TUMI
2018年07月01日
TUIMI 祭り(トゥミフェス) 2018 梅雨明篇
TUMIの持ち手革交換は何かの法則なのか、急にまとめて
どさっとご依頼が集中することがしばしばございます。
わたしはそれを「トゥミフェス」としてひとり盛り上がっている
次第であります。
TUMIのナイロンは防弾チョッキの素材だけあってか
通常であれば持ち手がこんな状態になっていれば底の角は
おのずと擦り切れているのが通常ですが、いまのところ毛羽立っている
鞄はよくありますが、擦り切れて解れている状態のTUMIは
まだお目にかかっておりません。
BEFORE
ナイロンのベースに革を巻いているタイプ。
ベースのナイロン部分は、時代によって織り目が異なっているみたいです。
BEFORE
革に革巻きタイプ
手に触れる部分がカリカリに変質ってしまうのは分かるのですが
付根部分までどうしてカリカリになってしまうのでしょうか…。
汗がじわじわ浸透してしまっているのでしょうか。
革に革を巻いているので剥がしても革がでてきます。
革に革巻きタイプは、ナイロンベースに比べて革に革を巻いているので
その分、手に持つ部分の厚みはかなりしっかりとしています。
分解して新たな革を縫い付けていきます。
鞄が重いのでTUMIの革巻き交換は指先がつりそうです。
* * * * * * * * * * * * * * * * * *
AFTER
TUMIの持ち手交換で使用している革は、タンニン鞣しの革を用いております。
ですので、使い込む程にしっとりと手に馴染み艶が増していきます。
厚みはオリジナルより若干厚めの革を用い、適度にオイルを含んでおりますので
通常より乾燥し難くなっています。
ナイロンに革巻き
革に革巻き
革に革巻き
冒頭でナイロン生地のTUMIは持ち手がボロボロでも底の角は
まだ問題がない事が多いとお伝え致しましたが、
それではオールレザーのTUMIではどうかといいますと…
BEFORE
そこはTUMIでも革は革ですので、他の革製品同様に擦り切れております。
そして本体も擦れが目立つ鞄が多いです。
持ち手交換の際には、角や全体の色褪せなどを確認されてみてください。
全周パイピングを交換するという方法もありますが
痛んでいるのは底の角部分だけですので、部分的に交換致します。
TUMI以外でもそうですが、このようなブリーフタイプのパイピングは
革が何重にも重なっている部分があったりしてフチの厚みが
変化しているのでちょっと厄介です。
上から二重に被せてしまう方法もありますが、今回は痛んでいる部分を
切除して巻き直します。
巻き直すと擦れて色褪せている周囲と新しく巻き直した黒革で
色の差が出てしまうので、境目や周辺は補色をして色も馴染ませておきます。
全体的な補色については別途補色費用が掛かります。
AFTER
底の角を痛めない為には、なるべくざらざらした路上には
置かないぐらいの対処法しかありません。
それとなにより日頃からのメンテナンスがとても重要になります。
持ち手部分はどうしても、手汗や手垢で革自体が変質しやすいので
仕方がありませんが、底の角部分や全体の乾燥は日頃の保湿ケアで
かなり寿命が違ってきますのでぜひ行ってみてください。
と、毎回力説しておりますが恐らくほとんどの方は
やらないんでしょうね…。
それでも一応メンテナンス商品をご紹介しておきます。
お勧めのクリームは、コロンブス社のブリオクリームです。
保湿成分には化粧品にも添加されている、ホホバオイルが配合され、
ビーズワックスとヒマワリワックス天然成分も配合され表面の
保護も行えます。
有機溶剤は使われていませんので安心してお使い頂けると思います。
使い方はいたって簡単、薄く塗布してから軽く
乾拭きするとほどよく艶がでます。
完全に白くしらっちゃけてるような擦れは別途補色が必要ですが、
軽く擦れた程度であれば、このクリームで保湿することでしっとりと
目立たなくなります。
*店頭でも僅かではありますが販売しております。
[コロンブス] columbus ブリオクリーム BRILLO (ムショク)
付属のコットンを使用するより、Tシャツの端切れなどの生地を
使用した方が、塗布し易くクリームも無駄にならないかと思います。
ampersandand at 22:58|Permalink│
2018年06月26日
このタイプのTUMIも持ち手交換できます。
毎月毎月カンペールのオールソール同様に、コンスタントに
持ち手の革交換を行っているTUMIですが、このようなモデルのTUMIの
持ち手も作成可能です。
TUMIのHPを見てみますと現行品のブリーフタイプの鞄は
すべてこの持ち手仕様でした…厄介ですね。
TUMI HPより
これまでの定番のこのモデルは、ナイロンベルトや革ベルトに
被さっている革の部分のみを交換すれば良かったのですが
現行品のタイプですと付根から新たにすべて製作する必要があります。
•今までのモデルはこちらタイプ
シンプルな形状であれば別段、交換費用は変わりはしなかったのですが
この特殊な形状ですとおのずと費用は高騰してしまいます、約1.5倍程度…。
持つ部分にはスポンジが封入されていて膨らみ、付根部分は平になっています。
芯に入っているスポンジがすこし片側に寄ってしまっていています。
そして本体との連結パーツとの隙間はきちきちです。
果たしてミシンで縫えるのでしょうか…。
手に触れていた部分の革はカリカリな無惨な状態で
中のスポンジも潰れて変形しています。
膨らんでいるところと、平らなところ、スポンジが途中まで入っているなど
どこまでオリジナル通りに再現できるかというところが面白くもあり、
難しいところになります。
へたっているスポンジを入れ替えるので、弾力や膨らみ具合や素材の厚みや
革と合わさった時の合計の厚みなど検証する点がいくつかあります。
オリジナルの持ち手幅と同じに設定したいのですが、その場合に
スポンジをくるんだ際に必要な革の距離と、オリジナルの幅とのバランスで
スポンジの幅を14mmにするか、13mmだと膨らみが物足りないし
15mmだとぱつぱつで縫えないか…など1.0mm単位で組み合わせを試して
一番再現性が高い組み合わせはどれか試作し検証していきます。
それと持ち手が本体の連結パーツと組合わさっている部分が
きつきつでそもそも縫製できるのかも懸念点でしたのでそれも
試作品を通してみて、縫製位置を確認していきます。
「そもそも製品が縫われているのだから縫えるでしょうに」と
思われると思いますが、まず縫製するミシンというのはいろんな種類があり、
またその抑え部分のアタッチメントというのも無数にあります。
ご家庭のミシンでもボタンホールを縫う際に交換する部分のあれです。
ですので、メーカーなどはその製品に合わせてアタッチメントを
オーダーして製作していたりするので、同じ縫製手順や縫い位置をとると
縫えない場合があります。
また製造工程では、持ち手は本体と組み上がっている状態で
縫製している訳でなく、持ち手単体または持ち手と連結パーツとの
組み合わせのみで縫製しています。
修理の場合は、重い鞄本体がぶら下がった状態で
持ち手を組んでいかなくてはなりませんので、いくつかの物理的な制約も、
試作の段階で手順や仕様を調整、確認していきます。
で、できたのがこの型紙。
しかしこの後にまた修正が必要になるのですが…。
早速裁断していきます。
革はタンニン鞣しのオイルレザーを用います。
オリジナルより耐久性は高いのではないでしょうか。
タンニン鞣しですので使い込む程に艶が増してしっとりとしていきます。
適度なオイルレザーですので乾燥も通常よりはし難いかと思います。
*でも定期的なメンテナンスは行ってください、寿命が伸びますので。
パズルのようにスポンジ、芯材、ナイロンなどを配置していきます。
負荷が掛かるループ部分には伸び止めのナイロンと裏革を宛てがい
補強を行っています。
で、一旦この状態まで仕上げます。
部分的にコバの部分はこの段階で仕上げておきます。
付根部分は本体の連結パーツと組み合わせてから縫製を行います。
ですので持ち手部分を縫製する時も、何処まで縫製し、
この部分の縫い目の三つ分を後で縫い重ねて付根の縫い目と繋げていくなど、
縫い目の数も試作の段階で決めておきます。
そうしてようやく完成となります。
AFTER
オリジナルの付根の平らな部分にはナイロン柄の型押しがしてありました。
折り返した裏面にはなかったので、わざわざあの状態にしてから
表面に型押しを行っているようです。
このような金型を用いての部分的な型押しまでは残念ながら再現はできません。
この型押しはデザイン的の役割だけではなく、膨らんだスポンジと
付根の平らな部分との境目を、くっきりと際立たせる為の表現になっていて、
また封入されたスポンジが型押し加工により、それ以上に下がってこないように
する為の役割があったようです。
しかし実際はずれて下がって(片寄って)きておりましたが…。
持ち手に封入されたものが片側によってしまうと、
その部分は空洞になってしまい強度が弱くなるので仕様の
改善が必要かと思います。
ですので今回の製作においては、スポンジとの境目部分には
ステッチを追加することで、平らな部分との境目をくっきりとさせ
尚かつスポンジが下がってこないような縫製を行いました。
追加の縫製もオリジナルの縫製ラインから自然に繋げて縫製しているので
そう云われてもどこのことなのか分からない知れません。
付根の型押しの柄部分以外はほぼ再現できているのではないでしょうか。
TUMIのこの持ち手の仕様が、これからの定番になってしまうと
ちょっと大変だな〜と思う今日この頃。
旧モデルの持ち手の仕様の方が(ナイロンや革ベルトに革を巻いている仕様)
重いTUMIの鞄には、耐久性の観点から適しているかもしれません。
•今までのモデルの補修事例
こんなことを書くと、今回の現行モデルに旧モデルの持ち手の仕様で
製作できませんか?と問い合わせがきそうですが、それもできなくはないです。
靴をオールソールする際に、レザーソールからラバーソールにしたりと
自分仕様にカスタムするように、鞄も自分の使い勝手に合わせて
カスタムというのもあると思います!
2019年追記
→結局予想通り、現行モデルから旧モデル仕様へのご依頼が集中しております。
持ち手の革交換を行っているTUMIですが、このようなモデルのTUMIの
持ち手も作成可能です。
TUMIのHPを見てみますと現行品のブリーフタイプの鞄は
すべてこの持ち手仕様でした…厄介ですね。
TUMI HPより
これまでの定番のこのモデルは、ナイロンベルトや革ベルトに
被さっている革の部分のみを交換すれば良かったのですが
現行品のタイプですと付根から新たにすべて製作する必要があります。
•今までのモデルはこちらタイプ
シンプルな形状であれば別段、交換費用は変わりはしなかったのですが
この特殊な形状ですとおのずと費用は高騰してしまいます、約1.5倍程度…。
持つ部分にはスポンジが封入されていて膨らみ、付根部分は平になっています。
芯に入っているスポンジがすこし片側に寄ってしまっていています。
そして本体との連結パーツとの隙間はきちきちです。
果たしてミシンで縫えるのでしょうか…。
手に触れていた部分の革はカリカリな無惨な状態で
中のスポンジも潰れて変形しています。
膨らんでいるところと、平らなところ、スポンジが途中まで入っているなど
どこまでオリジナル通りに再現できるかというところが面白くもあり、
難しいところになります。
へたっているスポンジを入れ替えるので、弾力や膨らみ具合や素材の厚みや
革と合わさった時の合計の厚みなど検証する点がいくつかあります。
オリジナルの持ち手幅と同じに設定したいのですが、その場合に
スポンジをくるんだ際に必要な革の距離と、オリジナルの幅とのバランスで
スポンジの幅を14mmにするか、13mmだと膨らみが物足りないし
15mmだとぱつぱつで縫えないか…など1.0mm単位で組み合わせを試して
一番再現性が高い組み合わせはどれか試作し検証していきます。
それと持ち手が本体の連結パーツと組合わさっている部分が
きつきつでそもそも縫製できるのかも懸念点でしたのでそれも
試作品を通してみて、縫製位置を確認していきます。
「そもそも製品が縫われているのだから縫えるでしょうに」と
思われると思いますが、まず縫製するミシンというのはいろんな種類があり、
またその抑え部分のアタッチメントというのも無数にあります。
ご家庭のミシンでもボタンホールを縫う際に交換する部分のあれです。
ですので、メーカーなどはその製品に合わせてアタッチメントを
オーダーして製作していたりするので、同じ縫製手順や縫い位置をとると
縫えない場合があります。
また製造工程では、持ち手は本体と組み上がっている状態で
縫製している訳でなく、持ち手単体または持ち手と連結パーツとの
組み合わせのみで縫製しています。
修理の場合は、重い鞄本体がぶら下がった状態で
持ち手を組んでいかなくてはなりませんので、いくつかの物理的な制約も、
試作の段階で手順や仕様を調整、確認していきます。
で、できたのがこの型紙。
しかしこの後にまた修正が必要になるのですが…。
早速裁断していきます。
革はタンニン鞣しのオイルレザーを用います。
オリジナルより耐久性は高いのではないでしょうか。
タンニン鞣しですので使い込む程に艶が増してしっとりとしていきます。
適度なオイルレザーですので乾燥も通常よりはし難いかと思います。
*でも定期的なメンテナンスは行ってください、寿命が伸びますので。
パズルのようにスポンジ、芯材、ナイロンなどを配置していきます。
負荷が掛かるループ部分には伸び止めのナイロンと裏革を宛てがい
補強を行っています。
で、一旦この状態まで仕上げます。
部分的にコバの部分はこの段階で仕上げておきます。
付根部分は本体の連結パーツと組み合わせてから縫製を行います。
ですので持ち手部分を縫製する時も、何処まで縫製し、
この部分の縫い目の三つ分を後で縫い重ねて付根の縫い目と繋げていくなど、
縫い目の数も試作の段階で決めておきます。
そうしてようやく完成となります。
AFTER
オリジナルの付根の平らな部分にはナイロン柄の型押しがしてありました。
折り返した裏面にはなかったので、わざわざあの状態にしてから
表面に型押しを行っているようです。
このような金型を用いての部分的な型押しまでは残念ながら再現はできません。
この型押しはデザイン的の役割だけではなく、膨らんだスポンジと
付根の平らな部分との境目を、くっきりと際立たせる為の表現になっていて、
また封入されたスポンジが型押し加工により、それ以上に下がってこないように
する為の役割があったようです。
しかし実際はずれて下がって(片寄って)きておりましたが…。
持ち手に封入されたものが片側によってしまうと、
その部分は空洞になってしまい強度が弱くなるので仕様の
改善が必要かと思います。
ですので今回の製作においては、スポンジとの境目部分には
ステッチを追加することで、平らな部分との境目をくっきりとさせ
尚かつスポンジが下がってこないような縫製を行いました。
追加の縫製もオリジナルの縫製ラインから自然に繋げて縫製しているので
そう云われてもどこのことなのか分からない知れません。
付根の型押しの柄部分以外はほぼ再現できているのではないでしょうか。
TUMIのこの持ち手の仕様が、これからの定番になってしまうと
ちょっと大変だな〜と思う今日この頃。
旧モデルの持ち手の仕様の方が(ナイロンや革ベルトに革を巻いている仕様)
重いTUMIの鞄には、耐久性の観点から適しているかもしれません。
•今までのモデルの補修事例
こんなことを書くと、今回の現行モデルに旧モデルの持ち手の仕様で
製作できませんか?と問い合わせがきそうですが、それもできなくはないです。
靴をオールソールする際に、レザーソールからラバーソールにしたりと
自分仕様にカスタムするように、鞄も自分の使い勝手に合わせて
カスタムというのもあると思います!
2019年追記
→結局予想通り、現行モデルから旧モデル仕様へのご依頼が集中しております。
ampersandand at 17:52|Permalink│
2017年11月03日
TUMIの持ち手修理と、痛み軽減についての考察。
毎月毎月コンスタントに、TUMIの持ち手革交換を行っておりますと、
その痛み具合の状態にはパターンがありまして、
持ち主さんが、右利きなのか左利きなのかが分かるような気がします。
(郵送依頼品なので実際はどうかは分かりませんが)。
TUMIのかばんは、デザイン的に鞄の裏表があります。
正面は、ポケットがあったりロゴが付いていたりする面です。
通常はそのような鞄の場合は、人は正面を外側にして持つかと思われます。
次に、矢印部分の痛んでいる箇所ですが、これは二本ある持ち手の
片側だけにできています。
そして、巻き付けられた革を取り外して開いてみますと
それぞれの二つ折の裏表(右半分左半分)で痛み具合が異なっております。
ひび割れて痛んでいる面は、日常的に手に触れている面と云う事が分かります。
手あかや手汗により、革が変質しひび割れが生じたかと。
開いた革を観察してみますと、それぞれ裏表の四面で
二面ずつで、痛んでいる面と痛んでいない面があります。
痛んでない面というのは、面同士が重なっていて、
手に触れていないと推測できます。
手に持った時はこんな感じかと。
恐らくこの痛み具合だと右利きかなと推測。
矢印01部分が当たっていて、革が次第に擦り切れたのでは?と。
矢印02の重なり合う面同士は、手に触れないのであまり痛まなかった部分かと。
しかし、鞄の正面を外側に向けないで使う人もいるのでは?
という意見もあるかと思います。
しかしそれは、裏面にできたナイロンの擦れ具合で判断が出来ます。
裏面、つまりズボン側の持ち手付け根部分は、歩行の際にズボンに当たり
擦れることで、画像のような位置が、白く毛羽立っているのが確認できています。
この位置での、そして片側の擦れは外側では起こり難いかと思われます。
と、持ち主さんの利き手を推測しつつ、巻き革の型紙を作ります。
これはいくら推測を立てても、毎回微妙に長さが異なっています。
私の計測ブレもあるでしょうし、ナイロンが微妙に伸びている?
のではないかとも思うのであります。
2.0mmとかなので、型紙を再利用してもいいかなとも思うのですが、
補修の際には、すでに鞄に縫製されて湾曲している持ち手に
革を巻き付けてゆくので、その微妙な誤差が仕上りに影響を及ぼしますので
毎回型紙を製作し、革を裁断しております。
しかし、それでも淡い期待を捨てきれず、時々使えそうな数値の型紙は
捨てずに取っておいたりもしています。
ではではタイトルの「痛みの軽減について」ですが、
日頃のお手入れはもちろんなのですが、
痛んでいる箇所の比較パターンから推測されることは…。
予想1.
持ち手は定期的に上下を変えて使用する(重なり方を逆にする)。
そうする事で、手に触れる面(痛む面)が偏らず、
ひび割れの進行を遅らせられるか。
予想2.
左右の手で毎日交互に持ってみる。
同じ位置に手が触れる事を防ぐ事で、部分的な
擦り切れの進行を遅らせられるか。
(同じ側で鞄を持ち続けると、骨格も傾いて歪むらしいですし)
と云うような感じでしょうか。
AFTER
しかし、こちらのTUMIの場合のように、先程の推測からは外れ、
手に持つ部分全体から痛んでいる方もいらっしゃいます。
靴もそうですが、同じものでも使用環境や使い方は
人それぞれですので、すべて同じように痛むということはやはりありません。
(これが修理の難しいいところです)
擦れなどの痛みは、どうしても使用により生じてきてしまいますが、
定期的に皮革用のトリートメントにてお手入れして頂ければ
保湿や、表面の保護もでき、痛みの進行を和らげますので
行って頂ければと思います。
「乾燥からの擦れ」を繰り返す事で、革はささくれて
ひび割れてきてしまいます。
以下ミシン掛けは、八方ミシンで行っておりますが
左手の指先のみで鞄全体を支えているので、重いTUMIの鞄は、
時々指先が耐えきれず、ツル時があります…。
(右手は車輪を回して針を動かしています)
もっと大きな鞄をミシン掛けする時には、左ひざで鞄を支えたりと
かなりアクロバティックな姿勢になります。
ですので、その時は股関節のあたりがツルわけですが…。
以前テレビで、海上に流れ出した油の流出を防ぐ巨大な
ネットみたいなものを縫製している高齢の職人さんが、
やはり同じように膝を使って巨大なネットを押し出しながら
必死にミシン掛けしている様子を見まして、ミシン掛けの大変さよりも
いつツルか、ツってしまうのか、ドキドキしながら見ていたのを思い出します。
ツッて作業に支障がでないように、
鉄分を多めに摂取しなければと思う今日この頃…。
明日はレバニラ、食べようかな。
その痛み具合の状態にはパターンがありまして、
持ち主さんが、右利きなのか左利きなのかが分かるような気がします。
(郵送依頼品なので実際はどうかは分かりませんが)。
TUMIのかばんは、デザイン的に鞄の裏表があります。
正面は、ポケットがあったりロゴが付いていたりする面です。
通常はそのような鞄の場合は、人は正面を外側にして持つかと思われます。
次に、矢印部分の痛んでいる箇所ですが、これは二本ある持ち手の
片側だけにできています。
そして、巻き付けられた革を取り外して開いてみますと
それぞれの二つ折の裏表(右半分左半分)で痛み具合が異なっております。
ひび割れて痛んでいる面は、日常的に手に触れている面と云う事が分かります。
手あかや手汗により、革が変質しひび割れが生じたかと。
開いた革を観察してみますと、それぞれ裏表の四面で
二面ずつで、痛んでいる面と痛んでいない面があります。
痛んでない面というのは、面同士が重なっていて、
手に触れていないと推測できます。
手に持った時はこんな感じかと。
恐らくこの痛み具合だと右利きかなと推測。
矢印01部分が当たっていて、革が次第に擦り切れたのでは?と。
矢印02の重なり合う面同士は、手に触れないのであまり痛まなかった部分かと。
しかし、鞄の正面を外側に向けないで使う人もいるのでは?
という意見もあるかと思います。
しかしそれは、裏面にできたナイロンの擦れ具合で判断が出来ます。
裏面、つまりズボン側の持ち手付け根部分は、歩行の際にズボンに当たり
擦れることで、画像のような位置が、白く毛羽立っているのが確認できています。
この位置での、そして片側の擦れは外側では起こり難いかと思われます。
と、持ち主さんの利き手を推測しつつ、巻き革の型紙を作ります。
これはいくら推測を立てても、毎回微妙に長さが異なっています。
私の計測ブレもあるでしょうし、ナイロンが微妙に伸びている?
のではないかとも思うのであります。
2.0mmとかなので、型紙を再利用してもいいかなとも思うのですが、
補修の際には、すでに鞄に縫製されて湾曲している持ち手に
革を巻き付けてゆくので、その微妙な誤差が仕上りに影響を及ぼしますので
毎回型紙を製作し、革を裁断しております。
しかし、それでも淡い期待を捨てきれず、時々使えそうな数値の型紙は
捨てずに取っておいたりもしています。
ではではタイトルの「痛みの軽減について」ですが、
日頃のお手入れはもちろんなのですが、
痛んでいる箇所の比較パターンから推測されることは…。
予想1.
持ち手は定期的に上下を変えて使用する(重なり方を逆にする)。
そうする事で、手に触れる面(痛む面)が偏らず、
ひび割れの進行を遅らせられるか。
予想2.
左右の手で毎日交互に持ってみる。
同じ位置に手が触れる事を防ぐ事で、部分的な
擦り切れの進行を遅らせられるか。
(同じ側で鞄を持ち続けると、骨格も傾いて歪むらしいですし)
と云うような感じでしょうか。
AFTER
しかし、こちらのTUMIの場合のように、先程の推測からは外れ、
手に持つ部分全体から痛んでいる方もいらっしゃいます。
靴もそうですが、同じものでも使用環境や使い方は
人それぞれですので、すべて同じように痛むということはやはりありません。
(これが修理の難しいいところです)
擦れなどの痛みは、どうしても使用により生じてきてしまいますが、
定期的に皮革用のトリートメントにてお手入れして頂ければ
保湿や、表面の保護もでき、痛みの進行を和らげますので
行って頂ければと思います。
「乾燥からの擦れ」を繰り返す事で、革はささくれて
ひび割れてきてしまいます。
以下ミシン掛けは、八方ミシンで行っておりますが
左手の指先のみで鞄全体を支えているので、重いTUMIの鞄は、
時々指先が耐えきれず、ツル時があります…。
(右手は車輪を回して針を動かしています)
もっと大きな鞄をミシン掛けする時には、左ひざで鞄を支えたりと
かなりアクロバティックな姿勢になります。
ですので、その時は股関節のあたりがツルわけですが…。
以前テレビで、海上に流れ出した油の流出を防ぐ巨大な
ネットみたいなものを縫製している高齢の職人さんが、
やはり同じように膝を使って巨大なネットを押し出しながら
必死にミシン掛けしている様子を見まして、ミシン掛けの大変さよりも
いつツルか、ツってしまうのか、ドキドキしながら見ていたのを思い出します。
ツッて作業に支障がでないように、
鉄分を多めに摂取しなければと思う今日この頃…。
明日はレバニラ、食べようかな。
ampersandand at 11:23|Permalink│