ウェルト交換

2019年11月22日

手を抜いてオールソールをするお店。 ウェルト交換篇

ウェルテッド製法のオールソールというのは、通常は
摩耗した革底(ヒールを含む)を取り外し、縫われていた古い糸を
すべて抜き、新しい革底を取り付けて再度元の穴に出し縫いを
行なえばいいのですが、手を抜いて、いい加減に修理するお店で
オールソールしてしまうととても面倒なことに巻込まれてしまいます。

こちらの靴。
革底はラバーソールとつま先補修ですでに部分補修されていますが
それ以外は特に痛んでいるところはない感じですが、
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お客様曰く、ここが…と。
踏まず部分がソールが分離してしまっています。
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踏まず部分のすくい縫いの糸が切れてしまっています。
すでに一度オールソールしてあるとのこと…。
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画像では分かり難いのですが、狭いコバの幅に縫い目が二列できています。
二列のところもあれば重なってしまっている部分もあります。

ウェスコなどのワークブーツ系のコバ幅が広い靴の場合では
出し縫いをもともと二列行なう仕様の靴もありますが、
(その場合一列はステッチダウン製法の縫い目)ビジネスシューズで
しかもこのコバの張り出しで二列縫うというのはあり得ませんので、
とうことはどういうことでしょうか…。

そうです、古い革底を剥がしたら元々ある縫い目の糸は抜かずに、
そのまま新しい革底を取り付け、元の縫い目はすでに糸で埋まっているので、
すこしずらしてもう一列縫ってしまっているという事になります…。

このような悪質な修理をされた靴というのは年に数足は
持込まれますが、このパターンもよくある事例です。
では分解。
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残っている出し縫いを擦り切って革底を剥がしていくと
むむっ、かかとの部分で革底が分離…。
革底が継いでありますね、これは話で聞いた事はありましたが
実際に行なっているところがあるとは…
もしかしたら70歳くらいの職人さんが修理した靴かもしれません。

というのは靴学校で教わっていた際の戦後の靴職人さんの授業で、
革底の長さが足りなかった場合には、このように継ぎ足す方法もあります、と。

その時はそれはないだろう、と作業を観ていましたし、
そもそもそんな手間の掛かることをわざわざしないし
長さが足りないってどういうこと?と思いつつ授業は
進行していきましたが。

恐らく戦後だと革底は充分に流通していないとか、
オーダーの革靴の需要が高く次から次へと依頼があり、
とても儲かった時代という話でしたので、材料が間に合わず
足りなかったからか?なんでしょうか。

しかし今は革底が枯渇している時代でもありませんし(年々高騰していますが)
革底問屋にネットで注文すればすぐに届きますし。

恐らくどのお店でも令和の時代にはしていないと思います(今回のお店以外)。
先程も云いましたが、わざわざ継ぐ加工を行なう方が手間ですし
かかとのちょっとを継いだからといってコストも変わりませんしね。

または出し縫いの感じからすると、かかとの継いでいる部分は
そもそも交換していず、古い革底をカットして残しているか可能性もありますね。
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継いでいたからか?とも疑いたくもありますが恐らく関係は
ないでしょうが金属製のシャンクが折れていました。
シャンクとは浮いている踏まず部分を支える為にヒール部分から
踏まず部分にかけて取り付けられている靴の背骨のようなパーツです。
靴によっては入っていないものもありますし、木材だったり樹脂だったり
と素材も色々です。
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踏まず部分以外でもすくい縫いの糸がやはり切れていますね。
二列、しかも元の縫い目より内側に縫っていましたので、
そうなると完全にすく縫いの糸を出し縫いで貫通してしまいますから。
赤矢印は元々の縫い目で黄色矢印が新しい(縫い足した)縫い目。
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そもそもウェルテッド製法という靴の構造が分からないと
この話の意味が伝わらないと思いますので以前の記事でも使用した
概略図を。
ウェルテッド製法2
ウェルテッド製法
今回の靴状態はというと、古い革底は剥がしたのですが、その際に
古い出し縫い(みどり部分)の糸を抜かずに新しい革底を貼付け、
古い縫い目より内側(本体側)に抜い足しているので、
本体とウェルトを縫い付けているすくい縫い(赤い部分)を貫通してしまい、
すくい縫いの糸が切れてしまっているという状態になっています。
通常は、もとの出し縫いの糸を抜いて同じ穴に縫い直す事になっています。

結局そのお店では糸を抜くのをめんどくさがり、しかし縫う場所がないので
外側にははみ出してしまうので縫えないので内側に寄せて
縫ってしまっているという事です。
場所によっては内側に縫う事もできず逆に外側に膨らんでしまったり
同じ位置に重なって縫ってしまったりなんですが、ひどいものです。
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ウェルトを外した状態。
中底面から開けられたすくい縫いの穴が見えます。
この穴に新たにウェルトをすくい縫いして取り付けていきます。
すくい縫いですので、名前の通りすくい針でそれぞれのパーツをすくうように
針を刺して縫製していきます。
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つま先部分は穴の間隔が寄るので糸が食い込みすぎないように
別の糸を縫い目に絡ませて締め付けていきます。
今回の靴はミシンでも縫製できるように開発された
グットイヤーウェルテッド製法の構造になっていますが、
なぜだか手縫いですくい縫いが行なわれています。
そして一般的なすくい縫いの縫い目のピッチよりなぜか
細かく縫われているので、縫い直す時間も1.5倍くらい掛かります…くぅ〜。
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かなりの力で糸を締め付けていくので麻糸が指に食い込んで
皮が裂かれてしまうので革サックを要装着です。
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かかと周りのウェルトはオリジナル通りにアルミの釘でカシメて固定しています。
ウェルトをが付いたので、後は通常のオールソールの手順と同じになります。
今回はシャンクが折れていたので焼きの入った硬い金属のシャンクに交換し、
コルクも詰め直して革底を取り付けて出し縫いを行い完成となります。
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ウェルト交換というのは今回のようにすくい縫いが切れてしまっている
靴の場合に必要になる補修行程ですので通常のウェルテッド製法の靴では
革底の交換のみ(ヒール部分も含みます)ですので必要はありません。

ウェルトも交換した場合はオールソールの倍ぐらいの費用が
掛かりますので、お見積もり後のご依頼率は65%ぐらいでしょうか。
なにせもう少し費やせば新しい靴も買えてしまいますので。

今回の靴は確か彼女に買ってもらった靴ということでしたので
特別思い入れもあったということでした。
本体の革も特に履き皺が痛んでいるとかダメージも無く、
底周りが新しくなればまったく問題なく履き続けられますし。
*本体の革が劣化して亀裂が複数入っているなどの場合はお勧めしません。

ちなみに今回の靴のようにコバがあるような靴が、全部ウェルテッド製法の
靴ではないのでご注意ください。
マッケイ製法やセメンテッド製法でも飾り押渕といって、飾りで同様のコバが
付いている靴もありますので。
AFTER
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ハーフソール・ビンテージスチール併用仕様になります。
持込まれた際の靴の状態は、オールソール後に靴底(つま先)が摩耗し
ハーフソールが取り付けられたのですが、つま先だけ早い段階でラバーが摩耗し
その後つま先だけ再度補修していると思われる状態でした。

であれば、そもそもオールソールの時点でハーフソールスチール併用仕様に
しておけば革底は摩耗しませんし、底縫いの糸も切れません。

ですので、当店で革底でのオールソールをご依頼される90%の方は、
オールソールの際には、ハーフソール・ビンテージスチール併用仕様を
オプションで装着されております。
初期投資はかかりますが、長い目で見るとランニングコストは抑えられます。

ハーフソールが取り付けらているので、底縫いの糸は擦り切れませんし
土台の革底も擦り減る事はありません。
(路面の雨水を吸い上げてのアッパーに雨シミもでき難いのです)
それぞれ摩耗した段階でハーフソールとスチールは部分的に交換できます。

基本的にこの仕様であれば今後はオールソールの必要は無くなります。
ですので長く履くのであればとても合理的な修理かと思います。

ちなみにですが今回のようなすくい縫いが切れてしまうというのは
縫い位置に問題が無くても通常の使用でも加重に耐えられず糸が
切れてしまうという事もあります。
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後ろの人にちらりと見え隠れする赤い靴底が憎いですね…。
かかとを革付きのダヴリフトなどにすると赤く染められますが、
耐久性重視でvibramのラバーリフト仕様になっています。
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ちなみにこちらもウェルト交換になってしまった靴。
ご依頼時点ではすくい縫いが切れている事が分からなかった靴です。
オールソールはまだ行なった事が無く既製品の状態です。
分かりますかこの異常な状態。
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出し縫いが漉い縫いの内側を縫ってしまっています。
黒い点々が出し縫いの断面で外側にある白い線状の縫い目がすくい縫い。
位置が逆転していました…、あり得ない状態です。

もちろんこの場合も革の中を通過しているすくい縫いの糸を
貫通してしまっているのでNGです。
貫通していると革底を剥がすまでは糸同士が噛み合っているので
逆に糸が緩まずにウェルトが外れて見えない場合があります。
ですので「ソール交換で」、と受付して革底を剥がしてみたら
ウェルト交換が必要なってしまうというパターンもときどきはあります。

といっても、すくい縫いに出し縫いが貫通していない靴を探す方が
難しいかもしれません。
ところどころでも貫通してしまっている靴は普通にあります。
部分的にすくい縫いが切れている場合は、サービスで勝手に縫い直しています。

これは靴の高い安いに関係なく、例えば10万前後するクロケットジョーンズ
なんかでもしばしば貫通しています。
ひどい場合は出し縫いが逆に外側を縫い過ぎてしまっており
コバからはみ出してしまっているクロケットなんかもありました。

その靴が検品を通って市場で販売されているというのも問題なのですが。
クロケット特有のウェルトに切れ込みを入れて出し縫いを行なっているのが
縫い目の位置が悪い要因の一つかもしれませんが。

または靴のデザイン的にしゅっとした感じなので、そうなるとコバの
張り出し具合が抑えられる傾向にあるので、そもそも出し縫いをする
スペースが限られしまい、すくい縫いを貫通するような位置で縫製する
ことになってしまっているのかもしれませんね…。


今回もソールを剥がすまで分からず、後になってウェルト交換の必要が
生じてしまったのですが、これは私としてはとても申し訳ない状態です。

「オールソールで依頼したのにウェルト交換も追加なんて聞いていないよ!」
とお客様は思うでしょうしきっと…。

それに摩耗した靴底の交換と違い、ウェルト交換しても
見た目の仕上がりとしては、お客様が仕上った靴を見ても違いは
分からないのも問題なのですが。
(もちろん分かる人が見れば分かりますが)

例えば私がブラック店主であれば、ウェルト(すくい縫い)が壊れていないのに
交換する必要がありますと云って、ウェルトは交換せず
ソールだけ交換してウェルト交換の費用も請求する事もできてしまいますから。

ですので今回もお電話で、こうこうこうでウェルト交換が必要になります。
で、メールで壊れている状態を画像で送りますので確認されてください…
と、本当に交換が必要なんですアピールをさせて頂こうとしていると、
(もちろん追加費用も掛かってしまいますし、このままキャンセル
ということもできますともお伝えしております)

お客様:
「画像は見なくて大丈夫です、前回依頼した靴の仕上がり具合で
 信用しているので、そのまま進めてください」と。

店主:
「あざーすっ!」

「信用する」ということがなかなか難しい時代に、
確認もせず信用して頂けるというのはとても有り難いことです。

こちらの靴はかかとにウェルトが無いシングル仕様。
ウェルトは革底を縫い付ける縫い代と考えて頂くと分かり易いと思います。
ウェルテッド製法というのは、直接本体に革底を縫い付けないので
ソール交換の際の靴本体へのダメージが少ない(交換が容易)という
考えにより考案された製法になります。

しかし今回の事例のように、ちゃんと設計しその設計通りに製造しないと
かえって手間の掛かる製法になってしまうという事にも。
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左はウェルト縫い付け前、右が縫い付け後。
靴の周囲の張り出したウェルト(コバ)に、底面に貼付けた
ソールを垂直方向に縫い付けて固定するのがウェルテッド製法の構造になります。
底縫い後、ウェルト共々ソールを削り込み、靴のアウトラインを仕上げます。
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完成。
こちらはダイナイトソール仕様。
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基本的に当店ではウェルト交換は受け付けていないのですが、
というのウェルト交換をするには、糸作りからはじまり色々とやる事が多く、
また他の修理のように同時進行で数足の靴のリフトの交換、ハーフソール等々を
進める事ができず、ひとり店主の私が一足に係っきりになってしまう為、
他の修理品の進捗に影響が出て来てしまうので基本的にお断りしておりますが、
作業の途中で発覚!なんてことになると、途中で投げ出すというのは
あり得ませんので付きっきりで仕上げております。

ですので当店ではお時間が掛かってしまうので、ウェルト交換が
必要な方はスタッフが大勢いる規模の大きなお店でご依頼された方が
宜しいかと思う次第な今日この頃…。

ampersandand at 16:37|Permalink

2019年02月04日

普段やらないウェルト交換 A . MANETTI  分解篇

今回ご依頼品の靴はウェルト交換の必要があったのですが、
履き過ぎて擦り減った事が原因ではなく
もともとの靴の設計に問題があったのかもしれません。

今回の患者さんはこちら
ウェルト交換050

以前リフト交換の際にご相談を受けていたのですが、
これはその時期になったらオールソールできますかと。
ウェルト交換052
初見ではウェルトの幅が狭過ぎていて、縫い目が端ぎりぎりで
縫われ過ぎているので、ん〜。
ウェルトの幅もほぼこの縫い目一本分のスペースしかありません。
端を縫い過ぎているのでコバ側面には、縫った糸の厚みで
断面がもりもりと凹凸が見えてしまっているぐらいのぎりぎりさ。

ソール交換には新しく革底を取り付けてからウェルトと一緒に
貼り合わせ部分に凹凸が無くなるように側面を削りますが、
(削ると云っても何ミリも削るわけではなく、1.0mm以下程度)
その際に縫い穴が端に設定され過ぎていると穴が貫通してしまいます。

どういう事かと云いますと、略図ですがこんなイメージ。
コバ断面
A・交換前の状態、縫い穴が端にあり過ぎています。
B・ソールを取り付けて段差を削っていくと、穴がでてきてしまいます。

伝わっていますでしょうかこの感じ。
例えばDIYで木材を貼り合わせてその境目の段差が目立たなくなるように
ヤスリで互いを繋げて削ると思うのですが、そんな感じです。
削るというか表面をならす行程です。

ですのでこの状態ではソール交換の際の出し縫いができない
可能性がありそうですねと。

で、月日が流れその時期になり持ち込まれた靴をみてみると
むむ、漉い縫いが切れて、いやウェルトの縫い穴も裂けていますね…。
ウェルト交換051
こうなってしまうと出し縫いうんぬんではなく、ウェルトと本体を
固定している漉い縫いの穴が裂けてしまっているので、
ウェルト交換から行なうしか方法がありませんが…費用がかなり掛かります。
ウェルト交換+オールソール交換費用になりますので。

まずは分解。
積上げを外して、残った出し縫いを削り革底を剥がしていきます。
ウェルト交換055ウェルト交換056
踏まず部分に縫い目がありませんね。
ウェルト部分が絞られて出し縫いが見えていませんでしたので
ベベルドウェスト仕様かなと思っていたのですが、
単純に縫っておらず接着のみの仕様でした。
ベベルドウェストというのは、ウェルトまたは本底を薄く加工して
巻き上げて包み込む仕様になりますが、詳細は割愛致します。

ソールを剥がしてみたところ、グットイヤーウェルテッド製法ではなく
ハンドソーンウェルテッド製法ということが分かりました。
ウェルト交換057ウェルト交換058
ウェルトの幅が狭っ!!
あとで新しく縫い付けるウェルトと比べて頂くと
恐ろしく狭いのがお分かり頂けるかと思います。
ウェルト交換059
この設定ってウェルテッド製法で作る意味が無いような気がします。
そもそもウェルテッド製法というのは、何度もソール交換し易いように
考案された製法なのですが、このウェルト幅だと交換する際の
出し縫いで漉い縫いの糸は必ず裂けてしまいますし、
といいますか現状の状態でも漉くい縫いと出し縫いの位置が同じなので
すでにそうなっているのですが…

ですので結果的に履き込んでいくとその負荷で糸が徐々に
裂けてしまったのだろうと思われます。

本体から出ている糸はウェルトと中底を縫い付けていた糸になります。
ウェルト交換060ウェルト交換062ウェルト交換061
本体とウェルトを分解。

ここまででいったいそれがどのような状態なの?と
イメージが付かない方もいらっしゃるかと思いますので
略図を作ってみました。
略図はこんか感じで靴をカットした断面図イメージとなっています。
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まずは一般的なグットイヤーウェルテッド製法。
グットイヤーウェルテッド製法というのは、
それまですべて手縫いで行なわれていた作業を、
19世紀後半に発明されたミシンで、手縫いでしかできなかった行程を
一部仕様変更することで、代わりに縫製することが
できるようになった製法になります。

リブと云われる綿テープ(黄色)を中底に接着し、
そのリブと本体の甲革とウェルト(水色)を横方向で縫製しています。
そしてウェルトと革底を縦方向に出し縫い(緑色)で縫製しています。
オールソールとは、この出し縫い部分からやり直す行程になります。
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リブを取り付けているので、その分、革底との間に空間ができてしまいます。
この空間に5.0mm厚程度のコルク(オレンジ色)などで充填して埋めています。
ですのでグットイヤー製法の靴はコルクという厚いクッションが
入っていますので、履き込んでいくと自分の足型にコルクが沈みこんで
馴染み易いと雑誌などで謳われています。

ここで少しイメージして頂きたいのですが、沈むということは…
そうです、靴内部の容積が増えると云う事ですので、
結果、履き込んでいくとサイズが大きくなるという事にもなっています。
ですので、特にウェルテッド製法の靴の購入の際には、
その事を念頭において購入する必要があると思います。

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次にハンドソーンウェルテッド製法というのはミシンを使わずに
その名の通り、すべて手作業で行なう製法になります。
グットイヤーとの違いは手作業かミシンの違いというだけではなく、
同じウェルテッド製法ではあるのですが構造からして違っています。

グットイヤー製法では中底にリブを貼付けていますが、ハンドソーンの場合は
革中底自体を加工し、直接ウェルトを縫い付けています。
その為、コルクをいれるような空間は少ないので
今回の靴では薄いスポンジを入れてありました。
ですのでハンドソーン製法はグットイヤー製法に比べると、
中底の沈み込みは少ない傾向にあると思われます。
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革底に溝を作りその段差を利用しウェルトを漉うように縫製していきます。
略図では省力していますが、掘った溝は漉い縫い後に元の革で埋め戻します。

リブを別パーツで取り付けないので、ハンドソーンウェルテッド製法のほうが
グットイヤー製法より靴底の返りはいいとされていますが、
実際はどうなのでしょうか、わたしには判断がまだ付きませんが。

同じ材料で靴を作って、右はハンドソーン、左はグットイヤーというような
実験ができれば判断ができますが、違う靴で比べてもしょうがないですし。
革底や中底の厚みや甲革の硬さなどなどすべて設定が違うわけなので。
どこかのユーチューバーが実験してくれたらいいのですが。
その際は履き心地という主観的なものではなく、なにかの計測器で
靴底の屈曲率みたいな感じで計測してくれるといいのですが。
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で次に今回の靴もハンドソーンなのですが…また厄介な代物でした。
通常は漉い縫いする段階で余分な釣り込みシロの
甲革はカットしておくのですが、
今回の靴は甲革が残ったままで底面に被っていました。
漉い縫いの穴が見えないではないですか…。

そして漉い縫いする溝もなく、中底に切り込みを入れたところで
縫製している仕様になっていました…。
漉い縫いの穴がまったく見えないではないですか…。

で、先程のウェルトの幅が狭く出し縫いの糸と漉い縫いの糸が
同じ位置で縫製されているという状態が断面図で分かるかと思います。

こんな設定ではそもそもオールソールできないじゃん…ていう感じです。
なのでウェルテッド製法で作っている意味がないじゃん…と。

その弐に続く…



ampersandand at 23:46|Permalink