MAGNANNI
2020年12月31日
MAGNANNIは始めから併用仕様がいいかも篇
初めのお問い合わせではビンテージスチールのみだったので
その時点では一度お断りしたのですが、その後ハーフソールのみでも
付けられないか、というご相談になり、ならばビンテージスチールも
付けられますよ、ということで最終的にハーフソールスチール併用仕様で
仕上がっています。
では何故スチールのみだと付けられないか?ですが、このモデルは
ボロネーゼ製法でできているので前側に中底がありません。
中底が革でできている場合は既製品だとに3.5mmから4.0mm厚くらいの
革が使われています。
ボロネーゼ製法というのは端折って説明すると、前側の本体の
アッパーが靴下(袋状)のようになっていてその中底がありません。
柔らかいアッパーの革1.5mmぐらいに革底が直接取り付けられ
底縫いされている感じです。
なのでボロネーゼ製法で作られた靴というのは前側には中底がないので
その分、ソールの屈曲が良くしばしば雑誌などで紹介されるときは靴を
手でぐにゃっと曲げられて紹介されていたりします。
でですが、今回スチールだけだと何故付けられないかですが、
付けられるんですが、革底に直接スチールを取り付ける場合は、革底にそのまま
スチールを載せるのではなく革底にスチールが収まるようにその厚み分、
革底を凹ませて削る必要があります。
なのでそうなると底縫いが縫われている深さにもよりますが、
底縫いの糸が切れてしまう場合があります。
ウェルテッド製法の靴ではスチールを固定するビスが革底やウェルトや
中底面に到達して固定できるので底縫いの糸が切れても問題ないのですが、
(当店ではビスは通常のものではなく、確実に固定できるように一般的な
スチールのビスではなく長めの腐蝕しないステンレスのビスを使用しています)
ボロネーゼ製法の場合は、周囲のウェルトは飾りなので(違う場合もあります)
ウェルテッド製法のように本体には縫われて固定されていません。
そして中底も無いのでビスが固定される硬い層は凹ませて残った革底の厚みのみ
となりますので、それでは少しビスが固定されるには心もとないので
心配性の私としては一旦お断りさせていただきました。
ビスを打つ部分にもラバーが埋め込まれている範囲がかかるので
その箇所のビスの固定が甘くなるのでは?と中底が無いのである程度
履き込んでいった際に路面や荷重の圧で革底の変形が起こりやすいので、
その時にスチールの固定が若干不安というのもありました。
ちなみにラバーソールではそもそもビスが固定できないので取り付けは不可です。
では次にハーフソールを併用する場合はなぜOKなのか?ですが、
ハーフソールを取り付けた場合はスチールの厚み分凹ませる段差が
ハーフソールの厚み分で相殺されますので革底部分を加工せず(凹ませず)
に済みます。スチールを固定するビスはそのまま厚みが残っている革底に
がっつり食い込んで固定されます(底縫いも切れずにそのまま残りますし)。
別の靴ですがこんな感じです。
ハーフソールの厚みでスチールの厚みを吸収できます。
そもそも初めの段階でハーフソール併用であればスチールも取り付けられますよ、
とご案内すべきだったのですが、スチール単体でお問い合わせされる方の場合は
そもそもハーフソールを取り付けたくない、という方が多く、
こちらから営業トークのようにハーフソールも一緒にどうですか?
ポテトとセットでどうですか?ばりに、押し売りする感じになるのも嫌だなぁ
という私の営業下手なところが影響しているわけでもありますが。
そもそも今回ご依頼の靴は、見ての通り踏まず部分がオパンカ(オパンケ)
仕様ですので革底のまま履かれていずれオールソールとなった際に
だいぶ困るだろうということが予想されるので、ハーフソール併用仕様で
オールソール回避仕様にはじめからご案内すれば良かった訳ではあるのですが。
以前この仕様の靴のオールソールのご依頼があったのですが、
その靴は革底のまま履かれていて、雨の日も構わず履かれていたようで
路面の雨水を革底が吸い上げてオパンカ部分の革も硬化し、
アッパー側の革もやはり同様に硬化し縫い目で裂け始めていました。
この側面の縫い目は硬い革底を無理やり捲り上げてアッパーで縫い留めてるので
常にそこそこテンションが掛かっています。なので革が硬化してしまうと
そのテンションに堪えきれずオパンカ部分の縫い目でアッパーの革が
裂け始めてしまいます。
革底側は裂けていても交換するので問題はないですがアッパー側が
裂けてしまうと元の見栄えでの修理は難しいです、というか
見栄えを変えて修理しても強度を保たせて修理は無理かもしれません。
踏まず部分のオパンカですが、これは底面の型取りを行い革底を切り出し、
踏まず部分の捲り上げる革を薄く漉いておき、その革底のみで一旦靴型に
取り付けて踏まず部分に捲り上げる癖付けをし(メーカーだとしていないかも
しれませんが)そしてアッパーを釣り込んでからその癖付けした革底をセットし、
アッパーと革底をすくい縫いしていきます。
オールソールとなった時にはオリジナルの靴型はもちろん無い訳ですので
革底に同様の癖付けができません、でもこの程度であれば手で癖付けしても、
または他の靴型でも代替えできそうですが、革底とアッパーのすくい縫いの時に
靴型が近いものを使用しても踏まずの膨らみ(フィット感)が変わって
しまいそうです。
それよりも前側の中底が無いので、古い革底を取り外した時に本体が
フニャフニャで形状を保てないと元通りの形状とサイズ感で新たな革底を
取り付けることができないのだろうと思いますので、極力オールソールを
回避する方向で補強補修しておいた方が宜しいかと思います。
もちろん近い靴型を入れてそれなりにソール交換することもできるとは思いますが
形状の差異やサイズ感の違いが生じてしまいそうです。
ボロネーゼ製法ではないですが、同じようにソールを外すと抜け殻のようになる
ステッチダウン製法のクラークスを、とある修理店だったかメーカーに
ソール交換に出され、違う靴型を入れて修理された結果、靴のつま先形状が
変わって仕上がってきた〜というお客さんがいらっしゃいました。
当店にその靴を元の形状に戻せないかというご依頼だったのですが・・・。
過去記事で画像とともに掲載がありますのでご興味ある方は
探してみてください。
前置きがだいぶ長くなりましたが、
ではではハーフソールスチール併用仕様の補修を。
メーカーも恐らくオールソールしたくないのか(本国に送ってもオールソール
してくれるかも怪しいですが)摩耗に耐えるようにわざわざ革底にウレタン系の
ラバーを埋め込んでいて中央部分が2.0mm程度凸形状で盛り上がっています。
(一番摩耗し易いつま先が無防備なので残念な補強ではあるのですが)
もちろん出っ張っていてはハーフソールが取り付けられないのでこの段差は
削り落とします。次に問題なのが踏まずからの境目がない底面形状。
これではどこでハーフソールに切り替えればいいのか・・・。
通常の底面の場合は革底の角があるので以下の様にハーフソールの境目は
直線で繋げられますがオパンケの場合はどうしましょうか。
こんな感じで円弧で繋げてみました。
ハーフソール取り付け位置というのはその境目が地面に接地しないように
接地位置から1.0cm程度下がった位置設定になりますが、今回はウレタンが
埋め込まれてるのでそれを覆う為に少し深めの設定になっています。
これもしばしば尋ねられるのですが、革底を削るのですか?と。
削るという表現が適切ではないのですが、画像で見ると削ったように
見えてはしまいますが。
特に今回は出ているウレタン部分は確かに削っていますがこれは異例です。
出っ張ったままだと取り付けできませんので。
革底部分も白くなっていますが、これは仕上げ材の塗装やワックスを
取り除き、接着剤が食いつきやすい様に表面を「ザラザラに荒らしている」という表現が適切だと思います。
表面を紙やすりでザラザラにした程度、といえば分かりやすいでしょうか。
といっても中には不思議なお店もある様で、とあるお客様が言うにはそのお店では
ハーフソールの厚みが2.0mmあるので取り付ける際は革底も2.0mm均等に全体を
削ります!と言われたのですが・・と。
まぁそんなこと聞いたらちょっと恐怖ですよね修理に出すにも。
そして底縫いの糸が切れない様に表面を荒らすのが基本ですが、あまり考えず
ザクザク削ってしまい底縫いの糸が擦れ切れてしまった状態でハーフソールを
取り付けられている修理店も時々あります。
なんぜそれが分かるかと言うと、その靴が次回修理の時に当店に持ち込まれ
古いハーフソールを剥がしてみると底縫いの糸がすでに切れている靴が
しばしばあるからなんですが・・・。
その様な靴は場合によっては古いハーフソールを剥がすときに底縫いの糸が
切れているので、ウェルトと革底が剥がれて(浮いてきて)きてしまう
場合があります。
お客さんにしてみれば、その状態で私が「剥がれてきました」といっても
当店でその様にされた、と思われてしまうでしょうから人知れず追加補修を行い
ハーフソールを取り付けている靴もあったりします。
なので、できれば初めから当店で補修して欲しいという希望はあります。
寄り道が長くなりましたが完成です。
先ほど表面を荒らした境目のラインと全く同じ形状にハーフソールを
加工し、境目はハーフソールを漉いて段差が生じないように取り付けています。
表面を荒らしていないところを覆っても剥がれてきてしまうのでその点が
この補修では難しいところです。
オパンカの捲り上がっている部分に影響がない様に側面からはほとんど見えない
ライン設定になっています、というかこの目線で他の人の靴を見ることは
ないでしょうからあまりこだわってもしょうがなかった訳ではありますが。
逆半カラス状態という感じでしょうか。
半カラス仕上げといえば踏まず部分を黒く染めるのですが、今回は逆に
前側をラバーで黒く覆っています。
今回のハーフソールの境目が円弧のライン設定は別料金となります。
通常は以下の様に直線のライン設定になります。
この記事は12月のはじめ頃に書き始めたのですが、バタバタしていて
放置していたら2020年度最後の記事になりそうです。
今年はコロナに始まりコロナで終わらずに来年も引き続きの様相ですが
ダイアモンドプリンセス号騒ぎが昨日の事のようです。
早かった〜今年は特に1年が。
多忙だったり修理内容の複雑化により数年前からあまりお店を開けて
店頭営業していなかったのですが、コロナ騒動でより余計に今年は
「本日営業日です!」と云ってお店をちゃんとオープンした日は帳簿を
見てみましたら4日間だけでした。
4.5.6月頃は商店街自体が自粛ムードでしたので飲食ではない当店も
わざわざ開店しない方がいいのか?ということもありましたが。
もちろんその間休んでいたわけではなく、ひたすら郵送修理だったり予約で
ご来店された方の依頼品を修繕していたわけでありますが。
飲食でデリバリーが増えたように修理も郵送でのご依頼が
より増加した年でした。
そこそこ近場の方でも4.5.6月頃は外出されるのが怖いので郵送します、
というお客さんもいらっしゃいましたし。
来年はどうなるのでしょうか・・・。
みなさま変わらずにお体ご自愛くださいませ。
みかんを食べて免疫力向上を試みる店主より。
その時点では一度お断りしたのですが、その後ハーフソールのみでも
付けられないか、というご相談になり、ならばビンテージスチールも
付けられますよ、ということで最終的にハーフソールスチール併用仕様で
仕上がっています。
では何故スチールのみだと付けられないか?ですが、このモデルは
ボロネーゼ製法でできているので前側に中底がありません。
中底が革でできている場合は既製品だとに3.5mmから4.0mm厚くらいの
革が使われています。
ボロネーゼ製法というのは端折って説明すると、前側の本体の
アッパーが靴下(袋状)のようになっていてその中底がありません。
柔らかいアッパーの革1.5mmぐらいに革底が直接取り付けられ
底縫いされている感じです。
なのでボロネーゼ製法で作られた靴というのは前側には中底がないので
その分、ソールの屈曲が良くしばしば雑誌などで紹介されるときは靴を
手でぐにゃっと曲げられて紹介されていたりします。
でですが、今回スチールだけだと何故付けられないかですが、
付けられるんですが、革底に直接スチールを取り付ける場合は、革底にそのまま
スチールを載せるのではなく革底にスチールが収まるようにその厚み分、
革底を凹ませて削る必要があります。
なのでそうなると底縫いが縫われている深さにもよりますが、
底縫いの糸が切れてしまう場合があります。
ウェルテッド製法の靴ではスチールを固定するビスが革底やウェルトや
中底面に到達して固定できるので底縫いの糸が切れても問題ないのですが、
(当店ではビスは通常のものではなく、確実に固定できるように一般的な
スチールのビスではなく長めの腐蝕しないステンレスのビスを使用しています)
ボロネーゼ製法の場合は、周囲のウェルトは飾りなので(違う場合もあります)
ウェルテッド製法のように本体には縫われて固定されていません。
そして中底も無いのでビスが固定される硬い層は凹ませて残った革底の厚みのみ
となりますので、それでは少しビスが固定されるには心もとないので
心配性の私としては一旦お断りさせていただきました。
ビスを打つ部分にもラバーが埋め込まれている範囲がかかるので
その箇所のビスの固定が甘くなるのでは?と中底が無いのである程度
履き込んでいった際に路面や荷重の圧で革底の変形が起こりやすいので、
その時にスチールの固定が若干不安というのもありました。
ちなみにラバーソールではそもそもビスが固定できないので取り付けは不可です。
では次にハーフソールを併用する場合はなぜOKなのか?ですが、
ハーフソールを取り付けた場合はスチールの厚み分凹ませる段差が
ハーフソールの厚み分で相殺されますので革底部分を加工せず(凹ませず)
に済みます。スチールを固定するビスはそのまま厚みが残っている革底に
がっつり食い込んで固定されます(底縫いも切れずにそのまま残りますし)。
別の靴ですがこんな感じです。
ハーフソールの厚みでスチールの厚みを吸収できます。
そもそも初めの段階でハーフソール併用であればスチールも取り付けられますよ、
とご案内すべきだったのですが、スチール単体でお問い合わせされる方の場合は
そもそもハーフソールを取り付けたくない、という方が多く、
こちらから営業トークのようにハーフソールも一緒にどうですか?
ポテトとセットでどうですか?ばりに、押し売りする感じになるのも嫌だなぁ
という私の営業下手なところが影響しているわけでもありますが。
そもそも今回ご依頼の靴は、見ての通り踏まず部分がオパンカ(オパンケ)
仕様ですので革底のまま履かれていずれオールソールとなった際に
だいぶ困るだろうということが予想されるので、ハーフソール併用仕様で
オールソール回避仕様にはじめからご案内すれば良かった訳ではあるのですが。
以前この仕様の靴のオールソールのご依頼があったのですが、
その靴は革底のまま履かれていて、雨の日も構わず履かれていたようで
路面の雨水を革底が吸い上げてオパンカ部分の革も硬化し、
アッパー側の革もやはり同様に硬化し縫い目で裂け始めていました。
この側面の縫い目は硬い革底を無理やり捲り上げてアッパーで縫い留めてるので
常にそこそこテンションが掛かっています。なので革が硬化してしまうと
そのテンションに堪えきれずオパンカ部分の縫い目でアッパーの革が
裂け始めてしまいます。
革底側は裂けていても交換するので問題はないですがアッパー側が
裂けてしまうと元の見栄えでの修理は難しいです、というか
見栄えを変えて修理しても強度を保たせて修理は無理かもしれません。
踏まず部分のオパンカですが、これは底面の型取りを行い革底を切り出し、
踏まず部分の捲り上げる革を薄く漉いておき、その革底のみで一旦靴型に
取り付けて踏まず部分に捲り上げる癖付けをし(メーカーだとしていないかも
しれませんが)そしてアッパーを釣り込んでからその癖付けした革底をセットし、
アッパーと革底をすくい縫いしていきます。
オールソールとなった時にはオリジナルの靴型はもちろん無い訳ですので
革底に同様の癖付けができません、でもこの程度であれば手で癖付けしても、
または他の靴型でも代替えできそうですが、革底とアッパーのすくい縫いの時に
靴型が近いものを使用しても踏まずの膨らみ(フィット感)が変わって
しまいそうです。
それよりも前側の中底が無いので、古い革底を取り外した時に本体が
フニャフニャで形状を保てないと元通りの形状とサイズ感で新たな革底を
取り付けることができないのだろうと思いますので、極力オールソールを
回避する方向で補強補修しておいた方が宜しいかと思います。
もちろん近い靴型を入れてそれなりにソール交換することもできるとは思いますが
形状の差異やサイズ感の違いが生じてしまいそうです。
ボロネーゼ製法ではないですが、同じようにソールを外すと抜け殻のようになる
ステッチダウン製法のクラークスを、とある修理店だったかメーカーに
ソール交換に出され、違う靴型を入れて修理された結果、靴のつま先形状が
変わって仕上がってきた〜というお客さんがいらっしゃいました。
当店にその靴を元の形状に戻せないかというご依頼だったのですが・・・。
過去記事で画像とともに掲載がありますのでご興味ある方は
探してみてください。
前置きがだいぶ長くなりましたが、
ではではハーフソールスチール併用仕様の補修を。
メーカーも恐らくオールソールしたくないのか(本国に送ってもオールソール
してくれるかも怪しいですが)摩耗に耐えるようにわざわざ革底にウレタン系の
ラバーを埋め込んでいて中央部分が2.0mm程度凸形状で盛り上がっています。
(一番摩耗し易いつま先が無防備なので残念な補強ではあるのですが)
もちろん出っ張っていてはハーフソールが取り付けられないのでこの段差は
削り落とします。次に問題なのが踏まずからの境目がない底面形状。
これではどこでハーフソールに切り替えればいいのか・・・。
通常の底面の場合は革底の角があるので以下の様にハーフソールの境目は
直線で繋げられますがオパンケの場合はどうしましょうか。
こんな感じで円弧で繋げてみました。
ハーフソール取り付け位置というのはその境目が地面に接地しないように
接地位置から1.0cm程度下がった位置設定になりますが、今回はウレタンが
埋め込まれてるのでそれを覆う為に少し深めの設定になっています。
これもしばしば尋ねられるのですが、革底を削るのですか?と。
削るという表現が適切ではないのですが、画像で見ると削ったように
見えてはしまいますが。
特に今回は出ているウレタン部分は確かに削っていますがこれは異例です。
出っ張ったままだと取り付けできませんので。
革底部分も白くなっていますが、これは仕上げ材の塗装やワックスを
取り除き、接着剤が食いつきやすい様に表面を「ザラザラに荒らしている」という表現が適切だと思います。
表面を紙やすりでザラザラにした程度、といえば分かりやすいでしょうか。
といっても中には不思議なお店もある様で、とあるお客様が言うにはそのお店では
ハーフソールの厚みが2.0mmあるので取り付ける際は革底も2.0mm均等に全体を
削ります!と言われたのですが・・と。
まぁそんなこと聞いたらちょっと恐怖ですよね修理に出すにも。
そして底縫いの糸が切れない様に表面を荒らすのが基本ですが、あまり考えず
ザクザク削ってしまい底縫いの糸が擦れ切れてしまった状態でハーフソールを
取り付けられている修理店も時々あります。
なんぜそれが分かるかと言うと、その靴が次回修理の時に当店に持ち込まれ
古いハーフソールを剥がしてみると底縫いの糸がすでに切れている靴が
しばしばあるからなんですが・・・。
その様な靴は場合によっては古いハーフソールを剥がすときに底縫いの糸が
切れているので、ウェルトと革底が剥がれて(浮いてきて)きてしまう
場合があります。
お客さんにしてみれば、その状態で私が「剥がれてきました」といっても
当店でその様にされた、と思われてしまうでしょうから人知れず追加補修を行い
ハーフソールを取り付けている靴もあったりします。
なので、できれば初めから当店で補修して欲しいという希望はあります。
寄り道が長くなりましたが完成です。
先ほど表面を荒らした境目のラインと全く同じ形状にハーフソールを
加工し、境目はハーフソールを漉いて段差が生じないように取り付けています。
表面を荒らしていないところを覆っても剥がれてきてしまうのでその点が
この補修では難しいところです。
オパンカの捲り上がっている部分に影響がない様に側面からはほとんど見えない
ライン設定になっています、というかこの目線で他の人の靴を見ることは
ないでしょうからあまりこだわってもしょうがなかった訳ではありますが。
逆半カラス状態という感じでしょうか。
半カラス仕上げといえば踏まず部分を黒く染めるのですが、今回は逆に
前側をラバーで黒く覆っています。
今回のハーフソールの境目が円弧のライン設定は別料金となります。
通常は以下の様に直線のライン設定になります。
この記事は12月のはじめ頃に書き始めたのですが、バタバタしていて
放置していたら2020年度最後の記事になりそうです。
今年はコロナに始まりコロナで終わらずに来年も引き続きの様相ですが
ダイアモンドプリンセス号騒ぎが昨日の事のようです。
早かった〜今年は特に1年が。
多忙だったり修理内容の複雑化により数年前からあまりお店を開けて
店頭営業していなかったのですが、コロナ騒動でより余計に今年は
「本日営業日です!」と云ってお店をちゃんとオープンした日は帳簿を
見てみましたら4日間だけでした。
4.5.6月頃は商店街自体が自粛ムードでしたので飲食ではない当店も
わざわざ開店しない方がいいのか?ということもありましたが。
もちろんその間休んでいたわけではなく、ひたすら郵送修理だったり予約で
ご来店された方の依頼品を修繕していたわけでありますが。
飲食でデリバリーが増えたように修理も郵送でのご依頼が
より増加した年でした。
そこそこ近場の方でも4.5.6月頃は外出されるのが怖いので郵送します、
というお客さんもいらっしゃいましたし。
来年はどうなるのでしょうか・・・。
みなさま変わらずにお体ご自愛くださいませ。
みかんを食べて免疫力向上を試みる店主より。
ampersandand at 12:01|Permalink│