ボタンブーツ

2020年04月09日

ボタンブーツが出来るまで… 製甲からの完成篇。

前回で細かいところまで決まったのでようやく本番です。
それぞれ型紙に合わしてパーツを裁断し、組み立てる際に
革が重なる部分は漉き加工を行い製甲の下準備を。

製甲とは裁断したパーツを縫製して組み立てていく作業になります。
靴の製作はいくつか行程に分かれていまして、
デザイン、型紙、裁断、漉き、製甲、釣り込み、底付け、仕上げ
という感じでしょうか。
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型紙は靴型にデザインを描いてそれを平面に落とし込む作業になります。
三次曲面の立体を平面に落とし込むので矛盾が生じますが、
足したり引いたりと色々と駆け引きをして平面にしていきます。

例えばサッカーボールを想像してもらえると分かり易いかも知れませんが
あれって球体にするのに革パーツをパズルの様に組み合せていますよね。
昔ながらの黒白のデザインだと五角形や六角形のパーツ
を組み合せて球体にしてます。

靴型の場合は三次曲面なのでピースは複雑です。
単一の球体と違い、膨らんでいるところもあれば凹んでいる形状もあるので
ややこしや、ややこしや〜。

その型紙が合っているかどうかは革で試作をし、靴型に釣り込んでみて
正解かどうか分かるのですが、釣り込んだ結果、変な皺がでてしまったり
靴型に添わずに浮いてしまったりして何度やってもうまくいかない…
と、今回のようなほとんど余りやらないボタンブーツの型紙の場合は
どつぼに嵌る場合も多々あります。

ただ使用する革や釣り込む時の革の伸びをイメージし、
どの部分に面積をプラスしてどの部分をマイナスにして…
と右脳で想像しながら型紙を起こし、釣り込んだ際にぴたっと
一発でうまくいく時はなぞなぞの答えが閃いた時のような
気持ち良さがありますね。

ちなみにですが今回はボタンブーツということもあり、
縫製するミシンの構造(腕ミシン)の都合で、その順番で組み立てると
後々にこの部分が縫製できなくなる…
と、製甲途中で気づく事も今回は何度かあり精神的ダメージが甚大でした…。

パイピングの縫製。
パイピングはあまりやらないので緊張します。
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ライニングの縫製。
はみ出ている部分は縫製後に市切りという道具で浚います。
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ボタンホール縫製。
今回はシンプルにぐるっと縫製。
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つま革縫製。
筒の部分と胴体部分を縫製していきますが、ミシンの構造により
今回のボタンブーツではそのままぐるっと一周縫製するのは厳しいので
何かと工夫が必要でした。
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製甲完成。
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釣り込みをして底付け途中まで。
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底はマッケイ製法で底縫いを行ないました。
あとは前側にハーフラバーソールを取付け、踵周りは積上げとリフトの
取付けをし、底面をオールブラックに染めて完成となります。

ちなみに前回の最終確認の際に念の為、底周りの確認をとったところ…。
当初の打ち合わせではメンズライクにコバを張り出させて
靴底もボリュームのある感じでということでしたが、
最終的にはコバを出さずにすっきりとした感じ、ということになりました。

なので前回の試し履き靴ではコバありになっていますが、
最終ではコバ無し(丸コバ)になっています。

コバ無しになり底周りが華奢な雰囲気になるので、それではヒールも
寸胴(垂直)ではなくピッチドヒールというのもありますよ、とご提案。
ピッチドヒールというのは地面に向かって少しずつすぼめていく仕様に
なりますが、その方が今回のようなコバ無しのシングルソールの華奢な
雰囲気には相性がよいです。

完成。
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黒革は表面が平滑なスムースレザーを用い、白革は表面に皺柄のあるシボ革を。
シボ革を用いる事で表面に陰影の表情が生まれるので、スムース同士の
白黒の対比より白革と黒革のコントラストが少し和らいで雰囲気が
宜しいかと思います。

ちなみに黒色と白色で出来た靴を撮影するというのは難しいですね。
白飛びしてしまうか、影が潰れてしまうか…。
ホワイトバランスはどう調整したらいいのやら。

確かイギリスではインスタ映えしないので(巧く映せないので)
黒猫がたくさん捨てられてしまうというニュースがありましたが…
そんな奴は猫を飼うんじゃない!
と思う今日この頃…。



その他のボタンブーツの記事(カスタムリメイク篇)



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2020年04月08日

ボタンブーツが出来るまで… パターン確認篇。

前回のサイズ確認で甲の部分が緩いので筒の部分の立ち上がりで
調整するということでパターンを調整して試作して履いてみて頂くと…
立ち上がりの位置が誤ってしまったようで…
前側がユルユルじゃぁないですか…。
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ボタンブーツのオーダーに際してご希望としてはアンティークの
ボタンブーツのように筒部分は脚にぴたっと足袋の様にフィットした感じで
内側にはファスナー仕様というお題になっています。

まず脚にぴたっとフィットした、というのはなかなか難題で
しかもボタンブーツ…。

通常のブーツであればぐるっと革が一周しているので採寸した
寸法で塩梅を調節すればいいと思うのですが、ボタンブーツですと
ボタンを留める部分でパーツが載り合うのでその距離の調整分と
ボタンで固定するのでその分のボタンの足の遊び寸法などなど…
解決しなければならない部分が多過ぎますね。

で二回目のパターン確認。
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なぜだかどうしてぴったり…。
これは私の腕というよりはたまたまなんですね、完全に。
私としてはもう一回作って合うだろうなと思っていたので。
といってもこれを作る前には3回ほど作り直してシルエットを
調整してはいるのですが…。

逆にジャストサイズ過ぎて、内側のファスナーにテンションが
掛かり過ぎてしまいそうでちょっと不安でしたので少し緩めませんか?
とご相談してみると、このフィット感のままがいいということでしたので
どうしようかと思案…。

パターンがこれで仮決まりしましたのであとは微調整となります。
懸念部分のジャストサイズ過ぎてファスナーにテンションが
掛かり過ぎるのでは案件ですが、これはボタン部分の固定を糸ではなく
ゴムにすることで脚に合わせて距離が伸縮してよいのではないか?

ということで三回目試作ではその仕様で履いてみて頂くと、
すべてのボタンの固定をゴムにした事で、甲部分の押さえ付けが弱く
なってしまったということで、上から三個分のボタンのみを
ゴム固定にすれば脚(ふくらはぎ)に合わせてアジャストされ
ファスナーへの負担が軽減されるという解決法になりました。

それとボタンホールですが一般的にはボタンホールは穴は
糸で縁を縢るのですが、それだと今回は本番の白いシボ革では穴の部分が
主張し過ぎるということで、シンプルに縁にぐるっとステッチを施すのみ
ということになりました。

ようやくこれで本番の製作に入ります。
次回、製甲からの完成篇になります。

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2020年04月03日

ボタンブーツが出来るまで… 自称 23.5cm・サイズ確認篇。

当初、短靴でということで承ったのはずなのですが、製作まで長らく
お待ち頂いている間にボタンブーツでということになってしまい…。
だいぶお待ち頂いていましたので今更ボタンブーツは作っておりませんよと
云うわけにもいかず…
ということで今回はボタンブーツを作ります。
*今回はデザインは自由でサイズはサイズオーダーにてご注文です。

まだ婦人靴では使っていない靴型を使用することになりましたので、
まずはサイズ確認用に幾つかサイズサンプルを製作。
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製甲している間に掛かってきた電話を取ったりしていたら…
すっかり裏鳩目を入れるのを忘れてしまいそのまま、トップラインを縫製して
しまったので仕方なく表鳩目にする事に…。

サイズを確認する用の靴なので表でも裏でもどちらでもいいのですが
一足だけ表というのもあれなのですべてのサイズを表鳩目にしてしまいます。
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製甲ができましたので次は釣り込み。
先芯や月型をセットしてアッパーを釣り込んで靴の形にしていきます。
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採寸しても結局はその値は数字でしかないので、こちらでこの数字だと
これが丁度いいですね、と云ったところで最終的には履いた人が
どう感じるか、ですので実際に幾つかサイズサンプルを履いて頂いて
これとこれでは?と既製品と同じ様に比較して確認して
頂いた方が分かり易いです。

加えて、狭い店内を歩いても分からないので、サンプルの靴を履いて
お店周辺を歩かれて具合を確認して頂くとより安心です。

靴というのは洋服などとは違い、静止している状態でいくら合っていても
歩いてみたら、季節が変わったら、靴下の厚みによっては…
革が延びたら…と状態によって如何様にも変わっていってしまいますので
寸法というよりはぶつ合わせ、したほうがその誤差は
少なくなるんだと思います。

今回も普段は23.5を履かれているということでしたが採寸してみると
22.0か22.5ぐらいでした。
まず23.5を履いて頂くとこれぐらいかな…とお客様。
しかし触診してみると指周りの革はダブついていますし踵に隙間も、
23.0を履いてみて頂き、22.5…22.0…
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結局はこの靴型ですと22.0が適正サイズでした。
この場合の適正サイズというのは、私がこれぐらいでいいですよ、
というのではなく、サイズ違いを履いて頂いてこれが一番気持ちがいい、
とご本人が思われたサイズになります。

サイズが合っているかどうかというのは難しいところで、
例えば洋服でもジャストサイズというよりは緩めの着心地が心地よいと
云う方もいらっしゃいます。
靴も寸法からこのサイズがジャストサイズ、と私が思ってもご本人が
窮屈または緩いと思われてしまうと、それは合っていないということになります。

ですので主観的な履き心地と、こちらの経験値的な部分を
擦り合わせてバランスがいいところが落としどころなのかと思います。

既製品の靴のサイズ調整でお持ちになられる方で、しばしば
おっしゃられるのが、私は少し大きいと感じたのだけど
お店の人にこれぐらいが丁度いいと云われたので…と。
それではダメです、もう少し自分の感覚を信じてみてください。

そう、あのブルースリーも云っています。
「 Don't Think. Feel!」
(靴を履く時は)考えるな、感じろ!と。
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こんなに小さくても履けるんだと、いつもと違うフィット感に
お客さまもちょっと驚いた感じでしたが、知らず知らずのうちに
「私は23.5cm」という思い込みでいつも23.5近辺の既製品を
購入されていたのだと思います。

そもそもこの靴のサイズ表記なんてあってないようなものなので
あまり信じないでいいかと思います、必ず前後の幾つかを試し履き
してみてください。

22.0で指周りの締め付けと踵のフィットも丁度いい感じでしたが
少し外反母趾気味な親指の付根が窮屈ということでしたので
この部分はのせ甲(靴型に革を盛って修正)で調節すれば
いい具合になりそうです。

ただ今の状態ですと、羽が完全に閉じているので甲の部分が緩いのですが
今回製作するのはブーツですので、それはシャフトの立ち上がりの
位置の調節でカバーする事にします。

次回はパターン確認篇になります。

ampersandand at 21:59|Permalink