バックパック

2020年04月27日

TUMIのリュックを購入する前に知っておくべき事。

これから購入する数万円するリュックが、2年後には劣化して
ジャケットの肩をべたべたと黒く汚してしまうと分かっていたら
あなたは購入しますか?

常々お伝えしておりますが、合皮は使っても使わなくても
必ず劣化してしまう素材になります。
私の個人的な意見ではなく「合皮 劣化」で検索するといくらでも
確認できると思います。
記事によれば1から2年、遅くとも5年で必ず劣化してしまいまうと
書かれています。

この年数はあなたが購入してからではもちろんありませんし
その鞄を製造してからでもありません。

その合皮素材を作ってからの期間になります。
ですのでときどきお客様が
「一度使っただけなのに表面がべろべろと剥離してきた」
というのはすでに購入した時点で賞味期限切れということなんだと思います。

バーゲンや型落ちの製品であれば、店頭に並んでいる期間だけでも
1から2年は経過しているでしょうから。

で今回のTUMIのリュック。
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ナイロンと部分的に革があしらわれているリュック。
いったい何処に合皮が使われているのでしょうか?
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この部分、ストラップの裏側、しかも肩に触れる部分にピンポイントで
あざとくわざわざ合皮が用いられています。
すでに表面の塗膜がボソボソと剥離している状態です。
合皮の塗膜って恐らく生地に付くと洗濯ではなかなか落ちないんじゃ
ないかと思います、劣化するとクレヨンみたいにベトベトする素材なので。
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わざわざ身体に接する部分に合皮を配置してくるなんて確信犯?
ではないのかと疑いたくなりますが、どうなんでしょうか。

この部分がこのような状態になってしまうと使うに使えませんから
買い替え需要作戦の一環なんでしょうか?

私が高校生か大学生ぐらいの頃は、SONYが全盛期でしたので
コンポやMDプレーヤーなどなど電化製品を購入するときには
デザイン性からSONYを選びたくなりましたが、SONY製品は
故障という名の時限爆弾がしこまれていて、しばらくすると必ず壊れる、
という噂を聞いていたので、結局は安いAIWAのミニコンポで
手を打ったのを思い出します。(KENWOODも熱かったですね)
(コンポのイコライザーが上下に跳ね上がるビジュアルに、
あの時なぜあそこまでときめいていたのか私は…)


TUMIの場合はそんな都市伝説ではなく確実に劣化する合皮がわざわざ
仕込まれている訳ですからどうなんですかね、メーカーは確実にその事を
分かって合皮を使用しているのですから罪深いですね。

そんなメーカーの悪巧み?にも負けずになんとか使い続けられるように
今回は補修をしていきます。
ご依頼主さんは以前修理したこちらの記事をご覧になられて
お問い合わせ頂きました。

以前修理したこの記事のリュックはストラップに付属物がないので靴下を
履かせる様に革のカバーを下から差し込んで覆えたのですが、
今回のリュックは途中にポケットがくっついているので
革のカバーを下から履かせることができません。
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残念ながら修理不可でした、とメールを打っていたところ…
なにやら、もやもやもやと修理方法が降りてきたのでした…。

同じ方法で考えていたのですが他の方法でならば可能か?…と。
右脳でシュミレーションしつつ、でもリュックがくっ付いているから
縫えるか?カット面を削れるか?とか右脳をフル回転でシュミレーション。
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頭の中では可能という判断でしたので、早速試作を行い
これならば、という解決方法に辿り着きました。
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カバーをするすると下から履かせるのは無理なので、
ホットサンドにように上下から革でストラップを挟み込んで
両サイドを縫製するのではどうだろうかと。

ただその時に、ストラップの両側にパンの耳のように縫い代が
出来てしまうのはありなのか、無しなのか?
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両側はやぼったいな〜、ということで片側だけで済ませられる様に方針転換。
S字カーブを描いているストラップを型採りして革を裁断。
結構、革を使いますね。
で、片側を縫い割りするとこんな感じ。
バットマンスーツのパーツみたいなのができます。
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でこれをストラップに巻き付けます。

ちなみに片側にできる縫い代を外側か内側、どちらが目立たなくて
「らしく」仕上るだろうかと一晩思案した結果、内側がよいだろうと
いうことになっています。意外にこういう些細なところが悩むのです。
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左右のストラップの太さなのか幅なのかが意外と違くて焦りましたが
巻き付ける塩梅で調整してバランスを整えます。
挟み込みましたら縫い代部分をミシンで縫製していきます。
この時に、リュック本体がぶら下がった状態で果して綺麗に縫えるのかどうか?
これはやってみないと分からないところでしたが、無理ならば手縫いだな、
と思いつつなんとか縫製することができました。

で縫い終えたら余分は縫い代をカットし、断面をグラインダーで
削ってコバを整えて染色して完成となります。

AFTER
内側にできた縫い代、「らしく」ないですか。
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ストラップ付根部分は本体背面に縫製されている部分がありましたので
その部分は構造的に覆えないとご依頼主にお伝えしておりましたが、
やはりはみ出てしまうのは格好悪いので、その部分は包まずに(平らな部分)
覆うだけで処理をすることで付根部分から革で始まる様に仕上っています。
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付属のポケットとの境目ですがこんな感じです。
自然な感じでらしくなっていると思います。
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革で覆っているので使い始めは少しごわつくかもしれませんが、
荷物も入って荷重が掛かり重さで皺が馴染んできますので、
後は高級感がじわじわと醸し出される事でしょう。
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今回のリュックはこのモデル。
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すべてのモデルのストラップに合皮が使われているのか分かりません。
それと使われていないモデルでもメッシュ生地の場合は弱いので
しばしば縫製部分で裂け始めてしまう事例もお問い合わせ頂きます。
ただその場合は構造的に補修できなかったりする場合もありますので
TUMIのリュックを購入の際にはストラップの裏面は要チャック!です。

私としては合皮が使われている製品の購入をお勧めしませんが、
知らずに購入してしまったら劣化するまで使って終了かと思いますが、
(合皮が使われている製品は所々合皮が使われているので一箇所治しても
次から次へと補修費用が嵩んでしまうと思われるので)
TUMIのリュックは使い捨てに出来るような値段ではないようですので
(60.000〜200.000円)購入する際は要ご検討下さい。

ampersandand at 16:43|Permalink