内装交換

2020年06月18日

ボッテガヴェネタの内装交換。 なぜ合皮を使うのですか?

BOTTEGA VENETAの内装交換
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ボッテガヴェネタ、何かの呪文のような響きですが日本語に訳すと
ヴェネトの工房という意味らしいですね。
なので例えば、BOTTEGA YAMADA であれば 山田工房という感じでしょうか。

編んだように見えるイントレチャートで有名なイタリアのブランドです。
編んだように見えるとは、革に切れ込みを入れて革紐を上下に通しているので
実際には編み物のように格子状に編み込まれてはいない、ということです確か。

20年ぐらいに前に購入されたお母様の鞄ということですが、御多分に洩れず
内装の合皮が劣化して使えないので交換というのが今回のお題です。
なぜ鞄メーカーは合皮を内装に使うのでしょうか?

外装が合皮で内装も合皮ならば分かりますが、外装は革なのに内装に
合皮を使えば内装が劣化し今回の事例のように外装は問題ないのに内装が・・。
ブラックなんでしょうねきっと、そうなるのが分かって使っているのですから。

外装はほぼ新品なので内装を交換すれば問題なく使用できます。
同じ感じのBOTTEGA VENETAの鞄を今購入すると、
当時より2倍くらいの価格になっているとのことでした。
ならば治すに越したことはないですね。

合皮がベトベトです。
ベトベトになるパターンと粉粉になるパターンがありますね。
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内装は三層に分かれているのでその分費用は掛かってしまいます。
しかも今回は三層とも微妙にパターンが違っているのでむむっ。

分解
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三層とも内装のパターンは同じかなと思ったのですが微妙に異なっているので
一層ごとに裏表の型紙が必要になりました。なので袋の部分で6型必要です。

内装の生地は何色か見ていただきましたが、即決で落ち着いた感じの
気持ち臙脂の赤色に、華やかな感じになりそうです。
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三層あるので組み立てる順番と組み合わさる裏表を間違えないように注意です。
ファスナーの引き手に使われているブランドパーツやロゴなどオリジナルパーツで
傷んでいないものは移植していきます。

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内装が完成したのであとは本体に組み合わせて口元を縫製すれば完成です。
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口元の縫製は元の縫い穴にひと針ひと針と針を落としていき縫製します。
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完成です。
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内装に使用する素材は革だと重くなりますし、カビの危険もありますし、
値段も高くなりますので、しっかりめの生地やナイロン素材が内装には
適しているのではないかと思います。
くれぐれも合皮の内装にはお気をつけください。

ampersandand at 11:30|Permalink

2019年08月18日

鞄の内装の生地って気にしていますか? 内装交換篇

鞄を購入する時に内装の生地って気にしていますか?
気にされているとしても色ぐらいでしょうか。
デザインはいいけど内装の色が嫌だから買わないっていうのは
あるかもしれませんが、生地がナイロンだから麻だから合皮だから…
という理由で購入されないというのは少ないかもしれません。
*合皮で作られた内装の鞄は買わない方がよいですが。

BEFORE
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薄手の麻素材。
縫い目で裂けてきたところもありますが、どちらかというと内装生地同士で
擦れて切れてしまったような状態でしょうか。
生地同士で擦れて切れてしまうというのは困ったものですね。
生地が弱くて薄いのが原因かと思います。
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生地が薄いので耐久性に乏しく、背面ポケットの底部分も小物の重さに
耐えきれず裂けてしまったようでご依頼主さんで糸でかがって
縫製されている跡があります。

麻素材は素材感があって雰囲気がいいのかもしれませんが
薄手だとちょっと弱いですね。
珈琲豆袋に使われているようなあのレベルならば
逆に強度抜群だとは思いますが。
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元の内ポケットやロゴ(移植)などすべて再現して組み立てていきます。
内装生地にリクエストが無ければ、通常は倉敷帆布11号を用いて製作致します。
同じ帆布でも倉敷帆布ですと目がしっかりと詰まっていて上品な感じがあり
尚かつそれだけで外装にも使用できる強度があります。

ファスナーも内ポケット、背面ポケット、フラップとそれぞれ三箇所を
一旦取り外し内装と組み合わせて再度縫製していきます。
AFTER
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ロゴ以外で使用されている内装部分の革は、縒れていたり痛んでいる部分は
新たに製作して交換してあります。
今回は内ファスナーポケットの周りとポケットのパイピングの革は
新しくなっています。
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表革の底角が擦れて穴が開いていましたので革で縁取り補強を致しました。
表革のマチの縫製方法が少し変わっていましたので、擦れて穴が開いた
部分をつまんで縁取り補強が可能でした。
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婦人鞄で使われている内装素材ですと合皮もそこそこ使われています。
ブランド品の20万クラスでも使われていますが、合皮が使われている場合は
ご購入されない方が宜しいかと思います。

または2.3年後にべたべたと劣化した際の内装交換前提で購入されるのであれば
いいのかもしれませんが、デザインによっては外装もほぼパーツごとに
分解しないと内装交換できない仕様のものもありますので、
その場合は内装交換費用が鞄自体の価格よりも高くなる場合もあります。

そもそもメーカーならば合皮を使えば必ず劣化することを承知で
販売していると云う事になりますので、それは劣化した際には
新しい鞄に買い替えさせよう作戦なのだろうと思います。

そんな作戦にはまってしまうかどうかは、あなたの目利き次第と
なりますのでご購入の際は、商品タグに記載の注意書きや素材表記を
ご確認して頂ければと思います。

参考記事




ampersandand at 14:55|Permalink

2018年03月19日

後悔したくないなら合皮製品は買わないこと。必ず劣化します篇

合皮素材は使っても使わなくても製造から2から3年で劣化が始まります。
保管していてもそうですし、使ってもそうなのでどんどん使い倒して下さい。

製造からというのは、その鞄ができてからという訳ではなく、
それに使用する合皮素材が製造されてからということになります。
合皮が作られてから半年経過し、その合皮を使って製造して
店頭に並ぶまでにさらに3ヶ月経過し、そのシーズンは売れ残って
年末にセールで販売されている場合の残りの賞味期限は…。
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合皮の劣化については東京都クリーニング生活協同組合さんの
以下のページに詳しく掲載されていますのでお読み頂くと宜しいかと思います。
「ポリウレタン素材の弱点を知る」
「人工皮革と合成皮革」

合皮をクリーニングというのはかなりハイリスクですので
私がクリーニング店・店主だったら一律お断りするだろうなと思います。

合皮というのは簡単にいうと、ガーゼの上にサランラップが
くっ付いているような状態なので、水に濡れればサランラップが
浮かび上がってきてしまいます。

足から発汗される汗というなの水分でも浮かび上がらせてしまう
ということだろうと思います。
素足で履くような靴種の場合は、裏地に合皮が使われていると
余計に劣化が早いと思われますし、また内部が蒸れるブーツでも
よく劣化しているのを見かけます。

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靴のことを云いながら、今回のご依頼品はこちらの鞄の内装交換となります。
ご多分に漏れず内装の合皮素材が劣化しています。
女性ものの製品って靴にしても鞄にしても合皮が多用されている
印象があります。
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内装部分は劣化しすぎて表面のサランラップ部分は完全に剥離して
下地の状態なのですが、なんだかそれがもともとが
生地の内装だった?みたいにも見えてきます。

しかしポケットの内袋には劣化の様子が見てとれます。
今回交換する箇所は、内装が二層に分かれているのでその部分二箇所と
内装のファスナーポケットの袋と背面ファスナーポケットの袋になります。

まずは分解してゆきます。
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合皮部分を交換するにはご覧のようにほとんど分解する必要があります。
一番手前の外装パーツのほか、今回は9パーツに分解されます。
分解したパーツをもとに型採りしてゆくのですが、
革のパーツはそこまで変形しないのですが、合皮部分はしわくちゃになって
硬化していたり、伸びていたりと役に立ちません。

組合わさる革パーツの横幅から推測したり、組み合わせた際の
収まりから判断して型紙を製作してゆきます。

内装生地は、ナイロン系ですと縫製部分から解れてきたりという症状が
既製品でしばしば見て取れるので、一番ベターなのは生地かと思います。
生地と云っても通常のものですと同様に裂け易いので
基本的にご希望がなければ、倉敷帆布の11号を使用し作成しています。

帆布だとカジュアルな感じになりそうですが、倉敷帆布ですと
目がしっかりと詰まっていて、適度な張りもあり耐久性も申し分なく
また合皮のような劣化の心配もないのでお勧めであります。
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それぞれパーツができましたら組んでゆきます。
組み立てる際も、順番を間違うと縫えなくなる部分がありますし、
また途中まで縫っておいて、続きはこのパーツを組み合わせてから
という部分もありますので、分解する時に記録用にポイントポイントを
ipadで撮影しておきます。

内装交換の悲しいところは、手間が掛かる割には
あまりブログ映えしないという点でしょうか。
仕上った画像をみてもBEFORE/AFTERの変化が乏しいので。

AFTER
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内装1
ポケットの上に付属していたロゴプレート金具は、直にかしめて固定して
ありましたので、外してしまうと再固定ができない為ついておりませんが、
ロゴタグのように縫製してあるもの、再度かしめて固定できるロゴなどは
移植は可能です。
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内装2
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内装ポケット
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背面ポケット
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ん〜やはり映えないですね…と思う今日この頃…。
HPアイコンロゴアウトライン


ampersandand at 12:44|Permalink