ハーフソール

2019年11月22日

手を抜いてオールソールをするお店。 ウェルト交換篇

ウェルテッド製法のオールソールというのは、通常は
摩耗した革底(ヒールを含む)を取り外し、縫われていた古い糸を
すべて抜き、新しい革底を取り付けて再度元の穴に出し縫いを
行なえばいいのですが、手を抜いて、いい加減に修理するお店で
オールソールしてしまうととても面倒なことに巻込まれてしまいます。

こちらの靴。
革底はラバーソールとつま先補修ですでに部分補修されていますが
それ以外は特に痛んでいるところはない感じですが、
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お客様曰く、ここが…と。
踏まず部分がソールが分離してしまっています。
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踏まず部分のすくい縫いの糸が切れてしまっています。
すでに一度オールソールしてあるとのこと…。
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画像では分かり難いのですが、狭いコバの幅に縫い目が二列できています。
二列のところもあれば重なってしまっている部分もあります。

ウェスコなどのワークブーツ系のコバ幅が広い靴の場合では
出し縫いをもともと二列行なう仕様の靴もありますが、
(その場合一列はステッチダウン製法の縫い目)ビジネスシューズで
しかもこのコバの張り出しで二列縫うというのはあり得ませんので、
とうことはどういうことでしょうか…。

そうです、古い革底を剥がしたら元々ある縫い目の糸は抜かずに、
そのまま新しい革底を取り付け、元の縫い目はすでに糸で埋まっているので、
すこしずらしてもう一列縫ってしまっているという事になります…。

このような悪質な修理をされた靴というのは年に数足は
持込まれますが、このパターンもよくある事例です。
では分解。
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残っている出し縫いを擦り切って革底を剥がしていくと
むむっ、かかとの部分で革底が分離…。
革底が継いでありますね、これは話で聞いた事はありましたが
実際に行なっているところがあるとは…
もしかしたら70歳くらいの職人さんが修理した靴かもしれません。

というのは靴学校で教わっていた際の戦後の靴職人さんの授業で、
革底の長さが足りなかった場合には、このように継ぎ足す方法もあります、と。

その時はそれはないだろう、と作業を観ていましたし、
そもそもそんな手間の掛かることをわざわざしないし
長さが足りないってどういうこと?と思いつつ授業は
進行していきましたが。

恐らく戦後だと革底は充分に流通していないとか、
オーダーの革靴の需要が高く次から次へと依頼があり、
とても儲かった時代という話でしたので、材料が間に合わず
足りなかったからか?なんでしょうか。

しかし今は革底が枯渇している時代でもありませんし(年々高騰していますが)
革底問屋にネットで注文すればすぐに届きますし。

恐らくどのお店でも令和の時代にはしていないと思います(今回のお店以外)。
先程も云いましたが、わざわざ継ぐ加工を行なう方が手間ですし
かかとのちょっとを継いだからといってコストも変わりませんしね。

または出し縫いの感じからすると、かかとの継いでいる部分は
そもそも交換していず、古い革底をカットして残しているか可能性もありますね。
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継いでいたからか?とも疑いたくもありますが恐らく関係は
ないでしょうが金属製のシャンクが折れていました。
シャンクとは浮いている踏まず部分を支える為にヒール部分から
踏まず部分にかけて取り付けられている靴の背骨のようなパーツです。
靴によっては入っていないものもありますし、木材だったり樹脂だったり
と素材も色々です。
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踏まず部分以外でもすくい縫いの糸がやはり切れていますね。
二列、しかも元の縫い目より内側に縫っていましたので、
そうなると完全にすく縫いの糸を出し縫いで貫通してしまいますから。
赤矢印は元々の縫い目で黄色矢印が新しい(縫い足した)縫い目。
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そもそもウェルテッド製法という靴の構造が分からないと
この話の意味が伝わらないと思いますので以前の記事でも使用した
概略図を。
ウェルテッド製法2
ウェルテッド製法
今回の靴状態はというと、古い革底は剥がしたのですが、その際に
古い出し縫い(みどり部分)の糸を抜かずに新しい革底を貼付け、
古い縫い目より内側(本体側)に抜い足しているので、
本体とウェルトを縫い付けているすくい縫い(赤い部分)を貫通してしまい、
すくい縫いの糸が切れてしまっているという状態になっています。
通常は、もとの出し縫いの糸を抜いて同じ穴に縫い直す事になっています。

結局そのお店では糸を抜くのをめんどくさがり、しかし縫う場所がないので
外側にははみ出してしまうので縫えないので内側に寄せて
縫ってしまっているという事です。
場所によっては内側に縫う事もできず逆に外側に膨らんでしまったり
同じ位置に重なって縫ってしまったりなんですが、ひどいものです。
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ウェルトを外した状態。
中底面から開けられたすくい縫いの穴が見えます。
この穴に新たにウェルトをすくい縫いして取り付けていきます。
すくい縫いですので、名前の通りすくい針でそれぞれのパーツをすくうように
針を刺して縫製していきます。
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つま先部分は穴の間隔が寄るので糸が食い込みすぎないように
別の糸を縫い目に絡ませて締め付けていきます。
今回の靴はミシンでも縫製できるように開発された
グットイヤーウェルテッド製法の構造になっていますが、
なぜだか手縫いですくい縫いが行なわれています。
そして一般的なすくい縫いの縫い目のピッチよりなぜか
細かく縫われているので、縫い直す時間も1.5倍くらい掛かります…くぅ〜。
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かなりの力で糸を締め付けていくので麻糸が指に食い込んで
皮が裂かれてしまうので革サックを要装着です。
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かかと周りのウェルトはオリジナル通りにアルミの釘でカシメて固定しています。
ウェルトをが付いたので、後は通常のオールソールの手順と同じになります。
今回はシャンクが折れていたので焼きの入った硬い金属のシャンクに交換し、
コルクも詰め直して革底を取り付けて出し縫いを行い完成となります。
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ウェルト交換というのは今回のようにすくい縫いが切れてしまっている
靴の場合に必要になる補修行程ですので通常のウェルテッド製法の靴では
革底の交換のみ(ヒール部分も含みます)ですので必要はありません。

ウェルトも交換した場合はオールソールの倍ぐらいの費用が
掛かりますので、お見積もり後のご依頼率は65%ぐらいでしょうか。
なにせもう少し費やせば新しい靴も買えてしまいますので。

今回の靴は確か彼女に買ってもらった靴ということでしたので
特別思い入れもあったということでした。
本体の革も特に履き皺が痛んでいるとかダメージも無く、
底周りが新しくなればまったく問題なく履き続けられますし。
*本体の革が劣化して亀裂が複数入っているなどの場合はお勧めしません。

ちなみに今回の靴のようにコバがあるような靴が、全部ウェルテッド製法の
靴ではないのでご注意ください。
マッケイ製法やセメンテッド製法でも飾り押渕といって、飾りで同様のコバが
付いている靴もありますので。
AFTER
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ハーフソール・ビンテージスチール併用仕様になります。
持込まれた際の靴の状態は、オールソール後に靴底(つま先)が摩耗し
ハーフソールが取り付けられたのですが、つま先だけ早い段階でラバーが摩耗し
その後つま先だけ再度補修していると思われる状態でした。

であれば、そもそもオールソールの時点でハーフソールスチール併用仕様に
しておけば革底は摩耗しませんし、底縫いの糸も切れません。

ですので、当店で革底でのオールソールをご依頼される90%の方は、
オールソールの際には、ハーフソール・ビンテージスチール併用仕様を
オプションで装着されております。
初期投資はかかりますが、長い目で見るとランニングコストは抑えられます。

ハーフソールが取り付けらているので、底縫いの糸は擦り切れませんし
土台の革底も擦り減る事はありません。
(路面の雨水を吸い上げてのアッパーに雨シミもでき難いのです)
それぞれ摩耗した段階でハーフソールとスチールは部分的に交換できます。

基本的にこの仕様であれば今後はオールソールの必要は無くなります。
ですので長く履くのであればとても合理的な修理かと思います。

ちなみにですが今回のようなすくい縫いが切れてしまうというのは
縫い位置に問題が無くても通常の使用でも加重に耐えられず糸が
切れてしまうという事もあります。
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後ろの人にちらりと見え隠れする赤い靴底が憎いですね…。
かかとを革付きのダヴリフトなどにすると赤く染められますが、
耐久性重視でvibramのラバーリフト仕様になっています。
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ちなみにこちらもウェルト交換になってしまった靴。
ご依頼時点ではすくい縫いが切れている事が分からなかった靴です。
オールソールはまだ行なった事が無く既製品の状態です。
分かりますかこの異常な状態。
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出し縫いが漉い縫いの内側を縫ってしまっています。
黒い点々が出し縫いの断面で外側にある白い線状の縫い目がすくい縫い。
位置が逆転していました…、あり得ない状態です。

もちろんこの場合も革の中を通過しているすくい縫いの糸を
貫通してしまっているのでNGです。
貫通していると革底を剥がすまでは糸同士が噛み合っているので
逆に糸が緩まずにウェルトが外れて見えない場合があります。
ですので「ソール交換で」、と受付して革底を剥がしてみたら
ウェルト交換が必要なってしまうというパターンもときどきはあります。

といっても、すくい縫いに出し縫いが貫通していない靴を探す方が
難しいかもしれません。
ところどころでも貫通してしまっている靴は普通にあります。
部分的にすくい縫いが切れている場合は、サービスで勝手に縫い直しています。

これは靴の高い安いに関係なく、例えば10万前後するクロケットジョーンズ
なんかでもしばしば貫通しています。
ひどい場合は出し縫いが逆に外側を縫い過ぎてしまっており
コバからはみ出してしまっているクロケットなんかもありました。

その靴が検品を通って市場で販売されているというのも問題なのですが。
クロケット特有のウェルトに切れ込みを入れて出し縫いを行なっているのが
縫い目の位置が悪い要因の一つかもしれませんが。

または靴のデザイン的にしゅっとした感じなので、そうなるとコバの
張り出し具合が抑えられる傾向にあるので、そもそも出し縫いをする
スペースが限られしまい、すくい縫いを貫通するような位置で縫製する
ことになってしまっているのかもしれませんね…。


今回もソールを剥がすまで分からず、後になってウェルト交換の必要が
生じてしまったのですが、これは私としてはとても申し訳ない状態です。

「オールソールで依頼したのにウェルト交換も追加なんて聞いていないよ!」
とお客様は思うでしょうしきっと…。

それに摩耗した靴底の交換と違い、ウェルト交換しても
見た目の仕上がりとしては、お客様が仕上った靴を見ても違いは
分からないのも問題なのですが。
(もちろん分かる人が見れば分かりますが)

例えば私がブラック店主であれば、ウェルト(すくい縫い)が壊れていないのに
交換する必要がありますと云って、ウェルトは交換せず
ソールだけ交換してウェルト交換の費用も請求する事もできてしまいますから。

ですので今回もお電話で、こうこうこうでウェルト交換が必要になります。
で、メールで壊れている状態を画像で送りますので確認されてください…
と、本当に交換が必要なんですアピールをさせて頂こうとしていると、
(もちろん追加費用も掛かってしまいますし、このままキャンセル
ということもできますともお伝えしております)

お客様:
「画像は見なくて大丈夫です、前回依頼した靴の仕上がり具合で
 信用しているので、そのまま進めてください」と。

店主:
「あざーすっ!」

「信用する」ということがなかなか難しい時代に、
確認もせず信用して頂けるというのはとても有り難いことです。

こちらの靴はかかとにウェルトが無いシングル仕様。
ウェルトは革底を縫い付ける縫い代と考えて頂くと分かり易いと思います。
ウェルテッド製法というのは、直接本体に革底を縫い付けないので
ソール交換の際の靴本体へのダメージが少ない(交換が容易)という
考えにより考案された製法になります。

しかし今回の事例のように、ちゃんと設計しその設計通りに製造しないと
かえって手間の掛かる製法になってしまうという事にも。
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左はウェルト縫い付け前、右が縫い付け後。
靴の周囲の張り出したウェルト(コバ)に、底面に貼付けた
ソールを垂直方向に縫い付けて固定するのがウェルテッド製法の構造になります。
底縫い後、ウェルト共々ソールを削り込み、靴のアウトラインを仕上げます。
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完成。
こちらはダイナイトソール仕様。
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基本的に当店ではウェルト交換は受け付けていないのですが、
というのウェルト交換をするには、糸作りからはじまり色々とやる事が多く、
また他の修理のように同時進行で数足の靴のリフトの交換、ハーフソール等々を
進める事ができず、ひとり店主の私が一足に係っきりになってしまう為、
他の修理品の進捗に影響が出て来てしまうので基本的にお断りしておりますが、
作業の途中で発覚!なんてことになると、途中で投げ出すというのは
あり得ませんので付きっきりで仕上げております。

ですので当店ではお時間が掛かってしまうので、ウェルト交換が
必要な方はスタッフが大勢いる規模の大きなお店でご依頼された方が
宜しいかと思う次第な今日この頃…。

ampersandand at 16:37|Permalink

2018年03月25日

いい加減な修理店 B オールソール篇 その参

前回までのあらすじ
その壱はこちら
その弐はこちら

はるばる長野から当店を信用して頂いて?ご依頼頂きましたので
修理店Cにならないようにしっかりと修理させて頂きます。

もちろん仕事の出来は距離には比例しませんが、遠くになればなるほど
プレッシャーはかかります、それだけ送料も掛かる訳ですし。
年に何件か海外からもご依頼頂くことがありますが、どうしてうちなの?
と思わないではありませんが、グローバルな世の中です。

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それでは修理してゆきます。

貼付けられていたハーフソールをすべて剥がしたところ、
縫い付けられていた革底の糸がすでに完全に擦り切れていましたので
ハーフソールの交換ではなくオールソールということになりました。
*分解しているところの画像を取り忘れましたが、オールソールとは革底、
 ヒールすべての部分を取り外し、新たに作り直す修理になります。

底縫いの糸が切れている場合、その状態でハーフソールを取付けることは
できるのですが、あとでウェルトと革底の部分が剥がれて(浮いて)きてしまう
可能性が高くなりますので、完全に切れている場合はお勧めしておりません。
しかもダブルソール仕様でしたので余計に剥がれ易い状態でした。

仕様については長野県ということで雪の心配もあるとのことで
滑り難い仕様であとはお任せでと。

雰囲気のある革のブーツですので、オリジナルのようなボリュームのある
ソールが相性がいいと思いますので、当店お勧めの仕様で行うことに致します。

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オリジナルのヒール部分は、合成素材のブロックにスタックといわれる
1.0mm程度の革が巻かれているブロックヒールの仕様でしたが
今回は、革を一段ずつ積上げてゆきます。
革で5段積んでリフトで1段積むので合計6段積みます。
両足で12段積上げていくことになります。

よく「木」と間違えられますが、革を削って表面の毛羽立ちを整えて
いきますと、ご覧のように木のように見えてきますが、革です。
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今回の仕様は、
革底/コマンドハーフソール5.0mm(伊)/コマンドリフト10.0mm(伊)
仕様になります。

取付けた革底をウェルトと底縫いして取付け、
その後ハーフソールを取付けています。
この仕様ですと、ハーフソールとリフトが摩耗した段階で交換していけば
底縫いの糸は切れず、革底も摩耗しないので基本的にNO MORE AII SOLE!
今後オールソールの必要がない仕様になります。

AFTER

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問1.
雪道も想定しこの靴にはコマンドハーフソール5.0mmが付いています。
この靴のオフセットは30mmでした。
画像Aの部分の高さを求めなさい。
*革底、ウェルトの厚みは含まれていません。

ヒント
前回の「その弐」を参照。
0324-9
2018031919
既製品でハーフソールと一緒に底縫いを行っている商品がありますが
それですと、ハーフソールを交換する際に底縫いの糸を
切らなければならなくなります。
ですので、一旦革底を縫い付けてからハーフソールを
取付けるのがよいと思います。
201803191520180319172018031922
2018031912

問1の答え
35mm となります。

以上「いい加減な修理店 B オールソール篇」でした。
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ampersandand at 19:00|Permalink

2018年03月24日

いい加減な修理店 B オールソール篇 その弐

前回までのあらすじはこちら。

古いハーフソールを剥がさずに二重に貼ることで履き心地が
悪くなるのか?
話が分かりづらくなるので、「片足のハーフソールは半分残っている状態」
というのは一旦おいておきます。
これで履き心地に違和感が生じるのは当たり前なので。

落差(オフセット)とは?


オールソールのお問い合わせの際に、いつもこの部分が伝わりづらいので
これについて別記事を書こうと思っているので今回はかいつまんでご紹介します。

靴にはそれぞれでヒールの高さが決まっています。
ですので、オールソールするからといってもっとヒールを高くしたい!、
ぺったんこヒールにしたい!あのvibramソールを使いたい!
と云う訳にはいきません。
(あまりこの部分を考慮しないでソールを取付けているお店もあるようですが)

こちらをご覧下さい。
0324-3
分かり易いのでこちらのパンプスを使ってご説明したいと思います。

「ヒールの高さはどのくらいですか?」と尋ねますと
みなさん決まってCの部分を計測されると思います。

このパンプスは前側にプラットフォームという厚底仕様になっていますが
アッパーの革で一緒につり込まれていますので外からは見えません。
実際の足が入っているレベルはAの下線位置になります。
Bの部分がプラットフォームの厚みです。
0324-1

この場合のヒールの高さは、Cの高さではなくAの高さになります。
Cの高さというのは、Bの高さによって変化してしまいますが、
Aは変わることはありませんので、オールソールの際はこの高さを基準に
それぞれの仕様を決めていきます。

例えば
C/90mm
B/25mm の場合

90 - 25 = 65mm 

このパンプスのヒール高は、90mmではなく65mmになります。
これを「落差」、または「オフセット」といいます。
ここ、テストにでるので覚えておいてください。
図だけみると修理の話?って感じです。
C点からA点を通り、B点へ繋げる際の最短距離を求めなさい…

この落差は、靴それぞれもとになる靴型で設計されています。
踏みつける際に、足が曲がる位置と靴が曲がる位置を
合わせた設計になっています。

このパンンプスの場合は、65mmが正解ですが、前側に25mm足しているので
ヒールにも同じ分を足した高さ、90mmを取付ければ落差は合うことになります。
重要なのは、前後でそれぞれプラスマイナスをし、もともとの
落差を変えないことが大切です。

*多少の許容範囲はありますが。

例えばこのパンプスをオールソールする時に、
前側のプラットフォームを取り除いてソール交換すれば、
ヒールは90mmでなはく65mmを取付けることができます。
見かけのヒールの高さは低くなっていますが、
実際の高低差(落差)は変わっていません。

ちなみにハイヒールを本来の設定より低くしてしまうと、
踏みつける位置は踏まず側(後方)に下がってきてしまいます。

その場合パンプスは、履き口が広がってしまい脱げ易くなる、
シャンクが折れるなどの症状が生じる可能性があります。
ただ、多少それぞれで許容範囲がありますので
ハイヒールのヒール土台まで摩耗してしまっている方、ご安心ください。

前置きが長くなりましたが、今回のご依頼品ではどうでしょうか。

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こちらの靴の落差は、およそ30mmと云うことが分かりました。
およそというのは、ヒール部分も修理店Bにてリフト交換がすでにされています。
ですので、この修理店は何をしでかしているのか分かりません。
リフト交換の際に必要以上に削っていたりすると、ヒールの
高さも狂ってしまっている可能性があるからです。

接地具合や残されたヒールブロックを見る限り、あまり修理店Bの
影響はヒールにはでていないようです。

旧修理店で貼られたハーフソールは、通常の2.0mm厚でした。
修理店Bで重ねて貼られたハーフソールは、厚めの3.5mm厚。
合計前側が、5.5mm高くなっています(摩耗している分はありますが)

先程の落差設定でいくと、通常のハーフソールでも前側が2.0mm
高くなっているので、その時点でおかしくはないのか?ですが
2.0mmですとまず問題がありません。
しかし、これが3.5mmにすると途端に違和感が生じてしまいます。

店頭でお客さんに3.5mmのハーフソールを地面に置いて
取付ける靴で踏みつけて立って頂くと、みなさん違和感を感じられます。
たった1.5mmの差なのですが。

ちなみに3.5mmのハーフソールを新品の靴に取付けたい場合はどうするのか?
ですが、リフトも3.5mm追加しなければなりません。
しかし、3.5mm厚のリフトというのはないので、始めに付いている
6.0mmにリフトを外し、9.5mm(10.0)のリフトを取付ければ計算が合います。

ただ、これでは減っていないリフトをわざわざ交換するのでもったいないです。
ですので、ハーフソールは一旦2.0mmを取付け、のちのちそれが摩耗した頃には
リフトも減っているので、そのときに前後とも交換すれば宜しいかと思います。

ご依頼品の違和感の原因とはなんだったのか?

皆さんもうお分かりだと思いますが、
「前側が5.5mm高くなっている(靴が後ろに傾斜している)」
「左右の靴で前側の高さが異なる(片足はハーフソールが半分なので)」

というところだと思います。
1.5mm(3.5)の差でも違和感があるのに、5.5mmそれも
左右で違うとなると違和感ありありでしょう…。

結局、修理店Bで治してから履かなくなってしまったのですが、
もったいないので今回検索して当店をご指名頂いたとのこと。
でもそんな事があると、もう一度修理に出すのは
怖かったんじゃないかと思います。
しかも今回はオールソールでお金も掛かりますし、しかも郵送なので。

その参へつづく…。
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ampersandand at 16:32|Permalink

2018年03月20日

いい加減な修理店 B オールソール篇 その壱

長野県からのご相談案件

「近くの修理店で修理してから履き心地がおかしい、違和感があるんです」

というようなご相談をいただきメールにて画像を確認。
しかし裂けたり割れたりであればどこが原因だか分かるのですが
このような「なんだか違和感がある」という主観的案件は
実際に作業を初めて見なければ分かりませんし、
画像ではもちろん分かりません。

そして履かれている方の主観的(履き心地の感じ方など)な部分ですので
分解しても特に靴として壊れているところはない、という場合もあります。
では届いた靴の現物確認となります。

BEFORE
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外観からでは特に問題がありそうなところはありませんし
現状ではオールソールする必要もない感じに見えます。
強いて云えばハーフソールの取付け方がやばいですね…
ほとんど浮いちゃっています、接着不良というかなんか、変です。
ハーフソールの位置も深すぎる感じでしょうか…
嫌な予感…。

まずは分解

右足から。
ハーフソールを剥がしたところです。
でもまだもう一枚ハーフソールが残っていますね…。
予感的中…。
2018031903
画像矢印01ライン/ハーフソールが貼られていた境目
画像矢印02ライン/ハーフソールを剥がして現れた旧ハーフソールのライン

それでは引き続き左足…。
半分だけまだハーフソールが残っていますね…。
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画像矢印01ライン/ハーフソールが貼られていた境目
画像矢印02ライン/ハーフソールを剥がして現れた旧ハーフソールのライン
画像矢印03ライン/旧ハーフソールを途中まで剥がして面倒になったライン

分かりますかこれ、どういことか。
お客さんのお話では、いつも使っていた修理店Aが閉店してしまったので
最寄りの修理店Bにハーフソールの交換修理に出したところ、
それ以来なんだか履き心地がおかしくなったとのこと。

修理店Bでは何をしたのか(していないのか)?

もともと靴にはハーフソールが修理店Aで取付けられていました。
それが摩耗したので修理店Bに修理に出しました。
修理店Bは左足の古いハーフソールを剥がし始めましたが
なかなか剥がれない(修理店Aがしっかりと施行しているからです)
で、途中まで剥がして剥がすのが面倒になりました(矢印03ライン)

右足は古いハーフソールを剥がすのは始めからやめておきます、面倒だから。
で、新しいハーフソールを取付けたいけど旧ハーフソールと
同じ境目で貼るのはできないので、それより深い位置(境目)で貼ってしまえ。

 深い位置というのは、旧ハーフソールを覆って隠す必要があるので
 それより深い位置(01ライン)で貼るということです。

2枚重なっているのがバレないように、周囲だけ一枚目を薄く削っておこう。
 
 これによって周囲の浮きが生じてしまっています。
 (これでもちゃんと接着すれば浮かずに付くのですが…)

以上が私の仮説となりますが、だいたいそんなところだと思います。
嫌な予感…というのは、年間で一件ぐらいですが
これに似た案件はやってきます。
2018021692
「ちゃんと剥がせや〜」

ハーフソールの境目がやけに深かったり、周囲の貼り合わせ面が
浮いていたりなど外観からの兆候はなんとなくあったりするものですから。

しかし今回のように片足は途中まで剥がしてやめるというのは
かなり悪質だと思います。

あっても古いハーフソールを全く剥がさずに、その上に新しいハーフソールを
貼ってしまうお店がときどきあるぐらいな訳ですから。
それを修理する私は貧乏くじな訳ですが。
その2枚剥がさなければなりませんからね…ちゃんとやってくれよ…。

仮に「ハーフソールを2枚重ねて厚くしたんだ私は!」
という修理店の主張もあるかもしれませんが、
だったら剥がしてからその厚みに該当する厚めのハーフソールを
貼れば言い訳です。

古いハーフソールの上に貼るというのは、それだけ一枚目が剥がれる
リスクもありますし、部分的に摩耗した状態の一枚目のハーフソールに
二枚目を貼り込むというのはなにも合理的理由にはなりませんから。

その弐へ続く…
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ampersandand at 00:08|Permalink

2018年02月26日

ハーフソールって貼った方がいい? そだねー。

BEFORE
201802260220180226012018022603

典型的なハーフソールを貼った方がいい、婦人靴であります。
レザーソールでポインテッドトゥ(尖っているつま先)…。

恐らく、一日お買い物してアスファルトを歩かれますと
家路に着いた頃にはつま先のソールは無くなっていることでしょう…。

このての靴のレザーソールは、中心部分で3.5mm程度、
端(周囲)の部分は靴に添わせる為に薄く漉いてありますので、
厚みはご覧の通り1.6mmくらいでしょうか。
ですので一番摩耗し易いつま先の先っぽも薄々です。

ハーフソールのデメリットとしては、2.500円の取付け費用ぐらいですが、
(2.500円分のもとは充分採れると思います)
気にされる点といえば外観への影響は?というところでしょうか。
ハーフソールの取付ける位置は、靴が地面に接地する境目から
だいたい1.0cm程度後ろ(踏まずの手前くらい)に設定し
地面に直接擦れないようにします。
ですので、ハーフソールの取付け面はほとんど地面を向いています。

AFTER
201802260720180226052018022604
どうでしょうか、これだけ人の靴底を間近で見ることはないかと思いますが、
接地面プラス1.0cmですので足下ですとまずハーフソールが
付いているのかどうか分からないと思います。

今回はハーフソールがブラックカラーですが、
靴底の色に併せてベージュでは?という選択肢もあるかと思います。
靴底の革の色のベージュに合わせると、靴底の見た目はいいのですが
結局ご覧の通り靴底のハーフソールは接地面で見えませんし、
見えるのはサイドのコバ部分。
この靴の場合は、コバの色はブラックなのでブラックを選択します。

ベージュカラーを取付けた場合、コバ部分にハーフソールの
ベージュの厚み(コバ)が見えてしまいますので、
それをインクで染めるのですが、擦れたり雨に濡れ、徐々に
インクが落ちてきてしまいまだらになってしまいます。

また僅か心持ちですが、ブラックカラーにする為に
素材にカーボンが配合されていますので、他の色に比べると
なんとなく耐久性は上がるようです(問屋曰く)。
ちなみに、当店では通常仕様はイタリアのvibram社のハーフソールを
用いております(またはフランスのTOPY社)。

ちなみにベージュ色(アメ色)の仕上り具合
20180306022018030603

それとハーフソールを貼ることで摩耗に対する補強という観点もありますが
薄い靴底に対してゴムの弾力が加わり、足裏への衝撃が和らいだり、
また滑り難くもなりますので歩行が安定し
疲れ難くなる事もあるようです。

「つま先減らなくなったー」

「そだねー」

「滑らなくもなったねー」

「そだねー」

「疲れ難いかもー」

「そうかーい」

そだね3


今回はお気づきかと思いますが、「そだねー」が使いたくて
記事を書いてみた次第でありますが、
カーリングのストーンは、最終エンドはスーパーひとし君みたいに
赤いストーンを入れると得点が二倍!みたいなルールがあると
より白熱するのではないかと思う次第です。

「そだねーJAPAN」
銅メダルおめでとうございます!

次のカーリングの代表チームが関西のクラブだったら
「そやなぁ、JAPAN」
だと思う今日この頃…。
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ampersandand at 17:32|Permalink

2018年02月13日

戦力外通告された靴。 二軍生活篇

目の前でときどきですが、戦力外通告が行われます。
わたしの戦力分析によってオーナーから戦力外通告される事もあれば、
すでに戦力外にされていて野村再生工場ならぬ、アンパサンド再生工場にて
復活をかけてトレーニングを行う場合もあります。

今回はそんな中でも早々一軍では活躍できないと判断され
二軍生活を余儀なくされた靴の再生ヒストリー(短編)になります。

戦力外時点
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つま先部分はラバーにて温存治療されていますが、まだまだ活躍できる右腕です。
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リフト部分は、交換が必要とされる時期にきています。
あの夏の甲子園で酷使されすぎたのが影響でしょうか。
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ただいずれも今回の戦力外の主な原因ではありません。
オーナー曰く、片足の屈曲部分にクラックが生じ始めているとのこと。
確かに細かなクラックらしき皺がちらほらと散見。

これはメンテナンスの問題というよりは、もともとの革質が
左右の靴で違いがあるようでした。

クラックが生じている側の革は、多少繊維が荒い様子でコシが弱めです。
靴の裁断の際に、一番いい革の部位をつま先に使用するとされていますが
日々修理をしていると、この屈曲部分に一番いい質の部位を用いた方が
いいのではないかと思います。

靴が傷むのはだいたいこの屈曲部分ですので、この部分に
状態のよい革を用いると長い目で見るといいのかもしれません。
つま先というのは、芯材で硬化しているので履いていて革が
伸びたりなどは起こりませんし。

量産品はどうしても無駄なく革を裁断しようとしますので
適していない部分がパーツに掛かってしまうことはあるかと思います。
またはあまり考慮せずにテトリスのようにパーツを配置していき
綺麗に無駄なく採れるだけ採ってということもあるかと思います。

それがいけないことかというと、ある程度(使用に問題ない程度)は
目をつぶらないと靴の価格自体が上がってしまいますのでバランスですね。
数十万するようなオーダー靴は、一頭で一足なんてこともありますし。

ブーツなどのシャフト部の(筒部分)パーツは、
一枚が大きいので、質が少し悪い部位が部分的にはいりがちです。
ですので、履いていると皺の入り方が左右で極端に違うなど
といった事が生じ易くなります。
(もちろん足のフィット具合によっても皺の入り方は必然的に異なりますが)

AFTER
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こちらのオーナーさんは、いつも通常の2.0mmのハーフソールを
装着されていましたが、今回は戦力外ということでいつもと違った趣向で
コマンドタイプがご希望。

vibram#2333のハーフソールと#1205のコマンドリフト仕様となりました。
ハーフソールは、5.0mm厚でリフトが9.0mm厚。
交換前のオリジナルのリフトが6.0mm厚となります。

9.0 - 6.0 = 3.0mm

5.0 - 3.0 = 2.0mm

ハーフソールが5.0mmと厚いので、差し引き2.0mm前側が
元の設定より高くなってしまいます。
しかし、2.0mmですと通常のハーフソールを取付ける際の設定ですので
違和感のでない許容範囲となりますし、すでに取付け面の革底も
数ミリ摩耗しているので、結果とんとんと云う感じでしょうか。

これが2.0mmでなくて3.5mm差となると、1.5mmの差なのですが
これが違和感のでるボーダーラインです。

以上の計算分かりましたでしょうか。
簡単に云いますと、ハーフソール5.0mmを付けるのであれば
その分リフトも5.0mm増やさなければなりません。

ですので、交換前のリフトが6.0mmでしたので
計算上は11.0mmのリフトが必要となりますが、
今回は9.0mmを付けている訳です。
11.0mmのコマンドリフトもありませんし、2.0mmは許容範囲ということで。
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一見ごつく見えますが、凹凸があるので屈曲性もいい感じです。
配合されているラバー素材も、グリップ効果も高く悪路にも効果的です。

黒いゴムは皆同じだと思われがちですが、その配合により
グリップ効果が高いもの、硬質なもの、弾力に富むものなど様々です。
言い換えれば同じような黒いゴムでも安価な素材はすぐに減ってしまいます。

厚みも5.0mm(リフトは9.0mm)ありますので、
一般的なラバーソールが5.0mm程度ですので、
この vibram#2333ハーフソール(3.500円)でオールソール
1回分の保ちとなります。
(通常のvibramハーフソールは、2.500円です)
摩耗したらまた交換できますので、ランニングコスト面でも優れております。

ちなみにときどきこの vibram#2333のようなコマンドタイプのハーフソールを
底縫いでまとめて革底へ縫い付けている仕様がありますが、
それですと、摩耗した時にはハーフソールのみ交換できず
オールソールとなってしまうのでコスパの悪い仕様かと思います。

ブーツではこのコマンドタイプのハーフソール仕様はしばしば行いますが、
短靴でもかっこいいんのではないでしょうか。
鳩目と平紐の組み合わせがコマンドソールと相まって、
ややアーミーな雰囲気も醸し出している今日この頃…。
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ampersandand at 20:44|Permalink

2015年01月12日

ヴィンテージスチールを取付ける まとめ篇

ビンテージスチールやハーフソールについて何度か記事を書いていますが
今読み返しますとなかなか分かり難い部分や、要領を得ない部分もあります。
また、ご依頼の際にしばしば尋ねられるFAQも踏まえ、
まとめてみましたのでご参考にして頂ければと思います。

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まず、はなしがややこしくなってしまいますので、
前提条件としまして、「新品の革底の靴の場合」を条件としたお話となります。
*ラバーソールには取付けられません。
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新品の靴底の補強方法として、3通りあります。

1.ハーフソール 2.500円
2.ヴィンテージスチール 3.500円
3.ハーフソール/ヴィンテージスチールの併用仕様 5.000円
*価格は予告無く変更する場合があります。

それぞれの補修方法のご紹介の前に、何も処置せずそのまま履き始めた場合、
徐々にどのような経過を辿るのかご紹介したいと思います。
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<ステップ1>

新品の靴の場合は、靴の返り、癖がついていないので
歩行の際に靴底が返らずに、つま先が擦れ易く真っ先に著しく減ってしまう。
歩き方により個人差はありますので一概には云えませんが、
ロングノーズ、ローファーは減り易い傾向にあるようです。

この段階でウェルトまで摩耗してしまっている方も…。
ダブルソールやスペードソールなど、革底が厚い場合は、
より靴が返り難いのでつま先が減り易いです。

例靴
トリッカーズ、オールデンなどのダブルソールなど

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→この段階で「つま先やばっ!」と思われて、スチールやハーフソールを
 検討される場合がよくあります。
 *ある程度摩耗した状態からのスチールの取付けは、追加費用がかかります。

革底は基本的に底縫いが掛かっております。
底縫いは、本体(ウェルトや中底)とソールを縫い付けておりますので、
底縫いが擦切れますと、革底は剥がれ易くなります。
(ウェルトとの隙間が開くなども起り易いです)

メーカーによっては、ウェルテッド製法の場合などは特に、
革底の接着は弱かったりしますので(ソール交換し易いように?)、
底縫いが擦切れると簡単に剥がれてしまったり致します。

*ですので、ある意味セメンテッド製法(接着のみ)の靴の場合は、
 縫っていない分、しっかりと接着している可能性が高いので
 剥がれ難いとも考えられます。

<ステップ2>

雨降りにより、路上に溜まった汚れた水を革の繊維組織ゆえに
毛細管現象で徐々にアッパーまで吸い上げてしまい、
屈曲部側面あたりまで到達しその部分に雨シミ(白く塩分)が発生!
その部分の革は放置すると徐々に硬化しひび割れし易くなります。

→底縫いが擦切れている状態で、びっしょりと濡れたりしますと
 なんとか固定している接着剤も水分で弛んでしまい、剥がれの原因に。

<ステップ3>
ようやく足に馴染んできて、とても履き易くなってきた矢先…
革底が摩耗しきって、ソール中央部分に穴が開いてしまい、
中もののコルクが欠落してしまい、中底の割れや変形を引き起こしてしまう。

→このまま履き潰すか、でも履き易いから安く治せるのなら
 お気に入りだし治そうか…と、ようやく修理を検討される方も…。
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と、ここまでがよくある革底の痛みの経過となります。
以上を踏まえまして、それぞれの補修についてのご案内となります。

1.ハーフソールのメリット

1231-30(画像はTOPY 3.5mm/通常はvibram2.0mm)
履き始めの著しいつま先の摩耗予防になる/滑り留めになる/
靴底からの吸い上げによる雨シミの予防になる/
底縫いの糸が摩耗により切れないので革底が剥がれない。
(摩耗したハーフソールは繰り返し貼り替え可能です)

デメリットではありませんが、つま先部分のゴムが
他の部分に比べ減り易い(それだけつま先部分が摩耗し易いということです)。
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ハーフソールの際に、ときどき尋ねられるのですが、削るんですよね?と。
恐らくハーフソールが収まる厚み分を、凹ますと思われているようなのですが
凹ますのでも削るのでもなく、「荒らす」という表現が
適しているかと思います。

靴底は仕上げのワックスや染料で表面がコーティングされておりますので
そのままですと接着剤が効きません。
ザラザラ面に塗布する事ではじめてそれぞれの素材に食い付き固定します。
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ですので、表面のワックスや染料を取り除くことと、
表面をザラザラにする意味で表面を荒らしてハーフソールを取付けております。
荒らしているので厚みはほとんど変わりないかと思います。
荒らす際も底縫いの糸に触れないように注意しています。

なお、革底は繊維素材ですので、接着剤の一回の塗布では
接着剤が染み込んでしまいますので、必ず時間をおいて二度塗りを
行ってから取り付けとなります。
そうすることで表面に接着剤が残り接着効果が高まります。
逆に厚塗りになってしまうとかえって剥がれ易くなるので注意ですが。

2.ヴィンテージスチールのメリット
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摩耗し易いつま先部分の減りが、ハーフソールに比べ長期間保護できる。

こちらもデメリットではありませんが、つま先以外はそのままですので、
底縫いの糸が擦切れる事や、革底なので滑り易いなどがあります。

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一般的にはビンテージスチールを取付ける際は、スチールが収まる厚み分を
革底を凹ませて削りますので、必然的に底縫いの糸を切ってしまいます。
当店では、なるべく糸を切らない深さに微調整しながら取付を行っております。


3.ハーフソール・ヴィンテージスチール併用仕様のメリット
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摩耗し易いつま先は、ヴィンテージスチールで保護、
その他の部分はハーフソールで保護できますので…最強です。


ハーフソールだけですと、摩耗し易いつま先部分のラバーが、
どんどん減ってしまうので、その部分をスチールで保護します。
(つま先があまり減らない方もいらっしゃいますので、その方は
ハーフソールの選択でも宜しいかと思います)

ハーフソールのつま先部分以外は、比較的なかなか減りませんので、
併用ですと、初期投資は掛かりますが費用対効果やランニングコストを
鑑みますと、ベストの補強かと思います。

この仕様も、適時部分交換することで、オールソールは今後必要ありません。
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なお、併用ですと画像でも分かるように、ラバーソール厚で
スチールが収まる凹み厚を確保できますので、革底は凹ます(削る)ことなく
取付を行うことが可能です。

***********************************
以上がそれぞれの補修概要となります。

こういった補修は、履いて摩耗してからでいいかな、
と思いがちですが、あとで補修するつもりであれば、履き始めに
補修(補強)をすることをお勧め致します。

底縫いの糸が擦切れてしまったり、底に穴が開く程擦り減ってしまってから
補修するんであれば、底の厚みが目減りしていない状態で保護したほうが
快適ですし、余計な補修費等も掛かりませんし、綺麗に仕上ります。
スマホを購入してから3ヶ月後に、画面の保護シールは貼りませんよね。

以上、長文になりまして失礼致しました。
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ampersandand at 15:03|Permalink