クィールマーク

2019年10月25日

GEORGE COXのオールソール クレープソールから革底にしてみる。

まだまだソールは履ける状態ですが、クレープソールは飽きたと
いうことで革底にイメチェン交換になります。
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厚底ですが中は白いスポンジになっています。
スポンジの土台にクレープソールを貼付け、その周りにクレープ素材の
板材を貼付けている仕様です。

クラークスもクレープソールで有名ですが、今回の仕様と同じように、
中はスポンジになっているモデルとクレープソールのみで出来た仕様のモデルが
外観のデザインは同じでも混在しているようです。

このようなモデルは中がスポンジは軽くていいのですが、かかとの
クレープ素材が減ってくると表出した部分は柔らかめのスポンジ素材
ですので、サクサク減っていってしまいます。

外観からはどちらのモデルか判断できないので
コスト削減なのか分かりませんが、だまされた感はありますよね。

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クレープソールを剥いた状態です。
10mmのスポンジベースにかかと部分には12mmくらいのスポンジの貼り合わせ。
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中ものはフェルト素材が使用されていてとてもスカスカな状態で敷かれています。
これでは履き込んでいった際には中底の落ち込みに偏りが生じてしまいます。

シャンクは木材が使用されています。木材のシャンクは5割ぐらいの確率で
割れている事がありますが今回は大丈夫そうです。
革底に穴が開いていたりして中まで浸水していると、木材が腐って折れて
しまう場合が多いようです。

靴のクリーニングで綺麗にピカピカ!というのを、ときどきワイドショー
などで取り上げられていますが、水洗いで靴を水没させて洗っていましたが
どうなんでしょうかねあれは。

今回の靴でそれを行なったとすると、まずはスポンジソールに接着されている
クレープソールは接着剤がふやかされて剥がれ易くなりますし、
接着剤で付いている部分は同様です。

次に木材のシャンクも水分を吸って劣化、または靴の内部はなかなか
乾かないので腐ってしまうかもしれません。
中ものがフェルトでしたのでいつまでたっても濡れているかもしれませんし。

中底は革ではなく紙の合成素材でしたので、水没させてしまうと
こちらもふやけて劣化してしまいます。中底が紙の合成素材というのは
ごくごく一般的で、紳士靴でウェルテッド製法以外であれば、
ほぼ合成素材の場合がほとんどです。
ウェルテッド製法の場合でも使われている事ができましたが。

靴を水没させて洗うというのではなく、日々のメンテナンスで
どうにか維持されていかれたほうが宜しいかと思います。

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最近というかしばしばですが、グットイヤーウェルテッド製法の靴は
漉い縫いが出し縫いに貫通されて切れてしまっています。

もう少し製造工程でシビアに製作して頂かないと修理する方はいい迷惑ですね。
今回もところどころ出し縫いで貫通されて切れていましたので
縫い直しが必要な部分がありました。
これはソールを剥がす前に分かる場合と、
剥がさないと分からない場合があります。

ジョージコックスのウェルトには樹脂製の幅広ウェルトが使用されて
いますがこの素材は経年劣化します。
今回もところどころで劣化によるひび割れが確認できましたが、
とりあえず今回はウェルト交換せずに大丈夫そうです。

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中途半端に敷かれていたフェルトは取り除き、一般的なコルクを
隙間なく充填します。
お客様にときどき尋ねられるのですが、
「コルクの交換はいくらかかりますか?」と。

オールソールの時にコルクの交換が有料のお店があるとのこと。
当店ではオールソールはすべて込み込みです。
シャンクが折れていれば無料で交換しますし、些細な補修は込み込みで
勝手に元通りに交換させて頂いております。
*但しウェルト交換が必要など、大掛かりな補修が必要な事が判明した際は
ご相談させて頂きますが。

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もとが厚底なのでシングルソールですとソールのボリューム感が
乏しいので革底はダブルソール仕様で。(4.0mmと5.0mmで合計9.0mm厚)
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フラットソールからヒール仕様に変更する際のヒールの高さの設定ですが
これは好きな高さに設定出来る部分ではなく、靴ごとに決まっています。
今回の靴は、ヒール部分に12.0mmのスポンジが足されていましたので
ヒールの高さは12.0mmとなります。

そして赤いハーフソール2.0mmがつきますので、合計で約14.0mmが
今回のヒール高になります。
ヒールの高さ設定については詳しくはこちらの記事で


AFTER
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ご希望は底面は赤く、ということでしたので赤いハーフソールを使用し、
踏まず部分とダヴリフトの革は赤く染色。

余談ですが、赤い靴底といえばルブタンが有名ですが、
ルブタンがイヴサンローランを訴えたというニュースが以前ありました。
イヴサンローランが赤い靴底の靴を発売したことで商標権侵害を
ルブタンが訴えた、という話。

結局はルブタンが敗訴したようですが(当たり前ですが)、しかし一部では
赤い靴底の商標はルブタンに認められたという感じでしたが。
そんなばかな…ですね。
これが認められるならばハートマークは、星印は、ストライプは、水玉は…と
なりそうな気がしますが。
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ダブルの革底はウェルトと出し縫いしてからハーフソールを
取り付けていますので、底縫いの糸が擦り切れる事はありませんので
基本的に今後はオールソールの必要はありません。

ダブルソールで靴底は硬めな仕上がりですので、つま先にはお決まりの
ビンテージスチールの併用仕様。
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シングルソールでもそうですが、ダブルソールの場合は尚更に
靴底は屈曲し難いので、摩耗し易いつま先にはビンテージスチールで
補強しておく事がお勧めであります。
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本体に使用されているオーストリッチの存在感に負けないように
ダブルソールの革底がいい感じですし、靴底のレッドカラーも印象的です。

オーストリッチといえば表面のイボイボのクィールマーク(羽根軸痕)。
このイボイボは平に潰れているものより、大きく丸く盛り上がっているものが
品質が良いとされているそうです。

オーストリッチといえばいつも思い出す話が、
知り合いの職人さんがオーストリッチの鞄をオーダーされ、
革も一級品のクィールマークが綺麗に表れている素材を探して
誂えたところ、ご依頼主に逆にそのイボが気に入らないので
平なイボの普通のオーストリッチにして欲しいと…。

職人は泣く泣く上等なイボを平に潰すことになりました、とさ…。

なんとも落語のような話ではありますが、
オーストリッチの革をみるといつもこの光景を思い出してしまう
今日この頃…。

ampersandand at 11:56|Permalink