりますので費用は掛かります。
(どちらかを選択できるという訳ではなく、元の仕様で交換となります)
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肩当ての表部分、こちらは革になっております。
で、裏面が謎の合皮仕様。
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グレーの生地に見えますが、この表面にはもともと黒い合皮の皮膜が
覆っていたのですが、劣化して粉状になりYシャツやスーツにこびり付くという
厄介な現象を起こします。
ですので、恐らくご自身で全て擦りとり、しばらく使用されて
いたではないかと思われます。
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それぞれ分解していきます。
分解する時に使用するのがこの道具、名前お分かりでしょう?
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裁縫道具のひとつですが、糸を切ってゆく道具になります。
小学生の家庭科の授業にて、エプロン作りの際に
間違って縫ったところを先生に解いてもらったときが
わたしの「リッパー」との出会いでした…。

という回想は置いておきまして、作業を進めてゆきます。
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革のパーツを裁断してゆきます。
このパーツも毎回型紙を製作して裁断してゆきます。
同じ仕様であれば同じだろうと思っておりましたら、それぞれ使用により
微妙に寸法が変わってきておりますので、毎回微調整をしつつ型紙作りからに。
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今回の仕様は端の部分が折込仕様でしたので端を漉きます。
ちなみに周囲が5.0mmずつ大きくなっております。

色が薄くなっている部分が漉いた部分となります。
上段の画像/銀色の線が仕上りラインになります。
ですので幅を10mmで漉いて5.0mm折り返しますと
仕上りの大きさになります。

10mmの漉き部分は、端に向かって斜めに薄く漉かれておりますので、
5.0mm折り返す事で、もともとの革の厚みになるという事です。
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挟み込んでいる白い帯は、伸び留テープになります。
今回は無くても良いのですが、ラインを綺麗に出す為と、
補強も兼ねてサンドしています。
靴の履き口部分にも使用されております。
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二つ折りの持ち手部分も内側に折り込んでいきます。
当店で使用する革は、オリジナルより少し厚めを使用しておりますので、
折り込む部分も同じ厚みで畳んでしまうと、持ち手革部分が分厚く
なってしまういます。

ですので、手に触れる部分の革は元の厚みにし、
折り畳まれる内側部分は薄くなる様に幅を調整して革を漉いておきます。
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これらの部分漉きの作業は手間ですので、
その都度巻き込まれる距離を確認して、革を下ごしらえしなければ
なりませんので、修理店によっては薄い革をそのまま巻いてしまう
場合がありますし、既製品でもやはりそのように行っている製品が
しばしばあります。
(TUMIもそうですが、TUMIはそこそこの厚みの革を折り込んでおります)

ただ、このような作業をやるかやらないかで結果的には
耐久性の違いになってゆきます。
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持ち手の場合は、新たに縫ってゆきますのでピッチが狂わない様に
ひと針ひと針縫ってゆきます。
二つ折り部分は、厚いナイロンが二枚と革が四枚が重なっており、
厚みが10.0mm前後ありますので、八方ミシンの送りがほとんど効きません。
ですので、手の感覚でピッチが均等になるよう押す感じで縫い進めます。
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肩当ての縫製は、表面の革部分に元の縫い目がありますので
その縫い目をひと穴づつひろって縫い進めます。
ですので、メーカーで縫った縫い目がよれていれば、それに添って
縫いますのでよれてしまいます…。
よれない様に修正してしまいますと、もとの縫い穴が
別に残ってしまいますので。
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続いてこちらのTUMI。
こちらは先ほどと同様の二つ折りのタイプ。
まずはバラします。
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他店にてすでに一度修理されているということでしたが、ムムム…。
革が薄っぺらいですね… 0.5mmぐらいでしょうか。
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0.5mm…この厚みの革で持ち手の革を巻き直すというのは…。
ちなみに当店ですと約1.5mm、TUMIのオリジナルだと1.0から1.2mmぐらい。
0.5mmであればそのまま漉き加工せずに巻いてしまっても
段差などに影響ありませんし、持ち手の厚みも抑えられるので
ミシン掛けも楽なのですが…。

婦人靴のピンヒールなどに巻いてある革が0.5から0.8mmぐらい。
ですので、ヒール巻き用の革を使って巻いたのでしょうか…。

お察しの通り、それではすぐに擦切れてしまいます。
物理的にも単純に耐久性で1.5と0.5mmでは3倍違ってきますから。
このあたりは仕上り時点で見栄えが同じでも
使っていくうちに分かる部分ですので、補修費用だけでは
判断が難しいかと思います。

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前回の修理で、縫い目もヨタヨタになっており、
仕上りに不満があるとのことでした。

ヨタヨタのせいなのか、バラしてみますと縫い目がぐちゃぐちゃになっており、
所々の革が裂け始め分裂し始めております。
これをそのまま巻き直しても、表面がボコボコしてしまい
綺麗に仕上らないような… どうしたものか。
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今回の補修で、二つ折りの持ち手から、折らずにフラットな仕様に
変更できないかということでしたので、凸凹/裂けの補強も兼ねて
ナイロンの補強テープでぐるぐるとテーピングしてしまいます。
これで、表面の凸凹は落ち着きますし、補強にもなりますのでよろしいかと。
after
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フラットにして両面から革を巻きますとゴツくなりますと
お伝えしましたが、ゴツい分には尚結構ということでした。
結果、予想より頑丈な仕上りになったと喜んで頂けました。

ちなみに今回のご依頼は、他店でのぺらぺらヨタヨタの修理で、
リペアトラウマになってしまったようで、
修理にだすかどうか、ご来店の際もまだ悩まれていらっしゃるようでした。
またこの店でも同じようになったら…と。

わたしの場合は、その状態よりうまく出来ないと判断した場合は
正直に「できません」または、こうこうこうなりますとお伝え致します。
後で、がっかりされるのも嫌ですし、怒られるのも嫌ですし。

ですので、リペアのリペアの場合は、
いつもよりプレッシャーはかかりますが、結果
治して良かったですと云われますと、
こちらも治して良かったですと。

電気製品のように、壊れた部分と同じパーツを
取り替える訳でなないですし、また、
同様の完成例があることも少ないので、依頼するにも
何を判断材料とするかは難しいと思います。

ですので、なるべくそのような不安が
少しでも軽減出来るような記事が書ければと思う
猛暑な今日この頃…。

こちらの記事もご参考までに。
TUMI修理専門店ではないのだけれど…。 まとめ篇
TUMIの残念なところ 「合皮、ダメ。ゼッタイ。」
HPアイコンロゴアウトライン

ampersandand at 18:54|Permalink

2014年03月15日

春の TUMI 祭り

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持ち手2本に肩当て2枚… なぜか同じ時期に同じ修理が集中するのですよね…。

持ち手と肩当ては、定期的にご依頼が入るので、
いっそのこと型紙を作っておこうかと思って作ってみたのですが、
微妙に毎回異なります。
やはり、使用環境により伸びたり変形したりして、同じモデルでも
どうも誤差がでてしまうので、毎回型紙作りからになってしまいます。
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持ち手はこんな2型。
TUMIの持ち手は今のところ、4型ぐらいバリエーションがありますね。
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いつもの謎の合皮片面使用の劣化する肩当てです。
これも、長さが微妙に違うバリエーションがあったりと、
なんなんですかね、これってメーカーの工場でも問題にならないのかなと?
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ちょっとの違いの肩当て作るのなら、揃えてしまったほうが
抜き型代やら諸費用が抑えられるだろうにと思うのですが…。
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革の端は、漉きまして補強の芯材を巻き込むように折り込んでいきます。
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貼り合わせましたら、表面のもとの縫い穴に針を落としてゆきまして
完成となります。
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肩当ても、今のところ、パンパン3段タイプと、フラットタイプの2型あります。
持ち手の完成画像が見つかりませんでしたので、割愛させて頂きました…。
気になる方は、HPを参照願います。


ampersandand at 02:30|Permalink

2013年11月29日

色々な持ち手の修理 まとめ其の弐

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引き続き鞄関係の修繕です。
今回は、ショルダーベルトの延長と滑止め加工。

持ち手やベルトの延長または短縮の場合は、
お電話でお問合せいただきましても、なかなか明確なお答えができませんので
メールにてお願い致します。
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といいますのも、繋がり方や仕様やまたは革の色などによって
修繕方法は異なり、費用もかなり違ってきます。
見た目は気にせず、さくっとカットしてザクザクザクと
縫って済むのであれば違いますが、そうもいきませんので。

また、お電話でのお問合せのその多くが、お伝えいただいた内容と、
実物を拝見した状態では、殆どの場合が伺った内容より
条件が悪かったり致します。

ですので、折角ご足労頂きましても、費用が合わなかったり、
ご希望通りにならなかったりとありますので、
メールにて画像確認などさせて頂ければと思います
(折り返しのメールにて添付できます)。

AFTER
1120-422(左がオリジナル、右が延長して組み立てた状態)

今回は、現状で長さは足りているので、費用を掛けてまで延長するのは
もったいないのではとお伝えしましたが、
余っている部分が寸足らずに見える感じがどうも…ということでご依頼。

ベルト自体を作り直すには勿体ないので、ちょうどエンド部分が
別パーツになっているので、その部分を5cmづつ延長した
パーツをこしらえまして再度組み立て直します。

それと滑り止め加工
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市販されている滑り止めグッズですと、ベルトにごっついカバーを
巻き付けるですとか、滑止めシールを貼付けるですとかに
なるようで、見た目が悪かったり、シールが剥がれて
汚くなってしまったり…と。

材料問屋をあたったところ、合皮系の素材で滑止め効果のある
シートは用意されているのですが、合皮は劣化や耐久性が危ぶまれますので
使いたくはありません。

何かないかと思案しておりますと…。
そもそも滑止めとして、靴底にハーフラバーソールを貼っている訳で
体重が載った靴を滑らないようにするのだから、
鞄のベルトも滑らないのでは…と。

そんなことで、当初は裏メニューといいましょうか、
効果があるかどうか私自身試した事はないので、
どうしてもというお客様に「滑止めになるか分かりませんが」、
とお伝えして了解を得られたお客様に使用しておりました。
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使用感をお伺いしたところ、滑止め効果がやはりあるようですので
blogにてご紹介させていた頂いた次第であります。
(但し、今までにご使用頂いてる方には効果はありますが、
 使用感はひとそれぞれになると思いますので、ご依頼の際はご了承願います)
ちなみにvibram製ですので、一応 made in italy の滑止めとなりますね。

ベルトを滑らないようにする方法は2通りあります。
表面に凹凸を作り、引っかかりで滑らないようにする方法。
もう一つは、素材感(粘りがあるといいましょうか、といってもべたつくと
いう訳でもないのですが、ラバーの配合によるものです)
として滑らないようにするかになります。

今回用いました素材は、その粘り感と、細かな凹凸によりグリップしています。
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厚みは1.0mmになりまして、始めと終わり部分は漉きまして
段差がでないようにしております。

縫製してありますが、もともとのベルトの縫い目にひと針づつ針を
落として縫っていますので、表面の見た目は変わりません。

続いてTUMI。
BEFORE
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TUMIの修繕もよく承りますが、そもそも何故にちょっとだけ
合皮を使ってくるのだろうか…と。
他の部分はバリスティック ナイロンと革だったりするのですが
持ち手や肩当ての裏面が何故か合皮使い… なぜなんでしょう?
それも汗に触れたり、摩耗し易そうな部位に限って使ってくる…。

今回の修繕品も、持ち手カバーの裏面が合皮だったので、
使っているうちに合皮が劣化し、表面の皮膜がぽろぽろと
手にくっ付いて汚らしいのでと。
AFTER
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オリジナルは、両持ち手をまとめて留めるカバーでしたが、
通常の別々の持ち手仕様にということで。

続いてよくある鞄修理第一位でしょうか、繋ぎ目で切れるパターン。
BEFORE
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しかも今回は、ゴヤールのサンルイの持ち手もそうなのですが、
紙の芯材に、薄い革を巻き付けている仕様の持ち手。
これは非常に脆いですね。

ですので、例えば通常仕様の持ち手であれば、少し短くなってもよければ、
千切れた部分でカットし、縫いしろ分をまた間に入れて縫製すれば
一応修繕できます。

しかし、この紙芯タイプはそのように治しても、
同じように千切れてしまいますし、紙芯が劣化していると、
縫っただけで、そこから千切れてしまうので、持ち手の作り替えとなります。
ちなみに、作り替える際は、もちろんそのような芯材は使わず、
厚みのある革を使用して製作しております。

紙を圧縮した芯材は、ひねりに弱く、また雨で濡れてしまったりしますと
紙なのでふやけてしまいます。

革が適した厚みであれば保つかもしれませんが、この仕様の場合は
革を薄くして、芯材を巻き込み易くしているのだろうと思いますが、
なので、芯材が折れればすぐに千切れてしまいます。

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また、鋭角に曲げたりしてもアウトですね。
キャメルの部分が芯材です、革は0.4mmとかでしょうか。
それと、千切れかけた際に、その部分に接着材、ボンドや瞬間接着剤を
塗布されている場合が多く見受けられますが、効果はありません。

固定の仕方にもよりますが、カシメ>縫製>接着 が強度の順番です。
ですので、縫製で繋がっている部分が壊れて、接着で留めても
一旦は固定できるかもしれませんが、直に千切れてしまいます。

また、そういった接着剤を使われてから、
修理のご依頼をいただいた場合ですと、余計に費用が掛かってしまったり、
修理不可となる場合があります。

特に瞬間接着剤は、革を硬化させてしまうので、
その周辺は縫製することもできません、割れてしまいます。
after
1120-440
今回も割れ目にボンドを塗布されていました。
これもあるあるですが、ボンドを使われる方の90%は、
余計なところにまではみだしてしまう…。

そしてその55%の方が、はみだした接着剤を
急いで拭き取ろうと、指で拭き取るのですが、
その指で他のところを触ってしまう…
という悲しい統計結果が私のところに届いております。

以上、最後はハッピーエンドにしたかったのですが、
悲しい感じになってしまいました。
長文失礼致しました。

ampersandand at 17:03|Permalink

2012年12月01日

TUMIの肩当て ショルダーパッドの交換

BEFORE
121118-81

こういうタイプもあるのですね、
パッドがパツンパツンになっているタイプです。

劣化してしまう合皮素材から、革へと交換となります。
ちょっとパツンパツンし過ぎたかもしれませんが、
使用して少しスポンジがへたりますので、
このぐらいのパツンパツン具合でよろしいかと。
AFTER
121118-83


*業務連絡*
現在、修理のご依頼が集中しておりますので、
作業集中日(受付業務、お問い合わせなどのご対応できません)
のお知らせです。

尚、お預かりの靴、鞄のご返却はできます。(店舗にて作業している場合)

定休日を含む 12月2日から5日まで

今後も、年内で作業日を追加する場合がありますので、
ご来店の際は、HPやblogにて事前にご確認願います。

ampersandand at 08:00|Permalink

2012年11月29日

TUMIを背負い易いように(ファルファッレ)カスタムしてみる。

121118-99

この部分の呼称は分かりませので、鞄が後ろにずれていかないように
横にベルトで固定する部分を取付けるパーツの作成です。

背負って頂いて、パーツの位置を決定しました。
ちょっと横線がある部分です。

これがあるのとないとで、肩に掛かる負荷が変わりますね、
登山バックなどは必ずありますし。

かなり横へと引っ張られますので、縫製方向や形状を考えましたが、
実際に取付けて使用してみないと分からないと云う結果になりましたので、
TUMIを信じて、TUMIでもともとある形状を参考にして革で作成。

革だけでは不安なので、ナイロンと貼り合わせてパーツを作成しました。
かなりガチガチで、ブリッジの形状に縫製するのが大変になりましたが、
指がつりつつ縫製完了。

形状が似ていることから、今だけ「ファルファッレ」と呼ぶことにします。
*蝶リボン状のミネストローネ等に使われるパスタの名前ですが。
121118-97

ファルファッレを取付けまして完成です。
なかなかしっくりと、ファルファッレが付いたのではないかと思います。
121118-98

ファルファッレと呼んでいると、さもらしく聞こえてきましたが、
他店では全く通用しない呼称ですので、

「この辺りに、ファルファッレを取付けたいのですが…」

「………………………… 。」

とはご依頼されぬよう、くれぐれもお気をつけ下さいませ…。


*業務連絡*
現在、修理のご依頼が集中しておりますので、
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尚、お預かりの靴、鞄のご返却はできます。(店舗にて作業している場合)

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ご来店の際は、HPやblogにて事前にご確認願います。


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2012年04月04日

TUMIの謎

20120401-6


TUMIの肩当て部分の交換になります、が…。
この部分はよくあるのですが、よくといいますか、必然と云いますか…。
肩に擦れるこの部分、合皮なんです、なぜか
で、この反対面、表側は革。

普通、逆でしょうにと思います。
というか両面革でいいでしょうにと。

わざわざ、加重が一番掛かり、擦れる部分にだけ合皮を使用すると
いうのは、なにかあるんでしょうか… 謎です。
いくら、防弾ベストと同じバリスティックナイロンを本体に使用していても、
肩当てに合皮を用いては本末転倒です。

まずはバラして、
20120401-3

型紙を作ります、縁は折込になります。
20120331

そして縫製。
この縫製も、元の縫い穴にもう一度針を落としながら縫いますので、
もとの縫製が曲がっていたり、ピッチが狂っていますと、それもそのまま
再現されてしまいます。

20120331-2

あまりにひどい場合は、当店で曲がったと思われるのも悲しいので、
お渡しの際に、これはもともとですので…とぽつりと。

20120331-3


交換する材料は、もちろんしっかりとした「革」です。
もともと革で製作されていればよいのですが。

20120401-4


持ち手も交換です。
こちらは、もともと厚みのある革が使用されております。
20120331-4
20120325-38


もう一つ持ち手も交換。
厚みが13mmぐらいあったので、縫製は問題ないのですが、
厚すぎて前に進んでいかないので、一針ごとに手で革を押し出しながら
縫製致しました。

修理に使用する八方ミシンは、もともと足踏み使用でしたが、
ペダルを踏み踏みしますと、足首とふくらはぎが吊ってしまう体質らしく、
ある時期、吊りながらも踏み踏み縫ってはみたのですが、
体力の限界を感じ、手回し使用にとなりました。

鉄分不足なんでしょうか…。




ampersandand at 11:30|Permalink

2011年10月16日

TUMIの鞄 持ち手の革交換

20111015-20


かなり使い込まれたようで革がボロボロです。
このTUMIの鞄に使われているナイロン素材は、防弾チョッキの素材を
改良したものだそうですが、いざという時は盾代わりになるのでしょうか…
日本ではそういった場面に出くわないでしょうが…。

ショルダーベルトの肩当ての裏面も、ボロボロなので一緒に交換です。
(写真を撮り忘れましたが…)
しかし加重が掛かる、しかも裏面に(表は革)合皮が使われています。
裏面こそ革を使って欲しいところですが… なので今回は革で交換しました。

まずいつも通り、レロレロになったパーツから型紙を起こし、
裁断してゆきます。

20111015-18


今回は、縁は折込処理されていましたので、縁を10mm幅で革を漉き、
芯材を挟み込んで折り込んでゆきます。
(写真を撮り忘れましたが…)

持ち手の距離が短いのと、鞄がかなり重いので、八方ミシンで縫製する際の
取り回しが一苦労でしたが、指先がつることもなく、完成です。

20111015-19



ampersandand at 15:23|Permalink