コバ
2020年01月30日
GUCCIの持ち手交換とコバの塗装剥離。
鞄の修理のご相談でしばしばあるのですが、コバ部分の塗装の剥離。
コバというのは断面部分になります。
その部分は革の断面になるので色がついていません。
なので製品ですと通常は塗装がされています。
革の断面は裁断したり削ったりしているので毛羽立っています。
ですのでそのまま塗料を載せても綺麗なつるっとした塗膜になりません。
ですのでクロム鞣しの革の場合は削った後には毛羽立ちを抑える溶剤を施し、
乾燥させて表面を硬化させ、また削る。
その後、また塗料を塗布し削り、また塗料を塗布し…。
と既製品では量産しなければいけないので、
こんな手間が掛かる事はしていられません。
なので毛羽立ちも貼り合わせた革の段差も何もかも一度で覆ってしまえる様に
分厚い樹脂性の塗料をこんもりとコバに一度塗布させて仕上げています。
で、そのような仕上げの持ち手やストラップを使用していると
どうなるか…
ご想像がつくと思うのですがやはり剥離してきてしまいます。
分かり易く云うとかさぶたのような感じで塗料がコバにくっ付いているので
持ち手のように手で常に触れる部分でぐりぐりされたり、
屈曲している部分というのはより剥離してき易いと云えます。
この塗料が剥離してくると大変見苦しい感じになります。
色が徐々に剥げてくるのではなく、ぼろっとかさぶたが取れる様に
部分的に色のかさぶたがこそげ落ちてしまいます。
かさぶたであればある意味快感かもしれませんが、
こちらはとても不快感でしょう、剥離してきた部分はささくれ立って
見苦しいですし。
で、今回のご依頼品ですが一見問題がなさそうですが、
コバの塗膜が剥離していたり、その部分をDIYされたようで黒いボンドのような
樹脂がコバにぐにゅぐにゅと塗布されています。
でよくご相談されるのですが、この塗装を綺麗に治して欲しいと。
残念ながら当店ではそのような補修は行なっておりません。
その理由としては幾つかあるのですが、そもそも同じような
剥離してきてしまう樹脂塗料を使用していないという点でしょうか。
仮に補修するとしても塗装をやり直すには、持ち手を本体から外して
グラインダーでコバの樹脂塗料をすべて削り落とす必要があります。
(部分的に補修を行なったとしても、あちこちいずれ剥離してきてしまうので)
しかし形状によって残らず削り落とせなかったり分解する際に
分厚い塗料が剥がれずに革にダメージが生じる場合もあります。
綺麗に落とせたとして同じ塗料で仕上げてしまうと意味が無いので
地道に下地を仕上げて塗料を載せて仕上げていく方法になりますが、
既製品のように樹脂塗料でコバを仕上げている製品というのは
そもそも芯材などに樹脂塗料で仕上げないとコバが綺麗にまとまらない
生地や不織布などの素材が挟み込まれている場合がありますので
その点でも補修不可となってしまいます。
ですので当店で出来る事といえば持ち手を作り直すという事になります。
で、今回も作り直しです。
途中経過を撮影するのを忘れてしまって3分クッキング的な流れになりますが
オリジナルは中心にやや硬めのスポンジが配されていましたが、
少し頼りないので硬めのヌメ革を用いて中央を同様にこんもり
するように仕上げています。
この方が使用していても持ち手がへたる事もありません。
柔らかくへなへなとへたってくると、それだけコバ部分も捩れて
痛み易くなりますので。
持ち手がかちっとしてより高級感が出たのではないかと思います。
AFTER
コバの仕上げも下地から仕上げまで地味な作業になりますが
塗装しては削りを繰り返して表面は綺麗になるように仕上げました。
この仕上げ方法では使用していても樹脂塗料のようにごそっと
剥離してくることはありません。
ただどうしても革製品ですので経年で擦れたり色褪せてくる事はありますが
その場合は部分的にもコバの再塗装は可能ですのでご安心ください。
その他の持ち手補修事例はこちら
コバというのは断面部分になります。
その部分は革の断面になるので色がついていません。
なので製品ですと通常は塗装がされています。
革の断面は裁断したり削ったりしているので毛羽立っています。
ですのでそのまま塗料を載せても綺麗なつるっとした塗膜になりません。
ですのでクロム鞣しの革の場合は削った後には毛羽立ちを抑える溶剤を施し、
乾燥させて表面を硬化させ、また削る。
その後、また塗料を塗布し削り、また塗料を塗布し…。
と既製品では量産しなければいけないので、
こんな手間が掛かる事はしていられません。
なので毛羽立ちも貼り合わせた革の段差も何もかも一度で覆ってしまえる様に
分厚い樹脂性の塗料をこんもりとコバに一度塗布させて仕上げています。
で、そのような仕上げの持ち手やストラップを使用していると
どうなるか…
ご想像がつくと思うのですがやはり剥離してきてしまいます。
分かり易く云うとかさぶたのような感じで塗料がコバにくっ付いているので
持ち手のように手で常に触れる部分でぐりぐりされたり、
屈曲している部分というのはより剥離してき易いと云えます。
この塗料が剥離してくると大変見苦しい感じになります。
色が徐々に剥げてくるのではなく、ぼろっとかさぶたが取れる様に
部分的に色のかさぶたがこそげ落ちてしまいます。
かさぶたであればある意味快感かもしれませんが、
こちらはとても不快感でしょう、剥離してきた部分はささくれ立って
見苦しいですし。
で、今回のご依頼品ですが一見問題がなさそうですが、
コバの塗膜が剥離していたり、その部分をDIYされたようで黒いボンドのような
樹脂がコバにぐにゅぐにゅと塗布されています。
でよくご相談されるのですが、この塗装を綺麗に治して欲しいと。
残念ながら当店ではそのような補修は行なっておりません。
その理由としては幾つかあるのですが、そもそも同じような
剥離してきてしまう樹脂塗料を使用していないという点でしょうか。
仮に補修するとしても塗装をやり直すには、持ち手を本体から外して
グラインダーでコバの樹脂塗料をすべて削り落とす必要があります。
(部分的に補修を行なったとしても、あちこちいずれ剥離してきてしまうので)
しかし形状によって残らず削り落とせなかったり分解する際に
分厚い塗料が剥がれずに革にダメージが生じる場合もあります。
綺麗に落とせたとして同じ塗料で仕上げてしまうと意味が無いので
地道に下地を仕上げて塗料を載せて仕上げていく方法になりますが、
既製品のように樹脂塗料でコバを仕上げている製品というのは
そもそも芯材などに樹脂塗料で仕上げないとコバが綺麗にまとまらない
生地や不織布などの素材が挟み込まれている場合がありますので
その点でも補修不可となってしまいます。
ですので当店で出来る事といえば持ち手を作り直すという事になります。
で、今回も作り直しです。
途中経過を撮影するのを忘れてしまって3分クッキング的な流れになりますが
オリジナルは中心にやや硬めのスポンジが配されていましたが、
少し頼りないので硬めのヌメ革を用いて中央を同様にこんもり
するように仕上げています。
この方が使用していても持ち手がへたる事もありません。
柔らかくへなへなとへたってくると、それだけコバ部分も捩れて
痛み易くなりますので。
持ち手がかちっとしてより高級感が出たのではないかと思います。
AFTER
コバの仕上げも下地から仕上げまで地味な作業になりますが
塗装しては削りを繰り返して表面は綺麗になるように仕上げました。
この仕上げ方法では使用していても樹脂塗料のようにごそっと
剥離してくることはありません。
ただどうしても革製品ですので経年で擦れたり色褪せてくる事はありますが
その場合は部分的にもコバの再塗装は可能ですのでご安心ください。
その他の持ち手補修事例はこちら
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